倉林明子

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真相究明 証人喚問で 裏金疑惑/ケア労働賃上げこそ 公費負担増求める(2023/12/11 本会議)

 日本共産党の倉林明子副委員長は11日の参院本会議で、岸田政権中枢を直撃する政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑の真相究明を求めるとともに、関係者の証人喚問を要求しました。

 倉林氏は、自民党の派閥がパーティー券収入の一部をキックバックしている疑惑について、「松野博一官房長官、西村康稔経済産業相が収支報告書に記載していないのは事実か」と迫りました。

 松野官房長官は「精査し適切に対応」、西村経産相も「確認、精査させている」などと従来の説明を繰り返すばかりでした。

 倉林氏は、安倍派の閣僚・党幹部更迭の報道があることについて「安倍派にとどまらず岸田政権そのものが問われている。何よりも重要なことは真相の徹底究明だ」と強調。そのためには国会が役割を果たすべき時だとし、「司法の捜査と国会の究明は車の両輪。自民党主要派閥の歴代事務総長の証人喚問が必要だ。首相は国会の真相究明への協力を明言すべきだ」と迫りました。岸田文雄首相は「国民の信頼回復の観点から適切な対応を行う」としか答えませんでした。

 倉林氏は、今回の疑惑で政治資金規正法に大穴があることが浮き彫りになったと指摘。派閥への企業・団体献金は禁止されているものの「パーティー券の大半は企業・団体が購入しており、形を変えた企業・団体献金だ。パーティー券購入を含む企業・団体献金を禁止することに踏み切るべきだ」と求めました。


 日本共産党の倉林明子副委員長は11日の参院本会議で、2022年度決算について代表質問し、ケア労働者の大幅賃上げのために、診療報酬・介護報酬・障害福祉報酬の2024年度同時改定での報酬引き上げと公費負担増を求めました。

 倉林氏は、財政制度等審議会の建議が診療報酬マイナス改定を求めたことが衝撃を与えているとし、コロナで奮闘した医療機関では離職者が増え、病棟閉鎖など医療体制縮小の事態になっていると指摘。「医療崩壊を繰り返さないため、医療提供体制確立、人員増と賃上げにつながる診療報酬の大幅引き上げを」と主張しました。岸田文雄首相は「現場の処遇改善につながる仕組みを構築」としつつ、引き上げには言及しませんでした。

 介護分野では、利用料2割負担の対象拡大や老健施設の多床室有料化などが狙われています。倉林氏は「食費水光熱費を節約する高齢者に命を削れと言うようなものだ。物価高騰に見合う年金引き上げを」と述べました。

 政府が示した介護・障害福祉の従事者への賃上げは月6000円。倉林氏は「落胆・絶望しかない」との現場の声にどう応えるのかと強調し、「他産業との賃金格差月7万円を解消する大幅賃上げのため次期改定での報酬引き上げ、公費負担増を」と迫りました。

 倉林氏は、田村智子副委員長(参院議員)が国の非正規職員の約7割が女性であり、男女賃金格差が民間より大きいことを指摘したことに触れ、「女性への間接差別ではないか」と迫りましたが、岸田首相は「間接差別にはあたらない」と答えました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 私は、会派を代表し、二〇二二年度決算について質問します。
 冒頭、政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑について質問します。
 昨年十一月のしんぶん赤旗日曜版の報道に端を発し、岸田政権中枢を直撃する底なしの疑惑となっています。
 松野官房長官、そして西村経産大臣、キックバックを受けながら収支報告書に記載していないという報道は事実ですか。政府の立場とか、精査中、捜査中などと繰り返し、説明を拒否する姿に国民は怒っています。自明のことですから、答弁すべきです。
 安倍派の閣僚、党幹部の更迭検討へとの報道も出てまいりました。しかし、安倍派にとどまりません。岸田政権そのものが問われています。何よりも重要なことは真相の徹底究明です。キックバックと不記載による裏金作りが、各派閥と所属議員において、一体いつから、誰の指図で、どのように行われ、何に使われてきたのかなど、総理・総裁の責任で全容を明らかにすべきです。
 真相究明のため国会が役割を果たすべきときです。司法当局の捜査と国会による究明は車の両輪です。疑惑を指摘されている自民党主要派閥の歴代事務総長の証人喚問が必要です。総理、国会による真相究明に協力することを明言していただきたい。
 今回の疑惑の噴出は、政治資金規正制度に大穴があることを浮き彫りにしました。派閥への企業・団体献金は禁止されていますが、派閥パーティー券の大半は企業、団体が購入しており、形を変えた企業・団体献金となっています。一九九四年に成立した政治改革関連法は、企業・団体献金については廃止の方向に踏み切るとしながら、政党支部への献金、政治資金パーティーという二つの抜け道をつくり、温存してきたことが今日の事態を招きました。
 総理、パーティー券購入を含む企業、団体からの政治献金を全面的に禁止することに踏み切るべきではありませんか。我が党はそのための法案を参院に提出いたしました。答弁を求め、以下、決算の質問に移ります。
 今回決算の対象となる二〇二二年度は、新型コロナ感染症が猛威を振るい、第八波には最悪の感染者数、死者数を記録しました。医療崩壊により入院できない人があふれ、必要な医療が受けられず、自宅や施設で亡くなる放置死が相次ぎました。多くの犠牲は、自公政権の下、社会保障費の削減を長年続け、医師数の抑制、病床削減、病院の統廃合、保健所の半減、ケア労働の軽視を行ってきた結果ではありませんか。
 財政審建議が診療報酬のマイナス改定を求めたことは、医療関係者に衝撃を与えています。コロナ禍で奮闘した医療機関は、物価高騰に加え離職者が増加し、病棟閉鎖や入院制限など、医療提供体制の縮小という事態が今起こっています。医労連によれば、賃上げどころか約四割の単組で年末一時金のカットとなっています。
 救える命を守れない、医療崩壊を繰り返さないために、医療提供体制の確立、人員増と賃上げにつながるよう、診療報酬の大幅引上げを求めるものです。
 医療、介護、年金など暮らしを支える制度は改悪が繰り返され、とりわけ年金生活者は厳しい生活を強いられています。それなのに、政府は介護保険の利用料二割負担の対象を拡大し、老人保健施設等の多床室にも負担を求めようとしています。さらに、改革工程表素案では、医療、介護の三割負担の対象拡大、介護のケアプラン有料化、要介護一、二の方の生活援助を介護保険から外すことなどを打ち出しました。
   〔副議長退席、議長着席〕
 少ない預金を切り崩し、食費、水光熱費を節約し、ぎりぎりで生活する高齢者にこれ以上の負担増を求めることは、命を削れということにほかなりません。
 介護、高齢者医療など負担増はやめるべきです。直ちに物価高騰に見合う年金引上げを行うことを求めます。
 マイナ保険証はトラブルが続き、医療機関に負担を強い、国民は情報漏えいなどに不信を募らせています。情報システム学会は、制度の再設計を求めています。制度設計を根本から見直すべきです。今決断すべきは、現行保険証の廃止方針の撤回です。答弁を求めます。
 ケア労働者の慢性的な人手不足は、事業休止や利用者に必要な支援が届けられない災害級の事態になっています。
 きょうされんの調査では、ヘルパーの時間、入浴回数を減らす、夜間の寝返り支援を断念、職員が疲労こんぱいするまで働いても、当たり前の暮らしを営むための支援ができないと報告されています。
 歴代自民党政権がケア労働の評価を低くおとしめ、他産業と大きく懸け離れた低賃金を放置してきた責任は重大です。
 政府の示した処遇改善は、介護、障害の従事者に月六千円の賃上げにすぎません。これがケア労働者にふさわしい賃上げですか。落胆、絶望しかないとの声にどう応えるのですか。最低でも他産業との賃金格差七万円を解消する大幅賃上げを可能とするため、国が責任を持つべきです。次期改定での報酬引上げ、公費負担の大幅増額を求めます。
 コロナ禍では女性不況と言われ、世界的に働く女性への影響が大きく、女性が置かれている状況を可視化しました。そもそも、非正規雇用は、女性が担う家計補助的な働き方と位置付けられたために、賃金を始め様々な格差が容認され、雇用の調整弁とされてきました。非正規雇用は賃金が低くて当たり前、不安定な細切れ雇用が当たり前という位置付けを見直すべきです。国際基準に基づき、原則直接無期雇用、同一価値労働同一賃金、均等待遇の実現が急務です。
 さらに、コロナ禍では女性の自殺率も増加しました。失業だけでなく、女性に対するDVや性暴力、性搾取などが顕在化しました。
 そうした実態も踏まえ、困難を抱える女性を支援する女性支援法が二〇二二年五月に成立、二〇二四年四月から施行されます。施行に向けて予算と支援内容を抜本的に拡充すべきです。
 公務の非正規職員が置かれている状況も深刻です。
 十一月二十八日の予算委員会で田村智子議員が、この三十年間で国の非正規公務員を大幅に増やし、その約七割が女性であること、男女賃金格差は民間よりも大きな差があることを指摘しました。自治体の会計年度任用職員も同じです。これは女性への間接差別にほかなりません。総理はこうした間接差別を容認するのですか。
 非正規職員は、国であればハローワークでの就労相談、障害者など特性に応じた就労支援、自治体であれば図書館司書や保育士、消費生活相談員など専門性の高い仕事を担っています。ほかにも、婦人相談員や生活保護のケースワーカーなどケアに関わる仕事も非正規職員が支えており、住民の暮らしを支える職員がワーキングプアの状態に置かれています。公務の職場でこそ、賃上げ、待遇改善、男女賃金格差の解消に向けて本気で取り組むべきです。直ちに決断を求めます。
 公務職場で間接差別が行われていることを認め、格差是正に取り組むなど、政府が率先してジェンダー平等を実現することを強く求めます。
 命、暮らしを危機にさらしながら、今年度の軍事費は、補正予算と合わせて七兆六千三百四十九億円。今、医療、介護、福祉に関わる多くの人々から、ミサイルではなくケアをの声が上がっています。戦争の準備ではなく、命、健康、暮らしを守る社会保障拡充への転換を求め、質問といたします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 倉林明子議員にお答えいたします。
 自民党の各政策集団の関係政治団体の政治資金パーティーに係る政治資金収支報告書の記載に関してお尋ねがありました。
 自民党の各政策集団の関係政治団体の政治資金パーティーについて様々な指摘がなされ、その結果として、国民の政治に対する信頼が揺らぎ、自民党全体に対しても厳しい目が向けられていることを承知しており、党としても強い危機感を持って、しっかり対応をしてまいります。
 証人喚問については、国会でお決めいただくことではありますが、現在、関係する政治団体における事実確認等が行われており、また、政治団体の政治資金パーティーに関して告発がなされているものと承知をしています。
 今後、事態が明らかになっていく状況を踏まえつつ、問題の原因や課題等を把握しながら、国民の信頼回復の観点から、適切な対応、行ってまいります。
 そして、企業・団体献金についてお尋ねがありました。
 企業・団体献金については、長年の議論を経て、現在は政党や政治資金団体に対するもののみが認められており、政党等がその受取を行うこと自体が不適切なものとは考えておりません。
 政治資金パーティーに係る収入は、寄附とは性質が異なるものと考えておりますが、いずれにせよ、民主主義のコストをどのように負担していくかという観点から、各党各会派において十分御議論いただくべきものであると考えております。
 そして、新型コロナ感染症への対応と診療報酬改定についてお尋ねがありました。
 新型コロナ感染症の発生以降、国民の命と暮らしを最優先に、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを取りつつ、科学的知見やエビデンスを重視し、政府を挙げて医療提供体制の整備や重症化リスクの高い方への支援等の対策を講じてきました。その結果、我が国の新型コロナの人口当たりの感染者数、死亡者数は他のG7諸国と比べて低い水準に抑えられており、社会保障費の削減等により多くの犠牲が生じたとの御指摘は当たりません。
 また、医療提供体制の整備のため、人材確保への対応は重要であり、令和六年度の診療報酬改定については、活用可能な法人における賃上げ税制の活用等も踏まえつつ、必要な処遇改善の水準の検討と併せ、現場の方々の処遇改善に構造的につながる仕組みを構築すべく取り組んでまいります。
 そして、介護、高齢者医療の見直しや年金の引上げについてお尋ねがありました。
 高齢化と人口減少という大きな社会の変化を迎えている中、介護保険制度や高齢者医療制度が全ての世代にとって安心なものとなるよう、サービスの質を確保しつつ、制度の持続可能性を維持することは重要な課題です。
 そのため、これらの制度の在り方については、全世代型社会保障の理念に基づき、負担能力に応じて公平に支え合う仕組みを構築する中で、必要な保障が欠けることのないように進めていく必要があるものと考えており、丁寧な検討、進めてまいります。
 また、年金制度については、前年の物価等の変動に応じた年金額の改定を基本としつつ、マクロ経済スライドにより、長期的な給付と負担のバランスを確保し、将来にわたって持続可能な仕組みとしており、この仕組みの下で年金を着実に支給してまいります。
 マイナ保険証についてお尋ねがありました。
 マイナ保険証は、患者本人の健康、医療に関するデータに基づいたより良い医療の提供が可能となる、成り済ましを防止できるなどの多くのメリットがあり、我が国の医療DXを進める上で基盤となる仕組みです。
 マイナ保険証への移行に際しては、デジタルとアナログの併用期間をしっかり設けて、健康保険証の廃止後も最大一年間は現行の保険証が使用可能であるほか、マイナ保険証を保有しない方には、申請によらず資格確認書、これを発行いたします。
 現行の健康保険証の廃止は、国民の不安払拭のための措置が完了することが大前提であり、国民の不安払拭のための各般の措置の進捗状況を踏まえ、適切に判断をしてまいります。
 そして、介護従事者等の賃上げについてお尋ねがありました。
 昨今の賃上げの動向や人手不足の状況を踏まえれば、介護、障害福祉分野における賃上げへの対応は喫緊かつ重要な課題と認識をしています。このため、今般の経済対策において、介護、障害福祉分野の人材確保に向けて必要な財政措置を早急に講ずることとし、補正予算においてそのための必要な施策を盛り込んだところです。
 その上で、令和六年度の介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定においては、活用可能な法人における賃上げ税制の活用等も踏まえつつ、必要な処遇改善の水準の検討と併せ、現場の方々の処遇改善に構造的につながる仕組みを構築すべく取り組んでまいります。
 なお、介護保険制度は、制度創設以前の全額公費による措置制度を改め、給付と負担の関係が明確な社会保険方式を採用し、保険料、公費でそれぞれ五割を負担する仕組みとして創設されたところであり、公費負担割合を引き上げることには慎重であるべきだと考えています。
 そして、非正規雇用労働者の雇用の安定や処遇改善についてお尋ねがありました。
 合理的な理由がない有期労働契約の締結を禁止することについては、公労使の三者で丁寧に議論を行った結果、現在の無期転換ルールが定められており、引き続きこうしたルールが適切に運用されるよう取り組んでまいります。
 その上で、非正規雇用労働者の更なる処遇改善に向けて、最低賃金の引上げや賃上げしやすい環境整備に取り組んでまいります。また、今般の経済対策でも、同一労働同一賃金の更なる遵守徹底、在職中の非正規雇用労働者に対するリスキリング支援の創設、正社員化に取り組む事業主の支援の拡充などを盛り込んだところであり、これらの施策を着実に実行してまいります。
 そして、困難な問題を抱える女性への支援についてお尋ねがありました。
 貧困や性暴力被害など、女性の抱える問題が多様化、複雑化している中、それぞれの状況に応じた適切な支援が受けられるよう、困難な問題を抱える女性に対する支援を強化していくこと、これは重要であると認識をしています。
 このため、新たに施行される困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の下では、民間団体との協働という視点も取り入れた新たな支援の枠組みを構築し、官民の関係団体が連携、協働して、訪問や巡回による相談、居場所の提供など、一人一人のニーズに応じた包括的な支援を提供できるよう取り組んでまいります。
 今後とも、困難な問題を抱える女性に対する支援の強化と必要な予算の確保に努めてまいります。
 そして、公務の非常勤職員の処遇改善についてお尋ねがありました。
 国と自治体の非常勤職員については、業務の状況などに応じて各府省等において適切に任用されており、その給与については、給与法等に基づき、常勤職員や民間との均衡を考慮しつつ、それぞれの勤務の形態や職務の内容等を踏まえて適切に決定されていると承知をしており、女性への間接差別であるとの指摘は当たらないと考えております。
 その上で、御指摘の非常勤職員の処遇改善は重要な課題であり、これまでも国、自治体において改善に取り組んできたところですが、今後も、適切な採用プロセスを経た上で常勤職員として採用することも含め、処遇改善に取り組んでまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。

○国務大臣(松野博一君) 倉林明子議員にお答えいたします。
 政治資金パーティーをめぐる報道についてお尋ねがありました。
 政府の立場としてはお答えを差し控えるべきであるかと認識しておりますが、私の所属する清和政策研究会においては、これから事実関係を精査するとコメントしていると承知しており、今後、事実確認の上、適切に対応するものと認識しております。
 政治団体において事実確認がなされている最中であり、また、報道によれば、各政治団体の政治資金の取扱いについては刑事告発がなされ、それに関連して捜査が行われているものと承知しており、そうしたことを踏まえて、私の政治団体についても精査して適切に対応してまいります。

○国務大臣(西村康稔君) 倉林明子議員からの御質問にお答えをいたします。
 政治資金パーティーをめぐる問題についてお尋ねがありました。
 私自身の政治資金については、帳簿の保存期間である三年を超えるものも含め、確認、精査をさせているところであります。
 いずれにせよ、適正に対応を行った上で、どこかのタイミングで説明責任を果たしたいと考えております。