倉林明子

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電気料金高騰で悲鳴 「不正全容解明が先」(2023/3/16 消費者問題特別委員会)

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は16日の参院消費者特別委員会で、電気料金高騰で市民生活の負担が増大しているとして「政府をあげて値上げをとめるべきだ」と主張し、あわせて大手電力会社による不正情報入手の全容解明を求めました。

 倉林氏は、オール電化の新居では電気代が昨年の2倍の10万円を超えた事例を紹介し、「1カ月の食事代が吹っ飛び、生活を脅かす電気代になっている。なぜこんなに上がるのか、消費者は納得していない」と述べました。

 また、原子力発電所のコスト分について、電力11社の安全対策費の合計が1月時点で6兆円を超え、福島原発事故後の維持費と合わせて約24兆円を超えるとの試算を紹介。消費者団体からも「原発再稼働を織り込んだ値上げ申請には納得できない」との意見が上がっており、「消費者の合意は得られていない」と指摘しました。

 さらに、大手電力7社が一般送配電事業者の持つ新電力会社の顧客情報を不正に閲覧していた問題が消費者の怒りと不信を買っていると指摘。「値上げ申請の前にやるべきは、事件の全容解明だ」と主張しました。

 河野太郎消費者担当相は「不正事案が直接・間接的に料金に影響を与えている。しっかりした答えを電力会社に出してもらいたい」と答えました。

 日本共産党の倉林明子議員は9日の参院厚生労働委員会で…
 倉林氏は…主張。塩崎恭久厚労相は…と述べました。


ある一般家庭(オール電化、夫婦2人)の電気料金の前年同月比


標準的な家庭における電気料金の試算結果


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 今日は電気料金について質問したいと思います。
 物価高に加えて、電気料金の値上げが本当にひどく、すごくて、悲鳴が上がっております。
 直近の電気料金に関する苦情、相談、これ特徴はどういうことになっているのか、御説明いただきたい。

○政府参考人(片岡進君) お答え申し上げます。
 PIO―NETにおきます電気料金に関する直近の相談件数でございますが、二〇二二年三月から二〇二三年二月までの一年間で合計三千四百二十四件来てございます。月別では、例えば二〇二二年三月は五百二十件、七月は百二十五件、直近の二月は三百五十一件というふうになってございます。
 相談内容でございますけれども、電気料金が急に高額になった、消費者に伝えることなく電気料金がどんどん値上げされているというような相談が寄せられているというところでございます。

○倉林明子君 PIO―NET、私も見てみましたけども、オール電化の新居で電気代が昨年の二倍、十万円を超えたと、あるいは電気とガスで通常の四倍の請求額、それだけの使用をしていないと、どういうことだろうかと、何とかならないかというような声もありました。とんでもない値上げということが先行しているわけですね。
 電気代が年金上回ったり、一か月分の食費が吹っ飛んだりと、もはや生活を脅かすような電気代になっているわけです。燃料費の高騰が理由ということ、一つの理由ということになっているんですけれども、価格設定の構造が複雑で、これだけで、何でこれだけで上がるのかということが消費者に決して十分に説明されていないということです。
 そこで資料なんですけれども、自由料金の方なんですけれども、これ、一月同月を二二年、二三年で比較したもので、公共料金専門調査会にも提出されたものでもあります。これで見ますと、ほとんど基本料金その他の内訳でいうと上がっていないんだけれども、断トツに上がっているのが燃料費調整額で、十倍なんですよね。これ本当に、ここが上がっているということです。何でこんなに上がるのかということでいうと、到底これ内訳示されても、消費者は納得できないですよ。
 昨年末の託送料金の値上げの際に、消費者委員会の公共料金等専門調査会が意見の中で消費者への丁寧な説明を求めておられます。該当部分について御紹介いただきたい。

○政府参考人(小林真一郎君) お尋ねの消費者委員会意見の当該箇所、御紹介いたします。
 目下、電気料金が高騰し、国民生活への負担感が増大している中で、電気料金の構成や内訳にとどまらず、値上がりしている要因について消費者への分かりやすく丁寧な説明がこれまで以上に必要である、加えて、託送料金に、どのような費用が含まれているかについて消費者が十分に理解しているとは言い難い、消費者が納得できるよう、繰り返し様々な機会を捉えて分かりやすく説明することが重要である。
 以上です。

○倉林明子君 公共インフラなんですよね、電気。使わないで生活するということができないものでもあって、もはや生活脅かすというようなことに納得できないと、説明されても納得できないという水準に達しているということを言いたい。
 さらに、原発コスト分についてどうなっているのかということも確認したいんですけれども、電力十一社の安全対策費の合計、これ、今年一月時点でこれ六兆円を超えて、今後も膨らむ見通しだという報道もありました。福島原発事故後の維持費と合わせますと、大方二十四兆円を超えるという専門家の試算も示されております。
 これ、原発関連費用、電気料金の値上げについて、二月二十日に行われました専門調査会で消費者団体から意見が寄せられていると思います。どんな意見だったでしょうか。

○政府参考人(小林真一郎君) お尋ねの、二月二十日、消費者委員会公共料金等専門調査会に消費者団体ヒアリングを行いました。消費者行政の充実強化をすすめる懇談会みやぎから御意見をいただきました。当該箇所を御紹介します。
 三ポツ、原発再稼働を織り込んだ値上げ申請には、納得できない。東京電力福島第一原子力発電所の事故は、その被害の甚大さ、収束の困難さ、甚大、失礼しました、莫大な経済的損失から原子力発電と人類は共存できないことを明らかにし、日本の電力とエネルギー政策の在り方について根本的な見直しを迫るものとなりました。東北電力女川原子力発電所においては、東日本大震災時での津波の高さがあと一メートル高ければ、福島原発と同様の事故になっていたのではないかと言われています。今回の前提計画では、女川原発二号機の再稼働を織り込んだ原価算定になっていることから、再稼働しなければ発生しない、原子力再稼働に伴う起動前点検及び再稼働後の点検、あっ、失礼しました、定期点検費用が織り込まれています。また、原発依存の体制維持は、電源構成の変動によって電気料金が引き下げられるという問題を抱えています。原子力発電に頼らないエネルギー政策への転換に踏み出すべきだと考えます。

○倉林明子君 そういう点でも、消費者の合意は得られているということは到底言い難いかなと思うんですね。
 電力の自由化のときに私も議論させていただいたんですけれども、自由に競争すると電気料金下がると盛んに言われたんですよ。ところが、実際は大幅な値上げになっているし、料金の透明化どころかブラックボックスというのが続いているんです。より見えにくくなっていると言ってもいいぐらいです。消費者からの疑問の声、意見というのは当然かと思います。なぜ値上げするのかという、電気料金の構造、仕組み、今後の見通し、本当に消費者が納得できるというような説明には全く今なっていないと、電力会社は説明責任を果たすべきだということは申し上げたい。
 さらに、消費者の怒りと不信を買っているのが、不祥事真っただ中の大手電力会社が家庭向け規制料金の大幅な値上げの認可申請を出したということです。これが二枚目に入れておきました。報道によりますと、このうちの五社が申請を先送りしたということも出ておりました。
 これまでに判明しているだけで、関西電力を始めとした大手電力七社は、一般送配電事業者が保有する新電力の顧客情報を不正に閲覧していたと。個人情報保護委員会の調査では、不正閲覧の件数は少なくとも七十六万件と。関西電力が首謀者となって、知り得た情報を基に安値攻勢を掛けて顧客を獲得する、そればかりか、カルテまで結んでいたという深刻な事案です。
 経産省に確認したい。この事案、全容解明はまだこれからだということで理解よろしいですか。

○政府参考人(新川達也君) お答え申し上げます。
 一般送配電事業者における一連の情報漏えい事案につきましては、電力・ガス取引監視等委員会において電気事業法に基づく報告徴収や立入検査などを行い、事案の解明を進めているところでございます。
 一般送配電事業者が保有する新電力の顧客情報を不適切に閲覧していたとされる大手電力会社は、電力・ガス取引監視等委員会が実施しているこれまでの調査の結果では、現時点で、関西電力、東北電力、九州電力、四国電力、中部電力ミライズ、中国電力及び沖縄電力の七社となってございます。
 現在、情報の精査を行いながら、事案の事実関係の確認や原因分析のための調査を進めている段階でございます。加えて、公開の有識者会議におきまして、再発防止のため、課題の分析や対応の方向性などについて議論を開始しているところでございます。議論内容を踏まえた上で、厳正に対応してまいりたいと考えております。
 また、カルテル事案につきましても、独占禁止法に基づく公正取引委員会の処分が決定した後、当委員会としても適切に対応してまいりたいと考えております。

○倉林明子君 いや、聞いているのは、調査はまだ終わっていないということでいいですねという確認だったんですよ。そこ答えてないんですけど。

○政府参考人(新川達也君) 現在、事案の解明を進めているところでございます。

○倉林明子君 三月二日には、再生可能エネルギー等規制等総合点検タスクフォースが事件を受けて提言をされております。提言の冒頭部分を御紹介いただきたい。

○政府参考人(辻貴博君) 御指摘のとおり、三月の二日に、大手電力会社による新電力の顧客情報の情報漏えい及び不正閲覧、これを議題としまして再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースが開催されました。
 同日の会合では四名の構成員連名の提言書が出されておりまして、その提言書の冒頭には、二〇二二年十二月以降、一般送配電事業者が保有する新電力の顧客情報が、同じ大手電力会社の小売部門によって不正に閲覧される事案が、多数発覚している、これは、送配電部門と小売部門の情報遮断という発送電分離の基本要件が確保されていないことを意味し、公正な競争を揺るがしかねない深刻な事態であるということが記載されているところでございます。

○倉林明子君 本当に深刻な事態だという受け止めですよ。もう自由化の土台から見直すような見直しが必要だと。送配電事業者については、これ大手七社の子会社ということで連結しているんですね、利害が一致するという関係性もありまして。ここ自身を切り離した、切り離していく必要があるということも議論として出ているということにまでなっているんです。大規模な自由化の根本からの見直しが今問われているという事態だと思います。
 そこで、大手電力は、こういう前代未聞ともいうべき、あってはならない不祥事を起こしているわけですよ。そして、全容もいまだ解明半ばという事態なんですよね。私、値上げを申請する前にやることがあるだろうと、それは事件の全容解明だということを言いたい。
 情報漏えいした一般送配電事業者というのは認可の取消しに値するというふうに改めて思っております。その点では、経産省来てはりますので、御意見いかがですか。

○政府参考人(新川達也君) 現在調査中でございますので、事案の解明に応じて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

○倉林明子君 適切な対応の中に、やっぱり認可の取消しということもしっかり正面に据えて、そうでないと、消費者、国民の理解得られないと、信頼得られないと思います。ここは厳しく指摘をしておきたいと思います。
 そこで、大臣、最後にお聞きしたいと思うんですけれども、消費者大臣として、この間、電気料金の値上げについては様々に発信もしておられます。私、こういう不祥事とセットで値上げの議論なんということはできないと思っているんですね。こんな値上げを許したら、本当に国民の暮らし、消費者の納得を得られないどころか、国民の暮らしさえも圧迫していくということ明らかです。交付金とは別に、値上げそのものを本当に止めるという取組が求められていると思います。
 大臣の決意を最後伺って、終わります。

○国務大臣(河野太郎君) お怒りはよく理解できます。ただ、正当な値上げは認めなければいけませんが、少なくとも今回のこの情報の不正利用とかカルテル、こうしたものについては、様々な直接、間接的な影響が料金にも当然出ているわけでございますから、これについてしっかり経産省の方で解明をしていただかなければなりません。
 また、内外無差別というところがないがしろになっているということもこれは消費者に大きな影響が出ておりまして、これについても今後、消費者庁でどう対応するか、経産省でどう対応するか消費者庁としてはしっかり見てまいりたいというふうに思っておりますので、少なくとも、これからちゃんとやりますみたいなことではなくて、体制をどうする、仕組みをどうする、しっかりとした答えをまず電力会社に出していただきたいと思っております。

○倉林明子君 物価高で本当に大変な状況に今国民があって、不正をした電力会社からの値上げを受け入れられるような状況にはありません。政府としても挙げて、物価高、この電気代の値上げに対してどうやって生活を守るのかということが正面から問われております。そういう点では政府を挙げた取組を求めて、終わりたいと思います。