制度充実が最重要課題 雇用保険法等改定案 参考人が主張(2022/3/25 厚生労働委員会)
参院厚生労働委員会は25日、雇用保険法等改定案について参考人質疑を行い、日本共産党の倉林明子議員が質問しました。
首都圏青年ユニオンの原田仁希委員長は、コロナ禍でシフトが削られ「半失業」状態におかれながら休業手当も支給されないシフト制労働者の実態を告発。雇用保険制度には、離職理由による給付制限、週20時間以上の所定労働時間という加入要件の高さ、支給水準の低さなどの欠陥があるとして、「雇用保険制度を充実させることは最も重要な課題だ」「現段階の改正案では到底足りない」と述べました。
倉林氏は、週20時間未満で働く女性は「家計補助的労働者」とされ雇用保険の加入対象外とされてきたが、その賃金がなくなれば生活が立ち行かなくなる事例がコロナ禍で浮き彫りになったとして、「ジェンダーギャップ解消の観点からも女性労働者に失業給付を拡充していくことが大事ではないか」と質問しました。
連合の村上陽子副事務局長は「どのような方を対象にセーフティーネットを張り直していくか重要な課題だ」と主張。原田氏は、学生も含め世帯全員が働いて家計を支える「家族多就業化」が進んでいるとして、短時間労働者についても「収入が減った時、失業した時の保障が必要だ」と述べました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林でございます。
今日は、四人の参考人の皆さんから貴重なお時間使って貴重な御意見いただきまして、本当に今後の議論の参考にさせていただきたいと思います。
まず、原田参考人に是非御紹介いただきたいなと思っていますのが、労働黒書、シフト労働の黒書ということで御発表いただいて、もうリアルな実態というのが告発されているんですけれども、是非そこは厚労委員としても皆さんとも共有できたらいいなと思っていまして、是非御紹介いただきたいと思います、まず。お願いします。
○参考人(原田仁希君) シフト労働黒書というのを組合の方で作りまして、資料の中にもあります。ちょっと長いので全部を紹介できないんですけれども、基本的には事例を、コロナ禍で起きたシフト労働者がどういった被害を受けているのかというふうな事例を述べさせてもらっています。それが資料の中の、事例が四ページぐらいからですかね、始まっていますね。ほとんどの場合が、やっぱり今回コロナで急に休業を強いられるというふうな人たちが休業補償を得られないというふうな問題を紹介しています。
それを訴えていく中で休業支援金の制度ができたりしたわけですけれども、やっぱり先ほども申し上げたとおり、新しい資本主義実現会議ということで、政府としてはシフト労働者を拡大していくと、推奨しているというようなことがあるんですけれども、コロナ禍の実態としては、もう今回、解雇というよりは休業というふうな問題でコロナ禍では起きたと、現象が起きたというふうに考えています。
ですので、それが今後も続くようであれば、それはちゃんと規制を掛けていかないといけないというふうに思っていますし、このシフト制という働き方が非常に不安定であるということが露呈しています。そのため、シフト制黒書の中では法律の提案もしています。
さっきも答えたんですけれども、基本的にはやっぱり自由に変動させられてしまうと生活が安定しないんですよね。そういったことが事業主の都合で幾らでも起きてしまうというのが今のシフト制の働き方で、法的規制が基本的にないんです。なので、最低のシフト保障をちゃんと設定すると、こういった規制が必要であるというふうに思っています。
さっきも答えた部分あるんですけれども、休業支援金の恒久化、こういった休業支援金という形になるかどうか分からないですけれども、シフトを事業主の都合で減らした場合にはそれを保障するというような制度もこういったシフト制の働き方の労働者を守る一つのことになるかなというふうに考えています。
やっぱり子育て世帯の方々だったりシングルマザーの方だったり、女性の非正規の方々がシフト制で働いているということが多いです。そういった、働かざるを得ないと。そこを、労働と育児と両立するためにある程度シフト制というのは必要だと思うんですけれども、ただし、そこで自由に労働時間が変動されるということになれば、一気に生活が悪化する潜在的な可能性をずっと持っているということなので、そこをちゃんと規制をしてほしいなというふうに思っています。
○倉林明子君 ありがとうございます。
村上参考人に是非伺いたいなと思っているんですけれども、今回コロナで女性不況という言葉が生まれました。先ほどの原田参考人のお話の中でも、シフトで働いていてシフト切られたといって御相談に来られる方、圧倒的に女性が多いと。そういう非正規、シフトというところで働いている女性たちってすごく多い現状になってきていると思うんですね。
その中で、今回、雇用保険で救済できないそういう女性の失業者が大量に実は生まれていたということが実態として顕在化したと思うんですね。極めて、二十時間未満で働いているその女性の労働者も本当に救済していく必要があるというふうに思っているんですが、再々お話もありましたけれども、二十時間未満の労働者、週二十時間未満の労働者は生計維持者ではないということから雇用保険に入れないんだと、こういう答弁を繰り返されているんですね。
私はそういう、実態としてはもう生計維持者、収入は少なくても、その生計が、収入がなくなれば生計、家計の生計破綻すると。あるいは、少ないけれどもその生計維持の中心であるシングルマザーだったり単身女性って増えているんですよね。そこら辺について、やっぱりジェンダーギャップ解消という観点からも、この女性労働者に失業給付を拡充していくということ大事だと思うんですけれども、御意見、御所見を伺っておきたいと思います。
○参考人(村上陽子君) ありがとうございます。
かつて、非正規労働者、いわゆる主婦パートと言われていた方々と、二十、三十年ぐらいたって今見たときに、非正規で働いている方というのは、今は生計を維持されている方が多いのだと思います。そういった中で、どのような方を対象にセーフティーネットを張っていく、張り直していけばいいのかということは、やはり大変重要な課題であると思います。
この間も、先ほどもちょっと指摘も述べさせていただきましたけれども、リーマン・ショックがあったときは、派遣の皆さん、請負労働者の皆さん方にセーフティーネットを拡充していったということがございます。今回、コロナでシーセッションということで、非正規の女性たちの課題が見えてきたというところになってくると、二十時間未満、じゃ、どう進んでいくのかという結論を私は持ち合わせてはいないんですけれども、これまでも、例えば合わせて労働、掛け持ちのパートの皆さんのように、合わせた労働時間が二十時間であれば、それはマルチの方々は雇用保険適用していくべきではないかというような主張はさせていただいてきたところです。
今回はその二十時間未満だけというお話でありますけれども、そういったことで、実態見ながら、雇用保険なのか、どのような制度でやっていくべきなのかということは少し検討していかなければならない課題かと思っております。
○倉林明子君 家計補助的という位置付けですよね、女性のパート労働自身が。実態では、もうそういう実態ではないよというのが今のコロナ禍でもはっきり見えてきたかなと思うんですね。
最後、原田参考人に、そういうリアルな御相談の中身なども、たくさんお受けだろうと思いますので、御紹介いただければと思います。
○参考人(原田仁希君) ありがとうございます。
コロナ禍で、女性の労働相談として、にかかわらずですけれども、学生からの労働相談もかなり激増しました。
皆さん、学生のアルバイトというと、遊ぶお金のためにやっていると思っているかもしれないですけど、実態はそうではなくて、多くの学生の労働相談が、家にお金を入れているというふうに言うんですよね。自分が十万か十五万ぐらいを稼いでいるんですけれども、それを家に入れていたと、しかしコロナ禍で急にその収入が全部なくなってしまったということで、家に入れられなくて困っていると。よくよく聞くと、自分の母親もパートで、主婦パートで働いていて、それもコロナ禍で収入がなくなった。父親は自営業で働いていて、それも売上げが減って、働いていたと。家族みんなで家計を担っていたというような状況で、これが一人二人じゃなくて、多くの人がそういう状況だったんですよね。
これを家族多就業化、多就業家族とかと言うんです、呼んでいるんですけれども、世帯全員が働き手として家計を維持しているというふうな実態がかなり浮き彫りになりました。つまり、一人でも、家計補助というわけじゃなくて、それは家計の維持の一部で働いているというパートの女性の方々がすごい増えていると。
あと、旦那さんが働いているというふうな、パートで働いているという女性の、いわゆる主婦パートの方々の相談も多いんですけれども、食費は全部主婦パートの方々が持っている、子供の学費に関するものは全部そこで主婦パートの方が稼いでいると。だから、家計の一部を、全てではないですけれども、なければいけないものとして担っているという実態がすごいあるんですよね。
なので、かつてのように、あってもなくてもいいというようなものじゃなくて、ないと子育て、教育費も出せない、食費も出せない、そういったのがパート労働者の収入の中にあるわけですよね。そういった実態がかなり出てきたので、そういった人たちにも、収入が減ったとき、あるいは失業したときにちゃんと補償すべきだというふうに思っていますので、失業給付の対象をちゃんと広げていくべきだと思っています。
○倉林明子君 皆さんに質問できなくて申し訳ありませんでした。
参考にさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。