倉林明子

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児相の過重負担 軽減を 参院厚労委 倉林氏、緊急の策求める(2019/6/18 厚生労働委員会)

 日本共産党の倉林明子議員は18日の参院厚生労働委員会で、児童虐待に対応する児童相談所の過重負担を示し、緊急な負担軽減策を要求しました。

 厚労省は全国児童相談所長緊急会議(14日)を開き、虐待通告の受理後48時間以内に安全を確認する「48時間ルール」の徹底を指示しています。倉林氏は、通告や相談件数が増加し児相の現場が混乱するもとで、「24時間、365日対応に追われる児相が疲弊しているという認識はあるか」と質問。安倍晋三首相は、同会議で児相側が訴えた意見は「承知している」として、「新プラン」による児童福祉司の増員など児相体制の「抜本的強化」を図ると答弁しました。

 倉林氏は、市町村の子ども・家庭相談、虐待相談の担当職員は、職員削減率を用いた地方交付金削減の対象から外すべきだと主張。首相は「体制強化に支障が生じないよう、地方交付税の算定を来年度以降見直させる」と表明しました。

 倉林氏は、中核市でも児相設置に踏み出せないのは人も予算も足らないからで、「新プラン」でも交付税総額は増えないと指摘。「予算と定員で自治体の足を縛るな」と厳しく批判しました。

 また、DV(家庭内や恋人間の暴力)や性暴力、貧困など多様な困難を抱えた女性を支援する婦人保護事業の根拠法となっているのが売春防止法だと批判。売春した女性などの補導、処罰が目的の同法は「女性差別規定」だと指弾した国連女性差別撤廃委員会の勧告(2009年)を示し、抜本見直しを要求しました。根本匠厚労相は「勧告の趣旨を受け止め、必要な見直しの検討を進めていきたい」と表明しました。

 同委は同日、児童虐待防止対策の強化を図る児童福祉法等改正案を全会一致で可決しました。


議事録を読む(対政府質疑)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 先週の六月十四日に、全国児童相談所長緊急会議が開かれまして、改めて四十八時間ルールの徹底の指示がされたというふうに伺っております。子供の安全確保が求められるということは当然のことだというふうに思っているわけです。しかし現状は、通告や相談件数が増加し続けるという中で、二十四時間三百六十五日の対応に追われるという児童相談所、本当に疲弊しているんじゃないかと、本来業務に支障を来しているんじゃないか、こういう実態広がっていると思うんです。緊急会議でも当該所長の中からそういう発言があったというふうにも報道を見ておりました。更に政府がルールの徹底を求めるということ、これ自身が児相の現場を追い詰めることにならないだろうかという懸念持っております。
 児相が本来の支援業務ができるように、児相の過重負担、これ緊急に軽減する支援策が私必要だというふうに思います。加えて、現場の意見も踏まえて、通告に対する安全確保の在り方、これも含めて早急な検討が求められているというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) 北海道札幌市において二歳の詩梨ちゃんが死亡した事案を受けて、六月十四日に全国児童相談所所長緊急会議、これを開催しました。具体的には、児童相談所において、通告受理後、原則四十八時間以内に子供の安全確認を行うこと。保護者が家庭訪問や子供と会うことを拒む場合など、関係機関との関わりを避ける場合等はリスクが高いものと認識すること。この際、ちゅうちょなく一時保護、立入調査を行うなど、的確な対応を取ること。虐待通告などの対応については組織的に協議して決定するとともに、事例の進捗管理は、状況の変化等についてのフォローを確実に行うため、全ての事例について定期的に確認することについて改めて周知を行いました。
 このような対応を可能にするためには、児童相談所の児童福祉司一人当たり業務量を減らして、よりきめ細やかにケースワークが行えるようにすることが重要だと考えています。今回の新プランにおいては、児童福祉司一人当たりの標準的な業務量、これについて、児童虐待相談及びそれ以外の相談合わせ五十ケース相当だった配置基準を四十ケース相当となるように見直しを行うこととしています。
 そして、二〇一九年度からの四年間で、現在三千人の児童福祉司を二〇二二年度には五千人体制とする、児童心理司も二〇二二年度に八百人程度増員する、保健師を各児童相談所に配置するなど、この児童相談所の体制、これは抜本的な拡充を図ることとしています。政府としては、まずはこの増員計画を着実に実施していきたいと思います。
 また、制度を検討するに当たっては、現場の状況をよく把握することが重要だと考えております。これに関しては、現場の皆様から、定期的な全国の児童相談所長を集めた会議の開催、あるいはブロックごとに児童相談所長が集まる会議への参加を通じて、様々な現場からの御意見をいただいております。
 このような取組を続けるとともに、人材の確保、育成策、これについては今後児童相談所の設置基準など、地方団体の様々な御意見もお伺いしながら進めていきたいと思います。

○倉林明子君 改めて御丁寧な説明ありがとうございました。
 しかし、そういうことを踏まえた上でも現場は混乱していて、四十八時間ルール分かっているのにできていないという現状をどうやって早急に解決するかということでいうと、今の御説明はその先の対応ですよね、今々じゃなくて。これから現場の人も増やして対応できるようにしていくということなんだけど、今々の混乱、今々の疲弊に対して、安全確認の在り方も含めて、現場の声聞いて対応してほしいという趣旨でしたので、改めてしっかり受け止めていただきたいというふうに思います。
 今日は、社会的養護のアフターケアについても伺いたいと思います。
 先ほども出ておりましたし、参考人高橋亜美さんの方からお話も伺いました。児童養護施設等を巣立った子供たちに寄り添い、支援するアフターケアの取組ということで、改めて参考人のお話も伺って、虐待を受けた子供たちがセーフティーネットとなる家族がないまま社会の中で生活する上でどんな支援が必要なのかということを教えていただいたというふうに思っております。児童という年齢ではなくなったとしても、児童福祉の観点から切り離されてはいけないという指摘は、これ実践に裏打ちされた御意見だったというふうに受け止めました。
 政府においても、こうした取組も踏まえ、二〇一七年から社会的養護自立支援事業が創設されたということで伺っております。しかし、これ任意の事業ということでとどまっておりまして、アフターケアの事業所数というのは、先ほど答弁でもありましたように、全国で四十二か所ということにとどまっているんですね。全国どこでも利用できるものということには残念ながらまだなっていないという状況だと思います。
 そこで、改めて、高橋参考人からも御要望がありましたけれども、明確な法的根拠を与え、自治体の責務というふうに位置付けていくべきではないかと思います。いかがでしょうか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 児童の育成に関する自治体の責務につきましては、児童福祉法の第二条第三項におきまして、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責務を負う。」と規定されております。都道府県におきましては、こうした規定を踏まえながら、今御指摘の社会的養護自立支援事業の実施等によりまして、児童養護施設を退所された方々など社会的養護経験者の自立支援に取り組んでいただいているものと承知しております。
 また、国から都道府県に対しまして、平成二十八年改正後の児童福祉法に定められました家庭養育原則を徹底するために、社会的養育推進計画を今年度中に策定するよう予定しておりまして、自立支援に関することもこれに盛り込んでいただくこととしております。その中で、社会的養護自立支援事業を実施していない都道府県におきましては、事業の実施に向けた計画、実施予定時期、あるいは実施メニューを策定していただくこととしております。
 社会的養護自立支援事業につきましては、都道府県の責務規定、あるいは支援事業の根拠を置くことの必要性について、各自治体の取組状況等を踏まえて検討すべきものと考えておりますけれども、まずは、今申し上げましたように、社会的養護推進計画の枠組みが着実に実行されるように、国として進捗状況を把握しながら自治体に対して必要な支援等を行っていきたいと思っております。

○倉林明子君 計画で進めていくと、方向性としては目指していただきたいということをしっかり指摘しておきたいと思います。
 社会的自立支援事業を担う多くの民間団体、本当に脆弱な財政の下で事業継続も極めて困難だという状況もあるわけです。高橋参考人からも、高い専門性が求められているにもかかわらず、委託費の現状では職員が働き続ける賃金を保障する上で全く不十分だという意見、本当にそのとおりだと思いました。
 先ほど上積みもしているんだという予算の説明も受けましたけれども、民間に委託している場合、必要な人員配置、これ二人以上ということでしたけれども、更に引上げということも含めて予算化が必要だというふうに思います。これは大臣、いかがでしょう。

○国務大臣(根本匠君) 児童養護施設などの退所者が円滑に社会生活を送ることができるように自立支援などを担っている民間団体を支援していくこと、これは重要だと思います。このため、社会的養護自立支援事業として、自立支援などを担っている民間団体に対して様々な財政支援を行っております。
 具体的には、自立に向けた支援上の課題を明らかにし、支援内容を定めた計画を策定するとともに、支援全体を統括する支援コーディネーターを配置する費用や、居住や交友関係、将来への不安など、生活上の問題についての相談を担う相談支援担当職員を配置する費用、雇用先となる職場の開拓や就職面接などのアドバイスなど、就労支援を行う就労支援チームを設置する費用について支援を行っております。これは都道府県にも、もう繰り返しは避けますが、社会的養育推進計画に自立支援策の強化、これを盛り込むように依頼しております。
 そして、本年三月の関係閣僚会議決定において、社会的養護自立支援事業の積極的な実施の促進など、自立に向けた支援の強化を図ることとしております。御指摘の人員配置の強化を含め、この中で検討していきたいと思います。

○倉林明子君 高橋参考人もおっしゃっていました。予算もいろいろ付いてきているけれども、やっぱり予防的支援が中心なんだということで、現場の一番の支援ニーズは、今困っている当事者の問題解決に使えるような改善してほしいんだと。こういう声もしっかり受け止めていただいて、全国にこの実践が広がるような財政支援にしていただきたい、これを強く要望しておきたいと思います。
 それで次に、DV被害者の支援について伺いたいと思います。
 本法案では、子供への虐待の陰にDVがあるということから、婦人相談所及び配偶者暴力相談支援センター、そして婦人相談員が法律に位置付けられたと、これは大事なことだと思います。
 そこで、まず、自治体窓口でDV被害者の相談支援を担うことになっている婦人相談員について確認したいと思います。
 都道府県の婦人相談員は義務ということになっているんですが、市町村への婦人相談員は配置義務がありません。そこで、市区町村で婦人相談員の配置がない数は幾らか、全体に占める割合はどうか。そして、配置されている場合でも、三相掛け持ちという言い方しますけれども、母子、父子の自立相談員あるいは家庭相談員、こういう兼務状況にある婦人相談員というのはどれだけいるんでしょうか。数だけでお願いします。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 平成二十九年四月一日現在におきまして、婦人相談員が配置されていない市区及び町村の数は千三百九十三でございます。全市区町村に占める割合は、機械的に計算すれば八割程度でございます。ただし、仕組みといたしましては、町村や婦人相談員……(発言する者あり)はい。また、配置している婦人相談員に他の相談業務を兼務させている数でございますけれども、婦人相談員の人数ベースで見ますと、平成二十九年四月一日現在で市区に配置されている九百八十一名中五百五十一名が他の相談業務との兼務でございまして、割合にいたしますと六割弱でございます。

○倉林明子君 法定化に伴いまして、私はこれ実効ある機能を果たしていただくと、役割を果たしていただくということが市区町村のところでも求められてくるというふうに思うんですね。この市区町村の相談員については今八割のところでゼロだという状況ありますし、兼務ということでいいますと六割になっているわけですから、専念するということについては不十分な体制にあるということは、これ共有できる問題意識だというふうに思うわけです。
 そこで、やっぱり市区町村の婦人相談員を配置義務化を展望していくこと、そして複数専任化ということが求められるというふうに思うんですけれど、大臣、前向きにお願いします。

○国務大臣(根本匠君) 全ての市区町村に対して婦人相談員の配置を義務付けること、これを義務付けることは地方分権の観点からここは慎重な検討が必要だと思いますが、三月十九日に関係閣僚会議において決定した児童虐待防止対策の抜本的強化についてを踏まえて、DV対応と児童虐待との連携強化に資するよう、まずは婦人相談員が置かれていない市に対し配置について検討するよう要請していきたいと思います。
 また、御指摘のあった複数の専任職員の配置については、各自治体における相談、支援ニーズなどの実態を踏まえて考えるべきものでありますが、いずれにしても、厚生労働省としては、様々な困難を抱える女性が地域の身近な場所で相談支援を受けることができるように、婦人相談員を配置するよう自治体に対して働きかけていきたいと思います。

○倉林明子君 働きかけるだけでは体制組めません。財源も含めてしっかり措置するということが求められておりますので、そういう財源の担保も含めて配置の義務化という方向に向かっていただきたいと思うんです。
 今でも、複雑多様化している困難を抱えた女性の支援というのを相談員一人で抱えなくちゃいけない、これ本当に極めて困難ですし、じゃ対応しているときに緊急対応って入りますと、その対応ができなくなる、さらに研修も行けない、専門性のスキルアップが本当にできないという悩みも伺っております。
 婦人相談員の処遇ということでいいますと、この間、やっぱりそれ重要だということで、非常勤規定の削除がされましたし、賃金についても引上げの予算措置もとられてきたと承知しております。
 実際に、じゃ改善状況といいますと、直近のところどうなっているか、端的にお答えください。

○政府参考人(浜谷浩樹君) 婦人相談員につきましては、平成二十九年度に引き続き処遇改善を図る観点から、平成三十年度予算におきまして、一定の研修を修了された方につきまして、国庫補助基準額を月額最大十九万千八百円、平成二十八年度の月額最大十万六千八百円から八万五千円の増に拡充してきたところでございます。
 この国庫補助基準額の引上げによる効果につきましては、実際にどの程度の手当額の増につながったかなど、実態調査につきましては今年度、自治体を対象とした実態調査を行う予定でございます。

○倉林明子君 実際に現場際までどうやって給与水準上がっているのかということをつかむということですから、しっかりつかんで更なる引上げにつなげていただきたいと思っているわけです。
 既に全国婦人相談員連絡協議会が調査しておりまして、二〇一八年の調査ですが、経験五年未満の相談員が実に六一%を占めています。東京都市区で見ると、三年未満の経験しかないという方が七〇%に上っております。これ、二〇一八年四月の、じゃ正規職員はどのぐらいいるかというと、僅か四%しかいらっしゃいません。一人のみ配置の自治体ということでは全体の三割を超えております。
 これ、非正規職員には、賃金、月額の引上げという措置はとったというものの、昇給もありませんし、退職金もないし、八割以上の婦人相談員には皆勤手当もありません。これ調査で明らかになりました。
 二〇一六年に非常勤規定が外れたこと、これは良かれと思ってやったことだったんだけれども、現場で何が起こっているかというと、一年契約を繰り返してきた経験ある相談員が雇い止めされると、こんな事態が生じているわけですね。
 そこで、地方自治法の改正によりまして、会計年度任用職員制度、これ各自治体で始まる、この制度に婦人相談員の取扱いというのは明記されていないんです。だからこそ、一体雇用は守られるのかと、雇い止め進むんじゃないだろうかという不安が広がっております。更に婦人相談員の経験を蓄積していくということを阻害するようなことはあってはならないと私思うわけですね。
 大臣に聞きたいと思うんですけれども、雇用の実態調査やるということでした。雇用というか実態調査をするということでした。雇用の実態もよくつかんでいただいて、私、この婦人相談員の位置付けからいっても、特別職というふうに位置付けるなどして、雇用の継続を可能とするような対策取るべきだと思います。どうでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) DV被害など女性を取り巻く様々な問題、これは年々増加するとともに、深刻化しております。その意味で、婦人相談員については、高い専門性と切れ目のない継続的な相談支援を行うこと、これが求められております。
 このような実態を踏まえて、厚生労働省としては、今年三月一日の全国会議において、婦人相談員の勤務実態や業務内容などを踏まえ、婦人相談員の専門性にふさわしい処遇改善や配置の拡充について適切に検討していただくようお願いするとともに、能力のある婦人相談員が理由なく雇い止めされることがないように、継続的な雇用に配慮するよう地方公共団体にお願いしております。
 さらに、婦人相談員の任用については、任期の定めのない常勤職員や会計年度任用職員のうちいずれが適当かについては、職務内容、勤務形態などに応じて基本的に各地方公共団体において適切に判断されるべきものでありますが、厚生労働省としては、引き続き適切な任用をしていただけるようにお願いしていきたいと思います。

○倉林明子君 いや、お願いは大いにしていただきたいんだけれども、やっぱり大事だとおっしゃるわけだから、経験、蓄積も必要だとおっしゃる、位置付けも高いとおっしゃっているわけで、これを自治体の裁量任せというようなことにせずに、やっぱり国としても明確に考え方も示して一定歯止めを掛けないと、やっぱり財政事情等で相談員切られる、兼務になるということ起こり得るので、その点では、雇い止めなどをしっかり止められるということで動いていただきたい。私は、国の責任が、これ法でも位置付けたということになるわけですから、問われる問題だということを指摘しておきたいと思います。
 そこで、DV被害者支援における課題をいち早く提起して、解決に向けて活動し、先駆的な役割を果たしてきた、これは民間シェルターだったというふうに思います。内閣府では、せんだって検討会も設置されたもの、報告書もまとまったということでしたが、その場でも様々な課題が出されていたかと思います。
 内閣府に確認しますが、五月に行ったこのアンケート調査も踏まえて明らかになった課題ですね、これは「おわりに」のところで端的にまとめてあるかと思いますので、その部分、できるだけ短くまとめて紹介していただければと思います。

○政府参考人(池永肇恵君) お答えいたします。
 四つポイントを申し上げます。
 一つは、民間シェルターがDV被害者その他の生きづらさを抱える方の支援において柔軟な対応ができる重要な社会資源であること、二点目、財政的に厳しい状況に置かれ、民間の自主的な取組のみでは存続が困難となりつつあること、三点目、DV被害者等の支援という共通の目的の下、民間と行政が対等な立場で連携する必要があること、四点目、一時保護終了後における被害者の視点に立った切れ目のない支援や被害者自身の力を回復させるためのカウンセリングが重要であるところ、こういったポイントを御紹介したいと思います。
 以上です。

○倉林明子君 ありがとうございます。
 その中でも本当に財政の問題ということは本当に待ったなしの課題だというふうに、私も報告書読ませていただいて実感いたしました。内閣府の検討会の報告書でも、DV被害者が配偶者等の暴力から逃れ、自立の道を進む上で、支援者、支援機関の存在は欠かせないものだというふうにされておりますし、しかし、シェルターの財政状況については厳しくて、支援者の待遇は低く、多くをアンペイドワークにより支えられているというふうになっているんですね。
 私、民間の熱意にもう依存するだけではやっていけない状況になっているんじゃないかというふうに思います。シェルター関係者からは、今すぐ公的財政支援を付けてほしいと、切実な声であります。現在、民間シェルターに対する財政支援というのはどうなっているのか、これも簡潔にお願いします。

○政府参考人(池永肇恵君) お答えいたします。
 DV防止法第二十六条において、国及び地方公共団体は、民間団体に対し必要な援助を行うよう努めるものということが定められております。これに基づきまして、地方公共団体が民間シェルター等に対する財政支援を行った場合には、当該支援費の二分の一が特別交付税の算定基準に盛り込まれております。
 平成三十年度の実績申し上げますと、地方公共団体の民間シェルター等を始めとする民間団体に対する財政的援助額、これ見込みの額でございますけれども、一億九千八百九十六万円でございます。このうちの二分の一が特別交付税措置されているという、こういったところでございます。
 以上です。

○倉林明子君 地方公共団体の財政支援額の二分の一ということで御紹介ありました。都道府県による一時保護委託費、これについても二分の一を国が負担していると承知しております。
 民間シェルターに入る財政支援ということでいうと、実際に一時保護費が主なものかと思います。その上、一時保護基準というのは大変厳しいという声も上がっておりますが、そのとおりで、民間シェルター利用者が対象とならないと、一時保護費の財政支援制度としてあるけれども使えないという場合も聞いております。
 その一時保護費がどういうふうに出されているかというと、一日の出来高払なんですね。その上、何件委託が来るのかということも見通せないわけです。期間も二週間、ほぼ、という定めもあって、必要な支援の期間に一時保護費についての担保が付いてくるというものでもないんですね。一時保護の委託件数そのものも、この間、減少し続けているんですね。つまり、民間シェルターの運営、これ継続する上で、見通しが持てる状況が年々厳しくなってきているわけです。見通し持てるような最低限の基礎的運営経費に対する財政支援がここでも本当に求められていると。
 私、シェルターの存廃、要は、続けていけるのか、もうやめるしかないのかというような判断も迫られているというような状況になってきているという状況だと受け止めております。本当に急いだ予算措置が必要だと思います。この点では、お考えいかがでしょうか。

○政府参考人(池永肇恵君) お答え申し上げます。
 民間シェルターは財政的に非常に厳しい状況だということ、その認識は共有しております。
 民間シェルターへの支援の在り方でございますが、具体的な内容について詳細を申し上げる段階ではまだないのですけれども、検討会における議論の内容を踏まえまして、民間シェルターが、先ほど柔軟な取組と申し上げたところですが、先進的な取組、被害者に寄り添った先進的な取組を公的に支援してまいりたいというふうに考えております。
 例えば、心理専門職などによるメンタル面のケアであるとか、児童虐待対策との連携、また、よりつながりやすいメールやSNS等を活用した相談などを現在検討しているところでございます。
 以上です。

○倉林明子君 先進的な取組へということで予算措置の検討の提示ありましたけれども、基礎的運営経費の部分ですよね、そこの支援が要るということは重ねて指摘をしておきたいと思います。
 DV被害者の必要な一時保護を適切に行う上で、入所の措置決定、これに時間が掛かり過ぎるという指摘も度々伺っております。緊急の場合ということでいいますと、受け入れるのが民間であっても、まずそこで保護、受入れを優先させると、その上で入所後に遡って措置判定を可能とする。措置判定なしには入れないと、こういう状況は改善すべきだというふうに思うんですけれども、それこそ柔軟な運用を国の方でしていただきたいと思うわけですが、どうでしょうか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 御指摘のように、DV被害者等が一時保護委託の契約施設に直接来所して保護を求めた場合には、当該施設におきまして被害者の安全を確保した上で、婦人相談所は一時保護の要否の判断を速やかに行うことを通知で示しておりまして、御指摘の点については現在でも運用で対応可能でございます。
 一方で、こうした取扱いが自治体によってはなされていないという指摘もございますので、厚生労働省として、引き続き取扱いの徹底に努めてまいります。

○倉林明子君 通知出すぐらいして、運用可能なんだから、本当、困難な女性たちを待たせたり、あっち行ったりこっち行かせたり、そのDVの被害何回も言わせたり、そんなこと本当にやめさせるべきだと思うんですよ。できるよという通知をしっかり出していただく、こういう検討をしてほしいと思うんだけど、どうです。

○政府参考人(浜谷浩樹君) 御指摘を踏まえまして、改めて自治体に対して文書等により周知徹底を図ってまいります。

○倉林明子君 本当に、困難を抱えた女性を中心にした支援の在り方ということで、大いに進めていただきたいと思います。せめて進めていただきたいと思うんです。
 民間シェルターは、困難な女性を支援する組織として報告書でも、先駆性、柔軟性、地域性、専門性等の強みを有し、地域社会における不可欠な資源と高く評価をされております。公的機関とも、先ほど紹介あったように、対等なパートナーとして位置付けてほしい、これはずっと一貫して言われていることであります。これ正面から受け止めるべきだと思います。
 長年、女性がゆえに困難に陥る女性、こういう方々に寄り添って支援を続けてきた民間シェルターに対し、その公的役割を担っている実態を踏まえて、大臣、第一種福祉事業、こういう法的な位置付け含めて考えるべきじゃないかと思うんです。そうしたら、対等ということでも関係性改善につながるんじゃないかと思う。どうでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) いわゆる民間シェルターについては、DV被害者の一時保護にとどまらず、相談への対応、被害者の自立へ向けたサポートなど様々な援助を担っていただいております。その形態は様々であります。NPO法人や社会福祉法人などの法人格を持っているところのほか、法人格を持たない運営形態を取っているところもあって、実はその態様が様々であります。
 仮に、民間シェルターを法律に位置付けることとすれば、財政支援や税制優遇など様々な支援措置の対象とする契機になるというメリットがあり得ますが、ただ一方で、例えば社会福祉法の第一種社会福祉事業とすることとした場合には、利用者の保護の必要性から経営の安定性が必要で、法人格を持たない運営形態を取っているところも社会福祉法人となることを求められるなど制約も生じ得るのではないかと思います。
 そういう観点から、民間シェルターを法律に位置付けることについては、今私が申し上げたようなことや支援や経営の実態も踏まえながら、関係者の方々の御意見をよくお伺いしながら考えるべきことであると、こう考えております。

○倉林明子君 確かにデメリットもあるということなんですが、今回、婦人保護事業の在り方検討会、さらに、内閣の方では民間シェルター等に対する支援の在り方検討会ということで、様々に当事者の声をよく聞いていただいているというふうに思うわけです。当事者の本当に意見を最大限生かして取り組んでいただきたい、これは要望にとどめておきたいと思います。
 DV被害者の一時保護、これ担うとともに、暴力、性暴力、性虐待、貧困、心身の疾患、障害、様々な社会的な被害を受け、居場所がなく孤立した女性、これを長期にわたり支援している、これやっぱり婦人保護施設だというふうに思うんですね。
 ところが、その職員体制は余りにも脆弱でありまして、元々、売春防止法、これを根拠とする施設となっていることから、配置基準は支援員二名。これいつから変わってへんのかちょっと調べたんですけど、間に合いませんでした。直近のものではありません。
 さらに、この二名、長年変わっていない二名という基準、これは支援どころか安全に見守ることさえ困難な体制ではないかと。まるで牢獄の看守、そういう職員配置だという批判まで上がっているものだということです、紹介したい。その上、居室も、今の時代に四人部屋が最低基準ということになっているんですね。私、こうした基準については早急な見直しが必要だと強く指摘をしておきたいと思うんです。
 長年にわたって基準が見直されることがなかった最大の理由は、私、やっぱり売春防止法の存在にほかならないと思うわけです。厚労省の設置した検討会の中でも、繰り返し繰り返し多くの皆さんから出された意見というのは、この売春防止法の抜本的な見直しということだったわけです。
 改めて、この売春防止法の目的、第一条読み上げて御紹介ください。

○政府参考人(浜谷浩樹君) 売春防止法第一条を読み上げます。「この法律は、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることにかんがみ、売春を助長する行為等を処罰するとともに、性行又は環境に照して売春を行うおそれのある女子に対する補導処分及び保護更生の措置を講ずることによつて、売春の防止を図ることを目的とする。」。
 以上です。

○倉林明子君 すなわち、売春は社会の善良な風俗を乱すものとして、環境浄化、保護更生、これを目的とされているものとなっているんですね。売春した女性処罰すると、売春のおそれのある女性は補導し保護更生すると、これが目的になっているわけですね。
 つまり、困窮して風俗で働かざるを得なくなった女性、これは犯罪者でしょうかというんですね。犯罪者として罰する対象じゃないと思うんです。実際に今行われている婦人保護事業というのは、様々な人権侵害から守られ尊重する存在として、寄り添う支援に実態としては変わっているわけですよ。
 そこで、改めて大臣に伺いたいと思います。
 売春防止法、これ制定されてから六十三年になります。二〇〇九年には、国連の女性差別撤廃委員会から女性差別規定だというふうに指摘をされておりまして、売春による性的搾取、そして、人身取引の被害者である女性と女児の回復及び社会復帰のための施策を講じるようにというふうに勧告されております。
 これ、厚生労働大臣として改めてこの売春防止法について、そしてこの国連からの指摘、勧告に対して見解を伺っておきたいと思います。どうでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) ただいま御指摘いただきました国連の女子差別撤廃委員会の最終見解にあるように、売春や人身取引の被害を受けてしまわれた方々に対し支援を届ける、これは大変重要な課題だと考えています。政府としては、売春防止法に基づく婦人保護事業において、こうした方々のほか、DVやストーカーの被害を受けた方々を含め様々な困難を抱える女性に対し支援を行ってきております。
 婦人保護事業については、当初、売春をした女性や売春を行うおそれのある女性の保護更生を行うことを目的に設けられましたが、その後の支援ニーズの多様化に対応して支援対象を拡大してまいりました。今委員のおっしゃる寄り添い型の支援というお話がありましたが、支援を拡大してまいりました。このような経緯を踏まえて、現在、有識者による検討会においてその在り方の見直しに関する議論を行っております。夏頃をめどに基本的な考え方を取りまとめることとしております。
 政府としては、検討会での議論を踏まえ、また御指摘の勧告の趣旨を受け止めながら、必要な見直しに関する検討を進めていきたいと思います。

○倉林明子君 売春防止法というのが、世界的に見れば差別規定、女子差別規定じゃないですかという指摘って極めて重いと思うんですよ。だから、政府として対応方向については分かりました。しかし、この差別規定ということと勧告に対して大臣はどういうふうに思うてはるんですかと、それ聞いたんですけど、言っていただきましたかね。政府の方針は聞きました。
 差別規定という指摘について、大臣も女性差別規定だというふうには、聞き方変えますね。二〇〇九年の国連委員会からの指摘で女性差別規定だというふうに指摘されたことについては、そう思われませんか。どうですか。

○国務大臣(根本匠君) 私は今の委員のお話を受けてお答えをしたつもりであります。
 繰り返しになりますが、婦人保護事業については、当初、売春をした女性や売春を行うおそれのある女性の保護更生を行うことを目的に設けられましたが、その後の支援ニーズの多様化に対応して支援対象を拡大してきました。そして、このような経緯がありましたから、現在、有識者による検討会においてその在り方の見直しに関する議論を行っていて、夏頃をめどに基本的な考え方を取りまとめることとしています。
 そして、この検討会での議論を踏まえて、また御指摘の勧告の趣旨を受け止めながら、必要な見直しに関する検討を進めていきたいと思います。

○倉林明子君 勧告から十年たっておりますので、本当に本格的な売防法については抜本的な見直し強く求めまして、終わります。


議事録を読む(対総理質疑)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 法案の質疑に入る前に、一言だけ私からも申し上げたいと思う。
 年金問題は政争の具にしてはならないと総理おっしゃった。しかし、この年金問題で不安を国民の間に拡大した責任は一体どこにあるのかと。政府の責任は私、明らかだと思うんですよ。その上で、これを政争の具ではなくて、本当に国民の前で政治の問題として堂々と議論すべきなんですよ。その国民の不安を解消するためにも、会期残っているんですから、しっかり正面から議論をする、それは与党も野党も政府も挙げて国民の不安に応えるべきだということを強く申し上げて、質問に入ります。
 児童虐待の通告、笑わぬと聞いておいてくださいね、通告、相談件数が今増加し続けているという中で、二十四時間三百六十五日の対応に追われる児童相談所というのは本当に疲弊していると議論でも取り上げました。
 総理に、児童相談所が現在本当に疲弊しているんだと、そういう認識はおありでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先般、全国の児童相談所長を緊急に招集して行った会議においては、現場の声として、虐待相談対応の増加等により疲弊している実態も認識してほしいなどの御意見をいただいたということは承知をしております。
 そのため、政府としては、現在三千名の児童福祉司について今年度一気に千名増員し、二〇二二年度には五千名体制とするなど、児童相談所の体制を抜本的に強化することに加えて、児童心理司も二〇二二年度に八百名増加、保健師についても全児童相談所に配置をし、さらに、警察との連携も大幅に強化することなどにより、相談体制の整備を進めていきます。
 何よりも子供の命を守ることを最優先に、あらゆる手段を尽くし、やれることは全てやるという強い決意で児童虐待の根絶に向けて総力を挙げてまいります。

○倉林明子君 虐待で子供が命を落とす、こんなことあってはならないという思いは本当に国民共有しているものだと思います。しかし、現場が本当に混乱しているという中で、四十八時間ルールの徹底だ、さらには緊急点検だと、本当に現場を更に混乱させる、過重な負担につながるようなことになっていないかということを私は強く指摘したいと思うんですね。
 必要なことは、おっしゃったように、現場の負担の軽減につながるためにも増員していくと、前倒しでやるということで取り組んでおられることの御説明も受けてまいりました。これ、本当に現場に必要な、確実に人手が届くようにしていくということが求められているわけですね。
 この新プランに基づく児童相談所の前倒しの増員、これ職員削減率を用いた交付金算定を見直すということになっている。しかし、市町村の子ども家庭相談、虐待相談担当する職員についても、私、交付金削減の対象からせめて外すべきだと言ったんだけれども、総務大臣からは明確な答弁ありませんでした。私、政治決断して、こういうところで頑張っている自治体に削減率同じように掛けると、これやめた方がいいと思う。
 総理、いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) この新プランに基づきまして児童虐待防止対策の強化を図るため、児童相談所や市町村の子どもの家庭総合支援拠点を担当する職員に係る地方交付税措置を今年度から拡充します。これに併せて、職員数削減率を用いて行政改革の取組を反映するという地方交付税の算定の在り方についても、新プランに基づく児童相談所や市町村の体制強化に支障が生じないように、来年度以降見直しを行う予定です。具体的な算定方法については、地方の意見も踏まえて今後検討してまいります。

○倉林明子君 中核市がやっぱり踏み込めなかったというのは、人も確保できないし、お金の担保もないということだったわけですから、本当に前向きに、人が確保できるように、財源面でもこの交付税の問題は避けて通れないことですので、前に進めていただきたいと思います。
 交付税の基準財政需要額に算定したという話、これ議論もさせていただいたんだけれど、全体として交付税総額が増えるということになっていないわけですね。自治体には、行政改革で定員の純増に踏み出せない、こういうジレンマもあるわけです。総理に是非、今その部分で踏み込むというお話もあったんだけど、予算と定員で自治体の足を縛るなと申し上げたい。
 時間ですので。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大切なところなので。
 大分、倉林先生に疑われているわけでございますが、明確に答弁させていただきたいと思いますが、政府としては児童虐待防止に向けて抜本的な体制強化を図っているところでありますが、新プランに基づく体制整備に支障が生じないように、地方交付税の算定についても来年度以降見直しを行わせることといたします。

○倉林明子君 終わります。