保護者休業補償 再開を (2021/7/8 厚生労働委員会)
日本共産党の倉林明子議員は8日の参院厚生労働委員会で、新型コロナウイルスによる臨時休校で子どもの世話のために仕事を休んだ保護者に対する助成金・支援金の再開を求めました。
助成金・支援金は、安倍晋三前首相による昨年2月の一律休校要請を受けて創設。保護者に有給での休暇を認めた企業へ日額最大1万5000円を助成し、フリーランスで働く保護者には日額最大7500円を支給するもの。今年3月末で打ち切られました。
倉林氏は、保護者たちでつくる当事者団体のアンケートで、今年4月以降に学校・保育園・幼稚園の休業や利用自粛の要請があったとの回答が65%に上り、休暇や時短勤務で対応した人で全額補償を受けたのは3割程度にとどまると指摘。助成金・支援金に代わる制度が4月から始まったが、「労働者1人5万円・1事業所10人まで」の制限があり、普及が進んでおらず、「簡単に休めなくなった」との声もあるとして、「助成金・支援金を再開すべきだ」と迫りました。
田村憲久厚労相は、現在は全国一律の休校要請をしていないとして「再開は想定していない」と拒否しました。
倉林氏は、労働者の申し出により取得できる子の看護休暇制度についても、所得補償や上限日数などの拡充を要請。田村厚労相は「検討する」と答えました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
コロナの感染拡大が、また第五波の入口かというような状況になっておりまして、引き続き休業をやむなくされるという子育て中の方々も増えていくんじゃないかということで、今日は、小学校休業対応助成金及び支援金について質問したいと思います。
コロナ禍で休業を余儀なくされた子育て中の働く女性にとって、これは暮らしの命綱というふうになるべき制度でありました。それぞれ利用実績、これ予算に対する執行率が現状でどうなっているかということと、利用できた労働者の人数というのはどう把握しているのか、まず確認させてください。
○政府参考人(坂口卓君) お答えいたします。
お尋ねの小学校休業等対応助成金等の実績でございますが、まず、小学校休業等対応助成金につきましては約十六万一千件の支給決定を行いまして、支給金額は約五百七十四億円ということとなっております。
また、小学校休業等対応支援金につきましてですが、こちらの方は約二万八千件の支給決定を行いまして、支給金額は約五十六億円ということとなっております。
執行率でございますけれども、こちらの方は助成金と支援金を合わせてということになりますが、予算額に対して執行率は三六・六%ということとなってございます。
それから、もう一つお尋ねの利用できた労働者の人数ということでございますが、この点につきましては、この助成金につきましては事業主単位で申請を受け付けてございまして、利用した労働者の人数ということについては集計していないということで御理解を御頂戴したいと思います。
○倉林明子君 確かに、事業者が助成金の対象ということなので、どのぐらい使えているのか、実人数での把握ができない仕組みになっているということはよく分かるんですが、予算上の計上したときの根拠でいいますと、人数で見込んでいて、百十五万人助成できると。支援金の方では十二万人。これ、根拠として執行率が今三六・六%にとどまっているという話だったと思うんです。
感染拡大が繰り返されておる中で、本当にちょっとぎりぎりの状態に追い詰められているというのが子育て中の働く女性たちなんですね。小学校休業等対応助成金の個人申請を求める親の会というものが当事者によって立ち上げられておりまして、先月です、六月に実施したアンケートを見せていただきました。それによりますと、今年四月以降で学校、保育園、幼稚園の休業や利用自粛の要請が出ていると、いわゆる四月以降ですよ、今年の四月以降で出ているというところが六五%あったというんですね。対応するために休暇、時短を取った人のうちで全額の補償を受け取れたという方は三割程度、とどまっているわけです。多くの子育て女性がいまだに休業手当を受けられていないという実態が改めて示されたと思っております。
コロナ対応の小学校等休業対応助成金及び支援金というのは今年三月で、三末で打切りということになりました。その直後に第四波ですよ。それまでは少なかった子供たちへの感染が、変異株が登場したことによって小学校にも感染拡大が広がると、クラスターが出るということ起こりました。小学校、保育園でのクラスター、相次いで発生するというときにこれ打切りだったわけですよ。なぜ打ち切ったのか、改めて説明求めたい。
○政府参考人(坂口卓君) お答え申し上げます。
先ほど支給実績につきましてお答えしました、昨年まで実施しておりました小学校休業等対応助成金につきましては、これは御記憶かと思いますけど、昨年の二月末に政府の要請によりまして小学校等の全国一斉の臨時休業を踏まえて創設したものでございます。一方で、現在は、小学校や保育所等におきましても、昨年のこういった春頃のように全国的に長期の休業が行われるというようなことは想定されていないという状況でございます。
このため、今年度につきましては、両立支援等助成金というものの中に新たに新型コロナウイルス感染症対応特例という特例の助成金を設けまして、新型コロナウイルス感染症への対応として臨時休業等をした小学校等に通う子供のお世話を行われる労働者について、小学校等が臨時休業等をした場合でも勤務できるテレワークであったり時差出勤であったり、そういった両立支援の仕組みを社内周知するとともに、仕事を休む場合には特別有給休暇を取得できる制度を設けるという事業主に対してのその支援ということをこの新たな特例コースで対応して支援をするということで、この助成金の周知ということをしっかり行ってまいりたいと考えております。
○倉林明子君 同じように、似たような仕組みなんだけれども、極めて、これ使っているところが、実績これから出てくると思うんですけど、使えていないんですよ。ほんで、コロナ特例で、今紹介あったけれども、一人五万円が上限で、一事業所十人が限度って、これ、たががはまっているんですね。
実際どんなことになっているかというと、これまで制度を活用してきたところも四月以降はこれ特例活用していないというところもたくさん出ているというふうに聞いているんですね。三月末までは助成があったから休めたけれども、今休めなくなっているというお声です。
感染状況を踏まえますと、変異株の状況も踏まえますと、個人申請も可能なこの小学校等休業対応助成金、これ再開を検討すべきだと、早くしてほしいという要望上がっています。いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 今も局長から話をさせていただきましたけれども、基本的に、昨年、コロナがまだそれほど特性がよく分からない中で、これは小学校を中心に、言うなれば学校でいろんな感染が広がって感染拡大をする可能性があるということも想定しながら、一斉休校をこれはお願いをしたわけであります。それに従って休校を多くの自治体でやっていただきました。それに合わせてこの小学校休業等の対応助成金という形の対応になったわけでありまして、そういう意味では今もうそういうお願いはしていないわけであります。
そうなりますと、やはり、一斉、長期的に学校を休んでいただくということを、こういうことを全国的にやっているわけではないので、このようなものではなくて一般的な考え方の中で、両立支援という形で両立支援助成金で対応していこうということで、今局長から話があったようないろんなメニューのうちの一つとして今回提示をさせていただいたと。
なお、去年の三月までは、まあ四月は春休みの期間がありましたものですから、三月までの間は、要はなかなかこれ対応できていただけないということもあったので、個人の請求というものも、これはその後認めさせていただいて対応させていただいたということでございますので、コロナだけではなくていろんな形で学校の休業というのはあるんだろうというふうに思いますけれども、例えばインフルエンザでありますとかそういうものはふだんからあるわけでありまして、しかし、今、今般のコロナの対応という意味からいたしますと、もう国の方が一斉にお願いするということはさせていただいておりませんので、この制度自体を更に延長する若しくは再考すると、再開するということは想定をいたしていないということであります。
○倉林明子君 実態は休まぬとあかんような状況は継続しているんですよね。それはもう確かに、一斉に休業を要請した、それも総理が要請したということと意味合い、求めている意味合いは違うけれども、受ける被害、休業しなければならないという状況は変わっていなくて、制度は使えなくなっているという状況があるということで、改めてこうした声が上がっているということで検討を求めているんですよね。
実際に、これ、これまでの小学校のこの休業等の対応助成金について、使えないという声がこれまででもあったんです。相談窓口まで開いてもらっていろいろやってもらいました。実際に相談の状況どうなっているかといいますと、開始から令和三年五月までで相談件数がおよそ二千六百件受けていただいています。それに対して、企業が応じないということで、企業に対して働きかけ、千二百八十五件してもらいました。ところが、理解を示したのは四百件余りで、検討は三百五十件強だと。ひどいのは、もう制度は導入しませんときっぱり断っているところが五百三十五件というふうにあるわけですね。
これ、個人申請の働きかけということで、改めて制度つくってからの動きで見ても、理解得られていないというところも残っています。このアンケート取られた、さっき紹介したんだけれども、労働局に相談したいと会社に伝えると、会社潰す気かとどなられて終わりだったと。だから、相談にさえ至っていない人たちというのはたくさんいるわけですよね。相談至っているのが氷山の一角だと私は見るべきだというふうに思います。
これ、理解得られたという企業でさえ二割にとどまっているわけで、特別休暇制度そのものが定着していません、全く。こういう特別休暇制度の導入そのものをやっぱり事業主に義務付けるということをしっかり検討すべきだと思います。
その上で、子供の病気等の対応のためにこれ保護者が安心して休めるように、コロナに限らずですね、現行でも子の看護休暇制度あります。労働者が請求すれば休めるというものです。しかし、中身は無給にとどまっておって、年間これ五日取れる程度にとどまっているんですね。
私、このパンデミックが、今のコロナがいつ収まるかの見通しさえ立たないと、さらに新興感染症がまた起こってくるかもしれないと。特例対応というよりも、このそもそも持っている制度で、申請すれば使えるという制度のところでの拡充が求められていると思う。どうでしょう。
○国務大臣(田村憲久君) 看護休暇のお話ですか。(発言する者あり)の話ですよね、はい。そういう意味からいたしますと、言われるとおり五日間という形で、これは義務でありますので、申請があれば企業は取らせなきゃならぬと。ただ一方で、これは有給ではないので、助成制度がありますから、それをお使いをいただきながら対応いただいておるということだというふうに思います。
いずれにいたしましても、これに関して、本年一月、これ今まで日にち単位だったのを時間単位で取れるように変えさせていただいて、より柔軟な取得という意味では我々としてもいろんな対応をさせてきていただいておりますが、平成二十八年改正の現在の形でありますけれども、五年の見直しというような時期が来ておりますので、様々な皆様方の御意見をお聞かせをいただきながら、いろんな部分、検討する部分はあると思いますので、検討してまいりたいというふうに思っております。
○倉林明子君 是非検討してほしいと思う。パンデミック対応でその休業の補償という部分が本当にできてこなかったし、いろいろ特例やったけれども、救済できていない人たちたくさんいるということを踏まえて今後の対応をすべきだということです。
最後、三原副大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、安全な中絶という議論をさせていただいてまいりました。三原副大臣は、危険な掻爬やめるように産婦人科医会や学会に要請されたということで伺っています。その後の進捗はどうなっているでしょうか。
○副大臣(三原じゅん子君) 御指摘の点につきましては、WHOが人工妊娠中絶・流産手術に関して電動式吸引法及び手動式吸引法というのを推奨しているといった国際的な動向を踏まえまして、会員に対して周知していただきたいという旨の通知を関係団体に七月の二日に発出したところでございます。
○倉林明子君 通知の周知徹底ということを私は強く要望したいと思うんですね。日本でも、掻爬等がより安全な吸引法に取って代わったという結果を本当早く出してほしいというふうに思っております。いろんな協力が必要だというふうに思いますけれども、協力いただかないと前へ進まないので、そこはしっかり進めていただきたい。
さらに、WHOは、妊娠九週までの自宅管理には中絶薬をこれ推奨していると。これはまだ薬が認証されていないという段階であることは重々承知しておりますが、この点でも世界標準を目指して頑張っていただきたい。
以上です。終わります。