倉林明子

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労働者協同組合法案が可決/倉林氏、権利担保の指針ぜひ(2020/12/3 厚生労働委員会)

 労働者協同組合を非営利法人として簡便に設立するため、新たな法人形態とする労働者協同組合法案が3日、参院厚生労働委員会で採決され、全会一致で可決されました。同法案は今年6月、日本共産党や与党を含む超党派で提出。同組合は、組合員が出資し、組合員の意見を反映して事業を行い、組合員が従事する団体です。
 
 質疑で日本共産党の倉林明子議員は、法案に労働契約の締結が明記され、衆院審議で労働組合を結成する権利などが確認されたと指摘。これを担保する指針策定が必要だとして、①労働契約明示の必要性②名ばかり理事問題で、労働者性を認める場合の条件―を整理すべきではないかと質問しました。

 厚労省の坂口卓雇用環境・均等局長は、「指針等の内容は、国会の議論を踏まえ検討する」と答えました。

 倉林氏が「名ばかり理事」の問題について、理事長の指揮命令に従い、人事権や予算執行権がない場合、労働者性は認められるかとただすと、坂口局長は「専任理事といいながら実態として組合の事業に従事させる事態は、違反になる」と答弁しました。

 また倉林氏は、障害者は当分「組合の行う事業に従事する者」に該当しないとしている問題について、「労働の場での平等をどう実現するか。大きな課題だ」と述べました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林でございます。
 本法案の提出までに本当に長年にわたって御尽力いただきました当事者団体の皆さん、そして超党派議連の皆さんに敬意を表したいと思います。
 そこで、今日は法の執行をしていくに当たって幾つか確認をさせていただきたいと思います。
 一つは、やっぱり大きな焦点となりました労働者性の確保という問題であります。
 法案では労働契約の締結が明記されたと、それは大きな担保として盛り込んだ意義についても議論があったとおりかと思います。衆議院の審議でも労働組合を結成する権利の確認というのもされました。そして、今日また賃金と配当における悪用防止の条文はないというふうなやり取りもございまして、まだそういう意味での担保を付けていくという作業は、宿題はあるという状況なんだということもよく理解いたしました。
 今日質疑でも出されたことも含めて、担保していくため、労働者性を担保していくための指針の策定ということが必要になってくるんじゃないかと思うんですけれども、政府参考人から御答弁願います。

○政府参考人(坂口卓君) お答えを申し上げます。
 今般、法案の第百三十条におきまして、厚生労働大臣は労働者協同組合等の適正な運営に資するため必要な指針を定めることとされ、指針の策定に当たりましては労働政策審議会の意見を聴くこととされております。
 今委員のお尋ねの組合員の労働者性に関しましては、今回法案では、労働者協同組合の設立、管理等について規定する組織法であるところでありますが、労働契約の締結義務について、組合員の保護の観点から、法案の第二十条において、組合は、代表理事、専務理事及び監事を除き、事業に従事する組合員との間で労働契約を締結しなければならない旨特に規定されているものと承知をしております。
 今後の対応についてでございますけれども、衆議院の厚生労働委員会におきましても、提案者の方から、組合員は事業者ではなく労働者であることを明確にするため、今後定められる指針等において事業を実施するのはあくまでも組合であって、組合員は事業の従事者であることや、また、労働者協同組合制度においては、組合員は組合と労働契約を結ぶ事業の従事者であり、基本的に一部の企業組合のような事業者性を有するものではないことという趣旨が明らかにされるものと考えている旨、提案者の方からの御発言もあったところでございます。
 法案が成立した場合に、私どもとしましても、これら国会における御議論等も踏まえ、指針等の具体的内容についてしっかり検討してまいりたいと考えます。

○倉林明子君 具体的な指針の中身ということなんですけれども、一つ、やっぱり求人に当たって労働契約を明示する必要性があるんじゃないかということが一点。それと、名ばかり理事という問題で、労働者性を認める場合の要件の整理ということも示していくべきではないかというふうに思うんですけど、いかがですか。

○政府参考人(坂口卓君) 先ほど申し上げましたように、指針等の具体的内容につきましては、今後、国会での御議論等も踏まえつつ検討してまいりたいと考えておりますが、法案の第二十条において、代表理事、専任理事及び監事を除き、組合と事業に従事する組合員との間で労働契約を締結しなければならない旨規定されており、代表理事等でない組合員が組合に加入する際には労働契約の締結が当然に必要になるものと考えております。また、専任理事といいながらも実態として組合の事業に従事させる事態は、そもそも法案の第二十条違反になる旨、衆議院の厚生労働委員会において提案者からも御発言があったものと承知しておりまして、こういった点も踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。

○倉林明子君 特に、確認ですけれども、名ばかり理事の問題については、理事長の指揮命令に従って事業の執行に関わる業務、人事権や予算執行権、これはないという場合については労働者性はこれ認められるという考え方になりますかね。

○政府参考人(坂口卓君) お答え申し上げます。
 先ほども御答弁申し上げましたとおり、法案の第二十条におきまして、代表理事、専任理事又は監事を除き、組合と事業に従事する組合員との間で労働契約を締結しなければならない旨規定されており、専任理事といいながら実態として組合の事業に従事させる事態は、そもそも法案第二十条違反になる旨、衆議院の厚生労働委員会において提案者からの御発言があったものと承知しております。
 私どもとしましても、法案が成立した場合には、法の実施に当たってこのような状況が生じることのないよう、法律を周知することなどによりしっかりと対応してまいりたいと考えております。

○倉林明子君 様々な懸念事項もあったし、名ばかり理事の問題というのはやっぱり最後まで論点にもなった問題だというふうに認識しているんですね。そういうところで指針のところの整理というのが非常に重要になってくると思いますので、その点では、衆参の委員会で出された意見も踏まえてしっかり整備していただきたいということは要望をしておきたいと思います。
 最後に、これ意見を申し述べたいと思います。それは、法案で、就労支援A型事業を実施する場合ということで、利用者である障害のある人は、当分の間、八条の組合の行う事業に従事する者には該当しないと、事業従事者に関する人数要件の算定の対象としないという規定がございます。
 これは、障害のある労働者を障害のない労働者と扱いを異なると、異なる扱いをすることになるというものですね。様々な矛盾を整理すればこういう形しかなかったという経過はよく伺っているところであります。
 障害のある人の就労、生活を支援する事業所千八百八十か所が参加しますきょうされんからは、不当な取扱いとなる可能性が指摘されて、見直しも求めて引き続きの検討という御意見いただいているというふうに承知しております。就労支援を利用する障害のある人たち、働きに行くのになぜ利用料を払わなければならないのかという声が訴え続けております。B型の場合ですと、労働法はこれ適用されません、B型就労支援事業は。働く場では生活支援受けることができません。
 ということで、大きな課題、この法案とは別に大きな課題があるということを申し上げたいと思うんですが、憲法と障害者権利条約に基づいて労働の場での他者との平等をどのように実現していくのかと、改めてこの課題が突き付けられているということは指摘して、終わりたいと思います。