倉林明子

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生活保護基準 引き上げを(参議院厚生労働委員会 2024年12月19日)

(資料があります)
(議事録は後日更新いたします)

日本共産党の倉林明子議員は19日の参院厚生労働委員会で、物価高騰に見合った生活保護基準の引き上げを求めました。
 生活保護利用者は、基準のたび重なる引き下げと異常な物価高騰のなか、極めて過酷な生活を強いられています。倉林氏は「1日3食食べることも、お風呂に入ることもかなわず、猛暑の中クーラーのない部屋で亡くなった事案もある」と指摘。生活保護基準の引き上げは待ったなしだと求めました。
 福岡資麿厚労相は「現在の対応や社会情勢の動向も踏まえ検討している」との答弁に終始しました。
 倉林氏は、生存権さえ脅かしている現状から目を背けてはいけないと批判しました。
 また、生活保護の違法運用、人権侵害行為が問題になっている群馬県桐生市の生活保護行政について質問。国が2014年と17年の2度監査を実施していたにもかかわらず、法令違反の漏給を是正せず放置した厚労省の責任は重大だと指摘しました。
 倉林氏は、現在検討中の高額療養費制度の限度額引き上げについて「70歳以上の高齢者に対する外来特例の廃止、見直しは、実質的な年金引き下げが続くなか大きな負担だ。やるべきではない」と厳しく批判しました。


議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 桐生市の異常な生活保護行政の発覚から、はや一年ということです。桐生市では、第三者委員会での検証作業が今も続いております。桐生市の生活保護行政には、私、明らかな違法行為があったというふうに思っているわけですけれども、大臣の認識はいかがか。具体的に何が、違法行為があったとすればそれは何が違法行為だったと認識されているのか、まずお聞きします。
○国務大臣(福岡資麿君) 桐生市においては、支給決定した生活扶助費についてその全額を支給しない対応があったものというふうに承知をしておりまして、その対応は、生活保護法に規定する生活扶助の実施方法に適合するものではないというふうに認識しております。
○倉林明子君 実施方法に適合しないという説明でしたけれども、生活保護費の一部不支給、今御紹介あったものは、生活保護法第三十一条に違反する、これ群馬県の認定なんですね。
 私、前回の武見大臣との質疑のときも、違法行為があったのではないかということについて答弁なかったんですね。そこで、改めて、明らかになった点も含めて認識深めていただきたいと思うんですね。
 福祉事務所に保管されていた印鑑、二千本弱の印鑑がありました。これ、生活保護の辞退届、あるいは家族からの扶養届に使われているようなことがあれば、これ、公文書の偽造に当たるわけですね。そういう問題だということで、当たっていただきたいと思います。
 そこで、二〇一四年と二〇一七年に、厚生労働省は、桐生市に対して監査を実施しています、生活保護。指摘事項について確認したいと思います。
 二〇二三年、群馬県の特別監査によりますと、厚労省は、保護申請に条件があると誤解されるような制度説明、助言等、申請権の侵害が疑われるような言動は厳に慎むことと、保護廃止に際しては、その後の安定した生活を送ることができるよう確認を行うことと、こういう指摘を行っているというのが群馬県の特別監査で指摘をされております。
 確認した事実というのは、この厚労省が監査に入って、二回も入っているわけですよ。ここで確認した事実というのは何だったのか、そして具体的、その中身について説明を求めたい。
○政府参考人(日原知己君) 厚生労働省では、二〇一四年と二〇一七年の群馬県への監査に当たりまして、桐生市へ監査を実施してございます。その結果といたしまして、保護の面接相談について、保護申請に条件があると誤解されるような説明を行うなど、申請権を侵害していると疑われるような行為は厳に慎むことですとか、保護の廃止について、辞退届の提出があった場合には、保護の廃止により直ちに急迫した状況に陥ることがないか、組織的な検討を経て決定することなどについて指摘を行ったところでございます。
○倉林明子君 二〇二三年実施の群馬県の特別監査報告によりますと、手持ち金や預貯金が僅か、けがや病気で就労できないなど、急迫した困窮状態と思われる相談者が申請に至らず、その理由が読み取れない、こういう事案が複数、申請却下や保護廃止の前提となる仕送り不要が本当に可能なのか確認できない事案も多数見付かったと、こういう指摘あります。
 さらに、これひどいなと思ったんですけれども、姉からの扶養届には、金銭的援助はできませんの欄にチェックがされていた、これを援助しますという内容に書き換えていたケースまで発覚しているんですよ。文書偽造までやって、申請権、申請の却下、保護費の減額、廃止、これ常態化していたということがもう本当明らかになってきているんですね。
 問題はですよ、厚労省は二回監査に入っているんですね、桐生市に。で、指摘事項、先ほど紹介あったように、具体的にやっているわけですよね。桐生市では、にもかかわらず、長期間にわたって是正されていなかったんですよ。繰り返されていた。この事実が本当に正直衝撃です。監査で指摘した事項が是正されないまま放置されたことになった、結果として。
 これ、厚労省の責任も極めて重大だと思うんですね。是正されるまで国がきちんと指導すべきじゃないでしょうか。どうですか。
○国務大臣(福岡資麿君) 厚生労働省におきましては、毎年、全ての都道府県、指定都市及びその区域内にある福祉事務所のうちおおむね一か所を選定して監査を実施してございまして、その際、指摘した事項の改善状況については都道府県、指定都市において確認していただくこととなっております。
 桐生市についても、過去の当省の監査において、保護の面接相談等における不適切な取扱いを是正するよう指摘を行い、その後、群馬県を通じて桐生市から改善報告を受けておりましたが、報告の後も群馬県の監査で同様の指摘が続くなど改善が図られていなかったことについては、大変遺憾であり、重く受け止めております。
 このため、群馬県の指導状況や桐生市における是正改善状況を改めて確認するため、群馬県及び桐生市に対する監査の実施を予定しております。今回実施する監査を通じて、群馬県と連携の上、改善の状況をしっかりと確認するとともに、毎年の群馬県への監査を通じて、桐生市の改善状況を継続的に確認してまいりたいと考えております。
○倉林明子君 それ、いつ実施予定でしょうか。
○政府参考人(日原知己君) 今申し上げました群馬県及び桐生市に対する監査でございますけれども、令和七年の二月に実施を予定してございます。
○倉林明子君 私、生活保護は権利だと厚労省のホームページも明記されるようになりました。大変な前進だと思っているんです。
 しかし、監査、指導の重点が余りにも濫給防止の方に偏重しているんじゃないかという指摘あります。法令違反の漏給の事実、これ知りながら、結果として長年放置することになってしまったと。これ、本当に断じてあってはならないことだというふうに重く指摘したい、厳重に指摘したいと思います。
 そこで、これが果たして桐生市だけの個別の問題だろうかという点なんです。改めて、厚労省が、先ほど紹介あったように、過去、監査に多数入っておられます。改めて全部報告を求めるつもりはないんだけれども、桐生市のように保護対象が人口と比べても大幅に減少していると、明らかにそういうところが団体の調査でもクローズアップされてきています。そういうところ含めて、漏給、権利侵害について監査で指摘した事案というのはこれまでもあると思うんですよ。一つ整理は必要だと思いますけれども、全件について報告求めたい。いかがでしょう。
○政府参考人(日原知己君) 昨日御通告いただきまして鋭意調べているところでございますけれども、その範囲が広うございますので、監査で指摘した事項につきまして確認のお時間をいただきまして、改めて報告させていただきたいというふうに考えてございます。
○倉林明子君 いたずらに範囲広げて調査しろと言うつもりはありませんので、是非協議もさせていただきたいと思います。
 その上で、まとまった資料につきましては委員会への提出を求めたい。お諮りください。
○委員長(比嘉奈津美君) 後刻理事会によって協議いたします。
○倉林明子君 今、急激な物価高が生活保護世帯、困窮生活に大変な追い打ちとなっております。保護受給世帯、京都ではアンケートも取られましたけれども、一日三食食べることも、毎日お風呂に入ることもかなわないと、そういう状況が悪化しています。さらに、香典の用意ができないということで、親戚の葬儀にも行けないと、社会活動が本当に制限されています。
 その上で、夏の猛暑のクーラーの話もありましたけれども、猛暑が本当に尋常じゃないと。クーラーもないアパートでたった一人で生活保護受給者が亡くなっていたと、こういう事案も発生しているし、少なくなくなっているんですね。
 私ね、来年度の生活保護費の引上げ、これ待ったなしだと思っています。認識はいかがでしょうか。必要性の認識です。
○国務大臣(福岡資麿君) 令和七年度以降の生活扶助基準については、現在の対応や社会情勢等の動向も踏まえ必要な対応を行えるよう、現在進めている来年度予算の編成過程の中で検討してございます。それを基に結論を得てまいりたいと考えております。
○倉林明子君 よう分からぬのが、社会経済情勢なんですよね。物価高ということで検討がされているという受け止めをしていいのかと、そこはちょっと押さえておきたいと思います。
 今、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利どころか、生存権さえ脅かされているという現状があるわけですよ。ここから目を背けるわけにはいかないと、そのためにも、社会経済情勢といったら何のこっちゃ分からぬのですよ。物価高から暮らしを守るために引上げ検討しているんだということで受け止めていいんでしょうか。
○国務大臣(福岡資麿君) 社会経済情勢には様々な要因がありますが、その中に当然今の物価高も含まれるというふうに認識しております。
○倉林明子君 ちょっと声が小さくなったので心配なんですけれども。
 来年度の生活保護費の見直しについて報道が先行しております。厚労省は、月額千円の特例加算、従前額の保障、これは継続して、特例加算に五百円の上乗せで決着というような報道までありました。
 引上げということを求めていますので、引上げは当然だと思うんだけれども、五百円という根拠は何なのか、説明していただける範囲でお願いしたい。
○政府参考人(日原知己君) 御指摘の報道は承知をしてございますけれども、令和七年度以降の生活扶助基準につきましては、社会経済情勢などの動向を踏まえて必要な対応を行えるよう、来年度予算の編成過程において検討しているところでございます。
 検討中の内容についてはお答えを差し控えたいというふうに存じます。
○倉林明子君 二〇一二年に政権に復帰された安倍政権が、その総選挙で掲げられた公約ですね、ここに生活保護費の一〇%の引下げと明示されました。そして、それが実行されました。
 これに対して、いのちのとりで裁判ということで、各地で裁判が戦われております。この違法だということで、十八地裁、一高裁で原告勝訴、この流れが強まってきています、広まっています。
 十一月に既に十二団体から提出された要望書があります、届いているかと思います。来年度の生活扶助基準を単身で一三%、複数世帯、ここでは一二・六%引き上げることが理由も付けて求められております。
 私、一〇%の引下げがまず土台にありますので、この間の物価高を反映すれば、本当に生活水準維持しようと思ったらこれでも足りないんじゃないかと思うほどですけれども、この物価高に負けない生活保護基準の引上げ、これ正面から検討すべきではないかと思います。大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(福岡資麿君) 重ねてになりますが、生活扶助基準については、消費実態との均衡が適切に図られるようとするとともに、社会経済情勢等も勘案して設定をしております。
 現行の生活扶助基準においては、お一人当たり月額一千円を加算するとともに、従前の額から減額としない措置を講じることにより、社会経済情勢等を総合的に勘案した対応を行っているところでございます。
 いずれにしても、令和七年度以降の生活扶助基準については、現在の対応であったり社会経済情勢等の動向を踏まえて必要な対応を行えるように、予算編成過程の中で検討し、結論を得てまいりたいと思います。
○倉林明子君 ここだけ物価高に負けないって言えないんですよね。社会経済情勢ということで説明つきませんから、納得できませんから。納得いく説明、根拠を示していただきたいと思います。
 ドイツでこの生活保護世帯の基準の見直しということで進められて、この間進められてきて、二〇二三年度から変更なりました。ここで押さえているのは、実質購買力を維持するためにどうしたらいいかということなんですね。毎年改定分をやり方変えまして、物価高の勢いがすごいので、直近三か月の物価上昇率を上乗せして改定するという変更が二〇二三年行われました。
 で、同時にですね、最低生活費に合わせて、この生活保護基準となる最低生活費に合わせて課税最低限の引上げ、これも機動的に実施されているんですね。これ、受給者の生活を守ると、購買力維持するということにとどまらないんですね。低所得者全体の収入の底上げにつながる、つまり手取りが増えるんですよ。
 そういう意味でいうと、私はもう本当に今の地域経済の底上げにも購買力の向上にもつながる、こういう問題だというふうに受け止めているんです。いかがでしょう。
○国務大臣(福岡資麿君) 繰り返しになりますが、令和七年度以降の生活扶助基準については、社会経済情勢等の動向を踏まえ必要な対応を行えるよう現在進めている来年度予算の編成過程の中で検討し、結論を得てまいりたいと思います。
 その上で、生活扶助基準の見直しによる他制度への影響に関しましては、そのそれぞれの制度の趣旨や目的、実態を考慮しながら各制度において対応がなされるものと承知をしております。
○倉林明子君 今ね、本当に、経済、経済、経済と連呼された総理がおられました。そして、物価高に負けない賃上げを約束されたのが岸田総理でしたよ。改めて、政府挙げてですね、どうやって賃上げ、購買力の引上げをしていくのかと、生活保護世帯、低所得者世帯だって、この物価高に負けないという課題を正面から据えた検討要ると思います。それは政府の約束でもあります。引き継いで頑張っていただきたいと思います。
 最後ですね、高額療養費の制度について、今見直しの検討もされていますので一言申し上げたいと思うんです。
 これ、資料付けました。上限の引上げということになりますと窓口負担の増加にもつながるもので、私は容認できません。とりわけ、七十歳以上に適用してきた外来特例の廃止、見直しの影響というのは極めて大きい。で、この赤いところがですね、影響が出るというところになります。こういうところで、低所得者であってもこれ特例の見直し、外来特例の廃止というような、廃止、見直しということになりますと大きな負担増になるということです。負担能力のない世帯にまで負担増を拡大すると、能力に応じた負担増ということはずっと繰り返しおっしゃっているけれども、これ、逆になる場合もあるんじゃないかと思うんですよ。
 年金受給者の実質的な年金引下げが続く中で、こうした負担増、拡大、負担の拡大、やるべきではない、整合性もない。いかがですか。
○国務大臣(福岡資麿君) まず、高額療養費制度は、所得に応じて自己負担額の限度額に一定の、あっ、自己負担限度額に一定の限度を設ける仕組みでございまして、医療のセーフティーネット機能という観点から大変重要であるというふうに考えています。一方で、高齢化であったり高額薬剤の普及などによりましてその総額は年々増加してございまして、結果として現役世代を中心とした保険料も上昇している状況にあります。
 そうした状況の中で、現役世代を含めた被保険者の保険料負担の軽減を図る観点から、高額療養費制度のセーフティーネットとしての役割を維持しつつ、能力に応じた負担という全世代型社会保障を構築するため、現在、制度の見直しについて検討を進めているところです。
 そして、その御懸念の点については、その際、所得の低い方の自己負担については引上げ率に十分配慮するなど、制度見直しによって必要な保障が欠けることがないよう、丁寧に検討してまいりたいと思います。
○倉林明子君 ここだけじゃないんですよね。ここだけじゃないんですよ。改革工程プランということで骨太でも示されているし、さらに高齢者のところでの負担拡大の検討がどんどん広がっていますよね。
 三割負担の対象拡大、先ほども議論ありましたけれども、高齢者に対して全世代型で支え手に回ってくれという議論が進んでいる中でこれまた出てきているわけですよね。その年金受給者を中心とする高齢者世帯のところにとってこういう負担が拡大していくということについて、私はどんどんどんどん進めるというやり方で財源の確保、子育て世代の応援の分まで高齢者に負わせるというやり方、これ、全世代の助け合いじゃないでしょう。全世代、高齢者と若い世代の分断にもつながるやり方だと思うわけです。若い人だって子供だっていずれは高齢者になるんですよ。
 社会の中で本当にそういう人たち支え合っていくというためには、税金の再配分がやっぱり必要だということを申し上げたい。国民の低所得者も含めて支え合うということを、国民の間で支え合いなさいということが盛んに言われるけれども、この間、税の再配分で成功していないと私は思うんですよ。大企業に内部留保がどんどんたまっていくと。大企業に対する法人税の特別な優遇措置がとられると、富裕層にも特別な措置がとられると。こういう能力のある人にこそ、能力のあるところにこそ応分な負担をしてもらって国民に対する再配分、貧富の格差を是正するというところに私は進んでいくべきだと思います。大臣、いかがですか。
○国務大臣(福岡資麿君) まず、現役世代を中心としてかなり御負担も大きくなってきていますから、そこは負担能力に応じたその全世代型の社会保障を構築していく必要性はあると思います。
 ただ、その中で必要なセーフティーネット機能が失われないようにしっかりしていく、そのことは大切なことだと思います。
○倉林明子君 やっぱりそこだけの議論になって、負担増を国民のところでやりくりしなさいというようなことで世代間対立をあおるようなやり方というのは、私はきっぱりやめるべきだということです。
 税制全体の中で大企業優遇になっていると、大金持ちが優遇になっていると、こういうところの是正措置をするのがやっぱり政治の役割だということを申し上げて、今日は終わります。