倉林明子

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社会保険負担増中止を(2023/11/13 行政監視委員会)

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は13日、参院行政監視委員会で、30年間の「コストカット型経済」で国民への負担増を重ねてきた社会保険料について「高齢者の生活を脅かす負担増は中止すべきだ」と迫りました。

 倉林氏は、国民健康保険料など社会保障費の大幅な国民負担増が年金給付にも影響を与えていると指摘。「厚労白書」の分析では、奈良県などで家計の最終消費支出に対する年金給付の規模が2割を超えたとして「社会保障の負担増、年金削減などが地域経済に与えた影響は極めて重大だ」と政府の姿勢をただしました。

 鈴木淳司総務相は、毎年度の地方財政の決算を見ても「支出は安定的に推移している」と年金削減の影響を認めない見解に終始。倉林氏は「年金のほとんどが地域経済の消費に回る。経済循環の影響を見る必要がある」と述べました。

 併せて倉林氏は後期高齢者医療保険料、介護保険料の値上げに加え、利用者2割負担の対象拡大とさらなる保険料の負担増が検討されていると指摘。「実質的に年金の引き下げにつながる。負担増の中止こそ経済再生につながる」と迫りました。

 宮崎政久厚生労働副大臣は、介護保険の利用料負担増には「『慎重な検討を』などさまざまな意見をいただいている」と答弁しました。

 倉林氏は「この間、物価高が生活を圧迫していることに悲鳴が上がっている」として奈良、富山、岩手各県を含む32の地方議会で「年金の引き上げを求める意見書」が相次ぎ採択されたと紹介し「経済対策としても物価高見合いで年金引き上げを行うべきだ」と述べました。


直接支援や資金繰り支援が急務


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 三十年間のコストカット型経済によって、私は、削られてきたものの一つが社会保障だというふうに思っているんですね。賃金も年金も上がらない中で、社会保障では国民の負担増、給付の抑制、これ一貫して進められてきたということです。
 そこで、倍率で確認したいんですけれども、国民年金保険料、国民健康保険料、介護保険の一号被保険者保険料、労働者の健康保険の社会保険料、この三十年間でどれだけの変化があったのか、倍率で。額、結構です。

○政府参考人(泉潤一君) お答えいたします。
 年金制度につきましては、将来世代の負担を過重になることを避けつつ、制度を持続可能なものにするため、平成十六年改正により保険料水準を段階的に引き上げ、平成二十九年度で固定しております。
 その中で、単純に比較いたしました場合、国民年金保険料の月額については、平成五年度は一万五百円、令和五年度は……(発言する者あり)失礼しました、令和五年度は一万六千五百二十円でございますので、三十年間で約一・五七倍でございます。
 厚生年金の保険料率につきましては、賞与に保険料を賦課する総報酬制を導入した平成十五年時点では一三・五八%でございましたが、令和五年には一八・三%となっておりまして、約一・三八倍でございます。

○倉林明子君 これ、負担が重くなっているというだけじゃないんですよね。給付の方でも大きな変化がありまして、健康保険の本人、後期高齢者の医療の医療費の窓口負担及び介護保険の利用料負担、これ最大三倍になっているんですね、この間で。年金はこの間、実質一か月分減っているんですよ、この十年スパンで見ただけでも。
 で、年金というのがどれだけ経済に大きな影響を与えるかということで見てみますと、二〇一七年の厚労白書で分析しているんですね。年金が地域経済を下支えする役割を果たしていると。これ、白書ですよ、厚労白書です。具体的に、島根、鳥取、奈良県、ここでは家計の最終消費支出に対する年金給付の規模が二割を超えているという紹介なんです。つまり、年金が引き下がるということは地域経済に物すごい影響を与えるということなんですね。
 そこで、改めて聞きたいのは、社会保障の重い負担、給付の削減、そしてこの年金の削減等、この間地域経済に与えた影響というのは極めて重大だと、大きいと思うんだけれども、これ、総務大臣、見解いかがでしょうか。

○国務大臣(鈴木淳司君) 社会保障の負担や給付の在り方は厚生労働省の所管となりますけれども、高齢化が与える影響につきまして、総務省の所管する地方財政の観点からお答えをしてみたいと思います。
 高齢化の影響により増加する地方団体の社会保障関係費につきましては、これまでも地方財政計画の歳出に適切に計上した上で地方交付税等の一般財源総額を適切に確保しております。また、毎年度の地方財政の決算の状況を見ましても、高齢化等を背景に社会保障関係費が増大しておりますけれども、財政健全化に関する指標は悪化することなく安定的に推移しているところでございます。
 今後とも、地方団体の財政運営に支障が生じないように引き続き適切に対応してまいります。

○倉林明子君 地域経済への影響というのは厚労白書の中でも指摘していたとおりで、高齢化が進展するほどこの影響というのは直接的に受けるというものなんです。地方税収への影響がないというような今御認識でしたけれども、経済はやっぱり循環しますので、年金はほとんど全てが地域経済、消費に回るという傾向ありますので、経済循環という点での影響もしっかり見ておく必要があると。影響大きいんですよ。
 にもかかわらず、更なる負担増というのが高齢者世帯のところに検討されているわけですね。後期高齢者の医療保険料、介護保険料、この値上げに加えて、介護保険の利用料は二割負担の対象拡大ということまで検討始まっています。子育て財源も社会保険料でと、医療保険料でということまで言い出しているわけで、これ、負担が増えるという方向ばっかり増えてきているんですよ。で、高齢者の生活を脅かしてこういう負担増えると、実質的に年金の引下げにつながるわけですね。
 私ね、これ地域経済に逆行することになると、経済再生にも逆行することになるというふうに思うんです。こうした連続的な負担増というのはもう中止を考えることこそ経済再生につながると思うんですけど、いかがでしょう。

○副大臣(宮崎政久君) 厚生労働省の検討に当たりましては、高齢化と人口減少という大きな社会の変化を迎えている中で、介護保険制度が全ての世代にとって安心なものとなるように、サービスの質を確保しつつ制度の持続可能性を維持することは重要な課題と認識しておりまして、こうした観点から、介護保険における利用者負担の在り方につきまして、社会保障審議会介護保険部会において昨年の秋から丁寧に検討させて、議論を重ねさせていただいているところでございます。これまでも、介護保険部会におきましていただいた御意見としては、生活への影響を踏まえて慎重に検討すべきというもの、また、負担能力のある方には適切な負担を求めることも重要といったものもあり、様々な御意見をいただいているところでございます。
 引き続き、利用者が必要なサービスを受けられるよう、様々な意見をしっかり聞きながら丁寧に検討を進めてまいりたいと思っております。

○倉林明子君 この間、実質的な年金の引下げがされ、連続する中で、物価高で本当に生活を圧迫しているという実態、声がもう悲鳴のように上がってきているんですね。
 この間、地方議会では年金の引上げを求める意見書というのが相次いで上がっておりまして、令和四年の年末から見てみますと、奈良県、富山県、岩手県の県議会から、その他の市町村議会からも合わせますと、直近のところで三十二の議会から上がっているんです。やっぱり地方経済への影響は大きいということで、高齢化が進んだところが特に目立っているという特徴があります。
 あのね、これだけ物価高で経済対策必要だと言っているときに、年金を更に引き下げるなんてもってのほかなんですよ。年金は物価高見合いでやっぱり引き上げるということを経済対策としても考えるべきだと強く求めたい。
 そこで、次ですね、中小企業のところについても、社会保険料負担が与えている影響ということで質問したいと思います。
 実態どうかといいますと、コロナ禍で本当に大変な思いした。ゼロゼロ融資で乗り切った。ところが、今、物価高で、経営を脅かすという実態になっているわけですね。で、最賃も上がるということで、中小企業の体力というのはどんどん奪われているというのが実態だと思います。
 そこで、こういう現状の中小企業の実態について、認識を簡潔に御説明いただきたい。

○政府参考人(山本和徳君) お答えいたします。
 コロナ禍を経まして、中小企業の景況感は全体として改善しつつはありますけれども、御指摘のとおり、物価高騰や人件費の増加といった課題に直面しているものと認識しております。
 もうちょっと具体的に見てまいりますと、中小企業、国内中小企業の経営環境として、国内企業物価指数でありますけれども、この三年間で二割程度の上昇となっております。企業が負担する人件費も昨年と比べて二%程度増加しておりまして、これらを踏まえてということでありますけれども、実際に企業の経営者への聞き取りを行っている中小企業景況調査を見てみましても、本年七月―九月期の原材料・商品仕入単価DIはプラス七三・三%ポイントの上昇超幅となっておりまして、仕入れコストが上昇していると答える企業が多い状況にあるものと認識しております。

○倉林明子君 いや、本当に厳しい状況というのは続いているというの、共通の認識だと思うんです。
 とりわけ、小規模な事業者ほど、企業ほどなかなか回復していかないということで、そういう資料を入れましたのが売上DI、利益DIということで、従業者規模五人以下のところでのマイナス影響が続いているという数字、単価・マージンDIということでも推移、五人以下の規模の小さいところが復帰し切れてないんですね。
 そういうときにどういうこと起こっているかというとですよ、加えてインボイスも十月から始まって、このインボイスの影響で、私、京都なんですけれども、京都は着物で白生地、丹後で有名な産地がありますけれども、職人さん、織り手さんがもうインボイス登録できないということで、要は新たに消費税負担できないということで、それ、組合がかぶると。いや、やっぱり半分しかできへんというようなことで、もう早めに畳もうかというようなところが伝統産業の産地でも影響出ているんですね。これ、インボイスの導入も大きな影響を与えているということも指摘したいんですが、追い打ちを、これに追い打ちを更に掛けているのが社会保険料の取立てなんですよ。
 コロナで猶予をしてもらった中小企業少なくありません。ところが、徴収強化が二二年度から始まっています。一括納付か差押えかと、こういう二択で迫られているんだという声が結構寄せられているんですよ。中小企業の現状から、一括返済などしたくてもできないと、こういう実態あります。ところが、差押えは売掛金やるんですよ、労働者の賃金さえも含まれている売掛金を押さえられると。こんなことやられたら、賃金は未払になるし、倒産必至ですよ。
 強権的な徴収強化というのはやめるべきだと申し上げたい。いかがですか。

○副大臣(宮崎政久君) お答えいたします。
 前提としては、社会保険料、特に厚生年金保険料の納付につきましては、厚生年金制度に加入する被保険者に必要な給付を行うために、被保険者と、被保険者を使用する事業主からそれぞれ保険料の半額を負担することとなっておりまして、事業主からは被保険者分も含めて保険料全体を納付いただくこととなっております。
 保険料の納付が困難になった場合には、日本年金機構においては事務処理要領も定めてございますので、直ちに財産の差押えを行うのではなく、まずは事業主に電話や文書で連絡を取り、事業所の経営状況や将来の見通しなどを丁寧にお伺いをさせていただきながら猶予や分割納付の仕組みを活用するなど、事業所の状況に応じる形で丁寧な対応を行わせていただいているところでございます。

○倉林明子君 いや、そんなこと、きちんとやってもろうてたらそんな声出てきませんよ。実際に、私、この前会った、倒産やって言う社長の声も聞かせていただきましたけれども、六十人の従業員抱えているところでね、売り掛け先、十月分差押えですよ。払えないと言うんですよ、このままやったらね。そういうことが本当に丁寧な対応と言えるんだろうかと。
 これ、一例にとどまらず、全国で起こっているんです。それは、このマニュアルですね、徴収対策の、行動計画というのがマニュアルになっているんですけど、それ、書き直されているんですよね、二二年度から。それまで、やっぱりコロナなので、猶予や、換価の猶予等、猶予制度の活用ということも明記されていたんですよ。ところが、それ消えたと。
 やっぱり、コロナの後の体力が回復してないというところにとっては、社会保険料が、滞納分も含めて、やっぱり積もってきている分が払えないで苦しいんですよ。これに一括納付か差押えかというのは、倒産しろって言っているのと一緒なんですよ。そこら辺、起こっている実態も含めて、厚労省つかんでいますから、つかんでいますから、そういう実態踏まえて、私ね、実際に今答弁されたような丁寧な対応を徹底してほしいと思うんですね。
 加藤厚労大臣が三月、今年三月に衆議院で我が党の委員が質問しているんですね、これに対して、丁寧に納税の猶予などの相談に応ずると、応じていると、期限後なお納付が困難な事業所については、既存の納付の猶予の仕組みを活用し、事業所の状況に応じて柔軟に対応していると答弁しているんですよ。
 この大臣答弁、現場で徹底していただきたい。いかがですか。

○副大臣(宮崎政久君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、事務処理要領に基づく手順に従う、また、御指摘のありました行動計画につきましても適切な記載をさせているということ、年金機構においてそういうふうにされていると認識しておりますが、加えまして、先月、日本年金機構から年金事務所に法定猶予適用事業所に対する取組方針というものを伝えさせていただいております。この中では、一つ、各年金事務所が猶予を適用している事業所ごとに猶予期間を再点検する、二つ、納付計画が不履行の場合には猶予期限内での計画の見直しを協議する、三つ、事業主が納付協議に応じないなど誠意ある対応がなされない場合には、猶予を取り消し、財産の差押えを行うことになりますが、そのような場合であっても、その理由や法令上の根拠を示して丁寧な対応を行うと、こういったことを明記して年金事務所に対して周知をしたところでございます。
 引き続き、個々の事業所の状況を丁寧にお聞きしながら、適切に対応するように日本年金機構を指導してまいりたいと考えております。

○倉林明子君 いや、労働者の七割を、雇用を支えているのが中小企業なんですよ。今、本当に大変な状況をつくってきた、半分ぐらいやっぱり政治の責任あるんですよ。
 ここをしっかり守り支えるということで、社会保険料の差押えで中小企業を潰すなんということは、経済、経済、経済と言っていることと逆行しますから、申し上げて終わります。