倉林明子

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中国残留邦人2世の支援を / 遺骨の返還協議早く 浮島丸事件(2023/3/30 厚生労働委員会)

(議事録は後日更新いたします)

 日本共産党の倉林明子議員は30日の参院厚生労働委員会で、終戦直後に朝鮮人徴用工ら数千人を乗せた船が京都府舞鶴沖で爆沈した「浮島丸事件」の遺骨を遺族に返還するための協議を速やかに行うよう求めました。

 倉林氏は、朝鮮半島出身者の遺骨9259体が2010年までに韓国に返還されたことを確認。一方で、浮島丸事件の犠牲者の遺骨(韓国出身の275体)は「いまだに返還されず祐天寺(東京都目黒区)に安置されている」と指摘しました。

 倉林氏は「浮島丸殉難者を追悼する会」など3団体が人道的な観点から遺骨の早期返還を求めており、韓国側の遺族も「親に顔向けできるよう、死ぬ前に遺骨を祖国に迎えたい」と述べていることを紹介。「すみやかに返還に向けた韓国との協議に入るべき」と要求しました。加藤勝信厚生労働相は「外務省と連携して対応する」と述べるにとどめました。

 また、倉林氏は、祐天寺に安置されている北朝鮮出身者の遺骨425体についても、人道的な観点から返還に向けた取り組みを進めるよう求めました。


 日本共産党の倉林明子議員は30日の参院厚生労働委員会で中国残留邦人2世に対する支援を求めました。

 中国残留邦人2世の多くは1990年代以降に帰国し、来日時の年齢が40代を超えていたため、日本語の習得が困難な場合が多く、就労や生活にも影響が出ています。1世や1世と死別した配偶者には「新支援法」により、支援金や老齢年金が満額支給されますが、2世は長期の残留を余儀なくされた1世とは状況が異なるという理由から原則対象外とされ、日本で暮らす2世の多くは生活保護を利用しています。

 倉林氏は「2世の多くは日本語もままならず、まともな仕事に恵まれず、生活保護利用者となっている。2世も1世と苦労をともにしてきたことに変わりはない」として2世も支援の対象とするよう求めました。

 また、生活保護を利用してる場合、2週間を超える海外渡航は収入認定され、保護費が減額される場合があります。倉林氏は、2世から中国の親族のケアや墓参りのための渡航について切実な要望が寄せられているとして、支援法と同様に2か月程度の渡航を認めるよう柔軟な対応を求めました。

 倉林氏は、「2世の帰国が遅れた原因は早期の帰国を認めなかった国にある。2世の問題の解決なしに中国残留邦人問題の解決はない」と主張しました。


議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 まず初めに、旧優生保護法による強制不妊被害者に対し、国に賠償を命じる高裁判決が相次いでおります。二十三日の大阪高裁判決では、不妊手術等は憲法違反だと断罪しただけではなく、除斥期間の適用により賠償責任を免れることは、そもそも個人の尊厳を基本原理とする日本国憲法が容認していないことは明らかであるとまで断じております。
 国は控訴を断念し、被害者に直接謝罪すること、早期全面解決に向けた原告団との協議を行い、速やかな法改正を求めておきたいと思います。答弁いいです。言うときます。
 議題となっております法案についてはいずれも賛成したいと思います。
 そこで、今日は、いまだ解決しておりません戦後問題について質問したいと思います。
 一つが、中国残留孤児の二世の問題です。
 一世が各地で提訴した国賠訴訟を受けて、二〇〇八年、新支援法を改正して、生活支援給付金給付と老齢年金の満額支給の支援を開始しております。二〇一四年からは、一世と死別した配偶者にも支援金を支給と。
 しかし、全国で二万八千人いると想定されております二世の多くは、今も支援の対象から除外されているわけです。一世を支えるために永住帰国した二世、なぜこれ支援の対象にならないのかと、御説明を。

○政府参考人(本多則惠君) お答えいたします。
 戦前、中国東北地域、旧満州地区には多くの邦人が在住しておられましたが、さきの大戦に起因して生じた混乱等により、本邦に引き揚げることができず、長期にわたって中国等の地域に残留することを余儀なくされ、帰国後も生活が困難な状況に置かれたと承知しております。
 中国残留邦人の一世の方につきましては、一般の引揚げよりも帰国が遅れ、長期にわたって中国に残留を余儀なくされたため、日本人として義務教育を受ける機会がないまま帰国後の生活を始めざるを得ず、多くの方が日本語が不自由な状態にあること、また、帰国が遅れたために、ほかの引揚者と異なり、高度経済成長の恩恵を享受することができず、老後の生活への備えができないまま高齢に達していること、こういった特別な事情に鑑みまして、老後の生活の安定のため、国として必要な支援策を講じているところでございます。
 具体的には、中国残留邦人一世の方に対しては、満額の老齢基礎年金等を受給するための一時金の支給や、世帯収入が生活保護の最低生活費に満たない部分を支給する支援給付等の支援を行っているところでございます。また、平成二十五年十一月の法改正により、中国残留邦人と長年にわたり労苦を共にされてきた配偶者の方々に対して、支援給付を受けていらした中国残留邦人の死亡後に、新たに老齢基礎年金の三分の二に相当する配偶者支援金を支給することとしております。
 一方で、中国残留邦人の二世の方につきましては、必ずしもこのような特別な事情があるものではないため、一時金の支給や支援給付等の対象とすることは困難であると考えております。

○倉林明子君 支援の対象となる二世ということでいいますと、対象になる二世もいるんですよね。それは原則として未婚、二十歳未満ということで、要は対象となる二世についての制限があって、結局、原則として未婚であることや二十歳未満であることと、こういう条件付けたということで、制限した結果、対象から外れる二世というのがたくさんになっていると。支援の対象とならない二世というのは、今支援の対象として御説明あったように、日本語もままならないと、で、まともな仕事にも恵まれないと、日本に来ることによってですね、職場で蔑視されるということによって多くが今生活保護利用者となっております。
 支援法一条では、支援の目的について、「中国残留邦人等と長年にわたり労苦を共にしてきた特定配偶者の置かれている事情に鑑み、」としているんですけれども、二世は、特定配偶者と同様に一世と労苦を共にしてきたという実態、本当にあるんですよ。私は支援の対象として検討すべきじゃないかと思います。大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 今審議官から答弁をさせていただきましたけれども、もちろんそれぞれの方には様々な事情があるんだろうというふうに思いますけれども、中国在留の邦人一世、またその配偶者のような特別な事情というところまでこの中国在留邦人二世については有していないというふうに考えられ、したがって、その一般の制度はもちろん、今生活保護のお話がありましたけれども、そういったものはしっかり活用していただく、しかし、それを超えて支援給付等の金銭給付の新たな対象、そういう特別の措置の対象とすることは難しいと考えております。
 他方で、中国残留邦人一世と同時に帰国された二世の方について、日本での生活の自立を促進する観点から、中国帰国者支援・交流センターにおける生活相談、日本語学習支援、帰国者同士の交流支援、また、地方自治体における日常生活での相談、医療機関、行政機関への通訳の派遣、就労に関する相談、こういったことは実施をさせていただいているところでございます。
 引き続き、二世も含め中国在留邦人の方々が円滑に日本での生活を継続していただけるよう、一般制度も含めてできる支援を行っていきたいと考えております。

○倉林明子君 生活保護の利用ができると、それ以外でも支援しているとおっしゃるんだけれども、実態として、中国残留邦人二世の人たちの労苦という実態把握も含めて私きちんとすべきだと思う。多く、六割を超える生活保護受給者がいるという民間の団体の調査もありました。生活保護利用をしている二世にとって何が今切実な要求かというと、中国にいる親族のケア、墓参り、これら切実な要望となっております。二世の配偶者には、中国に残してきた高齢の、高齢となった親がおられます。親の世話のために戻りたくても認められないという声が出ているんですね。支援法の対象となる家族に対しては二か月程度が認められているし、支援金が減額されることもありません。生活保護を利用している二世に対しても、私は、個別のこの二世の置かれている状況を踏まえた柔軟な対応が必要だということ、これ強く求めたいと思います。
 二世の帰国が遅れた責任というのは、早期の帰国を認めなかった国にあるんだと、二世問題の解決をきちんとすることなしに中国残留邦人問題というのの解決はないという声出ているんですよ。大臣、それ、受け止めどうでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) そうした声もしっかり受け止めさせていただきながら、先ほどのような対応も取らせていただいているところで、というふうな対応をこれまでも取らせていただいているところでございますので、引き続き、先ほど申し上げましたけれども、様々な一般の制度も含めて、できる支援はしっかり行わせていただきたいと思います。

○倉林明子君 生活保護受給者となっている今の苦難抱えている二世の実態をしっかりつかんで、支援拡充ということでの検討を強く求めたいと思います。
 次ですね、もう一つ戦後問題で、浮島丸ということで、浮島丸遺骨返還の問題について聞きたいと思うんですね。
 終戦直後に、青森県から帰郷する数千人もの朝鮮人労働者が乗船した浮島丸が、原因不明で、原因不明の爆発で舞鶴沖で沈没した事件がございました。いまだにその返還されない遺骨がありまして、目黒の祐天寺に七百柱が安置されております。
 これまでに、返還にも取り組まれてきたんだけれども、朝鮮半島出身者の御遺骨、何体返還したのか。また、二〇一〇年以降、返還が進んでおりません。この理由は何でしょうか。

○政府参考人(本多則惠君) さきの大戦で戦没された朝鮮半島出身の旧軍人軍属の御遺骨につきましては、終戦直後に復員兵が祖国に持ち帰ったケースや、日韓協議に基づく返還等を経まして、平成二十二年までに九千二百五十九柱を韓国政府に返還してまいりました。
 現在、残る朝鮮半島出身の旧軍人軍属の御遺骨につきましては、委員からも御紹介のありましたとおり、東京目黒区の祐天寺に預託しております計七百柱でございまして、その内訳は、浮島丸事件で殉難された韓国出身者の御遺骨と北朝鮮出身者の御遺骨でございます。
 この浮島丸事件関係者の御遺骨の返還につきましては、日韓両国で協議を重ねてきたところでございますが、相手国との関係もありまして詳細を明らかにすることは差し控えたいと思いますけれども、引き続き外務省等と連携して対応してまいりたいと考えております。

○倉林明子君 裁判などもありまして、謝罪なしには遺骨受け入れることできないという遺族の声があったということも確かなんですね。ただ、大きな変化もありまして、昨年十二月、京都府舞鶴市で浮島丸殉難者を追悼する会とほか二団体、計三団体が、人道的な観点から遺骨の早期返還を求める要請書、これ大臣宛てに提出をされております。それ、遺族が、韓国側の遺族が、親に顔向けができるよう死ぬ前に遺骨を祖国に迎えたいと、高齢になられた韓国遺族の声を要請文でも紹介されています。
 私、遺族の中でも一本にまとまっているということではないかもしれない、しかし、こうした条件を付けずに返還を求めるという声が出ているということを本当にチャンスと捉えて、返還に向けた速やかな協議に入るべきではないかと思います。大臣、いかがでしょう。

○国務大臣(加藤勝信君) 先ほど審議官から申し上げたように、これまでにも千六百十四柱の御遺骨をお返しをさせていただき、我々としても、韓国出身者の方始め、そうした御遺骨の返還、これをしっかり進めていきたいと思っております。
 今後とも、引き続きよく外務省と連携して対応していきたいと思います。

○倉林明子君 長年の経過もあって、この十年間返還が進まないという状況があったんだけれども、一つやっぱり遺族の側からの声もあったということも受けて、追悼をずっと続けている市民の方々から、こういうときに協議に動いてほしいという、ちょっと変化できているところなので、私は一歩進めるチャンスにしていただきたいということを強く申し上げたいと思います。
 で、祐天寺に安置されている七百柱のうち四百二十五柱は北朝鮮出身者のものということになっておりまして、これまで一体も返還されてきていないんですね。北朝鮮との関係では、国交も遮断しているというような状況があります。条件は韓国とは全く違うということは十分に踏まえた上でも、私も、戦後、これ、今年で戦後七十八年ということになります。人道的な観点から、韓国と同様に返還に向けた取組というのが、遺族の命があるという現時点で日本側からも取組が求められているんじゃないかと。
 返還に向けた取組、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 今お話ありましたように、目黒区にあります祐天寺には、北朝鮮出身者の方の御遺骨約四百二十五柱、これ預託をさせていただいております。
 また、北朝鮮とは国交はないわけでありますが、そうした中で、北朝鮮への御遺骨の返還について、まさに日朝関係、これを踏まえつつ、外務省と連携して適切な対応を図りたいと考えております。

○倉林明子君 日朝関係をどう再構築していくかということは本当に日朝関係を前に進めていくということでも必要だと思うんですけれども、拉致問題で、拉致被害者の返してほしいという切実な声に応えるという観点からも、こちらでも遺骨の返還の意思があるということも一つ大きな話合い、協議に入る要件にもなるのではないかと。その駆け引き材料にしろということではございません、あくまでも人道的に返還の意思を示して前に進めていただきたい。
 終わります。