倉林明子

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雇用安定に逆行する 会計年度任用制度を批判/労働条件後退 規制を 無期転換 労働者の権利(2023/3/9 厚生労働委員会)

(議事録は後日更新いたします)

 日本共産党の倉林明子議員は9日の参院厚生労働委員会で、会計年度任用職員制度そのものが雇用の安定に逆行すると批判しました。

 同制度が始まって3年目の今年3月末を前に、多くの自治体で雇い止めに伴う公募が行われています。倉林氏は、総務省が把握していないことが問題だと指摘しました。

 職業安定機関が迅速な対応を行うため、1事業所で1カ月30人以上の離職者が出る場合、ハローワークへの届け出が必要で、自治体にも「大量離職通知書」の提出が義務付けられています。倉林氏への答弁で、2月末までの同通知書提出が、全国で14件(約2000人)程度にとどまっていることが判明しました。

 倉林氏は「離職の全体像をハローワークがつかめなければ、十分な対応もできない」と指摘。加藤勝信厚労相は「厚労省としては評価できない」としか答弁しませんでした。

 倉林氏は「同制度が女性の低賃金を固定化している。公募で採用されるごとに経験がリセットされ、これまでの仕事が評価されず、女性の尊厳をも奪っている」と厳しく指摘。無期転換と処遇改善を直ちに行うよう求めました。


 日本共産党の倉林明子議員は9日の参院厚生労働委員会で無期転換ルールの抜本的な見直しを求めました。

 無期転換後の労働条件明示義務が盛り込まれた労基法第15条に基づく省令案が2月14日に諮問され、おおむね妥当との答申が出ています。省令案は、無期転換に関わる労使間のトラブル回避を目的とするものです。

 愛知淑徳大では、非常勤講師が無期転換後に授業を持たせてもらえず、休業手当も給料も支払われない事態が起きています。倉林氏は「無期転換できても、こんなことがまかり通れば労働者の生活は守られない」と指摘。加藤勝信厚労相は「原則として無期転換前の待遇と同一とすることが必要。労働時間の削減は労働条件の不利益変更にあたり、労働者の合意なく一方的に変更することは無効だ」と答弁しました。

 倉林氏は、無期転換を条件に不利益変更を「明示」されれば、労働者は拒めない可能性もあり、明示義務を課すだけでは不十分だと指摘。「無期転換は労働者の権利だ。労働条件や待遇の後退を規制する必要がある」として、抜本的なルールの見直しを求めました。加藤厚労相は「労働条件の変更そのものを制限することは慎重な検討が必要」などと後ろ向きな答弁に終始しました。


議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 三月末を目前にしまして、全国の地方自治体で今大量の会計年度任用職員の公募が始まっております。事実上の雇い止めということになります。
 そこで、総務省に確認をさせてください。現在、地方自治体で働く会計年度任用職員はトータルで何人か。そして、そのうち三年目の公募対象となっている職員は何人か。

○政府参考人(三橋一彦君) お答えいたします。
 会計年度任用職員の総職員数につきましては、令和二年度に調査をしておりまして、任用期間が六か月以上で、一週間の勤務時間が常勤職員の半分以上である会計年度任用職員は、令和二年四月一日現在で約六十二万人でございます。
 なお、再度の任用を含めた会計年度任用職員の任用に当たっての募集につきましては、地方公務員法に定める平等取扱原則や成績主義の原則を踏まえ、各地方公共団体において地域の実情に応じ適切に対応いただきたい旨助言しているところでございまして、総務省として各年度に公募を行う具体の人数については把握していないところでございます。

○倉林明子君 その助言に従って、三年目ということで置いているところが地方自治体少なくありません。自治体によって今大量解雇がまさに行われようとしているわけで、そういう意味でいいますと、公募の対象については把握してないという、それが問題だと思います。
 京都の自治体労働組合総連合によりますと、京都の会計年度任用職員は全体で一万八千六百人、京都市を除く一般行政部門に占める割合というのは四八・三%、ほぼ半数になっております。決して珍しくないと思います。京都府は、これ一律三年で公募をするということにしておりまして、つかんでいるだけで三百六十三人に上っております、京都府だけでですね。
 一つの事業所で一か月三十人以上の離職者が生じる場合、大量離職通知書というものの提出が義務付けられているんですけれども、提出状況について、厚労省、いかがですか。

○政府参考人(田中誠二君) 労働施策総合推進法におきまして、一か月以内に三十人以上の離職者が生じる事業主についてハローワークに届出をしていただくこととなっております。
 これが地方自治体の場合には、大量離職通知書という書類をハローワークに提出していただくこととしておりまして、令和四年度、五年度ですけれども、令和五年二月までの状況で地方自治体からの提出状況は十四件でございます。この件数に含まれる非常勤職員の数については、現在精査中ではありますけれども、約二千人程度ということでございます。

○倉林明子君 京都府では課ごとに公募を掛けておりまして、七十九か所で三百六十三人ということになっているんですね。京都府は事業所単位ごと、課ごとということで、大量離職通知書の提出対象になるのは、そのうち、七十九か所のうち二か所、八十人だけということになるんですね。これ、数字って、今お示しいただきましたけれども、数字というのはごく一部しか反映してないというものになるということが京都の例を見てもこれは明らかじゃないかなと思うんですね。
 大臣、そもそも労働施策総合推進法でこの大量離職通知書、これ提出を義務付けているというのはなぜか、その理由について。

○政府参考人(田中誠二君) 大量の離職が生じる場合の届出、地方公共団体の場合は通知書ということになりますけれども、この仕組みの意義は、一時的に大量に離職者が発生する場合に、ハローワークが事前に状況を把握しまして、その方々の離職前から必要な情報提供とか求人開拓等の所要の措置を講ずることで離職者の再就職支援に迅速かつ的確に対処できるようにすることにございます。

○倉林明子君 問題は、大量離職の全体像、京都府の例のように課ごとにやりますと三十人に行かないというところがたくさんあるんですね。そうすると、大量離職全体でどうなっているのかと。京都府だったら三百人超えるような離職者生むんだけれども、それつかめないということになるんですね。
 大臣、ここは答弁いただきたいんですけれども、これでは十分な対応にはならないんじゃないかと思います。どうですか。

○国務大臣(加藤勝信君) まず、制度としては、地方自治体における会計年度任用職員の採用、退職等の管理は任命権者が行っていることから、大量離職通知書は法律上任命権者ごとにハローワークに提出いただくことになっていますから、まさにその任命権者ごとに行っていただくということになるわけであります。
 ただ一方で、先ほど局長からも答弁させていただいたように、この制度の趣旨はどこにあるのかということにおいては、一時的に大量に離職者が発生する場合に、ハローワークが事前に状況を把握し、離職者の再就職支援に迅速かつ的確に対処できるようにすることでありますので、したがって、三十人未満の離職者の場合であっても、これは別に大量離職通知書を提出してはいけないとなっているわけではございません。
 制度の趣旨に照らして、雇用の安定を図る観点から、ハローワークから地方自治体に対して制度の趣旨や通知書の提出の意義も深めて働きかけを行って、積極的に幅広く提出いただけるよう取り組んでいきたいと考えております。

○倉林明子君 いけないとはしてないんだけど、つかめないという実態になっているんですよね。大量の離職通知書、ちゃんとその全体像がつかめるような方向での見直しというのが私は必要だと思います。
 今回、雇い止めされる職員の六割近くが五年以上の継続して働いてきた方で、同一自治体で働き続けてきたという人たちですね。こういう人たちが、今公募に掛けられるということで、長く働いたとしても退職金もないと、次を探してくれるわけでもないと、怒りの声が寄せられております。
 大臣、会計年度任用職員制度そのものが雇用の安定に逆行しているんじゃないかと言わざるを得ないと思うんですけれども、いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 厚労省として、会計年度任用職員制度について評価する、あるいはそれをコメントする立場にはないところでございますが、会計年度任用職員の方々も含めて、離職者が生じる場合には、ハローワークにおいて適切な再就職支援を実施し、雇用の安定を図っていきたいと考えております。

○倉林明子君 業務が継続してある場合、少なくとも無期雇用ということを原則とすべきだと、総務省さんもよう聞いておいてほしいと。
 総務省に質問します。
 令和二年度の地方公務員法の改正は、会計年度任用職員の処遇改善を目的の一つということにされていたものです。これ、フルタイム勤務より一日十五分短くしてパートタイム会計年度任用職員としている自治体、これがたくさんあります。これ、自治体数で幾つか、そして任用件数で幾つになっているのか、令和二年、令和四年、調査の結果を御紹介いただきたい。
 通知では、繰り返し通知も出していただいているんですけれども、この件に関してはどんな助言をしているのか、御紹介ください。

○政府参考人(三橋一彦君) お答えいたします。
 御指摘のような職員の勤務時間は、一週間当たりに直しますと三十七時間三十分以上三十八時間四十五分未満というふうになるわけでございますけれども、このような勤務時間の設定をしている地方公共団体の数と会計年度任用の職の数は、全ての職種について調査をいたしました令和二年の調査で、千百四十四団体で約六万六千件、代表的な職種十五種について調査した令和四年の調査では、千百六十一団体で約五万七千件でございます。
 総務省からは、地方公共団体における個々の職の勤務時間の設定につきまして、職務の内容と標準的な職務の量に応じた適切な勤務時間を設定することが必要であり、フルタイムとすべき標準的な職務の量がある職につきまして、ついて、パートタイム化すること自体を目的として勤務時間をフルタイムより僅かに短くすることは適切でない旨、制度が施行された令和二年度から各年度において助言しているところでございます。
 総務省としても、今後とも自治体の実態などを踏まえまして、必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。

○倉林明子君 地方自治体、これ助言を受けても減らないんですよ。何でか言うたら、やっぱりパートにしたら退職金払わぬでええと、要は経費が安く上がるというので移行しているという実態があるんですよ。
 フルタイムの業務量があってもパートとなった場合、退職手当だけじゃないんですね、扶養手当や住居手当もないわけです。雇い止めとなりますと、仕事が見付かればいいんだけれども、見付からなかった場合は前年所得で税金払わないといけないと。退職金は切実な要求になっています。
 その上、平均賃金は、時給で見ますと最低賃金水準に張り付いているという実態あるんです。公募で採用されてもまた一からのやり直しということで、経験リセットです。低賃金からのやり直しになるんですね。
 自治労連の調査によりますと、会計年度任用職員の八割が女性です。そのうち三割は主たる生計者なんですよ。年収は二百万円未満が五割、専門職の場合もうちょっと付く場合ありますけれども、それでも専門職同士で比べれば低賃金になっています。これ、女性の低賃金を固定化するだけじゃない。働いている、業務に一生懸命働いているんだけれども評価されない、女性の尊厳を奪うというような働かせ方になっているということを本当に厳しく指摘したい。
 そこで、大臣、会計年度任用職員制度、これは、労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上を図ると、これ、労働施策総合推進法に掲げられているものです、目的です、これ逆行すると私は思うんですけれども、労働行政を預かる大臣の御見解を伺いたい。

○国務大臣(加藤勝信君) 厚労省として、先ほど申し上げた会計年度任用職員制度そのものについてコメントする立場にはないわけでありますが、会計年度任用職員の方々も含めて、離職者が生じる場合にはハローワークにおいて適切な再就職支援を実施し、雇用の安定を図っていきたいと考えていますし、また、今お話がありました労働者の職業の安定と社会的、経済的社会的地位の向上を図るという労働施策総合推進法の目的に照らして、同法に基づく大量離職通知制度、これが適切に運営され、ハローワークが迅速、的確に離職者の再就職支援に対処できるよう、地方公共団体には、その大量離職者通知書の積極的な提出を働きかけていきたいと考えております。

○倉林明子君 大臣は、所信でこう述べました。構造的な賃上げについてです。持続的な賃上げの実現を目指すんだということを述べたんですね。
 会計年度任用職員制度というのは、構造的に不安定雇用を拡大するんですよ。政府として、私は、厚労省は所管じゃないって逃げたら駄目だと思うんですね。こんな働かせ方はやめるべきだと。無期雇用への転換、まずはこれをやって、退職手当などの処遇の改善というのは急務だということを強く申し上げたい。もう今社会問題に、この会計年度任用職員の制度の問題、今日、朝日の報道もありましたけれども、そういう問題、正面から受け止めて、構造を改善するということで取り組んでいただきたいということです。
 続いて質問します。無期転換ルールについて伺います。
 今年二月十四日の労政審労働条件分科会で、労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案、これおおむね妥当と答申が出ました。内容はどうか、簡潔に説明をお願いしたい。
 あっ、ごめんなさい、ちょっと、ここで総務省は質問終わりますので、お取り計らいお願いします。

○委員長(山田宏君) 三橋審議官には御退席いただいて構いません。

○政府参考人(鈴木英二郎君) お答え申し上げます。
 御指摘の省令につきましては現在制定作業中でございますけれども、無期転換ルールに関する内容といたしましては、無期転換申込権が発生する契約更新時におけます労働基準法に基づく労働条件明示事項に無期転換申込機会が生じたということ、それから無期転換後の労働条件を追加するという改正を予定しているところでございます。

○倉林明子君 無期転換後の労働条件についても明示の義務は課されるというものだと。
 無期転換ルール制定時には、転換後も待遇が変わらないと、こういう議論もありました。今は、待遇の大幅な低下となる事例が出てきているんですね。愛知の淑徳大学の非常勤講師、無期転換後、授業を持たせてもらえない、休業手当も給料もないと、こういう問題が発生しております。無期転換が実現しても、こんなことがまかり通れば、労働者の生活は守れないと。
 こんなこと許されていいんでしょうか。これ、大臣に。

○国務大臣(加藤勝信君) 個別案件についてここで答弁するのは差し控えさせていただきたいと思いますが、(発言する者あり)一般論でということでございますから一般論でお話しさせていただきますが、無期転換後の労働条件については原則として有期労働契約の下での労働条件と同一のものとすること、これは法定されているところであります。
 その上で、労働契約の内容として労働時間が具体的に定められている場合、その労働時間を削減することは労働条件の不利益変更に当たると考えており、労働契約法第八条において、労働条件の変更は労使の合意により行うことができるとされています。労働者と合意することなく使用者が一方的に労働時間を削減することは民事上無効と判断される可能性があるものと認識をしております。
 労使でこのような紛争が生じた場合、その解決のため、労働局では相談や助言、紛争調整委員会によるあっせんを行っており、こうした制度を御利用いただくことが可能となっているところでございます。

○倉林明子君 いや、実際にこういう事例が起こっていて相談も増えているということで労働組合からも伺っています。
 今の、不利益変更、望ましくないと、で、同一のものと法定されていると、そういうことを使用者側によく周知する必要があると思います。その点では通知の発出も検討願いたいと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(鈴木英二郎君) 御指摘の点につきましては、使用者側、労働者側双方に周知が十分必要だと思いますので、今後とも必要な周知を徹底してまいりたいと考えてございます。

○倉林明子君 いや、通知としてしっかり発出して考えてほしいということですけど、どうですか。

○政府参考人(鈴木英二郎君) 御指摘も、点も踏まえて検討したいと思います。

○倉林明子君 労働者はこれまでどおり働かせてほしいというのが切実な声です。無期転換を望む労働者にとって、無期転換後に不利益な条件、待遇格差があるものでも明示されていれば拒めないという可能性があるんですね、この省令改正案になれば。
 これ、歯止めというものはどこに、どこで掛けることができるんでしょうか。

○政府参考人(鈴木英二郎君) 無期転換後の労働条件につきましては、今申し上げたとおり、原則としまして有期契約、労働契約下のものと同一のものとされておりますけれども、別段定め等でありますとか就業規則や個別合意によりまして異なるものとすることはできるところでございます。ただし、この場合も就業規則の合理性や意思、自由意思に基づく両者の同意が必要となりますので、こういったことの点につきまして周知を図ること、それから、もしこういったものが守られていない場合には、先ほど大臣申し上げたとおり、紛争になりましたらあっせん等で調整するということで担保していきたいと考えてございます。

○倉林明子君 紛争になれば無効になり得る可能性はあるということだけれども、法定できちんと、法定事項としてきちんと歯止めが要るんじゃないかという観点から歯止めはあるのかと聞いたんですけれども、ちょっと今の早口で分かりにくかったので、もう一回、ごめんなさい。

○政府参考人(鈴木英二郎君) 厚生労働省としましては、労働契約法を周知する中で、職務の内容などが変更されないにもかかわらず無期転換後の労働条件を低下させることは、無期転換を円滑に進める観点から望ましくないと、これは告示等で周知、定めておるものでございますけれども、こういったものを踏まえまして周知を図ってまいりたいと考えてございます。

○倉林明子君 えっ、いや、歯止めは告示で掛けるんですか。ごめん、ちょっと、要は、こういうことがまかり通っていろいろ相談も増えているから、きっちりした歯止めが要るんじゃないかと。歯止めとなるものは何なのかと。

○政府参考人(鈴木英二郎君) 済みません、先ほど告示と申し上げましたのは、告示じゃ、周知としてこういうことを望ましくないというふうに周知しているものでございまして、こういったその周知を通じましてこういった事案が生じないように努めてまいりたいと考えてございます。

○倉林明子君 いや、周知は歯止めと違うんちゃいますか。
 きちっとルール化する、法定化するということが必要で、これ穴になって、無期転換せっかくできたんだけれども、実質的な仕事が奪われるというような状況生まれているわけですよ。
 もう一回説明できますか。

○政府参考人(鈴木英二郎君) 労働契約法自体がいわゆる民事の労働契約のルールを定めるものでございまして、基本的にはこれ強行法規ではございませんで、ルールを定める、で、労使の合意でまあそれと別段のものができるという内容でございます。したがいまして、この契約法の中で、例えば強行法規として、得たものは駄目ということを定めることについては慎重な検討が必要かなと思っております。

○倉林明子君 そうなんですよ。労働契約法で定めている限界だということですよ。だから、歯止めになり切らないんですね。現場では実際に、力関係の上で、労使の合意がなくても労働者はそういう不当な扱いを受けるという事態につながっちゃっているんですよ。
 そこで、大臣、無期転換というのは、これ労働者の権利ということで一歩進めたわけだけれども、不利益な条件や待遇の後退、これ規制するために抜本的なやっぱり見直しが必要なんだと思うんです。その点についてはいかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 今局長からお話がありましたように、そもそもこれ労働契約法の世界での話でございます。無期転換時に限らず、労働条件の不利益変更が一律に禁じられているわけではないわけで、例えば労使の個別合意により引き下げる場合等は不利益変更は可能とされているわけでありますから、そうした中で、無期転換に伴う労働条件の引上げについて特別に制限するということ、これはなかなか難しい課題があるものと承知しています。

○倉林明子君 いや、どうやって守るかということで考えないと、限界でそういうことには歯止めがないということでは困るから聞いているんですけど、どうなんですかね。

○国務大臣(加藤勝信君) いや、ですから、委員がお話のように、その制度的な枠組みでつくるということはなかなか難しいんではないか。しかし一方で、先ほど局長からお話が、申し上げたように、職務の内容などが変更されないにもかかわらず無期転換後の労働条件を低下させることは無期転換を円滑に進める観点からも望ましくない、こういった旨を周知をし、説明をしていきたいというふうに考えているところであります。

○倉林明子君 いや、通知も含めてそれ出してほしいということは要望しましたけれども、私やっぱりこの有期雇用が当たり前という働かせ方、非正規が当たり前と、こういうルール、要は正規雇用が原則から非正規への転換、有期への転換というのがこの間物すごく進んできた、それが賃金が上がらない構造の一つになっているということを強く言いたいと思うんですよ。それを会計年度任用職員とか、国でいえば期間業務職員とか、国の現場、足下でもそういう働かせ方を拡大してきているわけですよ。
 構造的な賃上げに本気で踏み込むというのであれば、こういう有期の働かせ方、そして公務現場での非正規を拡大してきたこの働かせ方、こういうところにメス入れて、思い切った賃上げ処遇の改善ということで構造的な変化をつくり出す決意で取り組んでいただきたいと。
 終わります。