倉林明子

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雇用保険 安全網広く 倉林氏、改悪法案を批判(2022/3/24 厚生労働委員会)

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は24日の参院厚生労働委員会で、雇用保険法改定案について、コロナ禍で失業給付を受給できない人が急増している実態を指摘し、セーフティーネットの拡充を求めました。

 雇用保険の対象にならない週20時間未満で働く非正規労働者は2021年平均で649万人、フリーランスは20年調査で462万人にのぼります。倉林氏は、多くの労働者がセーフティーネットからこぼれ落ちているとして認識をただしましたが、後藤茂之厚労相は答弁しませんでした。

 倉林氏は週20時間以上という雇用保険の要件の根拠を質問。後藤厚労相が「自らの賃金で生計を維持している方」が対象だと答えたのに対し倉林氏は、女性が主たる生計者になっている実態を示し、「女性は家計補助との位置づけがいまだにあることが問題だ」と批判しました。

 さらに倉林氏は、03年の法改定で、失業給付が高いと再就職時期が遅れるとの理由で基本手当日額が引き下げられたが、13年の厚労省による検証では「法改正前後で再就職時期に大きな変化はない」と指摘し基本手当日額の引き上げを要求。国庫負担を25%から2・5%へ引き下げる今回の改悪はセーフティーネット機能拡充への逆行だと批判しました。


2022年3月20日付 中日新聞・東京新聞(大図解)「失業給付」


基本手当に係る過去10年の制度改正の検証


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 質問に入ります前に、旧優生保護法の東京高裁、これ上告期限が迫っております。我々も、各党からも、上告するなという声明、談話等が出されているところです。本当に、繰り返し申し上げてまいりましたけれども、重ねて申し上げたい。上告はすべきでないと申し上げて、質問に入りたいと思います。
 最初に、雇用保険法に入る前に、取り上げてきましたねんきん定期便の談合問題について、今日、年金機構理事長も来ていただいていますので、よろしくお願いします。
 この談合についてですけれども、改めておさらいをしますと、年金機構が平成二十八年一月八日に匿名情報を受けました。入札希望十九社に聞き取りをいたしましたが、全社が否定をいたしました。そして、誓約書を取るなどして、入札を再開したのが同年の五月です。ところが、今回、公取の調査で明らかになったのは、この再開直後から令和元年十月まで談合が継続していたということだったわけですね。公正取引委員会の調査で判明したこの事実です。
 年金機構の、年金機構には内部のマニュアルとして談合情報対応要領があります。これによりますと、調査結果にかかわらず速やかに公取に通報するとしているわけですね。しかし、ただしということで、明らかに対応の必要が認められないものに該当する場合はこの限りではないと規定して、規定があるので、通報しないという判断になったんですね。この通報しないとした判断の根拠は何だったんでしょうか。

○参考人(水島藤一郎君) まず、ねんきん定期便の作成、発送業務に関しまして談合が行われていたということに関しましては、誠に憤怒の念に堪えません。対象事業者に対して、入札参加停止の措置を講じますとともに、違約金の請求、損害賠償請求を行い、損害の回復に全力を尽くしてまいる所存でございます。
 先生御指摘のとおり、年金機構におきましては談合情報対応要領がございまして、通報等が行われた場合、談合情報の提供があった場合、入札等の執行前である場合には、当該入札を停止をする、そして事実関係を調査する、また、調査終了後、その結果にかかわらず速やかに公正取引委員会に通報すると。ただし、匿名の情報であって明らかにこの対応の必要が認められないものについてはこの限りでないというルールがございます。
 平成二十八年一月八日、匿名の談合情報が寄せられました。二十八年一月二十七日に予定いたしておりました入札の執行を停止をいたしました。そして、二回にわたり対象事業者からヒアリングを行いました。その結果、匿名情報であって明らかに対応の必要がないものというふうに判断をいたしましたので、公正取引委員会に通報を行わず、入札参加者から、参加希望者から独占禁止法等に抵触する行為は行っていない旨の誓約書を提出させた上で、改めて入札手続を行ったものでございます。
 しかしながら、結果といたしまして談合が行われていたということについては極めて遺憾でございます。今般、公正取引委員会から談合情報に接した場合の対応等について適切ではなかったと改善要請がございました。これ、大変重く受け止めております。
 今後、改善要請を踏まえまして、公正取引委員会の御指導も仰ぎながら必要なルールの見直し等を適切に行ってまいる方針でございます。

○倉林明子君 いや、明らかに、この時点で通報していたら、調査が入って、早く談合が発覚できたんですよ、結果論ですけどね。
 だから、問題は、その通報しないとした判断がどうだったのかということを問うているわけです。
 二回目のヒアリング、一回、二回とヒアリングをやっているんですね。二回目のヒアリングでは、入札、落札実績や単価についての考え方及び再委託等の状況を確認しているんですよ。これ、何をどう確認したのかというのは、極めて判断の材料になっているはずなんですよ。
 私は、改めて、事業者には非公表ということでこのヒアリング調査に応じてもらっているということを伺っていますので、事業者特定できない処理をした上で、この二回目のヒアリング調査結果について報告、提出を求めたいと思います。これ、御協議願います。

○委員長(山田宏君) ただいまの件につきましては、後刻理事会にて協議をいたします。

○倉林明子君 公取は、一九九二年の年次報告書で、トッパン・ムーア株式会社ほか三名による社会保険庁発注支払通知書等貼付用シールの入札談合事件について取り上げて、勧告を受けながら談合を繰り返し行っていたということで告発を行っています。そして、二〇一〇年、年金記録を照合する業務委託に関わって、機構の職員が官製談合防止法違反容疑、情報提供を受けたNTTソルコの職員が逮捕されるという事件が発生いたしました。これ、情報提供を受けた職員は、情報漏えいした機構職員と社会保険庁時代の同僚だったんですよ。
 今回の談合事件で同様の構図がないと言い切れるのか。違反事業者に機構のOBはいなかったのか。確認しますか、確認していますか。

○参考人(水島藤一郎君) お答えをいたします。
 当機構におきましては、平成二十四年七月一日に施行いたしました日本年金機構役職員の再就職等の規制に関する取扱要領におきまして、役員及び管理職員が在職中に再就職の約束をした場合及び退職時に部長級以上の役職員であった者が離職後二年間に再就職をした場合、これは届出を行うことになっております。この届出の確認をいたしましたが、違反事業者に再就職した事実は確認をできておりません。
 なお、今回の談合事案に関しまして、事業者の職員から機構職員への口利きや働きかけが行われたという事実は指摘されておりません。

○倉林明子君 この二〇一〇年のときに、要は社会保険庁時代の同僚同士で情報を共有するという構図があって談合になっていたと、こういう大きなことが分かったのは、これ第三者検証会議でやっぱり徹底して調査したんですね、このとき。ここで分かったというふうに、記録を見る限りそうだと思うんですよ。
 私、改めて、第三者による調査、前回も求めましたけれども、これは厚労省、本気でやっていただきたいと。今日は答弁求めません。持って帰ってよう検討していただきたい。
 それでは、雇用保険法に移ります。
 三月二十日、今日、資料の一ページ目に入れて、あっ、済みません、年金、理事長はここまでです。

○委員長(山田宏君) 水島理事長は御退室をいただいて結構でございます。ありがとうございました。

○倉林明子君 東京新聞の三月二十日付けです。失業給付の特集になっております。これ、A3紙、広げていただきますと、右側に、最新のデータを基に日本の受給者が僅か受給率二割と、十年ほどその状況で推移していて、給付率はG7で最低レベルだという告発なんですね。
 そもそも受給要件に満たない、先ほど来議論あった週二十時間未満で働く非正規労働者は一体どれほどいらっしゃるのか、人数。個人事業主含むフリーランス、こういう方々も対象外です。こういう方々は喫緊で何人になっているのか、御報告ください。

○政府参考人(井上卓君) 週二十時間未満で働く非正規労働者の人数についてお答え申し上げます。
 労働力調査の結果によりますと、非正規の職員、従業員のうち、月末一週間の就業時間が一時間以上十九時間以下の人数は、二〇二一年平均で六百四十九万人となってございます。

○政府参考人(三浦章豪君) フリーランスの人数についてお尋ねございました。
 内閣官房において二〇二〇年に実施した実態調査では、フリーランスといった働き方を選択する方の数は約四百六十二万人と試算しております。

○倉林明子君 新しいところでも、これだけの失業保険の対象にならないという方々が多数存在しているんですよね。私、失業してもセーフティーネットは機能しないと、こういう事態というのがコロナ禍で本当浮き彫りになったと思うわけです。
 本会議で私、大臣に質問しました。多くの労働者がセーフティーネットからこぼれ落ちているという認識はありますかと。答弁はなかったんですよ。もう一回聞きたい。いかがでしょう。

○国務大臣(後藤茂之君) 雇用保険制度は、週所定労働時間二十時間以上の方を対象としておりまして、その趣旨は、本制度が、自らの労働による賃金で生計を維持している方が失業した場合に、失業中の生活の安定と再就職の促進を図ることを目的とした社会保険の枠組みであることによるものでございます。
 一方、週二十時間未満の労働者など、雇用保険の適用対象とならない方に対しても、無料の職業訓練と月十万円を支給する求職者支援制度など、重層的なセーフティーネットにより、安定した雇用につなげるための支援策を講じております。加えて、コロナ禍においては、求職者支援制度を利用しやすくする特例措置を設けたほか、雇用保険の被保険者以外の方も含めた雇用調整助成金の特例措置や休業支援金等を実施するなど柔軟に対応してきたところでありまして、様々な仕組みの活用を図りつつ、引き続き必要な支援に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

○倉林明子君 こぼれ落ちている人たちがいるんだというところを、私は、正面から、大臣、見て、この雇用保険、失業給付の在り方についても考えるときだと思うからこそ質問をさせていただいたんですね。深刻な事態に追い込まれていると、コロナによってですね、非正規、短時間の非正規、シフト、こういう働き方をしている方が、本当に辞めるのか、それとも週一回勤務という首の皮一枚のシフト契約を迫られると、こういう実態がコロナ禍で告発されております。女性の見えない失業者の増加、コロナ禍で急増しています。
 これ野村総研が、二〇二一年二月に、シフトを五割以上減少かつ休業手当を受け取っていない人、実質的な失業者として定義して推計しましたところ、全国の実質的な失業者は、女性で百三万人を超え、男性四十三万人を大幅に上回っておりました。もう女性不況と言われるような様相を呈したわけですよ。
 これ、女性の実質的な失業者が男性と比べて何でこんなに増えたのかと、大臣の認識をお聞かせください。

○国務大臣(後藤茂之君) 総務省の労働力調査で見ますと、新型コロナウイルス感染症等の影響を大きく受けた宿泊、飲食サービス、大変な状況でございました。そういう職場で働いていた女性の非正規雇用の方々を中心とした雇用者数の減少が顕著に見られたということは、先生の御指摘のとおりだというふうに思っております。

○倉林明子君 減少じゃなくて、何でかと聞いたんですね。(発言する者あり)あっ、結構です。
 雇用保険の対象とならない女性労働者が多くいると、こういう人たちが直ちに生活困窮になっているんですよ。大臣は、二十時間未満が対象外としている理由ということでお述べになっているんですね、雇用保険の。自らの労働による賃金で生計を維持している方について失業時に必要な給付を行い求職活動を支援するという考え方に基づいていると、こういう説明です。
 二十時間未満なら生計維持者でないという根拠は何なのかと。二十時間未満の労働者についても広く雇用保険の加入対象とすべきだと議論もありました。いかがでしょう。

○国務大臣(後藤茂之君) 雇用保険制度は、週所定労働時間が二十時間以上で、かつ三十一日以上雇用見込みがある労働者を適用対象といたしております。
 週所定労働時間が二十時間に満たない方は、労働時間がフルタイム、四十時間の半分にも満たない方であるため、雇用保険制度が、自らの労働による賃金で生計を維持している方の失業を保険事故として備えるものであるという趣旨に照らして、雇用保険適用の対象外といたしております。
 週所定労働時間が二十時間に満たない方を雇用保険の適用対象とすることについては、こうした雇用保険制度の考え方とかなり異なる働き方をする者も含まれている可能性がある。こうした方に対して一律に強制適用を行うことの是非、週二十時間未満という短時間労働者の把握に伴う事務的なコストや実現可能性の問題等、整理すべき課題が多く慎重な検討が必要であると考えております。

○倉林明子君 共働きでも、妻が働かないと生計費は賄えないと、こういう実態あるんですよ。二十時間だから生計維持者でないという説明なんだけれども、妻が失業、こうなると、直ちに生計維持に影響が出ているんですよ。シングルマザー、単身女性、まさに主たる生計者ですよ。
 でも、二十時間未満に仕事が切られちゃっているというところ、本当にあるわけですよ、起こっているんですよ。二十時間未満の仕事だと生活できないからダブルワークと、こういう人増えているんですね。その場合、失業給付から除外されているというのが今の実態なんです。女性は家計の補助と、夫がセーフティーネットになると、そんな実態が崩れてますねん。崩れてますねん。
 その場合、女性はそういう位置付けがいまだに雇用保険の中で生きているんですね。セーフティーネットとしての雇用保険の対象拡大、こういうコロナ禍の現象を踏まえて、拡大こそ求められるということを強調したい。
 さらに、平成十五年度の改正で、失業給付の基本日額、これが引下げになりました。支給期間の短縮が行われたわけです。当時の副大臣は言いました。高額の基本手当の存在によって、ともすると、ともすると再就職時、再就職より基本手当を受給するという判断が働いて、再就職時期が遅れる方が相当数存在すると。ところが、その後、調査、検証しているんですね、制度改正の検証ということで。
 基本手当に係る過去十年の制度改正の検証、そのまとめの部分を紹介していただきたい。資料は二ページ目に付けています。

○政府参考人(田中誠二君) 御指摘の資料においては、このように記載されております。
 基本手当支給終了までに就職した者の割合、就職率は、若干の経済情勢による変動はあるものの、過去十年間おおむね五割前後で推移している。平成十二年度・平成十四年度・平成十六年度の所定給付日数別に就職率を比べると、おおむね五割前後で一定している。ただし、特定受給資格者(うち所定給付日数九十から百二十日)については、就職率が四割前後となっている。また、法定賃金日額・給付率の減による就職率の低下はほぼ見られない。
 以上です。

○倉林明子君 つまり、要は、日額を高くしておくとなかなか就職しないということで、日額の引下げが十五年改正あったわけだけれども、実際経過してみると大差ないという結果が出たんですね。再就職時期が遅れると、日額高いと、こういう根拠は乏しいという調査結果なんですね。もちろん、雇用環境の変動の反映というのもあるでしょうけれども、事実としてこういう数字が出ているということは重要だと思うんです。
 今、基本日額が本当に引き下げられたことで、失業給付では食べることできないというような状況も広く生まれています。就職までの生活の安定を図るという基本手当の趣旨から見ると、私はこの日額は余りにも低いと思うんです。
 この基本日額を今本当に引き上げるということ求められていると思います。どうでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君) 労働者が失業した際に支給される基本手当については、失業中の労働者の生活保障のみを目的としたものではなくて、その早期の就職を促進することを目的として行うものだというふうに思っております。したがって、基本手当の水準は、一つには、受給者の再就職促進に及ぼす影響も考慮し、もう一つは、労働市場における再就職賃金水準とのバランスの取れた給付水準に設定される必要があるということは、これまで続けてきたとおり、答弁のとおりでございます。
 こうした考え方を踏まえまして、現在の制度を見ても、基本手当の給付水準は、離職前賃金によって五〇から八〇%の間で変動し、離職前賃金が低いほど高い給付水準を保障するという制度の仕組みになっておりまして、制度の趣旨も踏まえた適切なものというふうに考えております。
 今後の雇用保険制度における具体的な給付水準等については、その時々の雇用情勢等も踏まえ、労働政策審議会における議論も経た上で検討する必要があると考えておりまして、今後とも、雇用保険制度にセーフティーネット機能が十分果たされるよう適切に対応してまいります。

○倉林明子君 いやいや、コロナ禍で浮き彫りになったんですよ、失業給付の脆弱性が。これを、その目的にふさわしく機能させなあかんと、そういうときにやることは何かといったら、国庫負担、これを実質的には本則をこれ四十分の一にする、こんなことしたら逆行になると、充実の、申し上げて終わります。