倉林明子

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最低賃金 一律1500円以上目指せ(2021/4/6 厚生労働委員会)

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は6日の参院厚生労働委員会で、最低賃金の引き上げと全国一律最低賃金制度の実現、それに伴う中小企業への直接支援を求めました。

 最賃は2017年以来3%を目安に引き上げられてきましたが、20年度はコロナ禍における雇用維持を理由に据え置かれました。

 倉林氏は、最賃引き上げが雇用の維持につながるという内閣府経済社会総合研究所の研究を紹介し、「この結果を今後の取り組みに生かすべきだ」と求めました。田村憲久厚労相は「研究結果は生かしていきたい」と答弁。倉林氏は「雇用への負の影響が出るという方針からの大きな転換だ。菅義偉首相も経済財政諮問会議で早期に1000円を目指すと発言している」として、最賃引き上げを求めました。

 また倉林氏は、生協労連の「パート労働黒書VIII」に、時給1000円前後の最賃ではとても暮らしていけないとの声が寄せられていると紹介。全労連の最低生計費調査では、Aランクの東京とDランクの沖縄などでほとんど差がないとして、「全国どこでも1500円以上が目指すべき水準だ」と強調。最賃引き上げのために、社会保険料の減免など中小企業への直接支援を求めました。


主要国の最賃引き上げのための中小企業支援


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 質問に入る前に、午前中、打越委員そして福島委員から御指摘ありました日雇看護師派遣の解禁の問題です。
 打越さく良議員が示されました資料によりますと、まさに実体のない幽霊法人ではないかという疑いが拭い去ることできません。福島議員からも実体の確認を理事会で協議してほしいということでした。
 私は、この全容解明、一体こんな幽霊法人がなぜ規制緩和の提案ができたのか、一体この法人は何者なのか、そういう全容を解明して報告をしていただきたいと、これ一つ。
 それと、これ、こういう前提条件が崩れた下で政令は発せられているということになっております。これ、規制改革の議論そのもののやり直しが必要になってくる事案だと思うんですね。全容解明まで日雇看護師の派遣については解禁すべきではないと、これは答弁を求めておきたい。
 まずはお諮りいただいて。

○委員長(小川克巳君) 後刻理事会で協議をいたします。

○国務大臣(田村憲久君) どういう法人であったかというのは規制改革会議の方でお調べをいただきたいというふうに思います。
 実際問題、事の善しあしも含めてでありますけど、まあそれは調査は調査でしかるべく委員長が御判断をされる話だというふうに思いますけれども、我々としては手続にのっとって進めておりますので、大変申し訳ございませんが、しっかりと懸念点等々を精査した上で対応させていただきたいというふうに思っております。

○倉林明子君 全容解明、しっかり求めていきたいと思います。
 次に、老健局の宴会問題です。
 これ、二回目の緊急事態宣言発出の一月七日以降で調査を掛けていただきました結果、二件の会食が新たに判明ということです。いずれも五人以上で二時間程度に及ぶということになりました。
 そこで、厚労省が国民に呼びかけている感染リスクが高まる五つの場合と、これを避けてねという、絵柄で、絵も付けてメッセージ発しています。このうち、飲食を伴う懇親会等避けてね、二つ目、大人数、長時間に及ぶ飲食、これ避けてねと。この二つにはぴったし該当していると、こういう認識でよろしいですか。

○国務大臣(田村憲久君) 大人数、長時間は避けてくださいということでございますので、該当しているというふうに考えております。

○倉林明子君 職業安定局建設・港湾対策室、これ管理職も参加していたと、そして子ども家庭局保育課は課長補佐が参加していると。私、懲罰の軽重の話をするつもりはないんですけれど、組織全体に、そういう意味でいうと、自覚、意識、欠けていた、これ言わざるを得ないと思うんですね。
 問題は、組織に対する信頼失墜にとどまらないと。国民に対して、緊急事態が解除されたらもう飲み会オーケーと、こういうメッセージを与えてしまったというのは物すごい重大だと思っているんですよね。そういう認識はおありだと思うけど、確認したい。

○国務大臣(田村憲久君) もうそのとおりでありまして、ですから、他の案件に関してもしっかり注意させていただきました。これをもってしてまあ自由に動いていい、つまり飲み会等々をやっていいというわけではなくて、しっかりと感染防止策を取っていただく中において、大人数は避けていただいての行動をお願いいたしたいということでありまして、そういうことがあるものでありますから、地域によっては時短営業等々を行政の方からお願いもさせていただいておるわけであります。
 今般、厚生労働省のいろんな行動自体が国民の皆様方に対して誤ったメッセージを送ったとするならば、これは本当に大変申し訳ない話でございますので、それを改めさせていただいて、今までどおり感染リスクの高い行動をお避けをいただくように国民の皆様方にはお願いをさせていただきたいというふうに思っております。

○倉林明子君 やっぱり組織として、国民にやっぱり変わったと思われるような信頼回復の取組が必要だし、それはやっぱり感染拡大をいかに抑えるかと、その本気の取組が国民の信頼回復の一番の道だということを申し上げておきたいと思います。
 今日は、最低賃金について質問したいと思っているんですね。
 これ、二〇一七年以来掲げてきました三%の引上げと。これ、二〇二〇年度の改定では見送りとなりました。その理由は何だったでしょうか。

○政府参考人(吉永和生君) 御指摘のとおり、近年、最低賃金につきましては三%、あるいは三%を超える引上げが行われていたところでございますけれども、昨年につきましては、コロナ禍の中で中央最低審議会としては引上げの目安額を示すことを行わず、ただ、地方最低賃金審議会におきまして幾つかの県で引上げを行ったことから、全国で一円の引上げという状況になってございます。
 この中で引上げの額の目安を示さなかった理由といたしましては、昨年の七月二十一日に中央最低審議会の公益委員が見解を示してございますが、その中におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による現下の経済、雇用、労働者の生活への影響、中小企業・小規模事業者が置かれている厳しい状況、今後の感染症の動向の不透明さ、こうした中でも雇用の維持が最優先であることなどを踏まえ、引上げ額を目安、ことは困難であり、現行水準を維持することが適当との結論を下すに至ったとされているところでございます。

○倉林明子君 そうなんですね。雇用の維持が最優先ということで、これ見送りということになった経過だと思うんですね。コロナの中で最賃の引上げ、中小企業の事業継続と雇用維持ができなくなると、こういう使用者側の意見というのが採用された結果じゃなかったのかと思うんですね。
 二〇一九年、当時の根本厚生労働大臣が委員会の中でこんなふうに説明しています。中小企業の労働コストが増加することで経営が圧迫され、かえって雇用が失われる面があると。こういう認識だったんです、ずっとね。
 一方でですが、二〇二〇年の内閣府経済社会総合研究所、これ研究結果、六月だったと思います、発表されております。これによりますと、雇用に、賃上げですね、これが正の影響があると研究結果として指摘されております。つまり、最賃の引上げ、これ雇用の維持につながると、短期的に見るとマイナスが出る場合もあるけれど、一定の長期のスパンで見ると雇用の維持につながると。
 こうした結果を、私、今後の取組に生かすべきだと思うんだけれども、これどうですか。

○国務大臣(田村憲久君) 様々な研究ありますけれども、御指摘の研究も踏まえて、しっかりと最低賃金の検討、これに生かしていきたいと思います。
 一方で、この研究は、これ二〇〇五年から二〇一七年のものでありまして、地方、Dランクの地域ですね、地方であったということ、それから、やはり宿泊業でありますとか飲食業、こういうものの対象であった、対象といいますか、ここの一部産業において雇用が増えているということであります。
 そういうことを考えると、今コロナ禍においてこれをそのままというのは、言うなれば宿泊業でありますとか飲食業というのは一番影響を受けているところでございますから、コロナ禍においてはなかなか厳しいという中において今般のような判断になったということは御理解をいただきたいというふうに思います。

○倉林明子君 いや、総理も、三月二十二日の経済財政諮問会議で、最低賃金をより早期に全国平均千円とすることを目指すということで、コロナ禍ではあるんだけれども、今年のですよ、三月二十二日にこういう発言をされているということを私は注目して受け止めたんですね。非常に大事だと思うんです。方針が、要は雇用が維持できなくなるという考え方から、そういう意味でいうと一歩踏み込んだ発言ではないかというふうに受け止めたんですね。
 現在の最賃は全国加重平均で見ますと九百二円だったかと思います。これ、時給千円、総理も掲げた、掲げ直したということですけれども、いつまで、千円の目標っていつまで達成しようということになるんでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) これは、基本、骨太の基本方針、骨太の方針二〇二〇でも、より早期に全国加重平均一千円になることを目指すということで、この方針は堅持をいたしております。そういう意味では環境をしっかり整備しなければなりませんけれども、しっかりと最賃が上げられる環境を整備して、その上で、もうより早く、早期に全国加重平均千円を目指して我々としても努力してまいりたいというふうに考えております。

○倉林明子君 力強い御答弁ありがとうございます。
 三%の引上げでは、決して早期達成と、早期達成ということには私はなかなか難しいと思っているんです。千円を早期に目指すと総理がもう一回掲げ直したと、こういうことを受け止めてほんまに早期でやってほしいということなので、受け止めていただきたい。
 目指すこの平均千円というものはどういう水準なのかということを改めて押さえたいと思うんですね。そこで確認ですけれども、最賃法一条、これではどう規定しているでしょうか。

○政府参考人(吉永和生君) 最低賃金法第一条は最低賃金法の目的を規定しているものでございますが、条文を読み上げさせていただきますと、この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とすると、以上、記載されているところでございます。

○倉林明子君 そうなんです。国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするということなんだけれども、これ、前提として労働者の生活の安定ということも盛り込まれている規定になっているんですね。
 それでは、千円、時給千円、目指すところ千円で一体どういう状況になっているのかということで、パート労働国書ということで生協労連の方々がアンケートを取られています。そこで、実際に時給千円前後で働いておられる方々の生の声も聞き取り調査で集めていらっしゃるんですね。そうすると、どんな声が出てきているかと。時給八百八十五円、とても生活できない。さらに、時給千八十円の方、これダブルワークをしていると、それでも月ぎりぎりの生活で余裕がないと、貯金できないと、病気できないという声ですね。時給九百六十円の方、コロナ禍でトリプルワークをせざるを得なくなっていると。ダブルワークは当たり前というような実態が浮き彫りになってきています。ゆとりがないという声が切々と伝わってくるものでした。これ、労働者の生活の安定に資する基準と言えるんだろうかと、ここ問われていると思うんですね。
 そこで、全労連が全国最低生計費調査を行っております。時給で最高Aランク、これ東京ですけれども、ここでは千六百六十四円という、バスケット方式で積み上げていくとこういう額になると。じゃ、最低のD、Dランクの沖縄、ここではどうかというと、ここでもやっぱり積み上げていったら千六百四十二円と、ほぼ格差がないんですね。生計費、必要最低、最低生計費ということで積み上げるとこうなるという調査結果が出ております。
 一方、地域別最低賃金、格差二百二十一円に今なっております。
 こうした賃金格差が私これ地方経済を疲弊させていると、こういう指摘あるわけですけれども、大臣、認識いかがでしょうか。

○政府参考人(吉永和生君) 最低賃金法では、地域別最低賃金の定め方につきまして、地域における労働者の生計費、賃金、企業の賃金支払能力、この三つを考慮して、公労使三者から成る最低賃金審議会において議論して決定することとされているところでございます。厚生労働省といたしましては、地域における経済実態などを踏まえまして各都道府県における最低賃金額を決定しているものというふうに考えてございます。
 最低賃金額が先に決まってその経済状況が決まるということではございませんので、そういう意味で、最低賃金額がそのものが地域経済を疲弊させているということには当たらないのではないかと考えているところでございます。

○国務大臣(田村憲久君) 今話ありましたけれども、やはり最賃法九条の二で定まっているわけでありまして、地方の最低賃金に関しては、今話がありましたとおり、それぞれ労働者の生計費、こういうもの、それから、今言われました生計費でありますけど、あと賃金と賃金の支払能力、当然事業者の賃金の支払能力もこの中に入ってくるわけでありまして、こういうものを勘案した上でこれは話合いをしていただいて最賃審議会の方で御議論いただくという話になるわけであります。
 それは、上げれば上げるほど当然生活者の方々はそれはいいわけ、労働者はいいわけでありますが、一方で、その急激な引上げというものは、これは事業主にとってみれば非常に厳しい状況が生まれる中であって、根本大臣の話ではありませんけれども、急激に引き上げるということは、それに対して十分な対応というものが企業にもできないというわけもあるわけであります。
 ですから、私も最賃は上げていくべきだというふうに思いますが、そこはある程度バランスを取りながら上げていきませんと雇用が失われるおそれがある。特に地方等々に関しては、賃金が安いからいろんな事業を発注しているというような側面もあるやにお聞きしますから、そういうものがそうならないように対応をしっかり考えていかなきゃならないというふうに考えております。

○倉林明子君 賃金格差があるから、近傍、要は最高Aランクのところに、静岡から東京に流れ込むみたいな話も以前もあったかと思うんです。要は賃金が低いということが、最低生計費のところでいうたら、必要な額としては地域格差はほとんどないという実態調査もあるわけで、全国どこでも時給千五百円と、これ以上を目指すのが、目指すべき水準としてはここを目指していくべきだということを私は強く申し上げたいと思います。
 そこで、何かまた根本大臣の頃に認識戻っちゃったのかなと思って非常に残念……(発言する者あり)いや、その後の話もして、内閣府の研究もあって、そういう意味でいうと、雇用の維持には正の方向性も出ているんだということで、改めて最低賃金の水準引上げということの意味が、一つの検証ですけれども、大きいなと思っているんです。
 そこも踏まえて、要は中小企業のところで一遍に引き上げるといっても無理なんです、確かに。じゃ、そこを本当どうするかということで、かつて私も紹介したことあるんですけど、資料でお付けしました。
 これ各国で、やっぱり最賃引き上げて千五百円以上というところが各国で広がっています。それを担保したのは何かというと、こういう中小企業支援なんですね。フランス、韓国、アメリカということで見ますと、日本は、これ線引いているんですけど、小そうて、いかに規模感が違うかというのが分かると思うんです。
 私、日本の中小企業支援策、賃上げに向けてということで、やっていないとは言いませんけど、余りにも少ないと思うんです。ここにしっかり、最賃引上げをしてもらおうと思えば、各国がやっているような社会保険料を思い切って免除するとか、さらに消費税、これは担当じゃないとおっしゃるかもしれないけれども、消費税の負担というものも企業に重くのしかかっております。この減免措置にも踏み込むべきではないかと。思い切った早期の賃上げのためにも必要ではないか。はい、いかがでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) やはり、賃金を上げるということにおいて非常に重要なのは労働生産性が上がるということでありまして、付加価値が増えないことには賃金も払えないということでございますので、そういう意味では生産性をどう上げるか。
 そういう意味からすると、この八十七億円がちょっとどの数字なのかちょっと私よく分からないんですけれども、業務改善助成金、これに関しては確かにそれほど大きな額ではございませんが、ただ、他の省庁の例えばものづくり補助金でありますとか持続化補助金、IT補助金、こういうものを合わせて二千三百億円ぐらい、中小企業庁、補助金出しておるということでございます。かなり大きな金額の下で生産性を上げるためのいろんな支援をさせていただいておるというふうに思っております。
 一方で、賃金上げるためにいろんな助成という形になると、毎年毎年助成額を増やしていかなきゃいけない。つまり、去年払ったものに更に次の年上げれば、それプラス次の年渡さないと増えていかないわけでありまして、これ自体、国が賃金上昇分を、まあ税でやるのか社会保険料でやるのか分かりませんが、その分だけずっと見ていくというのは事実上持続性は多分ないんだろうと思いますので、そういう意味では、労働生産性を上げるためのいろんな支援というものが私は賃金を上げていくためには最もいいのではないかというふうに考えております。

○倉林明子君 フランスなんかでもそうだったんですけど、やっぱり期限を切って、アメリカでもそうでした。期限切って支援ということで賃上げの誘導をしてきたという経過あります。それに、全額全部いつまでもという発想だと、いつまでも支援、大規模な支援にも踏み込めないということでもあります。やっぱり最低賃金千五百円以上というところを世界標準で目指して取り組んでいただきたい。
 支援の強化を強く求めまして、終わります。