倉林明子

倉林明子

メルマガ登録

雇用促進法 障害者入れ検証を 水増し問題 倉林氏に参考人 / 就労後支援 政府に責任 障害者雇用 倉林氏 検証求める(2019/6/4 厚生労働委員会)

(議事録は後日更新いたします)

 日本共産党の倉林明子議員は参院厚生労働委員会で4日、障害者雇用率を水増ししてきた政府に対し、障害者雇用促進とともに、就労後の相談・支援体制の確立へ責任を果たすよう求めました。

 倉林氏は、障害のある人とそうでない人の均等な機会を確保する「合理的配慮」や差別に関する労働局への相談件数は直近で242件にとどまり、窓口の活用が進んでいないと指摘。障害者が国家公務員の場合、合理的配慮や差別に関し行政上の措置を求める公平審査制度があるものの、人事院の鈴木敏之公平審査局審議官は、2016~18年度の不利益処分に関する審査請求はわずか5件だと答弁。倉林氏は「合理的配慮につながる制度として運用されているか検証し、見直すべき」と求めました。

 さらに、民間企業で働く障害者には、事業主の拠出金を活用した支援制度があるのに対し、公務員にはそうした制度がないと言及。通勤の移動支援に加え、トイレや食事などの生活支援は喫緊の課題であり「障害福祉サービスを就労でも使えるようにすべき」と求めました。根本匠厚労相は「検討する」との答弁にとどまり、倉林氏は「水増しをした上に、採用後の合理的配慮もないというのは、二重の裏切りになる」と批判しました。


 参院厚生労働委員会は4日、障害者雇用促進法改正案の参考人質疑を行いました。

 日本身体障害者団体連合会の阿部一彦会長は、各府省で昨年10月以降採用された障害者2518人のうち131人が離職した要因の究明を求め、職場定着・継続雇用のため「職場に慣れるまで定期的に話し合い、その後も相談できる仕組みが必要」と述べました。

 全日本ろうあ連盟の石野富志三郎理事長は「民間でも積極的に障害者が採用されるよう改善を」と求めました。

 中央省庁での障害者雇用率の水増し問題では、NPO法人「わっぱの会」の斎藤縣三理事長が「政府による障害者雇用率の大偽装だ」と指摘しました。

 日本共産党の倉林明子議員は、水増しの全容解明と当事者参加で検証のやり直しが必要ではないかと質問しました。

 田園調布学園大学の中川正俊教授(労働政策審議会障害者雇用分科会委員)は、意図的水増しと証明はされていないが「黒に近いグレーという印象」と疑念を示し、検証で「当事者からちゃんと聞き取りをすべき」だと陳述。日本盲人会連合の竹下義樹会長は「役所が、障害者とともに働くという意識をもっていなかったことが最大の原因」と指摘しました。


議事録を読む(未定稿)(参考人質疑)
(この会議録は未定稿です)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子でございます。
 今日は、参考人の皆さんから貴重な御意見いただきまして、本当にありがとうございます。
 そして、今日は、皆さん、障害の当事者であられたり、そして当事者団体ということで、実態もよく御存じの皆さんに来ていただいたということに感謝したいと思います。
 その上で、今回の法改正は、既にお話もあったとおり、昨年発覚いたしました障害者雇用率水増しと、先ほど斎藤参考人からは政府による雇用率の一大偽装と、本当にそのとおりだというふうに思っておりまして、改めてこの問題の全容解明というものがされたというふうに思えていないんです、私のところでも。
 そこで、全容解明されたというふうに受け止めておられるのか、改めてその障害当事者が参加した上での検証のやり直しというのが必要だというふうに思っておりまして、五人の皆さんからそれぞれに思いをお聞かせいただければと思います。中川先生から。

○参考人(中川正俊君) 中川でございます。
 御質問、ありがとうございました。
 調査において、やはり時間的な制約もございまして、あとはその当事者にやはりちゃんと意見を聞かなかったというところが私も十分問題かなと思います。
 それから、恣意的であったが意図的ではなかったということですので、意図的でなかったとは報告書にはやっぱり表現されていませんで、意図的とはやっぱり証明できなかったわけですね。これは人の心の中の問題ですので、例えば、あなた意図的にルール違反を意図していましたかと聞かれて、していましたと言う方は、これはいらっしゃらないわけでして、そういう意味では人の中の問題ということで、やはり詰め切れなかったところがあろうかなと思います。
 やはり私の印象としてはかなり黒に近いグレーという印象がありまして、先生御指摘のとおりに、やはり当事者からちゃんと聞き取りをすべきだなと私も考えております。
 以上です。

○参考人(阿部一彦君) ありがとうございます。
 私も、原因の究明というか、詳細についてはもっともっと深く、深める必要があると思いまして、その中に当事者の視点とおっしゃっていただきましたけれども、私たちの様々な体験、障害があっての体験を踏まえた検討というのはすごく大きいことだと思います。
 そのことによって、例えば、これは私たちが思っていることですけれども、障害者手帳に対する偏見というのがあるのかどうか、もしかして手帳を持っていることが昇進とかの妨げになっているというような思い込みなどがあるかもしれないのではないかなども含めて、私たちの体験から考えるところも多うございますので、そのような視点からの、原因のといいますか、要因の解明というのはまだまだ進んではいないことだと思います。
 そのことによってこれからのより良い就労につながることありますので、しっかりと検討すべきではないかと思っていることを申し上げます。
 ありがとうございます。

○参考人(竹下義樹君) ありがとうございます。
 この検証を進めた先生方は努力されたと思うんですけれども、私は、申し訳ないけれども、この報告書を見ていて非常に残念であり、不満足な思いをしております。
 それは幾つもあるわけですが、一つには、その人たち自身が障害者雇用の理解があった方がなったんだろうかというふうに、非常に失礼かもしれませんが、思っております。なぜならば、今回の水増し問題の内容を見ておりますと、障害というものを理解した上で問題点を整理したんだろうかと思わざるを得ないからであります。その点で、障害雇用、あるいは障害者というものの理解を十分にしていただいた上で検証すべきではなかったか。
 二番目には、今回の検証を通じて十分なものでなかったことが、今後に僕は汚点を残してはならないと思うわけです。すなわち、検証が十分であればあるほど問題点が今後の改善につながるわけですから、この検証の作業で終わったということに絶対しないでいただきたいというのが二点目でございます。
 三点目には、今回、この検証を通じて分かったことも、あるいは見えなかった部分はあるかもしれませんが、この現に起こった水増し問題というのは、私は障害者に対する無理解又は、その企業といいますか、失礼、役所自身が障害者と共に働くという意識を持っていなかったことが最大の原因だと思っているわけです。
 その点をも含めた今後の意識の問題をも掘り下げた形での検証をしていただくことをお願いしたいと思っております。

○参考人(石野富志三郎君)(手話通訳) 先ほど意見を述べましたが少し時間がありませんでしたので、先ほどの手紙を少し御紹介させていただきたいと思います。
 国家公務員になった聞こえない方です。頑張って働いて係長まで昇進をしたけれども、残念ながら係長から降格をしてしまったという話はいたしました。この御本人が言うには、コミュニケーションの手段が確立できないまま、聴覚障害者の特性を理解した上で評価をしてもらえなかったということです。ですので、二度と自分のような事例を起こしてほしくないというふうにもおっしゃっています。国家公務員でも働きやすい環境づくりというのが最優先に考えられるべきだと思っております。
 もう一つ、昨年障害者の公募がありましたけれども、御説明に来られて、試験申込みのときにヒアリングがありまして、合理的配慮は何が必要かというふうに書くものだと思います。当然手話通訳、要約筆記が必要というふうに書こうと思っても、残念ながらその項目がありませんでした。
 もっと不思議なのが、補聴器のメーカーを書くようになっていました。なぜ補聴器のメーカーまで書かなければいけないのかというふうに担当官に聞いても、それは回答がありませんでした。補聴器のメーカーといっても、例えば眼鏡のメーカーを書くでしょうか。わざわざ補聴器のメーカーまでなぜ書かなければいけないのか、理解ができないままそのときはもう話が終わってしまいました。このようなことがないように考えていただきたいと思います。
 衆議院の附帯決議を読みました。確かに、視覚障害、聴覚障害と細かく書いてあります。それはもっともだと思います。特に言いたいことは、情報アクセシビリティーの面をもっと検討していただきたい。
 以上です。

○参考人(斎藤縣三君) 先ほど十分には語れなかったんですけど、私はもう全容解明どころか、全く、一分たりとも解明されていないというふうに認識しております。
 というのは、要するに、この雇用の偽装というのは全て身体障害者を対象に行われているわけですね。誰が身体障害者なのかというのは身体障害者等級表ということで明確に規定されているわけであって、これを頭のいい公務員の方々が分からなかったなんということはあり得ないわけでありまして、ですから、そういうカウントを間違えたとか認識不足だったとかガイドラインを理解していなかったというのは、これはもう本当に言い訳だけなんですね。
 だから、何でこんな事態が起きたということが最大の問題なわけでありまして、竹下参考人も申し上げたように、要するに政府機関の方々が障害者をしっかり受け止めて雇おうという気持ちが、一緒に仲間として迎え入れようという気持ちが全く欠落していたということが私は最大の問題だと思っております。そういう意味で、今日申し上げた法制定時の職業安定局長のお気持ちが全く継承されていない、共有されていない、そういうことに尽きるんではないかというふうに思いますので、本当に一から公務員の方々が障害者を受け入れるということはどういうことなのかと研修していただきたい。
 ここで、今日言わなかったことで、例えば名古屋国税局は障害者を、精神障害の方を雇われたわけで、その方は私どもが支援している方だったわけですけれども、その人たちはやっぱり非常に不安を持っていますので是非支援を継続してほしいというふうにこちらは頼まれたんですけれども、国税局の方にそれを申し上げたら、もう支援は結構ですというふうに、こう言われちゃうわけですね。別にお金が欲しいと言っているわけじゃなくて、無償でこちらが支援しますと言っても、結構ですというふうに断られるわけで、結局、外部の人を職場の中に入れたくないというみたいな気持ちが強いのかなというふうになって、それでは本当にいい障害者雇用というのは進まないと思いますので、本当になぜこういうことが起きたかというところを徹底的に解明していただきたい。
 そのためには、竹下参考人も言われたように障害者が参加してきちっとした検証委員会をつくるべきであって、前の検証委員会というのは本当に司法関係の人が中心になってやっているわけで、その人たちがどこまで障害者のことを理解しているのかというと、とても私は疑わしいというふうに思っております。

○倉林明子君 時間になりましたので、皆さんの発言をしっかり重く受け止めて審議に臨みたいと思います。
 ありがとうございました。


議事録を読む(未定稿)(対政府質疑)
(この会議録は未定稿です)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 初めに、本当に野党が出席できないというような状況で委員会を再開ということになったということについては強く抗議したいと思うんです。参考人の質疑の後に深める議論をやりたいという、かねてより要望もしておりましたところでして、その点では、筆頭間の協議は成り立たないといった場合、強引に委員会を開くという判断については到底納得できませんので、その分強く抗議をいたしまして、質疑に入りたいと思います。
 前回の質疑で、障害者の就労における差別や合理的配慮に関わる労働局への相談件数等の利用実績というものについて非公表だということで、当初でしたけれども、集計取っているものだから提出できない理由はないということで求めましたところ、御提出いただきました。
 そして、その中身についてなんですけれども、確認させてください。全国の労働局の合計でも、直近で見ますと相談件数は二百四十二件ということで、決して多いと言えないと思うんですね。それでも、相談件数というのは一・三倍、増加傾向にあります。そして、その中で合理的配慮に関する相談は、二〇一八年度で百八十二件とおよそ二倍に増えております。
 二〇一八年度の助言、指導、勧告の件数及び紛争解決援助、そして調停、これそれぞれ何件になっているでしょうか。

○政府参考人(土屋喜久君) お答え申し上げます。
 御指摘の二〇一八年度における差別禁止ないしは合理的配慮に関する労働局の業務の実績として、まず助言につきましては四十四件、指導が三件、勧告はゼロ件でございます。紛争解決援助が二十四件、調停が五件となっております。

○倉林明子君 これ前年度と比べてみますと、助言では二倍、そして指導はゼロから三件ということで増加、紛争解決援助ということでいうとこれは七倍ということで、確かに増加傾向にはあると。しかし、全国の労働局が就労している障害者の相談窓口ということで、まだまだやっぱり認知もされていないし、活用されているとは言い難いと思うわけですね。
 過去三年間、この調停件数の総数というのは、三年足しても僅か十件です。そして、この調停によって一体障害者の救済に結果つながるものとなったのかどうか、つかんでおいででしょうか。

○政府参考人(土屋喜久君) 調停の制度は、障害者に対する差別の禁止や合理的配慮の提供に関しまして事業主と障害者の間での話合いが円滑に進まず、紛争に発展した場合、障害者雇用促進法に基づきまして、紛争の解決を両当事者間の意見を尊重しつつ、司法制度に比較して迅速、簡便に行うことができる行政サービスとして設けているものでございます。
 関係当事者からの要請を受けて開催をされる調停会議におきましては、関係当事者への事情聴取や意見聴取を行いまして、必要に応じて参考人等からの意見を聴取した上で調停案を作成し、調停案の受諾を勧告を行うことになっております。
 実績でございますが、先ほどお話ございましたように、調停の申請受理件数はここ三年で、二十八年度が二件、二十九年度が三件、三十年度が五件でございますけれども、これに対して受諾がされた件数は、それぞれゼロ件、一件、一件となっている状況でございます。
 今後とも、この調停制度の周知を図りますとともに、これらの案件の内容もよく分析をいたしまして、早期の解決に通じた障害者の救済につながるように努力してまいりたいというふうに思っております。

○倉林明子君 この制度というのが本当に権利擁護につながっているものとなっているのか、その中身の検証ということも本当に十分求められると思うし、現状で機能していない、そういう数になっているんじゃないかと、これは指摘をしたいと思います。
 障害者がこれ国家公務員の場合はどうなるか。合理的配慮や差別に対し、苦情相談や勤務条件に関して行政上の措置を求めることができる、これが公平審査制度があるということでお答えもいただいております。
 そこで、確認したいと思います。
 障害者である国家公務員が公平審査制度を活用した件数及び相談件数、これ何件になっているでしょうか。直近の実績でお答えください。

○政府参考人(鈴木敏之君) お答え申し上げます。
 公平審査制度及び苦情相談制度におきましては、基本的に、本人に対して障害者であるかの確認は行っておりませんが、平成二十八年度から平成三十年度までの三年間で、障害者の勤務条件に関してこれらの制度の活用状況を明らかな限りで申し上げますと、不利益処分についての審査請求が平成二十八年度に一件、平成二十九年度及び平成三十年度に各二件の計五件、勤務条件に関する行政措置の要求が平成二十三年度に二件、給与の決定に関する審査の申立てが平成二十九年度及び平成三十年度に各一件の計二件となっております。
 次に、人事院に寄せられた苦情相談につきましては、平成二十八年度に五件、平成二十九年度に十件、平成三十年度に二十三件の計三十八件となっております。

○倉林明子君 今の数字、御報告いただきましたけど、やっぱり少ないんですよね。当事者からの統計取っていないということで、家族なのか職場の人なのか、それについてはよく分からないんですよね、相談された人が誰かということで。障害者本人からということで集計取っていないということでお聞きしましたので。
 これ、障害者による請求と相談というのが一体どれだけあって、その要求が要は解決に、適切な解決に至ったということではつかんでいるんでしょうか。どうぞ。

○政府参考人(鈴木敏之君) 平成二十八年度から三十年度までの三年間におきまして、不利益処分についての審査請求があった五件につきましては、処分承認及び処分取消しが各一件、審査中が三件、勤務条件に関する行政措置の要求があった二件につきましてはいずれも却下、給与の決定に関する審査の申立てがあった二件につきましては棄却及び審査中が各一件となっております。
 また、人事院に寄せられた苦情相談につきましては、相談件数三十八件のうち、事情を聴取しアドバイスしたものが二十九件と大半を占めておりますが、そのほかに、制度等の説明を行ったものが五件、相談者の意向を踏まえて申出内容を当局に伝えたもの及び申出内容を当局に伝え調査等の対応を求めたものが各二件となっております。

○倉林明子君 僅か数件あったということなんだけれども、私、ここで確認したいと思ったのは、いいですか、合理的配慮については、これが担保している制度なんだと、要は、苦情も含めて、合理的配慮を取ってほしいと言って、取られていないと、じゃ、ここに持ち込みなさいという制度なんだけど、合理的配慮について、じゃ、前進につながった、そこ知りたいんですよ、機能しているかどうかということで、確認したかったのは。どうですか。

○政府参考人(鈴木敏之君) 例えば、先ほど申しました公平審査制度の不利益処分につきましては、数は少ないですけれども、処分を取り消したものが一件ということで、まず……(発言する者あり)ものもございます。
 また、相談につきましても、例えば当局に申出内容を伝えて対応をお願いしたものにつきましては、例えば、その方が合理的配慮を求める中で、仕事の割り振りを調整してほしいんだけどなかなか自分では相談できないということで、そうしたものにつきましては、人事院の方から相談者の所属している当局にお話をつなぎまして、仕事の割り振りとかを皆で協力して分担してもらって解決に至ったものなど、確かに数は、すぎませんけど、解決につながっているものというものもそれなりに出ているところでございます。

○倉林明子君 今の一例というのは、まさしく合理的配慮につながった例であろうかと思います。数少ないですから、全部、どういうものだったのかということも含めて、合理的配慮につながるような制度として運用されているのかどうか、検証、そして使いやすいものになるように、合理的配慮につながるようにということで、見直しも必要だということは指摘したいと思います。
 その上で、昨年十一月、衆議院の厚生労働委員会で意見陳述されました三橋参考人、自ら障害当事者でもありまして、地方公務員として三十五年の経験をお持ちの方でした。肢体障害を持つ国家公務員からの相談があったということを紹介されておりまして、職場のパワハラについてどこに相談しても上司に相談しろと言われたと。パワハラは上司からのものだったので、もう相談しようがないわけですよね。国家公務員の障害者の相談に対応する部門がないとその参考人おっしゃっていたんですね。公平制度あるというんだけれども、実際に職場でこういうことに対応できていないということは、私は十分参考人の意見も含めて指摘しておきたいというふうに思います。
 そこで、水増し事件を受けて公務の職場に相談員を配置するというふうになったわけだけれども、障害者の職業生活相談員、これ今度法律で義務ということになりますが、現状、既に障害者の採用始まっているわけですから、実質的に配置も始まっていることかと承知をしております。
 そこで、この相談員の配置状況というのは、現在何人まで配置が進んでいるのか、そしてどこまで増やす計画か、そしてこれまでに寄せられている障害者の相談件数というのは把握しているかどうか。どうですか。

○政府参考人(土屋喜久君) 障害者が活躍しやすい職場づくりを進めていくという観点からも、今御指摘がありましたように、働く障害者の方からの相談を受け付ける窓口というのを組織の中に置くというのは大変大事なことだというふうに思います。
 この点については、関係閣僚会議で昨年十月に策定をした基本方針の中に定めてございまして、障害者本人からの相談を受け付ける相談員を職員の中から選任し配置すること等により、速やかに相談体制を整備すると、こうなっております。
 これを受けて、各省からの報告に基づきますと、この基本方針を受けて相談員を配置をしている機関は、現時点で二十九の府省において配置ができていると、こういう状況でございまして、なお、配置している人数や相談件数については、恐縮ですが、現時点で数字が把握できていないところでございます。
 この上で、今回の法案の中では、これも今御指摘ございましたように、障害者職業生活相談員の配置を義務付けをさせていただいております。雇用する障害者が五人以上の場合に事業所に一人の選任が義務付けられますが、事業所の規模や障害者の数、障害の種類などに応じまして複数の選任を現在でも民間に求めている状況にございまして、国や地方公共団体についても同様の取扱いを求め、体制の充実を図られるようにしていきたいというふうに思っております。

○倉林明子君 いや、現状のところで必要数というのは出てくると思うんですよね。現状の、採用計画で採用してきた、今年度の採用人数までは数字出ているわけですから。そうすると、相談員の配置も、行ってどの程度になるのかということも必要になるし、既にそういう人たちに対しては必要な教育、必要な研修というものもしていくということになると思うんですね。来られてからの研修じゃなくて、しっかりそれに対応できるような準備ということでも進める必要があるというふうに思いますので、その点は指摘にとどめたいと思う。数字もはっきりして取組を前倒しで進めていただきたいということです。
 そこで、民間でも公務でも、これ大臣にお聞きしたいんですけれども、就労する障害者に、六番目の質問です。民間でも公務でも、就労する障害者に対する差別あるいは合理的配慮がなされないというようなことはあってはならないと、これ、基本的な考え方として、大臣、共有できると思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) 我が国が平成十九年九月に署名した障害者権利条約、これは、労働・雇用分野においては、公共、民間部門での雇用促進などのほか、あらゆる形態の雇用に係る全ての事項に関する障害を理由とする差別の禁止、職場において合理的配慮が提供されることの確保などのために適当な措置をとるべきことを規定しています。
 この障害者権利条約の批准に向けた国内法の整備として、平成二十五年六月に障害者雇用促進法を改正し、障害者に対する差別禁止、合理的配慮の提供義務等について規定をいたしました。この法改正によって、障害者に対して障害者でない者と均等な機会を与え、障害者の特性に配慮した必要な措置を講じ、雇用促進、職場定着を図ることといたしました。
 今後とも、法の趣旨が徹底され、一人でも多くの障害者がその能力を十分に発揮できるよう、企業に対して障害者差別の禁止や合理的配慮の提供に関する周知徹底、理解促進に努めていきたいと思います。
 また、公的機関における障害者の差別禁止及び合理的配慮の提供義務についても人事院及び総務省と必要な連携を図って、障害者の雇用促進、職場定着に取り組んでいきたいと考えております。

○倉林明子君 いや、法律の説明を求めたんじゃなくて、公務と民間って違うんですよね。だから、違うというのは、今お述べになったように法の立て付けが違うでしょう。だからあえて聞いたんです。公務と民間、いずれにおいても、障害者の就労に対して合理的配慮がされないとか差別をすることがあってはならないと。これ、公務も民間もその基本は同じですよねということを聞いたんです。どうでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) それは、民間もあるいは公務部門もそこは一緒です。

○倉林明子君 民間で働く障害者には期限や制限はあるんだけれども、納付金を活用した、使える制度がある。しかし、公務員にはこれ活用できる制度はないということで、これ議論もかなり出ていた部分であります。
 就労継続に必要な通勤そして勤務の際に介助が必要という障害者に対して、これ、政府は合理的配慮の措置を行うと、この責任があるわけですね。採用は既に始まっております。そして、採用には当事者からの申入れもあって条件を付けないということでの努力された、それは参考人質疑でも評価の声が上がっておりました。衆議院では、この度採用した障害者に対して通勤及び職場内の介助について国が対応すると局長答弁されていますよね、必要な支援員を確保すると、国の責任でと、これでよろしいでしょうか。

○政府参考人(土屋喜久君) 各府省で勤務に当たって何らかのサポートを必要とする障害者の方を採用する場合には、その支援といったものを各府省の中で、例えば職員の中から支援者を決めるとか、外部から個別支援者を委嘱をするとか、ハローワークに配置している支援者などを活用していただくなど、いずれかの手段によってその支援を確保するということを各府省において行っていただくということだと思っております。
 必要な支援については、やはり個々の事情や障害特性によって異なる部分がございますので、御本人からの申出や意向を十分に踏まえて話合いの中で決めていく、提供されていくということが大切ではないかなというふうに思っております。

○倉林明子君 いや、大切なので聞いているんです。きちんと本当に必要な支援員、確保できるのかと。必要な場合の支援員の確保の担保というのは各府省の判断ですか。それとも、それについては合理的配慮がきちんとなされているかということの判断も踏まえて支援員の確保というのは担保されるのか。これ、採用した障害者の就労継続を担保できるかどうかに関わってくる問題なので、答えていただきたい。

○政府参考人(土屋喜久君) 基本的には、各府省において、今申し上げましたように個々の事情にも応じてどのような支援が必要かということをお考えをいただいて確保していくということだと思いますし、また、そのために予算が必要であるという場合には、各府省において必要な予算を確保していくということではないかと思います。
 ただ、そういった中で、どういった課題があるかということについては私どもとしてもフォローアップの中で把握をさせていただき、私どもとしてできる支援も申し上げ、全体としてそういったことが進むように努力をしていきたいと考えております。

○倉林明子君 いや、努力ではあかんので、就労継続、しっかり確保できるようにする、それは、水増ししてきた政府だからこそ、その責任が問われるということを強く申し上げたい。
 今年五月、JDF、日本障害フォーラムが作成した国連の障害者権利委員会に向けたパラレルレポート、まとまっております。これ、労働行政と福祉行政の分断という課題が提起されているわけですが、働く意欲や能力があるにもかかわらず、通勤のための移動支援がない、又は働いている間はトイレや食事等のための生活支援が受けられないために、働くことを諦めざるを得ない人がいる。とりわけ、公務部門で働く障害者には活用できる生活支援制度が全くない。与党議員からも指摘もあったように、就労障害者に生活支援が使えない、ここを本当に解決していかないと、府省任せというようなことに絶対してはならないということだと思うんです。
 改めて、この矛盾を解決するためにも、障害福祉サービスを就労でも使えるようにする、こういう検討に早急に踏み込むべきだと思う。いかがでしょうか。

○政府参考人(橋本泰宏君) お答えいたします。
 障害のある方が活躍することのできる社会を築いていくということは大変重要な課題でございますし、一方で、障害者の通勤支援や職場における介助につきましては事業主に対する助成措置は講じられておりますけれども、通勤や職場内における支援を個人給付である障害福祉サービスの対象とすることにつきましては、個人の経済活動に関する支援を公費で負担するべきなのかどうか、また、障害者差別解消法の施行によりまして事業者による合理的配慮が求められている中で、障害者を雇用する事業者が合理的配慮として対応すべきかどうかと、こういった課題がございますので、現段階では慎重な対応が必要というふうに考えてございます。
 こういった課題がある中でどのような対応ができるかということにつきましては、今後、厚労省の中で労働、福祉等の関係部局の連携ということで、体制を整備しながら検討したいというふうに考えてございます。

○倉林明子君 いや、そんな悠長な話していてええんやろかと思うんですよ。
 それは民間のところはあるんですよ、まだ不十分とはいえ。公務ないんですよ。こういうところに、水増し問題の反省踏まえたら、きちっとやると、そういうことで臨まぬとあかんの違いますかね。大臣、どうです。

○国務大臣(根本匠君) 障害のある方が活躍することのできる社会を築いていく、これは重要な課題であると思います。
 今のテーマについては、今部長から答弁をいたしましたが、やはりここは、障害者の通勤支援や職場における介助、これについては事業主に対する措置は講じられておりますが、通勤や職場内における支援を個人給付である障害者福祉サービスの対象とするかどうか、これはもう既に答弁したとおり、様々な課題がありますので慎重な対応が必要と考えておりますが、このような課題がある中でどのような対応ができるか、これについては、今後、厚生労働省内に労働や福祉等の関係部局の連携に向けて体制を整備して、ここで検討したいと思っております。

○倉林明子君 いや、もう公務部門での採用は既に始まっているんです。入口では条件付けずに、じゃ、入ったら配慮なしと、こういうことになることを一番懸念しているわけですよ。障害者に対する配慮がなかったと、結局辞めざるを得なかったと。こんなことをしたら、水増しで裏切り、そして採用した上、合理的配慮がなくて裏切る。二重の裏切りになるんじゃないかという指摘なんです。こんなこと断じて認められないので、政府として責任を果たすと、こういうことを強く求めたいと思います。大臣、よろしいですか。ここ、いいです。よく考えてほしい。
 こうした官民の格差というものの背景に二〇一五年の法改正あったと思うんですね。民間に対しては雇用の分野での合理的配慮を義務化された、しかし公務部門は適用外となったままとなっております。地方も含む公務にも障害者雇用に差別禁止、合理的配慮、これは法的根拠がはっきりないこと、本当問題だと思っているんです。明確にすべきではないかと思う。短くお願いします。

○政府参考人(土屋喜久君) 公務部門の差別禁止、合理的配慮につきましては、公務員の勤務条件、法律で定められているなどの独自の法体系が存在することから、それぞれの法制度の中で対応が図られているものと認識しております。
 国家公務員と地方公務員で少し違いはございますけれども、それぞれ国家公務員法、地方公務員法にも規定がございますので、この公務員法制の下で対応を行っていくことが適当であり、また、国家公務員に関しましては、昨年十月の基本方針に基づいて人事院が既に合理的配慮に関する指針を整備をしているというふうに承知をしているところでございます。

○倉林明子君 指針では本当に弱いんじゃないかと。結果としてこんなことが起こったんですよね、結果とは断言できませんけれども。法的な根拠で義務規定になっていないということが、一つやっぱり今回の水増し問題にも大きく影響しているんじゃないかと私は思っているんです。法的にもきちんと民間と同等に義務として位置付けるということは検討していくべきだということを強く申し上げたいと思います。
 そこで、障害者の最低賃金について、私、質問したいと思うんです。
 ハローワークの障害者向けの求人情報がありまして、時給が何と五百四十六円。これ、単純な計算ミスだったということで報告あったんだけれども、障害者雇用についてはこうした時給でも実は最低賃金法違反にならないと、こういう場合あるんですけれども、何ででしょうか。

○政府参考人(坂口卓君) お尋ねの点でございますが、最低賃金法の第七条におきましては、精神又は身体の障害により著しく労働能力が低い者などを対象に都道府県労働局長の許可を条件に最低賃金を減額して適用することを認めているところでございます。
 こういったことから、当該許可の対象となる労働者につきましては最低賃金が減額して適用されるため、当該許可において認められる減額の範囲であれば、通常の最低賃金を下回る賃金で雇用されていても最低賃金法違反とはならないというものでございます。

○倉林明子君 これ、障害者の場合、採用時は健常者と同じ水準で採用されても、採用後に障害を理由として給与の減額が認められているということになっているんですね。この際、障害者への説明義務はないんですよ。極めて差別的だと思う。
 こういうことについては見直すべきだということで、先ほど紹介したパラレルレポートでもこの問題の指摘が、提起がされています。最低賃金の減額措置ということはやっぱり見直していくべきだということを、ここは要望にとどめておきたい。
 最後に、日本の障害者が働く場、一般就労か福祉的就労かしかないんですね。一般就労でも健常者との賃金格差が容認されている。一般との関係、一般就労の中でも、先ほど最低賃金にあるように、健常者との賃金格差が容認されているだけじゃなくて、福祉就労でいいますと最低賃金の対象外、工賃だけ。障害のある人の地域生活実態調査見ますと、福祉的就労で働く障害者の年収というのは百二十二万円以下という人が八割にもなるんですね。福祉就労の場合にも労働法を適用する所得の抜本的な改善が必要になってくるというふうに思います。
 これ、ILOからも言われていることで、指摘を踏まえてどのような措置とっているのかということを最後聞いて終わりたいと思います。

○政府参考人(橋本泰宏君) 今御指摘いただきました点でございますが、二〇〇九年にILOの理事会におきまして報告書が採択されまして、その中で就労継続支援B型に関わる内容が含まれているということを承知いたしております。
 その就労継続支援B型でございますが、一般就労が困難な障害者がその適性に応じて能力を十分に発揮し、地域で自立した生活を実現するために重要なサービスというふうに考えてございます。また、そこで働く障害者の方々が地域で自立した生活を送るためには、今御指摘いただきました工賃の向上あるいは一般就労への移行といったことの取組が大変重要でございます。
 このため、私どもといたしましては、これまでもB型における工賃の向上につきまして、障害者優先調達推進法による国等の調達の促進あるいは経営コンサルタントの派遣による経営改善支援ですとか商品開発に向けた支援、障害福祉サービスの報酬において、工賃向上計画に掲げた工賃目標の達成に向けて積極的に取り組むための指導員を配置した場合の加算、あるいは実際に工賃向上につながった全国の実事例を収集、整理して、工賃向上のポイント等を情報発信する、こういった支援をさせていただいております。
 また、就労継続支援B型を利用している方であっても、意欲や能力などがある方については一般就労への移行が促進されますよう、平成三十年度の報酬改定におきましては一般就労に移行させた際の就労継続支援B型への報酬上の加算を充実させたところでございまして、今後ともこういった取組を更に進めてまいりたいと考えております。

○倉林明子君 ILOの指摘は福祉就労のところの、今のB型のところをもっと引き上げてねという水準ではないということを改めて指摘したいのと、引き続き、参考人の質疑も伺って、新たな論点も提起されているなということを強く感じています。今日の委員会の終局、採決ということには認められないということを強く申し上げて、引き続きの議論を強く要望して、終わります。