倉林明子

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北陸新幹線 延伸 着工の条件ない 環境壊し地元負担増大 / 植物園は府民の財産 京都の整備計画 撤回要求(2023/4/24 行政監視委員会)

 日本共産党の倉林明子議員は24日、参院行政監視委員会で、巨額の事業費が見込まれる北陸新幹線の敦賀―新大阪間延伸計画に不安を抱える地元住民らの声を尊重するよう要求しました。現行計画は、京都の地下に掘るトンネルによる地下水や断層への影響も懸念されています。

 倉林氏は、現在建設中の金沢―敦賀間の総事業費が1兆7000億円にのぼり、当初見込みより43%も増加し、敦賀―新大阪間の延伸部分にあてはめれば3兆~4兆円にも膨れ上がると想定されると指摘しました。

 また、着工5条件の一つの費用対効果や安定的な財源見通しは確保されているのかと質問。古川康国土交通政務官は「着工する際に確認する」と繰り返し、具体的な回答はありませんでした。

 倉林氏は、想定ルートの新駅予定地の地元首長から、地元負担で「市がつぶれてしまう」との意見が上がっていると紹介。「環境アセスメントさえできていない」「着工の条件はないことを認めるべきだ」と迫り、「京都の住民の圧倒的な声は、環境破壊と地元負担を増大させる北陸新幹線より、在来線の利便性の向上だ」と主張しました。


 日本共産党の倉林明子議員は24日、参院行政監視委員会で、国の「スタジアム・アリーナ改革」の一環として、京都府立大学体育館を商業アリーナ化し、北山エリア周辺をイベントゾーンにする「北山エリア整備基本計画」について質問しました。

 倉林氏は「既存の体育館を1万人規模の商業アリーナに建て替えて共同利用を図ろうとする事例は、全国に存在するのか」と質問。星野芳隆スポーツ庁審議官は「スタジアム・アリーナ改革に基づく全国の計画のなかでは京都府立大のアリーナ構想のみ」と答弁しました。

 倉林氏は、京都府が国の補助金でコンサルティング会社に作成させた事業概要を示し、「府立大学の敷地をまるごと“にぎわい”のエリアとして整備しようという計画だ」と指摘。日本有数の総合植物園で府民の財産である府立植物園をイベントゾーンとする構想に反対する署名が15万を超え集まっているとして、「にぎわいやイベントスペースが最も似合わないエリアだと認識すべきだ。補助金を使って推進してきた国の責任が大きく問われる」と追及しました。

 星野審議官は「府でしっかり議論していただきたい」との答弁を繰り返しました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 北陸新幹線の敦賀―新大阪間の延伸計画についてまず質問します。
 質問の前に、今年三月三十一日に工事実施計画の変更が認可された北海道新幹線、これについてまず確認したいと思います。
 総事業費の認可時、計画変更後、額はそれぞれどうなっているか、そして増加要因の主なもの、そして増えた費用額というのはどれだけになっているのか、まず御説明を。

○大臣政務官(古川康君) お答え申し上げます。
 北海道新幹線新函館北斗―札幌間につきましては、当初認可を平成二十四年に行っておりますが、その際、総事業費については一兆六千七百十四億円と見込んでいたところでございます。また、本年三月末に工事実施計画の変更を認可しておりますが、総事業費については二兆三千百五十九億円としております。
 変更の主な要因といたしましては、平成二十四年の着工以降、予期せぬ自然条件への対応、着工後に生じた関係法令改正などへの対応、着工後の関係者との協議などへの対応、着工後の経済情勢の変化への対応などが生じているところでございまして、これによって六千四百四十五億円の費用増となっております。

○倉林明子君 結果、投資に対する効果と、BバイCということになりますけれども、〇・九ということになって、開業前から赤字路線ということが見込まれております。
 本来、投資効果が、投資効果BバイCが一を上回ることがそもそもの着工条件とされているわけですが、再評価で下回ることが明らかになっても工事の継続は可能だということになっているんですけれども、その理由は何か。そして、赤字分、当然発生してくるわけですけれども、それはどこがどうやって埋めていくのか、分かりやすく御説明。

○大臣政務官(古川康君) 本年三月、前回の再評価、これは平成二十九年度に行われましたが、それから五年が経過したこと、及び昨年末、令和四年の末というところになりますが、北海道新幹線の整備に関する報告書に基づく事業費の見直しを踏まえて再評価を行いました。
 再評価につきましては、費用便益分析、いわゆるBバイCでございます、のような定量的なものもございますし、また貨幣換算が困難な効果なども含めて総合的に評価を行うこととしております。
 費用便益分析、BバイCについては、事業を継続することによる投資の効率性を評価する残事業BバイCが一・三、事業全体の投資効率性を評価する全体事業が〇・九でございました。貨幣価値、貨幣換算が困難な効果といたしましては、交流人口の拡大や輸送安定性の確保、観光面での活性化などが挙げられます。また、そのほかにも、生産性向上による生産額の増加として年間約四百五十億円が見込まれております。これらも含めて総合的に評価して、本事業については継続することが適切と判断をしたところでございます。
 また、赤字分という御質問がございました。これは、便益から費用を引いたものということではないかと思っておりますが、費用便益比は事業に関して生じます便益と費用の比率でございまして、いわゆる赤字や黒字といった収支の概念とは別のものでございます。

○倉林明子君 既に、北陸新幹線の金沢―敦賀間では、当初の総事業費は一兆一千八百五十八億円、その後二回の変更が認可されまして、今では一兆七千億にも膨らんでいるわけですね。北陸新幹線敦賀―新大阪の延伸計画は、もう地下が圧倒的な工事区間となっておりまして、更なる難工事が想定されております。
 着工五条件の、これはまだ着工されておりません、着工五条件の一つである安定的な財源見通しというものは確保されているんでしょうか。簡潔にお願いします。

○大臣政務官(古川康君) 簡潔に答弁申し上げます。
 御指摘の安定的な財源確保の見通しにつきましては、これは着工する際に確認をしていくこととなるものでございますが、令和五年度当初予算において計上いたしました北陸新幹線事業推進調査などを活用して、着工に向けた諸条件についての検討を深めてまいる所存であります。

○倉林明子君 着工前に改めてするという説明でした。
 着工の状況って、今本当に混乱を極めているのがこの北陸新幹線の敦賀―新大阪間の延伸なんですね。これ、北陸新幹線というのは、金沢―敦賀間の工事費が増えたことで、財務省からは開業後三十一年後の貸付料を前倒しで活用するというような案さえ出ているんですけれども、これJRが了解するかどうかというのを見通せません。
 続きで確認しますけれども、収支の採算性ということで、これも五条件の一つなんですけれども、三十年間の平均で収支改善効果というのはプラスと確認できるんでしょうか、現時点で。

○大臣政務官(古川康君) 御指摘の収支採算性につきましても、これもまた着工する際に確認をしていくこととなります。
 令和五年度当初予算において北陸新幹線事業推進調査を計上しておりますので、これらを活用いたしまして施工上の課題を解決するための調査を行います。着工に向けた諸条件についての検討を深めてまいります。

○倉林明子君 繰り返し十二億の話出ましたけれども、ルートさえ確定してないところなんですね。事前の調査って一体どこをするんだろうかという疑問の声が出ております。
 そこで、次、投資効果についてですけれども、BバイC、これは一上回るのかと。見通しとしてはいかがでしょうか。

○大臣政務官(古川康君) 御指摘の投資効果につきましても、これもまた同様に、着工する際に確認をいたしていくこととなります。
 この令和五年度当初予算の北陸新幹線事業推進調査などの活用によって、施工上どのような課題があるのか、それを解決するためにどのようにしていけばいいのか、こうした調査を行うことによりまして着工に向けた諸条件についての検討を深めてまいります。

○倉林明子君 現在建設中の北陸新幹線の金沢―敦賀間の総事業費というのは当初見込みよりも四三%増えたんですね。これを単純に敦賀―新大阪間の延伸部分に当てはめれば三兆円超えると。地方の自民党の議員さんからは、四兆円超えるんじゃないかという指摘も報道されておりました。
 これ、総事業費が一体どれだけになるのか、投資効果はどうなのか、変更認可の実態も踏まえて評価を事前にし直すべきだと私は思います。いかがでしょう。

○大臣政務官(古川康君) 北海道新幹線の新函館北斗―札幌間につきましては、平成二十四年の着工以降に発生をいたしました、先ほども申し上げましたが、予期せぬ自然条件や着工後の関係法令の改正、関係者との協議、資材価格の高騰などの諸課題に早い段階で対応するために、昨年、有識者会議を開催し、報告書が取りまとめられました。
 この令和五年度当初予算において計上いたしました北陸新幹線の事業推進調査におきましては、地質などの自然条件に関するものを始めとして、施工上の課題の解決のための調査を先行的、集中的に行うこととしております。総事業費や投資効果などについても着工する際に算出、確認をしていくこととなりますが、この調査等を活用して施工上の課題を解決するための調査を行いまして、着工に向けた諸条件についての検討を深めてまいります。

○倉林明子君 いや、施工上の課題というのは、どこにルートを通すかということが決まらない限り、どんな施工上の課題があるのかということは明らかにできない、調査する箇所さえも特定できないと思うんですよ。
 ところが、自民党からは新駅の提案がされております。ルートの変更まで出てきています。米原、元々あった案のルートに復活すべきだというような声まであるんですよ。そういう声が出て、新駅を設置したらどうかというところの予定地の市長は、南丹市長ですけれども、こんなことをされたら負担で市が潰れてしまうと、こういう意見まで出ているわけですね。
 もはや着工の条件はないということを早々に認めるべきじゃないかと思います。環境影響評価さえできていないんです。アセスさえできていない。京都の住民の圧倒的な声は、環境破壊と地元負担を増大させる北陸新幹線よりも、在来線の利便性の向上なんだということを強く申し上げておきたいと思います。
 次に、これも開発で大きな問題になっています京都の北山アリーナの計画についてです。
 京都府の府立大アリーナ建設というものについて、京都府の計画では、二千人規模の大学生が利用している体育館を一万人規模の商業アリーナに建て替えた上で共同利用を図るというものになっております。
 これ、全国にそうした事例があるのかということを確認したい、スポーツ庁。また、既存の大学等の学校施設の有効利用で、一万人規模というようなものが体育館施設としてあるのかどうか、いかがでしょうか。

○政府参考人(星野芳隆君) お答え申し上げます。
 スポーツ庁では、現在、経済産業省とともに、スタジアムやアリーナなどのスポーツ施設を、スポーツをすることだけではなく、スポーツを見ることや多様なイベントを行う場とすることなどにより地域のにぎわいの中心とするスタジアム・アリーナ改革を進めているところでございます。
 スポーツ庁といたしまして、体育館を含めた全国のアリーナの建て替え構想を網羅的に把握しているわけではございませんが、その上で申し上げれば、一万人規模の既存大学の体育施設を学外の活動に活用している事例につきましては、例えば福岡大学におきましては、自治体、企業、スポーツ団体とコンソーシアムを設置して、年齢や障害の有無を問わず様々なスポーツイベントを開催しているものと承知しております。さらに、収容規模は五千人規模でございますけれども、青山学院大学におきましては、体育館をプロチーム、これはバスケットボールでございますが、そのプロチームの公式戦に活用している例もあるものと承知しております。

○倉林明子君 今紹介あったのは、スポーツ庁が進めるスタジアム・アリーナ改革推進事業というものの中で見たらどうですか。

○政府参考人(星野芳隆君) スポーツ庁といたしましては、これまでスタジアム・アリーナ改革においてモデル施設の選定や構想、計画段階の支援等を実施しておりますけれども、これはそれまで十四件ございます。そのうち大学は京都府立大学一件でございます。

○倉林明子君 いろんな使い方されているアリーナ的なものはあるけれども、スポーツ庁が位置付けてスタジアム・アリーナ改革推進事業ということでやっているもの、取り上げているものを見れば、京都府立大学のこのアリーナだけだということだと思うんです。
 そこで、スポーツ庁のスタジアム・アリーナ改革推進事業によってコンサル会社が作成した事業概要がございます。これによりますと、アリーナ予定地の体育館だけじゃなくて、府立大学全体が事業候補地ということになっているんですね。
 つまり、京都府立大学丸ごとこれスタジアム、アリーナとする事業計画というふうに見えるんだけれども、そういうことではないんでしょうか。これ確認です。

○政府参考人(星野芳隆君) 京都府立大学のアリーナ構想の現状に関する御議論については承知しておりますけれども、いずれにいたしましても、スポーツ施設を地域のにぎわいの中心にするためには、一般論ではございますが、施設所有者だけでなく、スポーツチームや民間企業を始めとした地元の関係者がしっかり議論をして進めていくことが重要であると考えております。
 京都府、基本的には、本件は京都府においてしっかりと御判断いただくものと考えております。

○倉林明子君 アリーナ構想と一帯に隣接するのが府立植物園なんですね。ここをイベントゾーンということとしてしまうという開発構想が京都府から示されまして、これ、反対署名が十五万人を超えて寄せられております。地元の理解が得られているとは到底言えない状況です。
 こういう事態になっているということは認識されているでしょうか。

○政府参考人(星野芳隆君) 本件に関します報道は承知しておりますが、例えば知事の記者会見におきまして、全体の調和を図り、できる限り幅広く意見を伺った上で整備内容を決めるものと考えておりますといった御発言をされているものと承知しております。

○倉林明子君 答弁時間短くしていただくの結構なんやけど、聞き取れるぐらいのテンポでは御発言いただけると有り難い。今のは何とか聞き取れました。
 府立植物園は一九二四年にこれ造られたもので、日本で初めて公立の植物園として造られたという歴史がございまして、来年百年となります。一万本以上の樹木、一万種以上の草花が育つ日本でも有数の総合植物園となっておりまして、府民のかけがえのない宝物となっているんですね。にぎわい、商業施設、これ最も似合わないエリアでもあるんですよ。これ改めて認識すべきだと私思います。
 これ、事業として選定して改革推進事業として位置付けた国の責任も私は問われると思うんですよ。どうですか。

○政府参考人(星野芳隆君) スポーツ庁といたしまして、本件に関しまして、京都府立大学のアリーナ構想につきましてでございますけれども、その検討のために、京都府が令和元年度にスポーツ庁のスタジアム・アリーナ改革推進事業における先進事例形成支援の予算を活用したものと承知しております。
 いずれにしましても、本件の進め方に関しましては京都府の御判断によるものと考えております。

○倉林明子君 国の事業として、京都府でも、要は全国で進めたいと、それに対して府が手を挙げたという経過なんですよね。
 お話ししましたように、物すごく静かな、静かな地域なんですよ。大学もあってと、学べる環境もあると。これ、アリーナのモデルの、建設のモデルが示されると、景観も、非常に植物園からの景観も悪くなるんですね。こうしたものを持ち込むなというのが府民の声だと申し上げまして、終わります。