国は謝罪・賠償せよ 強制不妊判決で要求 / 休校助成の周知図れ 小学生感染が倍増(2022/3/16 厚生労働委員会)
日本共産党の倉林明子議員は16日の参院厚生労働委員会で、旧優生保護法のもとでの不妊強制手術を違憲と訴えた裁判で、大阪高裁に続き、東京高裁でも国の責任を認め、賠償を命じた判決が出されたとして、「ただちに謝罪し賠償に応ずるべきだ」と上告断念を求めました。
東京高裁は、19年4月の救済法施行以降に国の不法行為と認識できたとして、施行後5年間は除斥期間の適用除外とし、賠償額1500万円を命じました。一方、救済法による一時金は320万円が支給最高額です。同法での支給実績は「本年2月末で974人」(橋本泰宏・子ども家庭局長)にすぎません。
倉林氏は、支給実績が対象者の1割にも及ばないと指摘し、「高齢化している被害者の救済は待ったなしだ」と強調。救済法の見直しとともに、国の責任とした東京高裁の判断を正面から受け止め、賠償に応じるよう迫りました。
また、倉林氏は、新型コロナの影響による国民健康保険の特例減免が20年度40万件から21年度15万件と実績が伸びていないと指摘し、コロナでの減収からさらに30%減収しないと対象とならないため、「利用できない加入世帯が増えている」として、コロナ感染拡大前の収入と比較する要件に見直すよう要求しました。さらに、22年度も継続されることとなった財政支援は、これまで全額国費だったものが、保険料総額の3%未満は国費が減額されると指摘し、「要件をつけず全額国による財政支援を続けるべきだ」と迫りました。
日本共産党の倉林明子議員は16日の参院厚生労働委員会で、コロナ休校・休園による保護者の休業を補償する「小学校休業等対応助成金(休校助成金)」の周知徹底を図るよう求めました。
倉林氏は、2月の児童生徒の新型コロナウイルス感染は過去最大の20万人を超え、月別では過去最多になったと指摘。児童感染のうち小学生が13万人超で、1月から倍増の勢いだとして、「小学校休業等対応助成金のさらなる活用が求められる」と強調しました。
その上で、新年度を迎える中、休園・休校や、学級閉鎖の際に改めて対象世帯への周知徹底をするよう求めました。後藤茂之厚生労働相は、「改めて事務連絡を発出し、保護者への周知をしていく」と答弁しました。
倉林氏は、助成金制度があることがしっかり分かりやすく伝わることが必要だとした上で、「本当に急を要する事態となっている。急いで進めて頂きたい」と強く要望しました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
旧優生保護法の訴訟について私からも質問します。
さきの大阪高裁に続きまして、東京高裁の判決が出ました。被害者の人権を強く侵害し、偏見や差別を浸透させ、旧法改正後も被害に関する情報を入手できる制度の整備を怠ったという断罪をしております。長い期間がたってからの訴えであっても国の責任を不問にするのは相当ではないということで国に賠償を命じました。大阪高裁を超える判断が下されました。
大臣は、先ほど打越議員からの質問に対して、真摯な謝罪ということで表明もありました。私、その謝罪は原告にこそしっかり伝えるべきものだというふうに思います。
さらに、上告について検討しているということですけれども、上告は断念する、大阪高裁も取り下げると、賠償に直ちに応じていくべきだというふうに思います。いかがでしょうか。
○国務大臣(後藤茂之君) 旧優生保護法につきましては、この法律に基づき、あるいはこの法律の存在を背景といたしまして、多くの方が特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてこられたことについて厚生労働省として真摯に反省し、心から深くおわびを申し上げる次第でございます。そのことについてはそのとおりでございます。
平成三十一年には超党派の議連におきまして一時金支給の法律案が取りまとめられまして、国会において全会一致でこうした方々への一時金支給の法律が定められました。政府としてこのような事態を二度と繰り返さないように最大限の努力を尽くしていくとともに、立法府の総意による法律に基づきまして、一時金を円滑かつ確実に支給することでその責務を果たしてまいりたいというふうに考えております。
その上で、御指摘の訴訟につきまして、三月十一日に東京高裁において、国の控訴人に対する責任を一部認める判決が言い渡されたことは承知をしております。今後の対応については、関係省庁と判決の内容を精査しまして、法律の問題等を含めて適切に対応してまいりたいと思っております。
○倉林明子君 最大限の努力じゃないというのが裁判の判決の結果なんですよね。
東京高裁は賠償額一千五百万円ということで、これも大阪高裁を上回りました。被害者が、不妊手術、国の不法行為だとこれ認識できたのは、二〇一九年四月の救済法の施行と首相らの謝罪があったからだと踏み込んだ判断が示されました。救済法施行後五年間が除斥期間の適用除外ということです。一時金救済法、これに最大限の努力ということで触れられました。
じゃ、お聞きしたいと思います。
一時金の救済法での救済額、最高額三百二十万円ですよね。施行から三年になります。実際の支給は直近で何人になっているか、額は幾らか。
○政府参考人(橋本泰宏君) 厚生労働省におきまして、旧優生保護法の一時金支給法に基づきまして、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた方に対しまして一時金の支給を行っております。今年の二月末の現在での請求件数が千百四十五件でございまして、認定された方の数は九百七十四名となっております。
○倉林明子君 これ推計対象者で見てみますと、これ一割にも及んでいないという状況ありますし、年々申請者というのがもう減少傾向、顕著に出ております。高齢化している被害者の救済ということはもう待ったなしだと、救済法の抜本的な見直しが求められているんだということを強く申し上げたい。
国は加害者であり、時の経過で責任を免れさせるのは正義に反するという判断なんですよ。これ、正面から受け止めるべきだということです。真摯な謝罪は、原告団に、被害者に向けてきちんと謝ってもらったと言える謝罪を重ねて求めたいし、上告断念、強く求めておきたいと思います。
次に、コロナの支援策について幾つか伺いたいと思います。
一つは、予算委員会でもお聞きしましたけれども、小学校休業等対応助成金についてです。
これ、二月の児童生徒のコロナ感染が過去最大、二十万人という規模になりました。月別で過去最多ということになりました。中でも、小学生がこのうち十三万人を超えているんですね。一月から倍増の勢いです、三月に入って少し減る傾向出ていますけれども。
これ、小学校休業等対応助成金の、私、更なる活用がどうしても求められていると。これ、新年度を前にして、改めて休園、休校、学級閉鎖、こういう際にこういう制度があるんだということの周知徹底が必要だということです。まだまだ知られていません。
関係省庁連名で事務連絡の発出、この時期にやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(後藤茂之君) 小学校が臨時休校した場合等におきまして、保護者の方が安心して必要な休暇を取得できるように、是非事業主の方には小学校休業等対応助成金の活用又は休業支援金の仕組みによる個人申請の御協力をいただきたいと考えております。
厚生労働省においては、これまでも文部科学省等と連名で、学校、保育の現場を通じた保護者への周知や事業主団体への周知と御協力の依頼を行ってまいりました。しかしながら、今委員の御指摘がありました、新年度に向けて、新しく保育所等を利用する保護者がいることを踏まえた周知につきましては、今後改めて事務連絡を発出し、保護者への周知依頼を行うこととしたいと思います。引き続き、丁寧な周知を行いまして、本助成金の活用が進むように努めてまいります。
○倉林明子君 周知をしていただくと、事務連絡の発出についても触れていただいたかと思います。ただ、字ばっかりやったら見てもらえへんのです。分かりやすいチラシ、ぱっと見てこういう制度使えるものあるんだと、それが伝わるような周知徹底でも努力していただきたい。本当に急を要する事態になっておりますので、急いで進めていただきたい、強く要望いたします。
次、国民健康保険です。
これ、三月末に期限が迫っているということで、延長継続求める声が様々上がっておりました。感染状況を踏まえて様々延長措置とられているものもあります国民健康保険、これは、新型コロナの影響による国保料の減免、これを国が全額の財政支援をすると、特例減免やってきました。
令和二年度の実績、そして、令和三年度は実績見込みでどんなふうにつかんでいるか。そして、令和四年度の継続実施について、一昨日、事務連絡が発出されたということです。概要について簡潔に御説明をお願いします。
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
国民健康保険料につきましては、今般の新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえまして、その影響により収入が減少した被保険者等の保険料を減免した保険者に対しまして、特例的に財政支援を行っております。
令和二年度の実績は、減免決定件数約四十万件、減免決定金額約七百三十八億円でございます。
令和三年度の実績見込みにつきましては、減免決定件数約十五万件、減免決定金額約二百八十四億円でございます。
令和四年度につきましては、御指摘のとおり、三月十四日に、保険者宛てに特例的な財政支援についてお示しをいたしました。具体的には、減免額が保険料総額に占める割合が三%以上である場合には全額の財政支援を実施いたしますとともに、三%未満でありましても財政支援を受けられるよう対象を拡充いたしておりまして、減免を実施した保険者は一定の割合で財政支援を受けることができるものとなっております。
○倉林明子君 継続はいいんですけどね、三%未満だったら全額の国庫、国費負担にならないという見直し掛けているんですよね。これ地方自治体の要望にも応えるものでないということを強く申し上げたい。
その上で、令和三年度の実績見込みが述べられました。令和二年度四十万件だったのに、令和三年度は十五万件と大幅な減少です。これ何でかということですよね。これ、感染状況が悪化しているにもかかわらず、令和三年度実績が伸びない。これは、令和二年度が大幅なコロナによる影響が出て減収、減した年度なんですよね。ところが、そこから更に三〇%の減収がないとこれ減免の対象にならないんですよ。だから、伸びないんですよ、利用が。利用できないという方、すごく増えています。コロナによる影響をしっかり見るのであれば、コロナ感染拡大前の令和元年度実績との比較した減収要件、この見直しが要るということだと思います。
三%未満やったら全額で見ないと、こんなことを国保に持ち込むようなことをしない方がいいと思う。財政支援、しっかり持つべきだと思います。いかがです。
○国務大臣(後藤茂之君) 国民健康保険料は、前年所得に応じて賦課することとされております。前年所得が減少している場合は、その所得減少が反映された保険料が賦課されます。(発言する者あり)はい。
その上で、当該年に収入が大きく減少する事情が生じた場合は、その事情は当該年度の保険料に反映されておらず、納付が困難となると考えられることから、その年、減免の財政支援の対象とするということでございます。このため、収入減少は前年と比較することとしておりまして、令和四年度保険料の減免については、令和四年と令和三年の収入で比較をすることといたしております。
また、財政支援につきましては、三%以上の十分の八という通常の国からの財政支援割合を十分の十に引き上げるとともに、一・五から三、一・五%未満、そこに十分の六と、十分の六の財政支援を新たに対応をしております。
○倉林明子君 いや、局長から説明もらって、それではあかんと言うて聞いているんですから、そこに正面から、大臣、やっぱり答えてほしいなと。制度の概要の説明聞いているんじゃないんですよ。
それで、国保の後期高齢者医療制度の傷病手当、これについても伺いたい。
財政支援、六月末までということで延長なんだけれども、これコロナ禍収束するまでの延長が必要じゃないかということをお聞きしたいと思います。どうですか。
○国務大臣(後藤茂之君) 今般の新型コロナウイルス感染症拡大の影響に対応するために、国民健康保険に加入している被用者に傷病手当金を支給した市町村等に対しまして、国が特例的に財政支援を行っております。
本財政支援の期限は、これまでも新型コロナウイルス感染症の感染状況等を踏まえまして三か月ごとに期限を延長しておりまして、現時点では本年六月末を期限として市町村等にお示ししております。これ以後の延長については、今後の感染状況等を踏まえまして検討してまいります。
○倉林明子君 コロナの感染状況の見通しは見えません。しかし、この国保や後期高齢者医療制度を運営していく上では、傷病手当の見通し、やっぱり持ちたいですよ、保険者はね。ここに対して、やっぱりコロナ禍収束するまではやるよということで応えるべきだというふうに強く申し上げたい。
さらに、全国市長会、全国町村会、財政支援の継続にとどまらず、支給対象者の拡大や支給対象額の増額の要望が出されております。自営業者、フリーランス、対象にすること、平均給与日数の、あっ、日額の三分の二、この上限の引上げについても繰り返し声が上がっております。どう検討されたんでしょうか。
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
御指摘のフリーランスや自営業者に対する傷病手当金の支給につきましては、被用者と異なりまして療養の際の収入減少の状況が多様であること、あるいはその所得補填として妥当な支給額の算出が難しいことなどから、支給対象とすることについては課題が大きいものと考えております。
また、国保の傷病手当金の支給額の計算につきましては、被用者保険における支給水準と整合性を取ったものとしております。この支給水準につきましては、傷病手当金が生活費に充てるための賃金に代わるものとして支給されるものであり、また、同様に生活費への補助となる出産手当金につきましては、ILO条約の水準を踏まえ三分の二とされていること等を踏まえ、現在の標準報酬の三分の二という水準に設定されているものでございます。
この支給水準の引上げにつきましては、こうした経緯や今般の保険者を取り巻く厳しい財政状況等を踏まえますと、見直しはなかなか難しいものと考えております。
○倉林明子君 いや、見直し難しいということで一歩も進んでないんですね、ここね。傷病手当ということで、一歩コロナで踏み出したんだけれども、そこ止まりになっているんです。
やっぱり国保で加入せざるを得ないという、国保にしか入れないという方々の休業補償に踏み出したというのは、感染拡大を防止する、やっぱり安心して休んでもらうという必要から踏み出した制度なんですよね。これが、感染がまだどうなるか分からないという状況の下で、しっかり感染拡大防止という観点からも拡充が要ると。第六波を経験してその検討の必要性は更に高まっていると。何か一歩も進まぬ議論になっていてとっても残念なんですけれども、前に進めて、検討を前に進めていただきたいということを強く申し上げておきます。
最後になると思いますが、これ三月十一日に開催されました政府のコロナ対策分科会、ここでまん延防止等重点措置解除の新たな基準が示され、先ほども議論がありました。これ、新規感染者が微増や高止まりでも医療への負荷の低下が見込めれば解除可能ということになりました。イベントの制限、GoToの再開と、こういう声さえ上がってきております。
人流が増加する年度末の解除、これは感染拡大のアクセルを踏むことにつながりかねないと、こういうリスクあると思うんですね。大臣、この点での認識、いかがでしょうか。
○国務大臣(後藤茂之君) 国民の皆様の御協力によりまして、多くの地域でオミクロン株の感染の減少が継続をしております。依然として医療提供体制への負荷の低減に努める必要があるものの、第六波の出口に向けて、今後は社会経済活動の維持とのバランスを意識しながらどのような対策が必要か考えることが重要になる局面となってきておると思います。
このため、三月十一日に開催された新型コロナウイルス感染症対策分科会において、これまでの対策の効果や感染動向等を踏まえて、第六波における今後の対策やまん延防止等重点措置終了の考え方についても議論されたものと承知をしております。
現在、十八都道府県に適用されている重点措置については、先日の分科会での議論、今後の感染状況や医療負荷の動向、各都道府県の意向等を踏まえて、政府として考え方を整理し、基本的対処方針分科会に諮った上で期限までに判断されるものと考えております。
○倉林明子君 アクセルになるんじゃないですかと、そこに答えなかったと思いますけど。(発言する者あり)
○国務大臣(後藤茂之君) 今私は、政府全体としてこの問題に取り組んでいく姿勢とともに、厚生労働省として医療提供体制をしっかりと守っていくこと、それから、感染状況を踏まえてみると、今日何度もここで議論をしているとおりでございますけれども、医療の問題について強い警戒心を持って進めていくということは度々申し上げているところでございます。
○倉林明子君 いや、ならないという声が、あっちの方から答弁聞こえてきましたけれども、それならそれで、やっぱりきっちりリスクコミュニケーションというものが要ると思うんですね。
やっぱり、昨年の三月の前倒しの解除の後に感染拡大起こしているんですよ。リバウンドの危険も指摘されているわけですね。可能性は否定できないわけですよ。新規感染拡大の防止、更に社会活動を進めても安心なんだという科学的根拠は示されていないんですよ。だから国民は納得できない、私も納得できない。解除ありきで更なる感染拡大招くことは許されないと、引き続き議論していきたいと思います。
終わります。