倉林明子

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川内再稼働断念迫る 事故対策置き去り批判 大臣所信への質疑(経済産業委員会)

2014/10/28

 10月28日の参院経済産業委員会で日本共産党の倉林明子議員は、事故対策を置き去りにしたまま川内原発再稼働に突き進む政府の姿勢を批判し、再稼働断念を迫りました。
 倉林議員は、火山の専門家の知見を集めるために原子力規制委員会が設置した「火山活動のモニタリングに関する検討チーム」が、基本的考え方として「巨大噴火の予知、予兆の判断は困難」「原子炉停止等の判断は原子力規制委員会が責任をもって行うべきである」と指摘していることを示して追及しました。

 九電が10月21日に提出した「保安規定」は、火山活動のモニタリングや核燃料搬出などについて具体的内容は掲載していません。倉林議員は、「再稼働の前提となる保安規定の認可は、モニタリング計画や核燃料搬出など、実施可能かどうかまで審議の対象にすべきだ」と主張しました。

 田中俊一原子力規制委員長は、「必要に応じて事業者に指示する」「審査はしっかりしていく」と述べる一方、「保安規定は体制について確認するもので、すべて決まっていなくても認可できる」と答弁。倉林議員は、「いかなる事情よりも安全最優先というなら再稼働は中止しかない」と求めました。宮沢洋一経産相は「規制委の判断にもとづき仕事をすすめる」と無責任な姿勢に終始しました。

議事録を読む
第187回国会 経済産業委員会 第4号 2014年10月28日(火曜日)
経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査(原子力発電所の再稼働の条件に関する件)

〇倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
大臣は、所信的挨拶の冒頭で、福島の復興と福島第一原発の廃炉・汚染水対策は経済産業省が担うべき最も重い課題と触れられております。大臣がところが真っ先に訪問先に挙げられたのが鹿児島県だったと。議論もありましたけれども、私、確認もさせていただきたいと思いますが、経済産業大臣としてまずやるべきは、福島第一原発事故の実態、被災者がどんな生活を強いられているのか、まずその現場を見てくることじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

〇国務大臣(宮沢洋一君) おっしゃるとおりだと思っておりまして、今週の土曜日、一日の日にはまず福島第一の方に行かせていただきまして、そして新知事が就任されましたらば、できるだけ早い時期に知事とのお話合い等々を持っていきたいと思っております。
ともかく、福島原発事故の対応、そして福島の再生について、私自身、総理からしっかりとやれということで指示を受けておりますので、しっかり復興また事故対応をしてまいりたいと思っております。

〇倉林明子君 事故を起こした東電は破綻を免れ、株主や貸し手としての大銀行などの責任はいまだに免罪されたままとなっております。大臣がその東電の株主としてあり続けるということを表明されているわけですが、被災地にやっぱり不信と怒りを広げるものになると思うんですね。担当大臣として資格が問われる重大な問題だということを指摘をしておきたいと思います。
そこで、川内原発について質問したいと思います。
規制委員長に伺います。
御嶽山噴火が予測の困難さを改めて浮き彫りにしたと思っております。噴火が予測できなかった問題に対し、規制委員長は、御嶽山と川内原発は起こる現象が違う、一緒に議論するのは非科学的というふうに会見で述べられたと報道されております。原子力規制委員会は、新規制基準適合性審査結果の住民説明会で、川内原発稼働期間に巨大噴火が起こる可能性は十分に小さいとしているわけです。しかし、稼働中に巨大噴火が起こる可能性はゼロだと言えるんでしょうか。

〇政府特別補佐人(田中俊一君) 一般論として、自然現象について絶対起こらないということは言えないと考えております。しかし、仮に発生すると九州全域に壊滅的な被害をもたらすようないわゆる破局的噴火については、地下のマグマの状況や過去の噴火履歴等を総合的に検討した結果、川内原発の運用期間中、大体三十年ぐらいですけれども、影響が及ぶ可能性は小さいと判断しております。
そうは判断しましたけれども、その上で、念のため、破局的噴火が起こる可能性が十分小さいということを、現在の状況を確認していく、継続的に確認するという上で、火山活動のモニタリングの実施を事業者に求めているところでございます。

〇倉林明子君 規制委員会は原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チームを設置されていると。八月、九月と二回にわたって火山専門家を呼んで意見を聞いているということで承知しています。
そこで、意見の主な内容についてまとめて御紹介をいただきたいと思います。

〇政府参考人(櫻田道夫君) 今委員から火山活動のモニタリングに関する検討チーム、これは私ども原子力規制委員会の中に設置したものでございますが、そこにおける有識者の方々の主な意見を説明してほしいと、こういう御質問でございます。
種々御意見をいただいていますけれども、主な意見をかいつまんで申し上げますと、まず、現在の火山学上の知見において、モニタリングによって巨大な噴火の時期や規模を予測することは困難であるが、こういった巨大噴火には何らかの前駆現象、いわゆる前触れといいますか、そういったものが発生する可能性が高いということが一つございます。それから、モニタリングで異常が認められたとしても、それが巨大噴火の予兆と判断できるかどうかという、そういう懸念もあるという、そういう御意見もございました。こういったことがあるので、何らかの異常が検知された場合には、原子力規制委員会が空振りも覚悟の上で巨大噴火の可能性を考慮した処置を講ずることが必要と、こういったような意見が出されておりまして、主なものはこういったことかなというふうに思ってございます。

〇倉林明子君 日本の学会を挙げて努力しても予知できる保証がない現象であるということが火山の専門家から繰り返し指摘をされているわけで、この検討チームの中でも、巨大噴火の可能性を考慮した処置を講ずる判断は原子力規制委員会、規制庁が責任を持って行うべきだという指摘は非常に重いなと思って読ませていただきました。
規制委員会は、十月二十一日に原発再稼働の前提となる適合性審査会を開催されております。川内原発の保安規定変更及び工事計画の補正申請についての審査を行っていると伺っております。
保安規定の補正の内容を確認したいと思うんですが、火山活動のモニタリングの中で具体的なモニタリングの活動の手順、これはどうなっているでしょうか。

〇政府参考人(櫻田道夫君) お尋ねの川内原子力発電所の保安規定についての火山活動のモニタリングのところでございますが、九州電力は破局的噴火の可能性が十分小さいということを継続的に確認するためにモニタリングを行う、こういうことを言ってございまして、そのモニタリングを行う体制の整備として、モニタリングに必要な要員の配置、あるいは当該要員に対する教育訓練を含む計画を策定すると、こういうふうに言ってございます。
そして、関連する手順書を整備するとも言ってございまして、手順書の中身はいろいろ書いてございますが、かいつまんで申し上げますと、対象の火山のモニタリングを実施するということでありますとか、その実施によって得られた情報を基にして第三者の助言を得て評価する、こういったような手順書を整備すると、こういう方針を示してございます。
現在、委員からも御指摘ございましたように、先日二十一日に説明聴取いたしまして、今審査を進めていると、こういうところでございます。

〇倉林明子君 今御説明ありましたように、破局的噴火のおそれがあると判断するのは九電の原子力土木部長と、報告を受けた九電の社長の指示で原子力技術部長が核燃料の搬出計画を策定し、社長の承認を得た上で燃料体搬出の対応を所長に指示するというふうに手順書ではなっているかと思います。
一体、具体的にどこにどのような手段で搬出するという計画になっているんでしょうか。

〇政府参考人(櫻田道夫君) 提出されております保安規定の申請書の中には、今御質問のあったような具体的なその搬出先とかいうことは書いてございませんが、今委員がお示しになったように、燃料体等の搬出等の計画を策定する段階におきましては、燃料体の搬出の優先順位でありますとか貯蔵方法の選定・調達、輸送方法の選定・調達、あるいは体制の確立、こういったことを計画の中に含めるということ、それから、あらかじめ燃料体等の搬出等のための計画の策定手順を定める、そういうこと、それから、破局的噴火への発展の可能性がある場合に備えて、燃料体等の搬出等に係る貯蔵方法や輸送方法あるいは体制、こういったものに関して事前に検討を行うというふうにしてございます。

〇倉林明子君 要は、この保安規定変更というのは審査の対象になっているわけですけれども、今確認したように、搬出計画そのものは、一体どこにどのような手段で、具体的に搬出計画の中身が定まっている段階ではないということですよね。
問題だと思っていますのは、既に審査基準の合格が決まって、年明けにも地元の合意が得られれば再稼働に進めるんだというような報道も先行しているわけです。しかし、この保安規定変更及び工事計画が認可されない限りは再稼働には入れないというふうに理解しているんですけど、いかがですか。

〇政府参考人(櫻田道夫君) 今、原子力発電所は、川内原子力発電所を含めて定期検査のために停止してございます。そして、その定期検査を終えてまた原子炉を起動する、そういうことになる前に、先ほど委員のお話の中にもございました設置変更許可、それから工事計画の認可、あるいは保安規定の認可、こういった許認可を得て、さらにその設備等に関する検査に合格をすると、それから定期検査にも合格すると、こういったことが必要になるというふうになってございまして、先ほど先生からお話がございましたように、保安規定の認可とか工事計画の認可が行われないと実際の原子炉の再起動ということにはならないというふうに考えてございます。

〇倉林明子君 噴火の可能性がゼロでない以上、モニタリング計画、核燃料の搬出、それが実施可能なものなのかどうかと、この検証も含めて審査の対象に私はすべきじゃないかというふうに思うんです。
そもそも、電力会社の巨大噴火の可能性の判断、その際の処置について、規制委員会や規制庁の監督責任が私問われる問題だと思いますけれども、いかがでしょうか、規制委員長。

〇政府特別補佐人(田中俊一君) 実際に事業者が火山活動の活発化の兆候を把握して原子炉の停止とか核燃料の搬出が必要であるという判断をするようなことになった場合には、まず事業者が自らの方針に基づいて適切な対応を図ることを検査等により原子力委員会において確認するということが第一であります。必要に応じて私どもが事業者に対する指示を行うことになります。
なお、そのような場合、原子力規制委員会としての対応に資する火山学上の知見や考え方を整理するため、先ほど櫻田の方から御説明がありましたように、検討チームを設けて、専門家からの意見を聴取し、検討しているところでございます。そういった知見を集めて判断に誤りのないようにするつもりでございます。

〇倉林明子君 伺ったのは、具体的な搬出計画等も含めて審査の対象にすべきではないかというふうに伺ったんですけれども、お答えがあったんでしょうか。

〇政府参考人(櫻田道夫君) 今委員の御質問は、多分、保安規定の審査の中においてということと思いますけれども、一般論でございますが、保安規定の審査の中でどういうことを審査するかというと、設置許可で基本的な方針を許可しているわけでございますが、その確認した基本方針に基づいて要員が確保されているかとか、先ほど御質問にあったような社内規定、手順書のようなものを策定することになっているかと、こういったことを確認するということになってございまして、今回の保安規定についてもこうした点からの審査を進めていくということになろうかと思います。
ただ、今回の審査は、御承知のように、新規制基準を施行してから初めての審査ということでございますので、また保安規定の審査まで至っているところはこの川内原子力発電所が初めてということでございますので、私どもは、先ほど申し上げましたように、今説明を聴取したところでございますので、その内容について審査をしっかりとしてまいりたいというふうに考えてございます。

〇倉林明子君 そうなんですよね。保安規定の扱いというのは、これまで体制を決めればよしということでやってきたんだということを当初説明も受けたんですね。しかし、火山の専門家が、繰り返し火山噴火の予測は困難だと、知見集めてもできないんだという下で、ゼロではないリスクに対しても、保安体制にとどまらず、核燃料の搬出計画についても具体的にできるという担保が再稼働前に必要ではないかと、そのことを聞いているんですけれども、いかがですか。

〇政府参考人(櫻田道夫君) 今、先ほど申し上げましたように、この保安規定については審査をしているところということでございますし、また、御質問にお答えしたとおり、現状の保安規定の申請内容においては、先生の御質問にあったような具体的な搬出先、搬出方法については記載はございません。これでよろしいのかどうかというところについては現在審査をしているということでございますので、その行く末をちょっと予断するようなことは、この場で申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。

〇倉林明子君 行く末についてもはっきり見定めるべきではないかという立場で、この具体的な搬出計画についても審査の対象としてきちんと、それが可能なのかどうかということを規制委員会として責任を持って審査すべきだということを重ねて求めておきたいと思います。それが科学者の指摘を正面から受け止めるのであれば、私は再稼働という判断はあり得ないというふうに思います。
そこで、現地で行われた住民説明会について伺います。
県の原子力安全対策課長は、説明はおおむね理解していただいたものと考えていると会見で説明をしております。そこで、改めて、大臣の認識は理解していただいたものと考えているということなのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

〇国務大臣(宮沢洋一君) 既に五つの市町において住民説明会が実施されました。経産省の職員も、答弁等々はやっておりませんが、参加はしておりました。そして、その結果ですが、薩摩川内市長、また県の課長がコメントされているように、住民の皆さんが川内原発の安全性について理解を深める機会になったものと認識しているということをおっしゃっているのは存じ上げております。また、これから、二十九日の日にはエネルギー政策等に関する追加の住民説明会が開催される予定でありまして、当省からも今回は担当者を派遣するということになっております。
いずれにいたしましても、住民説明会への積極的な参加を始めとして、引き続き鹿児島県など関係者とよくコミュニケーションを取って丁寧に対応していきたいと思っております。

〇倉林明子君 地元の、立地自治体の一つでもある薩摩川内市の市議会で、請願の審査、請願の採決で再稼働への同意という議会の確認が今日にもされるというような動きが伝わってきております。果たして地元はどうなのか、住民の理解というのはどうなのかと、本当にしっかり考える必要があると思うんですけれども、この説明会の経過を見ても、当初は規制委員会の説明会一回というふうなところだったものを、地元からの要望も踏まえて五回に対応を増やしたと。これは当然必要なことだったと思います。
しかし、住民が最も知りたい情報の一つである避難計画、原発の再稼働について意見を言いたいということについては反映されない、限界を持ったものであったというのも事実だと思うんですね。それを受けて、結局あした追加の説明会も開くことになったということだと思うんです。現時点で決して住民は納得していないということもしっかり受け止めておく必要があるというふうに思います。
そこで、大臣は、川内原発の再稼働に当たって、これも所信的挨拶の中で、いかなる事情よりも安全最優先というふうに述べられております。電力会社の事情が優先されるようなことがあってはならないと私考えますけれども、いかがでしょうか。

〇国務大臣(宮沢洋一君) 原発につきましては、何よりも安全最優先ということは、これはもう大前提でございます。そういうことで、原発再稼働につきましては、原子力規制委員会の方で世界最高水準の新規制基準をもって審査をしていただいて、その結果、安全性が確認できたという段階だろうと思います。規制委員会がしっかりと客観的に御判断いただいたわけでありまして、その電力事業者の事情を優先させて御判断いただいたわけではないと私は思っております。
したがって、今後、私どもが新たな判断を付け加えるということではなくて、規制委員会で電力会社の事情を全く考慮せずに決められた結果を基に私どもも仕事を進めていくと、こういうことだろうと思っております。

〇倉林明子君 公開された吉田調書では、地震と津波で全電源喪失の危険性については指摘があったにもかかわらず、金が掛かるということで対策を取らなかったということが明らかになりました。いかなる事情よりも安全最優先ということであれば、やっぱり川内原発の再稼働は中止をすべきだと重ねて求めておきたいし、どんなに可能性が低くても想定外の事態は必ず起きると、これが福島第一原発事故の教訓だと重ねて指摘をして、質問を終わります。

日時
2024/04/25(木)
場所
内容

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