消費税10% 廃業増やす 小規模振興基本法案(経済産業委員会)
2014/06/19
(ページ下部に資料があります)
倉林明子議員は6月19日の参院経済産業委員会で小規模振興基本法案について、中小企業・小規模事業者に負担を強いる消費税増税や外形標準課税の適用拡大は法案の趣旨に反するものであり行うべきではないと主張しました。
倉林議員は、消費税が10%に引き上げられれば、廃業が一層増加すると指摘。外形標準課税の適用拡大について、中小企業団体が「断固反対」を表明していることも示し、導入させないよう頑張ってほしいと迫りました。
中小企業庁の北川慎介長官は「(外形標準課税の適用拡大は)賃金を課税標準にするものであり、中小企業にとって適当ではない」と述べました。
倉林議員はまた、大企業の身勝手な海外進出が日本のものづくりの基盤を崩し、地域の宝であるたち工場・小規模事業者が消滅の危機に直面していると指摘。地域経済に重大な影響を与える工場の撤退や大規模リストラを規制するルールの検討を求めました。
さらに今年の『中小企業白書』が中小企業・小規模事業者の利益を守る欧米の取り組みを紹介していることにふれ、国民健康保険料・税など社会保障費の負担軽減など支援策にも踏み込むよう提起しました。
小規模企業振興基本法案(内閣提出、衆議院送付)
商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
〇委員長(大久保勉君) 小規模企業振興基本法案及び商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
〇倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
今年の中小企業白書を見せていただきまして、本当にそのボリュームと同時に、その中身は注目をさせていただきました。その中で、地域の小規模事業者に対して地域経済の主役という観点からも様々な調査がされているというところも非常に大事なところだろうなと思って受け止めました。
そこで、中小企業政策のパラダイムシフトということが白書の中でも紹介されていて、その考え方を実現したのがこの小規模二法だという受け止めをしているわけですが、パラダイムシフトということになりますと、天動説から地動説に転換するというぐらいの劇的な価値観の変化だという意味があると思っているんですけれども、天動説に当たる部分というのはどういう考え方だったのか、地動説に当たる部分というのはどういう考え方か、ここを明確に、分かりやすく説明していただきたいと思います。
〇政府参考人(北川慎介君) 今、パラダイムシフトの御指摘がございます。これは白書の百五十一ページに書かれているものでございますけれども、これはどういうことかといいますと、中小企業基本法、かつては格差の是正ということでやっておったんですが、一九九九年に改正されまして、中小企業の事業規模の拡大と、これを意味する成長発展、これを基本理念と定めておるわけであります。
他方、近年の状況を見ますと、人口動態などを見ますと、商店街あるいは町工場に代表されるような小さな小規模事業者を取り巻く状況は大変厳しくなっておりまして、現在の事業を維持するだけでも大変な努力が必要という状況になっております。
このような状況を踏まえまして今国会に小規模企業振興基本法案を提出したわけでございますけれども、まさに地方で雇用を維持して頑張っている小規模企業の方々を正面から支援したいという考え方の下、成長発展のみならず、成長発展に加えまして事業の持続的な発展を新たに小規模企業の振興の基本原則として位置付けたところであります。中小企業白書では、この事業の持続的な発展という新たな基本原則、これを加えたことをもってパラダイムシフトと記載しております。
〇倉林明子君 一九九九年の中小企業基本法からの私は考え方として大転換ということだと思うんです。
そこで、参考人質疑の中で、法律上の中小企業の位置付けに対する疑問ということで示されておりまして、この理念について、中小企業基本法は依然として残っていると、さらに小規模の今回の振興基本法ということになるわけで、理念が二つあるのではないかというようなことが指摘されたかと思うんですね。さらに、中小企業憲章も閣議決定されている、その位置付けもあると。
それぞれの関係について御説明をいただきたい。
〇政府参考人(北川慎介君) 今回の基本法案と中小企業基本法、それから憲章との関係ということでございます。
平成二十二年に閣議決定されました中小企業憲章におきましては、中小企業が社会の主役と位置付けられておりまして、それに基づきまして中小企業政策の基本理念、行動指針などが定められております。憲章に規定されているとおり、中小企業・小規模事業者が地域の経済や雇用を支える極めて重要な存在というところであります。
この中小企業憲章の趣旨も踏まえまして、昨年の通常国会におきましては、中小企業の成長発展を支援するという中小企業基本法の基本理念を維持しつつも、小規模企業の位置付け、意義付けなどをより明確にするために、中小企業基本法の改正を含めまして、小規模企業に焦点を当てて、八本の関連法案を一括で改正する小規模企業活性化法を成立させていただいたところでございます。
この小規模企業活性化法におきましては、中小企業施策として今日的に重要であって中小企業憲章にも規定されておる海外展開の推進、事業承継の円滑化、こういったものにつきましても中小企業基本法で新たに改正して基本施策として位置付けたところであります。
この小規模企業活性化法を一歩進めまして、小規模企業の固有の課題、今日的な課題を洗い出した上で、小規模企業の振興に関する施策につきまして総合的かつ計画的に、そして関係者が一丸となって実施するための新たな施策体系を構築するために本基本法案を国会に提出したところでございます。
この小規模企業振興基本法案には、先ほど申し上げましたけれども、中小企業基本法の基本理念である中小企業の成長発展のみならず、事業の持続的発展を新たに基本原則と位置付けるとともに、具体的な政策立案の指針といたしまして、中小企業基本法にはない基本計画を策定し、国会への報告、そしてまた毎年の進捗管理を行う旨を規定しております。この基本法案に基づきまして、施策を総合的かつ計画的に推進していくということでございます。
また、今回の基本法案におきましては、中小企業憲章の行動指針の趣旨、これを踏まえまして、基本方針、第六条における地域経済活性化等に資する事業活動の推進、そしてまた支援体制の整備、あるいは十三条における基本計画の策定などを規定しているところでございます。
〇倉林明子君 改めて確認したいと思うんですけれども、中小企業庁設置法の目的と任務はどうだったでしょうか。
〇政府参考人(松永明君) 昭和二十三年に制定されました中小企業庁設置法でございます。制定当時の提案理由によりますと、国内における社会情勢、自由公正な競争の確保、我が国の国際経済上の自立、こういった観点から、中小企業の健全なる発達を図ることはこの際何としても行わねばならぬとの考え方に基づきまして制定されたものでございます。
第一条におきまして、健全な独立の中小企業が、国民経済を健全にし、及び発達させ、経済力の集中を防止し、かつ企業を営もうとする者に対し、公平な事業活動の機会を確保するものであることに鑑み、中小企業を育成し、及び発展させ、かつその経営を向上させるに足る諸条件を確立することを目的としておるところでございます。
そして、第三条におきましてこの目的を達成することが中小企業庁の任務であると規定しており、この任務を達成するために第四条において所掌事務が規定されておりまして、具体的には、中小企業の育成及び発展を図るための基本となる方策の企画及び立案に関すること、中小企業の経営方法の改善、技術の向上その他の経営の向上に関すること、中小企業の新たな事業の創出に関すること等々規定されているところでございます。
〇倉林明子君 今紹介ありましたように、設置法では、中小企業を育成し、その経営を向上させると、こういう目的、これが原点だと思うんですね。
ところが、一九九九年の中小企業基本法の改正以後、一割、二割が引っ張ってあげていけば付いてくると、こういう改正の以後、小規模事業者は圧倒的に減少傾向をたどっていると。
やっぱり失敗したと、こういう政策失敗したんだということに対して真摯な反省が私求められているんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
〇国務大臣(茂木敏充君) 九九年に中小企業基本法、抜本改正をいたしました。当時私は通産の政務次官でありましたけれど、それまで、格差の是正、中小企業は弱い立場である、こういうことから、中小企業には様々な可能性がある、我が国の経済の発展と活力の源泉、極めて前向きに捉えて、中小企業の多様で活力ある成長発展へとポジティブに考え方を転換をした。私はこれはある意味パラダイムチェンジであったと、こんなふうに思っております。決して一部の企業だけで日本経済を発展させるということではない。大企業が中心になってその下に全部弱い中小企業はくっついている、こういう構図ではないんだ、元気な中小企業は中小企業で頑張ってもらう、こういう発想の下でやってまいりました。
ただ、日本経済全体を見てみますと、その中小企業のうちの九割が小規模事業者ということでありまして、さらにこの小規模事業者にも焦点を当てた政策が必要であろうということで、昨年来の様々な法律に取組をしております。もちろん、中小企業基本法で規定をいたしております成長の発展、こういうことに対する支援というのは続けてまいりますけれど、今回は事業の持続的維持ということでありまして、こういった地域において雇用や経済を維持している小規模事業者を正面から応援をしていくということでありまして、これはパラダイムチェンジではありません、パラダイムシフトです。シフトというのは広がることですから、変わるんじゃないんです、チェンジじゃないんです。シフトというのは、少なくともスコープを広げ、そこの中での重点を置くことをシフトというわけでございます。
〇倉林明子君 初代中小企業庁長官が、京都にもゆかりの方なんですけれども、できたばかりの中小企業庁の職員に中小企業とは何かということを説いたというんですね。それはスケールで決まるんじゃない、大資本の圧力をもろに受けつつ経営をしなきゃならないのが中小企業だと。ここに本質がある、だからこそ大資本の圧力から経営を守ると、この行政目的を忘れたらあかぬということで、私、これは現代にも通ずるものがあるんじゃないかというふうに思います。シフトかチェンジかという議論はまた改めてさせていただきたいと思います。
そこで、参考人質疑で全国商工会の森田副会長は、百三十五万社も二十年で減少していると、わけてこの三年間の減少率にも触れて、非常に大きな危機感を表明された。この法律の提案に至ったというのは、現場のこうした小規模事業者の実態があるということだと思っているんです。何がどう良くなるのかという疑問が会員から出ているということで、この法案で小規模企業の今のような減少を食い止めることにつながると、こういう理解でよろしいでしょうか、大臣。
〇国務大臣(茂木敏充君) この基本法案、小規模事業者の皆さんにとって悲願であったと、そんなふうに思っておりまして、昭和三十八年に中小企業基本法制定以来五十一年ぶり、経済産業省としては戦後二本目の基本法という形でありますから、国として小規模企業を全面的に支援していく、極めて強い私はメッセージである、このように考えております。
そして、そのための計画の策定であったり、また面的な支援の体制づくり、様々な対策も取っております。もちろんこれだけで全てが良くなるわけではない。日本経済全体を良くしなければなかなか中小企業も良くならないということでありますから、そういったアベノミクスの三本の矢もしっかりと進めていきたいと思っております。
やっぱりやる気を出させるということは必要なんですよ。ゲーテも言っているんです、お金を失うことは少し失うことだ、名誉を失うことは多くを失うこと、勇気を失うことは全てを失うことと。是非、中小企業・小規模事業者の皆さんに勇気を持って事業に取り組んでもらえるような環境をつくっていきたいと思っております。
〇倉林明子君 そうなんですよね。実際にどう景気が良くなっていくのか、どうアベノミクスで底上げが図られているのかということに対しても厳しい意見があったんですよね。全く感じられないという声の紹介がありました。中同協のアンケートでも四月の消費税増税の影響が六割に及んでいるというところが出ていまして、商工会はそもそも消費税に基本的に反対だということも副会長おっしゃっていました。赤字でも負担が求められる消費税、これが中小企業・小規模事業者の団体から厳しい指摘があったということだと思うんですね。
この四月の増税について、小規模事業者に与える影響というのをどう見ているんでしょうか。
〇政府参考人(松永明君) 経済産業省が三月に実施いたしました全国の中小・小規模事業者二万社を対象とした調査によりますと、一―三月期の小規模事業者の景況認識でございますけれども、駆け込みの影響もありまして前期からは二・五%、二・五ポイントの増加となっております。他方で、四月―六月期の景況認識の見通しでございますけれども、マイナス一一・六%ポイントということで、消費増税による反動減の影響を見通しているという状況になっていると認識しております。
他方、転嫁状況でございますけれども、経済産業省が実施いたしました消費税の転嫁状況に関する月次モニタリング調査、この五月調査によりますと、消費税を全て転嫁できていると答えた事業者は全体で八一・九%に対しまして、従業員五人以下の小規模事業者では七五・七%と、四月調査に比べれば若干改善していますけれども、依然として全く転嫁できないと回答した小規模事業者も四・六%存在している状況でございます。
〇倉林明子君 そこで、資料も出させていただいたんですが、二枚目のところに、これ二月に帝国データバンクが取ったシミュレーションで出ているんですけれども、五割が転嫁できたという場合でどうなるかというのを業種別に出しているんですけど、ほとんどのところで五〇%転嫁できても赤字になるということが見て取れると思うんですね。
実際、今転嫁できているところは八割だということでつかんでいるということなんですけれども、実際どうかというと、転嫁はできていても、原料高、材料高で利益幅はぐっと狭まってきている、転嫁できてももうからないという状況があるんだという実態は、私、しっかり見る必要があると思っているんです。
消費税の増税には反対だという声が各団体からも出されているということは、今後の増税についても反対だという声が出されているという声、聞きました。明確だと思いました。小規模企業振興基本法を作りながら、消費税の増税を十月にやるというようなことをすれば、廃業を増やしていく可能性が私は極めて大きい、これ一つ大きな逆行になるんじゃないかというふうに思っております。
そこに加えて、先ほど来議論もありました外形標準課税適用拡大という問題なんですね。断固反対という声がこぞって出されました。どうも、これ課税した方がええという御意見の方もいらっしゃってびっくりしたんですけれども、絶対やるべきじゃないというふうに思っております。
〔委員長退席、理事加藤敏幸君着席〕
そこで、中小企業庁長官は、先ほど適当でないという答弁があったかと思うんですね。しかし、この小規模企業振興基本法を作りながら、外形標準課税の適用拡大ということが来年度財源措置で出てくるなんということになりましたら、これは本当にとんでもない、廃業を増やす逆行につながっちゃうというふうに思うわけです。長官の立場を明確にお述べいただきたいと思います。
〇政府参考人(北川慎介君) 先ほども御答弁申し上げましたが、中小企業の経営の実態、特に赤字企業ですとキャッシュフローに乏しいという状況にあります。また、損益分岐点の問題もありますので、何かあると非常に経営が苦しくなるという状況にあります。
そういったことに鑑みまして、これまで様々議論されております課税の形態も、付加価値、すなわち、特に中小企業の場合は賃金が多いわけでございますので、賃金を基本的な課税標準にしようという案もあるようでございます。かつてはそういうことであったわけで、我々も適当でないという立場を取ったわけでございます。
これから税制改正の議論、秋に向けて深まってくると思いますが、どのような案が出てくるのか分かりませんが、従来のような賃金を基本的な課税標準にする案であれば、中小企業にとっては適当ではないのではないかと思っております。
〇倉林明子君 その立場で意見をしっかり反映させていっていただきたいと思うし、大臣も慎重にと言いながら、この点では、廃業が進むようなことにつながることになってはならないという点では一致できると思いますので、奮闘を求めたいと思います。
そこで、小規模事業者の急激に減少してきたという現状について、白書では実態の調査も含めて丁寧にされていると。しっかり読ませていただきました。その中で、私、注目しましたのは、地域の抱える課題と地域の活性化というふうに光を当てているというところなんですね。
そこで、小規模事業者の九・二%が大規模工場等の製造業の不在ということを課題の一つに挙げていると。これに対して白書では推察のコメントが出されております。御紹介いただきたいと思います。
〔理事加藤敏幸君退席、委員長着席〕
〇政府参考人(松永明君) 委員御指摘のとおり、二〇一四年版中小企業白書におきまして、地域が抱える課題といたしまして、人口減少、少子高齢化、商店街・繁華街の衰退に加えまして、その次に続きまして大規模工場等の製造業の不在、これが掲げられておりまして、中規模企業の六・一%、小規模事業者の九・二%が掲げているところでございます。白書におきましては、小規模事業者について、大規模工場等の製造業の不在と書いた企業が多い要因といたしまして、大規模工場等がその地域から移転した影響で、下請であるより経営基盤の弱い小規模事業者が仕事を失ったのではないかということが推察されると記載しております。
〇倉林明子君 その推察どおりのことが本当にあちこちで起こっているというのが現状だと思います。
資料として用意させていただきました。これは、白書の中にデータとして紹介があったのが一枚目のものでございます。右に進むほど国内投資が多い、高く上がるほど海外投資を反映した数値で、直近のものは赤い折れ線グラフなんです。これまでと特徴的に何が違うかというと、国内投資はほとんど伸びない、減退するという中で、これは海外への投資が製造業のところでこの間どれだけ進んでいるかということを端的に示しているグラフになっているかと思うんです。
実は、物づくりの本当に最高水準を支えてきたというのが、やっぱり大企業の部品を作って磨きを掛けてきた中小企業・小規模事業者というところだと思うんです。ところが、こうした海外移転が進む中で、この技術そのものがもう保てなくなってくるというような事態が進展しております。我が京都でも、北部では機械金属が産業の一つの中心にもなってきていたんですけれども、ホンダの下請でもある日進という会社がございまして、そこが海外進出をこの間ずっと進めてきていたんですね。中国に展開が中心だったんだけれども、今度、ベトナム、タイということで進出の準備も進んでいて、北部はただでさえ落ち込んでいる経済の状況が、この日進の海外進出で本当にえらいことになるんじゃないかというような危機感がもう相当に広がっているわけです。
私は、地域経済に重大な影響を与えるようなこうした工場の撤退、リストラ、大規模なリストラということが各地で起こっているわけで、こうしたものを放置したままでどれだけ頑張れと言っても、小規模事業者のところでの踏ん張りというのは続かないと思うんです。こうした撤退、リストラに対する規制やルールということを小規模企業の事業継続という観点からも進めていくべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
〇政府参考人(加藤洋一君) 御指摘いただきました大企業の工場等の撤退あるいはリストラでございますけれども、これは、国際的な事業環境の変化によりまして企業立地拠点が選択をされるということでもございますので、企業競争力を維持する上で、ある意味往々にして発生する事態であろうというふうに考えておりますけれども、他方で、このことが地域経済に影響を与えるということもこれは事実であろうと考えております。こうした状況の変化に対しましては、地域経済が適応し得る内発的な産業力を保持するということが、開かれた国際社会に生きる我が国としては本質的に重要な課題ではないかというふうに考えてございます。
こうしたことから、日本再興戦略に基づきまして、地域ブロックごとに、地域の産学官が総力を挙げまして地域の実情に即した戦略産業を策定し、そして、関係省庁を交えて関係機関が連携してその実現を図るということを今執り行っているところでございます。また、地域活性化統合事務局におきまして、府省横断的に政策資源を重点投入すべく実施をいたしました地域活性化モデルケース、こういったようなものを通じまして成長戦略をしっかりと実現を図ってまいりたいと思いますし、また、中小企業予算等につきまして、これ地域に対しましてめり張りを付けて配分をしていく、こういうようなことも大変重要な課題だというふうに考えてございまして、私どもとしましては、こうした政策を推進することによりまして自立的な地域経済構造が形成されていきますように全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
〇倉林明子君 今、実態として海外に工場が移転するという計画がまさに進展しているんですね。そういうことがお尻に火が付いているような状況にあるということもしっかり受け止めていただいて、そういう工場の海外移転、このままでいいのかと、野放しに進められるということに対しても正面から取り組む課題だと思いますので、指摘をしておきたいと思います。
中小企業白書、いろんな分野でたくさんの盛り込みがあったわけですけれども、欧米諸国の取組ということを教訓的にまとめているというのが一つの特徴でもあろうかと思いますし、それを参考にしていこうという意欲の反映でもあろうかと思うんです。この間のEU、アメリカ、そしてフランス、特徴を取りまとめて、時間なくなってきましたので簡潔に御説明いただきたいと思います。
〇政府参考人(松永明君) お答え申し上げます。
まず、アメリカでございますけれども、第二次世界大戦のかなり早い時期から中小企業の支援の基本的な制度が整備されておりまして、一九五三年に中小企業基本法が制定されております。
現在の米国の中小企業施策の特徴といたしましては、研究開発費を中心といたします補助制度がございます。米国国防省ですとか米国国立衛生研究所等の研究開発、これを支援するということ、研究開発費を呼び水としながら、研究開発の支援に補助が行われているところでございます。また、ベンチャーキャピタル等の充実を通じた民間のリスクマネーによるベンチャー支援も特徴の一つとなっております。
続いて、EUでございます。
EUでは、二〇〇〇年にEUの総合経済戦略でありますリスボン戦略の中で中小企業の重要性が盛り込まれたところでございます。同年に欧州小企業憲章も採択されたところでございます。二〇〇〇年でございます。その後、二〇〇八年に、欧州小企業憲章よりも更に一歩踏み込みまして、具体的な課題や対応を欧州委員会や各国政府に求めるアクションプランとなります小企業議定書が採択されたところでございます。さらに、二〇一〇年にリスボン戦略を引き継ぐEU二〇二〇戦略、これを正式決定をしたところでございます。金融危機の後、EUにおいても中小企業政策が経済政策の最重要項目の一つとして位置付けられていると言えると思います。
そのEUの中でも、とりわけフランスでございますけれども、サルコジ政権におきまして個人の起業促進による経済活性化と雇用創出を目的といたしました個人事業主制度が導入されました。本制度では、規模の小さな事業を行う者について、インターネットでの簡易な登録での起業を認め、一種の地方税である地域経済拠出金や付加価値税の三年間の免除を認めているところでございます。本制度の導入によりましてフランスでは起業件数がほぼ倍増しているところでございます。本制度につきましては今後とも注視し、評価、分析していくことが必要だと考えております。
〇倉林明子君 圧倒的な量の補助金を使ったり税金を免除したりという思い切った策が取られているというところを本当に大いに日本でも学ぶべきだと思うんですね。
私は家族経営の小規模事業者とも直接お話をたくさん伺ってまいりましたけれども、消費税が赤字で払えないという人は珍しくないんですね。さらに、苦しんでいるのは国民健康保険料なんですね。小規模なゆえに国民健康保険料や税を払って病院にかかっていると。ところが、各地でも同様かと思いますけれども、滞納差押えというのは物すごく厳しくなっているんですね。そうなると、事業存続さえ脅かされるという状況が起こってきております。
私、消費税も、この国民健康保険料、税も、思い切って負担軽減に取り組んでいくということは、各国も既にやっているし、日本でもこれやると本当にあまねく広く大歓迎されることは間違いないと思うんですね。省庁間との連携にも踏み込んで、こうした支援策も視野に入れていくべきではないかと思いますけれども、いかがでしょう。
〇政府参考人(北川慎介君) 社会保険料の件でございます。
まず、小規模事業者の方からは、これは大変だという話も伺っております。一方、社会保険料負担、これは雇用者としての義務でもございますし、従業員の方とも二分の一ずつ分担という制度でございまして、あえて言えば制度の根幹に関わる、社会保険の制度の根幹に関わる問題でもございます。
様々な議論があり得ると思いますけれども、私どもといたしましては、この社会保険料の事業者負担の在り方につきましては、社会保障制度全般の中での見直しの議論の中で、中小企業・小規模事業者の立場を踏まえて関係省庁と協議してまいりたいと考えております。
〇倉林明子君 やっぱり何で欧米でこういうことができているかというと、権限もすごく強いというところが大きいんですよね。だから、日本も、経産省の中に中小企業庁ということだとやっぱり政策的な、横断的な権限発揮ってできないと思うんですね。そういう点では、経産省や内閣からも独立した機能、権限、こういう方向こそ考えていくべきだと主張して、終わります。
- 日時
- 2024/11/22(金)
- 場所
- 内容