原賠支援機構法改定案 最低限指針が賠償上限に 「東電指導を」(経済産業委員会)
2014/04/22
倉林明子議員は4月22日、参院経済産業委員会で、福島第1原発事故の被害者への損害賠償について、原子力損害賠償紛争解決(ADR)センターに寄せられた東京電力への意見などを示し、政府の姿勢をただしました。
原子力損害賠償は、文部科学省に設置された原子力損害賠償紛争審査会が策定する指針に基づき行われています。同審査会は、「指針は最低限の水準」としていますが、東電は指針を上限として扱っているため、ADRセンターには1万1000件を超える仲介申請があり、和解は6割にも至っていません(4月18日現在)。
倉林議員の指摘に茂木敏充経産相は「東電が被害者の実態に沿った親身な対応をとるよう指導する」と答えました。
倉林議員は、賠償基準の策定について、「厳格な中立公正が求められており、国が主体になることは妥当でない」とされているにもかかわらず、2012年7月に新たな基準を策定したのは経産省である事実を示し、東電と国にとって都合のいい基準づくりになっていると指摘。「基準は早期帰還を促進する政策とセットで示されている。『手切れ金か』との被災者の声を受け止めるべきだ」と主張しました。
原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
〇委員長(大久保勉君) 原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府からの趣旨説明を聴取いたします。茂木内閣府特命担当大臣。
〇国務大臣(茂木敏充君) おはようございます。
原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
東京電力福島第一原子力発電所の事故炉について、溶融燃料の取り出しや汚染水の処理など、その廃炉に向けた取組は、完了までに長い期間を要する極めて困難な事業であることから、国内外の英知を結集し、予防的かつ重層的に取組を進めることが必要です。
具体的には、東電任せにするのではなく、国が前面に出て、汚染水の処理を含めた廃炉に対する研究開発、技術的指導や、必要な監視機能を強化する新たな体制の構築に取り組む必要があります。その際、廃炉と賠償の関連性も考慮し、東電に対して賠償円滑化のための資金援助を行い、その経営全体を監督している原子力損害賠償支援機構が、福島第一原発の廃炉に関する技術支援等を総合的に行うことが適切です。このため、原子力損害賠償支援機構を改組して事故炉の廃炉関係業務を追加すること等により、福島第一原発の廃炉を着実に進める体制を構築することを目的として、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、廃炉関係業務の追加に伴い、組織の名称を原子力損害賠償・廃炉等支援機構に変更し、機構の目的に廃炉等の適正かつ着実な実施を追加します。また、事故炉の廃炉に関する重要事項を審議するため、機構に廃炉等技術委員会を設置します。
第二に、事故炉の廃炉に関する研究開発を着実に推進するため、機構の業務に廃炉等を実施するために必要な技術に関する研究及び開発を追加します。
第三に、機構が事故炉の廃炉の状況、課題を把握し、技術的観点から適切な助言、指導等を行えるよう、業務に廃炉等の適切かつ着実な実施の確保のための助言、指導、勧告を追加します。
第四に、事故炉の廃炉に関する資金、人員等を十分に確保する観点から、事業者の廃炉の実施状況や実施体制等について、主務大臣による確認、監視を確保し、不十分な場合には是正命令を行えるよう、機構が東電と共同して作成する特別事業計画の記載事項に事故炉の廃炉の実施状況や実施体制等に係る事項を追加します。また、毎事業年度、機構が主務大臣に対して廃炉業務の報告を行い、それを主務大臣が公表する規定を追加します。
その他、廃炉業務を通じて得られた最新技術等の知見、情報を国内外へ提供する業務を追加する等、所要の規定を整備をいたします。
以上が本法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
〇委員長(大久保勉君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
〇倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
今日は、賠償問題を中心に質問したいと思います。
本会議では、大臣答弁に立たれまして、原発事故と相当因果関係のある原子力損害について適切な賠償を行うとの基本的な考え方に従い、被害の実態に沿った賠償を行うよう引き続き東電を指導するというものでした。
そこで、今年の二月に福島原子力損害対策協議会が緊急要望に来ておられます。その主な内容についてまず最初に確認をしておきたいと思います。
〇政府参考人(藤原正彦君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、今年二月六日に、福島県原子力損害対策協議会として、村田副知事を始め関係自治体、団体の代表者の方々から原子力損害賠償の完全実施に関する緊急要望の実施について御要望を頂戴しております。
主な要望内容といたしましては、第一に、中間指針第四次追補を踏まえた東京電力による的確かつ迅速、十分な賠償の実施、第二に、被害者の視点に立った親身、親切な賠償、第三に、全ての損害に対する十分な賠償期間の確保、第四に、避難指示等区域に対する賠償といった諸点について御要望を頂戴しているところでございます。
〇倉林明子君 御紹介ありましたように、ついこの二月に来られたこの福島原子力損害対策協議会というのは、知事を会長といたしまして県内二百八の団体そして自治体で構成された、いわゆるオール福島という団体と呼べるものだと思うんですね。表題にもありました、中身の紹介もありましたとおり、原子力損害賠償の完全実施を要望していると、そして、実施の状況を踏まえればまだまだ不十分だということが御紹介のとおりだったと思うんですね。
そこで、改めて確認をしたいんですが、原子力損害賠償紛争解決センターということで設置されております。この位置付けはどうなっているのかということと、原発事故に伴います東京電力の損害賠償に対して和解仲介手続、実施されておりますが、現状、実施状況どうなっておるでしょうか。
〇政府参考人(田中正朗君) お答えいたします。
今般の東京電力福島第一原子力発電所の事故に関わります原子力損害賠償につきまして、原子力損害賠償紛争審査会が策定いたしました指針を踏まえまして、基本的には東京電力と被害者との直接交渉により賠償が行われるものでございますけれども、直接交渉が難航する場合などには、今委員から御指摘のございました原子力損害賠償紛争解決センター、私どもこれADRセンターと略称しておりますけれども、ADRセンターにおきまして和解の仲介を実施しているところでございます。
このADRセンターにおきましては、平成二十三年九月一日の申立て受付開始以来、平成二十六年四月十八日、ちょうど先週金曜日になるかと思いますけれども、までの累計で一万一千二件の申立てを受け付けております。このうち、既済件数は八千百二件、そのうち、全部和解成立件数は六千五百四十二件となっているところでございます。
〇倉林明子君 ADRに寄せられている多くの解決を望む声があると。それだけ、うまく一回ではいかずに、東京電力との関係では納得できずに持ち込まれているものがこれだけあると。解決も着実に進めてもらっているということですけれども、その大きさというものを示しているというふうに思うんですね。
そこで、このADRに寄せられている東京電力に対する意見、要望、不満というものも去年の時点で取りまとめもされておりますが、その中身について主なものを御紹介いただきたいと思います。
〇政府参考人(田中正朗君) ただいま申し上げましたADRセンターでは、平成二十四年一月から十二月までの活動状況を報告書として取りまとめて公表しているところでございます。
この報告書の中では、ADRセンターへの電話による問合せの中で、東京電力への意見、要望、不満として、例えば、原子力損害賠償紛争審査会が策定した中間指針に個別に明記されていない損害は支払われないと言われた、東京電力への直接請求とADRセンターへの申立てを両方行っている場合に直接請求の手続を進めてもらえない、過去にADRセンターで和解し、その他の損害を直接請求で解決しようとしたところ、東京電力から請求書を送付してもらえず、送付を依頼しても拒否されたといった事例が寄せられていることが報告されてございます。
文部科学省では、それまでも東京電力に対して賠償における誠実な対応を要請してきたところでございますけれども、このような状況に鑑みまして、平成二十五年三月五日、報告書の公表と同時に、東京電力に対しまして、事故の被害を受けた方の迅速な救済という損害賠償の原点に立ち、被害を受けた方に対する誠意ある対応を徹底するように改めて文書で要請したところでございます。
〇倉林明子君 昨年、そういうことで事例の公表もして、東電の方にも直接指導もしていただいた。ところが、その後も東電は指針を上限として扱って支払を拒むと、こういうケースが相次いでいるというのが現地から上がってきている声でもあります。
こういう対応というのは原賠審の求めている基本的な対応と違うと思うんですけれども、基本的な対応の考え方、指針を受け止めて東電が取るべき対応としてどうお考えか。いかがでしょうか。
〇政府参考人(田中正朗君) お答え申し上げます。
今回の事故により生じる原子力損害に関しましては、事故との相当因果関係が認められるものは全て原子力損害賠償法に基づき東京電力より適切な賠償が行われることとなってございます。
原子力損害賠償紛争審査会が策定しました指針は、類型化が可能で一律に賠償すべき損害の範囲や損害項目を示すことができる事柄についてその損害賠償の目安を示したものでございます。このため、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められるものは当然賠償の対象になることも指針に明記しておりまして、東京電力に対しましても、指針の趣旨に沿って合理的かつ柔軟な対応を行うよう求めてきているところでございます。
文部科学省といたしましても、引き続き関係省庁と連携をして、公平かつ適切な賠償が迅速に行われますように、果たすべき役割を果たしてまいりたいと考えてございます。
〇倉林明子君 いまだにそういう声が上がってくるというのが現場で東電が取っている対応だということで、非常にこういう対応が被害者の不満、不信につながっているというふうに思うんですね。
そこで、大臣の認識も、こういう東電の賠償に対する対応というのが現地の不信を買っているということについてのお考え、認識を伺っておきたいと思います。
〇国務大臣(茂木敏充君) 原発事故による賠償につきましては、指針に記載されたもののみならず、今も答弁ありましたように、事故と相当因果関係のあるものについて被害の実態に沿って適切に賠償を行うことが必要だと考えております。
今後とも、東電に対しまして、被害者の方々の実態を踏まえた親身な賠償を行うよう、引き続き指導してまいりたいと考えております。
〇倉林明子君 そこで、賠償の指針、基準ということなんですけれども、事故との相当な因果関係があって、合理的で柔軟な対応が必要だという今お話もありました。当然ながら、被害者が納得できるということが求められており、この基準を策定する主体ということを考えましたときに、和解の仲介と同様に厳格な中立公正、この立場が要請されるんだと思うんです。
ジェー・シー・オーの事故がありまして原賠法が見直しされた経過がございました。このときに議論の中で、政府は紛争当事者たり得るという上で、賠償額が賠償措置額を超える場合、支援することとなり、今まさにそういう事態ですけれども、基準の策定は利益相反関係となるおそれがあると。同時に、国が直接の策定主体となることは妥当性がないというふうにされています。私も本当にそのとおりだと思うんですけれども、どういう議論があったのか。いかがでしょう。
〇政府参考人(田中正朗君) 今委員が御紹介になられましたのは、当時ジェー・シー・オーが臨界事故を起こした後、平成二十年九月八日に原子力損害賠償制度の在り方についての検討会が行われた際に提出された資料の中に記載されていたものであろうかと想像してございます。
そのときに、このジェー・シー・オーの事故を踏まえまして、文科省では、従来の原子力損害賠償紛争審査会の所掌事務に追加して、原子力損害の賠償の実施の参考となるべき賠償の範囲等に関する一般的な基準、今回でいいますと指針でございますけれども、指針を策定するという業務を追加するということにしたわけでございます。
その際に、その検討会の中で行われた議論としまして、今委員が御紹介されたような、政府は補償契約の保険者として潜在的に紛争当事者たり得るほか、原子力損害が賠償措置額を超えるおそれがある場合には、事故後早期の段階において損害の専門的な調査、評価に基づき、国による事業者への援助の必要性を判断しなければならず、基準の策定はこれらと利益相反関係となるおそれがあり、国が直接の策定主体となることは妥当ではないと、そのような議論がなされたと承知してございます。
〇倉林明子君 私は大事なところだというふうに思って見させてもらったんですね。
ところが、実際、この福島事故の後、どういうことになっているかといいますと、一昨年、二〇一二年の七月の二十日に、避難指示区域の見直しに伴う賠償基準の考え方ということで経産省が公表しております。そして、同年八月三日の第二十七回原賠審で経産省がこの中身を説明しているんですね。原賠審の委員からも、どうして紛争審査会自体でなくて経産省が作ったのか、十分な説明になっていないという疑問が示されております。基準を策定するには妥当ではないという立場にある経産省が策定主体になっていたと、これこういうことではないでしょうか。
〇政府参考人(藤原正彦君) お答え申し上げます。
委員から御発言があったとおり、平成二十四年七月二十日に、経済産業省は避難指示区域の見直しに伴う賠償基準の考え方というものを取りまとめて公表をいたしました。
この考え方という文書を策定いたしましたのは、同じ平成二十四年三月に原子力損害賠償紛争審査会が区域見直しに伴う賠償の基本的な考え方に関するいわゆる中間指針第二次追補を公表したのを受けて、その内容を踏まえて東京電力が実際の賠償金支払の詳細を定めた賠償基準を策定することになっていたわけでございますが、その策定に当たって、政府としては、その策定を東京電力任せにせず、被害を受けた自治体あるいは住民の方々の意見や実情を伺って、それを吸い上げた上で東京電力が可能な限り賠償基準に反映することが必要であると考えたからでございます。
〇倉林明子君 その後も、十二月二十日、住宅確保や精神的損害の賠償の指針を追加する政府の閣議決定ということで、それ拡大するということの閣議決定ではあるんだけれども、原賠審の前にこういう考え方が示されてくるということがあるんですね。
この中身をよく見てみれば、結局新たな基準の中には補償の打切りということにつながる中身がありまして、現地からは、手切れ金かという被災者の声上がっているということは、本当重く受け止める必要があるんじゃないかと思っているんです。早期帰還ということを目指すという方針転換の下に出されてきた中身なわけです。
そこで、改めて確認をいたしますが、この早期帰還を促進するという観点から、セットで避難指示解除の要件が示されました。これ、中身、具体的にお示しください。
〇政府参考人(糟谷敏秀君) 避難指示の解除につきましては、平成二十三年の十二月、原子力災害対策本部決定に基づき、三つの要件を決定をいたしております。
第一に、空間線量率で推定された年間積算線量が二十ミリシーベルト以下になることが確実であること。第二に、電気、ガス、上下水道、主要交通網、通信など日常生活に必要なインフラや医療、介護、郵便などの生活関連サービスがおおむね復旧すること、子供の生活環境を中心とする除染作業が十分に進捗すること。第三に、県、市町村、住民との十分な協議。こうした三つの要件を満たしたことを確認した上で実施するというのが政府の方針でございます。
〇倉林明子君 非常に大きな怒りの声も上がっていたのが、二十ミリシーベルト以下。長期的には一ミリシーベルト以下を目指すというものの、二十ミリシーベルト以下というところに帰るように解除の要件として入ったというのは重大だと思っているんですね。この二十ミリシーベルトといいますと、立入りも制限されている厳重な管理下に置かれなければならない放射線管理区域、これ年間シーベルトに直せば五・二ミリシーベルトなんですね。そういうところに帰ってええということになるんかと、そういう怒りが出ているということなんですよ。
そこで、改めて確認したいと思うんですが、この避難指示解除準備区域に該当する地域でもあるところで、放射線量の推定値を測定していながら半年間公表していなかったということが明らかになりました。
今年四月に解除が決定した田村市の都路地区、早期解除を目指すということで頑張っている川内村、飯舘村、それぞれたくさんのケースを設定して推計値出していますので、一体高いところでどんな結果が出たのか、主なところを拾って御報告を求めたいと思います。
〇政府参考人(糟谷敏秀君) これは、内閣府の原子力被災者生活支援チームから放射線医学総合研究所及び日本原子力研究開発機構に依頼をして実施をしたものでございます。
目的は、個人の被曝線量について生活パターンごとの違いを科学的に推定をするということでありまして、具体的には、まず田村市、川内村、飯舘村の生活圏内の様々な地点、これは二十八地域において個人線量等の測定をいたしまして、空間線量と個人線量の関係を実測いたしました。それを基にしまして、類型化した生活パターンごとの個人線量の推計を行ったものであります。
結果は先週十八日に公表いたしましたが、田村市でいきますと〇・六から二・三ミリシーベルト、これは生活パターンに応じて異なりまして、二・三ミリシーベルトといいますのは林業の方であります。ほかの方々は〇・六から一・二ミリシーベルトという幅でございます。川内村については一・一から五・五ミリシーベルト、一・一は高齢者の方、五・五は林業の方です。飯舘村については三・八から十七・〇ミリシーベルト、三・八が教職員の方、十七・〇が林業の方であります。
ただ、個々の推定値は、調査地点の測定値と仮定した生活パターンを用いた推定でありまして、川内村、田村市の都路、それから飯舘村の代表値を示すものではありませんし、また、実測値ではありません。また、推定は平成二十五年九月時点の空間線量率を基にしておりまして、その後の除染等を反映したものではございません。
〇倉林明子君 また隠してたんかという不信感を増幅する結果になるんじゃないですか、こういうことをしていると。
私は、協議の前に公表されていたら住民は解除に反対したという声が出ているという、報道にも紹介がありました。隠そうとしたと勘ぐられてもしようがないと川内村の村長も言っているということなんですね。
私、住民の判断にも影響を及ぼすような調査結果を公表しなかったと、これ本当に重大な問題だと思っているんです。原子力被災者生活支援チームとしてこの調査もやったということですけれども、責任者として大臣の認識はいかがでしょうか。
〇国務大臣(茂木敏充君) 事実関係につきまして相当な誤解があるようですから、正確に答弁をさせていただきます。よくお聞きください。
まず被災地におけます放射線量につきましては、これまでも、航空機モニタリングなどの空間放射線量のデータに加えまして、特例的に宿泊している住民の方々や国の職員が測定した個人線量計のデータについて、四月一日の田村市の避難指示解除以前からその結果を適時取りまとめて住民説明会等の機会を捉えて情報を提供してきたところであります。
御指摘のありました調査につきましては、こうした空間の放射線量や個人の線量計の測定値に加えまして、職場環境の違いであったりとか年齢層の違いなど、生活パターンごとの個人線量を科学的に推計するために実施をしたものでありまして、具体的に申し上げますと、昨年の八月、九月に人体模型、これを使いまして、この人体模型に備え付けた個人線量計等による定点の測定を行いまして、また、その後、例えば農業従事者や林業従事者、屋内で仕事をすることの多い事務職員等の複数の職業の一般的生活パターンの類型化や、この職業類型別に行動場所の空間線量と滞在時間の組合せ等の設定について、計測後の推計方法等の検証をできる限り詳細かつ正確に行ってきたものであります。
実際に四月の十八日に公表した数字、例えば田村市の都路地区では、年間、先ほどもありましたように、〇・六から二・三ミリシーベルトでありまして、これはこれまで公表している空間線量から推計した被曝線量の平均値であります年間四ミリシーベルトより低く、推計値が高かったために情報を隠した、データを操作したり、田村市の避難指示解除以降に意図的に公表を遅らせるといったことは決してございません。科学的に検証した結果を正確に公表すべく取り組んできた結果でありまして、そもそも何か月でやりますとか、例えば去年の八月から始めましたけれど、年度内にやるとか、そういったことを決めて時間ありきで行ったものではありませんので、公表が遅れたと、こういう指摘は全く当たらない、このように考えております。
いずれにいたしましても、放射線量に関します情報につきましては、できる限り迅速、正確に公表して住民の方々に丁寧に説明することが重要でありまして、この点について今後一層徹底するよう事務方には指示を行っておりますけれど、このデータは、例えばこういったものをきちんとした形で公表するとなりますと、農業者のデータが一つ取れた、林業者のデータが一つ取れた、お年寄りの方のデータが一つ取れたと、それごとに公表していたら多分混乱が起きると。もう少し生活パターン別に類型化をして、きちんとした形でより正確なものを出すということが極めて住民の方々にとっても大切なことだと思っております。
ただ、もちろん丁寧な説明をきちんと行うということには今後とも努めてまいりたいと考えております。
〇倉林明子君 報道も含めて誤解されていると言うんだけれども、隠してたんちゃうかという誤解を招くようなことにやっぱり結果としてなったんだから、そういうことはしっかりないようにしたいということですから、当然努力していただきたいと思うんです。
大事なのは、午前中の議論で東電の社長は、これ賠償の先が見えてきたというようなことをおっしゃいました。でも、福島県のオール福島の声聞いていると、賠償はまだまだ不十分で、基準の見直しさえ要望で上がってきていますよね。そういう意味でいうと、本当に福島が求める賠償を完全実施してほしいんだと、この声に正面からやっぱり応えるということ抜きに賠償額の見通しが立ったなんということは、私、とんでもないことを言ったなと、もういなくなっちゃったんですけれども、伝えてもらうように申し上げまして、今日は終わりたいと思います。
- 日時
- 2024/12/13(金)
- 場所
- 内容