中心市街地活性化法改正案 通訳案内士問題と福知山市、綾部市の市街地活性化について(経済産業委員会)
2014/04/17
(ページ下部に資料があります)
大型店出店で商圏は 倉林議員 実例あげ抑制策示す
倉林明子議員は4月17日、参院経済産業委員会で、大型店出店の抑制策として小売商業調整特別措置法の積極的な活用と、小さな市町村でも中心市街地活性化法の支援が受けられるよう、要件緩和とソフトメニューの充実を求めました。
倉林議員は、1989年から2008年までに京都府福知山市周辺で1万平方メートルを超える大型店12店が出店した例を提示。中心市街地の歩行者や二輪車の通行量が激減し、大型店の出店攻勢によって商圏が縮小したという市当局の分析を示しました。
茂木敏充経産相は「通行量が半減したという大変厳しい状況にある」との認識を示し、「大型店の立地で顧客が奪われているという要素がないとはいえない」と答えました。
中心市街地の活性化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
〇委員長(大久保勉君) 中心市街地の活性化に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
〇倉林明子君 おはようございます。
今回提案されております特例通訳案内士について、まず質問したいと思います。
御議論もありましたが、国家資格で登録を要する通訳案内士と類似する名称、これは誤解を招きかねないと思うんですね。同時に、特例通訳案内士が中心市街地の外で業を求められた場合、通訳案内士法違反になるんじゃないかと思うんです。そこで、業務と名称の独占に関する罰則規定が通訳案内士法で定められておると思いますが、御紹介いただきたい。
〇政府参考人(吉田雅彦君) お答えいたします。
通訳案内士法第三十六条では、通訳案内士でない者の業務の制限につきまして、「通訳案内士でない者は、報酬を得て、通訳案内を業として行つてはならない。」と規定されております。第三十六条の規定に違反した者は、第四十条で「五十万円以下の罰金に処する。」と規定されております。また、三十七条では、名称の使用制限について、「通訳案内士でない者は、通訳案内士又はこれに類似する名称を用いてはならない。」と規定されております。第三十七条の規定に違反した者は、第四十一条で「三十万円以下の罰金に処する。」と規定されております。
〇倉林明子君 類似する名称を使ってはならないということですので、名称についての検討は当然されていることだろうと思います。
一方、この中心市街地そのものは限定された地域ということで、サービス利用者にとっても混乱が生じないように、この点では本当に影響を注意する必要があるかと思います。規制緩和ということで、この通訳案内士法に反するようなことがないように、これは本当に気を付けなければいけないところだと思いますので、指摘をしておきたいと思います。
その上で、この中心市街地活性化法そのものは、一九九八年のまちづくり三法の制定ということで一体のものとして作られてきた経過があります。このまちづくり三法の制定後も大型店の出店に歯止めが掛からないという状況があります。中心市街地の衰退ということが深刻化する中で、一万平米を超える大規模集客施設、これが郊外に出店するということに歯止めが掛かっておりません。ブレーキ役として期待もされました改正都市計画法、二〇〇六年の改定以後、郊外への大型店の出店、これが具体的にどう抑制されたのかということを確認したいと思うんです。
経産省が、平成二十四年度中心市街地商業等活性化支援業務ということで、調査報告書を委託してまとめられております。その分析の結果はどうなっておるでしょうか。
〇政府参考人(寺澤達也君) お答えします。
御指摘があった調査は、大規模小売店舗の立地動向について取りまとめたものでございます。そのうち、平成二十四年度の数字について御紹介します。
まず、面積別の立地動向ですけれども、一番多いのは一千平米から一千九百九十九平米、これが三百四十件、次に二千から二千九百九十九平米の店舗が百五十四件、その次に三千から四千九百九十九平米の店舗が百三十五件となっています。また、用途地域別の集計結果としては、準工業地域が百六十二件、次に第一種住居地域が百二十三件、その次に非線引き白地区域・無指定地域が百十七件と、以上のような報告になっております。
〇倉林明子君 二〇〇六年の都市計画法改正の際に、準工業地域は原則規制対象としても検討されていた地域だと思うんですね、郊外地ということになりますので。最も規制が、今御説明いただきましたとおり、準工業地域で一番、そういう意味でいうと、一万平米以上の店舗が件数としても多く張り付いているということだと思うんです。
結果を見れば郊外への出店というのが抑制されなかったということだと思うんですけれど、大臣、いかがでしょう。
〇国務大臣(茂木敏充君) 確かに、準工業地域への大規模店舗の立地件数、多いことは事実であります。ただ、この数字、解釈するのには、そもそも準工業地域の面積、これが商業地域とか隣接の商業地域と比べて三倍あると。面積自体が広いということもあります。そして、大規模小売店舗の立地のためにはある程度まとまった用地の確保が必要であり、そうした適地が準工業地域に多かったという要因もありますし、中心市街地の区域内にも準工業地帯がある、こういうケースもあるわけでありまして、こういった点にも留意する必要があると考えております。
一方で、中心市街地活性化を目指す地方の市町村に対しては、現在も国の定める基本方針において、中心市街地活性化基本計画の認定を受けるための条件として、当該市町村の準工業地域に特別用途地区の指定等を行うことによりまして大規模集客施設の立地制限をすることを求めているわけであります。したがいまして、少なくとも中心市街地活性化基本計画の認定を受けた地方の市町村におきまして、中心市街地の活性化を妨げるような準工業地域への一定以上の大規模小売店舗の立地は行われていないと、そのように考えております。
ただ、今回、国会に提出をされております国交省の都市再生特別措置法の改正案におきましては、市町村の策定する立地適正化計画に基づきまして誘導区域内への大規模小売店舗を含めた都市機能の立地を促進するとともに、誘導区域外への都市機能の立地に対して事前届出を求めるなど、緩やかなコントロールを行う仕組みが提案をされているわけでありまして、こういった仕組みを活用することによりまして、中心市街地活性化に取り組む市町村は、大規模小売店舗の立地場所について市町村の考えに沿って更にきめ細かな対応が可能になってくると考えております。
〇倉林明子君 いろいろおっしゃったんですけれども、八年間、そういう意味でいうとゾーン規制というのが私は成功していないというふうに思うんです。
そこで、今申し上げました市町村で中心市街地の活性化基本計画を立てているところがどうなっているのかということで、今日は京都府の福知山市の例を御紹介したいと思うんです。配付資料を二枚物で付けておりますので、御覧いただきたいと思うんです。
右側に同心円で福知山市を中心に入った図がございます。福知山市を中心に、同心円は二十キロ、四十キロ、六十キロというふうに置いてございます。ちょうど「福知山市」という字が入った「市」の辺りが中心市街地になるんですけれども、この赤い丸が一万平米以上の大型店でございます。大型店の商圏は四十キロとも六十キロとも言われておりますけれども、これだけ集中して立地しているというのが状況なんですね。その左側に大型店舗の開店日と売場面積も併せて入れております。つまり、福知山市周辺のところにもたくさん、平成元年、一九八九年以降これだけの出店が起こっているということなんです。
二枚目に付けましたのは、福知山市中心市街地活性化基本計画を今持っているところですけれども、こういう出店が進む中で一体中心市街地の通行量はどうなっているのかと。歩行者と二輪車を合わせまして、一九九六年と比較して、本当に、二〇一〇年のところまでありますが、右肩下がりという結果が出ているわけですね。
福知山市というところは、古くから交通の要衝でもあって、企業や学校も多い、北近畿の中心都市と言ってもいいところだと思うんです。二〇一一年に中心市街地活性化の基本計画の認定を受けたわけですけれども、状況は今御紹介したような状況になっていると。私、中心商店街、この活性化に最大の障壁になっているのがこの郊外への大型店の出店だと、これは明らかだと思うんです。福知山市の基本計画でも、大型店の出店攻勢が予想を上回る形で続き、商圏が縮小していると、こういう分析をされているんですね。大臣、どのようにお感じでしょうか。
〇国務大臣(茂木敏充君) 京都というのは、恐らく、この地図にありますように、一般の人が思い浮かべる以上に南北に地域的に非常に長いという中で、その比較的中心部といいますか、に福知山ございまして、明智光秀が築城したということでも非常に有名な町でありますけれども。
福知山市、平成十一年から平成二十二年までの十一年間で中心市街地の歩行者、自転車の通行量が半減するなど大変厳しい状況の中にあると。ただ、明智光秀築城の福知山城であったりとか鉄道のまち福知山など歴史を生かした観光振興や、健康福祉センターの中心市街地への移転、町中居住の促進など、中心市街地の活性化に向けて福知山としては熱心に取り組んできたと、これは間違いないことなんだと思います。
福知山市に限らず、日本全国の地方都市、人口の減少、高齢化、そしてまたなかなか経済が低迷をするという中で厳しい状況にあるということは間違いないと思っております。
以前、私、全国の市町村、主要な市町村の中心市街地の活性化の度合いとそれから大型店舗の周辺の立地の具合、調べたこともあるんですけど、それほど相関しません。それほど相関がないんですよね。余り具体的な例を申し上げるのはあれなんですけれども、例えば千葉県の木更津、大型店舗って余り周りにないのに中心市街地活性化していない。それに対して、例えば長浜、これは明智光秀ではなくて秀吉の方の築城でありますけど、周りに大型店があるのに黒壁の町づくりということでなかなか活性化をしているというところもあるわけでありまして、確かに大型店の立地によりまして顧客を奪われている、こういう要素がないとは言いませんけれども、これが一番大きな要素だと言うことはなかなか厳しいんじゃないかなと思っております。
〇倉林明子君 個別で中心市街地を大型店が出てきても活性化に成功しているという事例があることは私も承知しております。福知山市でも様々な努力、取組がされているということも御紹介のとおりであります。しかし、福知山市自身が分析しているように、予想を上回るような大規模店の相次ぐ出店というのが間違いなく影響していると、これも事実であろうと思うんです。
そこで、相関しないという御指摘ありますけれども、これは結果も改めて慎重に精査もしていただきたいと思うんですね。改めて、私は、この大型店の出店について、都市計画法でのゾーン規制ということが結果としてはうまくいっていないと、その下で出店を抑制するという機能の強化が一方では必要だというふうに思うわけです。
そこで、二点やっぱり提案したいと思うんですが、一つは、準工業地域、面積も多い、適地だと、間違いないと思うんです。ここにこそゾーンの規制をしっかり掛けていく、原則禁止区域に準工業地域はすべきだという点が一点。もう一点は、規制対象については規模を引き下げるべきだ、三千平米までに引き下げると、こういう検討が必要じゃないかと思うんです。いかがでしょう。
〇政府参考人(田村計君) お答えいたします。
まず、準工業地域のことでございますけれども、準工業地域は住宅と工業等の多様な用途の混在を許容する用途地域ということで、市街地の中心部に近い住宅と工業の混在地域においても指定されることが多いものでございます。このため、準工業地域については、地域によって様々な事情があるということで一律に大規模集客施設の立地を制限をしないということで、平成十八年のときにそういうような措置をしております。
そういうことで、この用途地域におきましては、混在地域でございますので地域の実情等を踏まえる必要性が非常に高いと判断をしておりまして、ここはやはり地元の地方公共団体が適切に判断をいただいて、必要に応じて特別用途地区というふうな地区の計画を指定すると。これによりまして規模要件の引下げも可能なんですけれども、そういった特別用途地区を指定することを通じまして規制を強化するということが適当であろうと考えてございます。
それから、規模の要件について御質問ございましたが、三千平米に引き下げるべきではないかということでございます。元々、面積を、これは店舗面積ですけれども、一万平方メートルとした根拠でございますが、大規模な集客施設は著しく多数の人を広い地域から集めるということで、自動車の交通量の増加とか周辺道路への渋滞を引き起こすというふうなことで周辺の環境に影響を及ぼすと、そういうおそれが高いということで、一つのメルクマールとして店舗面積を一万平方メートルというふうに設定をしたのが一つでございます。
また、業態の面から見ましても、店舗面積が一万平方メートル以下の施設となりますと、食料品を中心とするような言わばふだん使いのスーパーマーケットとかそういったものも入ってくる場合もございまして、地域住民の日常生活に必要な店舗まで規制されてしまう場合もございます。こうしたことから、一律の面積としては一万平方メートルといたしまして、先ほど申し上げたような特別用途地区というふうな活用によりまして地域の実情に応じて規制を掛けていただくというのが適切ではないかと考えてございます。
〇倉林明子君 私、不十分だったから大型店の出店というのが本当にブレーキ掛かっていないという現状をしっかり見るべきだと思います。地方が独自に指定したらいいということですけれども、地方で持っていた商業調整、この機能を奪ったことが私は本当に大型店出店のアクセルになってきたと思っているんです。
そこで、現行法で小売商業調整特別措置法というものがございます。この活用を改めてすべきじゃないかと思っているんですが、商調法の目的と機能、これを簡単に紹介していただきたいし、この大店法の廃止後、その前と後でこの商調法の活用実績はどうなっているか、御紹介をお願いします。
〇政府参考人(北川慎介君) 小売商業調整特別措置法、いわゆる商調法でございます、これは中小小売商と大企業等との間の紛争処理手続を定めた法律でございまして、大企業の事業進出により中小小売商の経営の安定に悪影響を及ぼすおそれがある場合、緊急避難的措置を講じることで中小小売商の事業活動の機会を適正に確保することを法目的としております。
具体的な手続といたしましては、まず、大型店の出店に際しまして、中小小売商との間で紛争が生じ当事者間で紛争の解決が困難である場合に、紛争当事者である中小小売商等の申出に基づき都道府県知事が実施するあっせん、調停の規定がございます。次に、物品を販売する大企業者が中小小売商団体構成員、これらの相当数の中小小売商の経営の安定に悪影響を及ぼすおそれのある事業、これが開始される、あるいは拡大の計画を有していると認められる場合に、中小小売団体の申出に基づき都道府県知事が実施する調査という規定がございます。さらに、中小小売団体の申出に基づきまして中小小売商の事業活動の機会を適切に確保する必要があると認められる場合に、都府県知事が実施する調整勧告、命令の規定がございます。こうした規定がございます。
次に、実際の運用状況ということでございます。
この商調法は昭和三十四年、制定されておりますが、それ以降の調査、あっせん、調停の運用状況につきましては、調査が十件、あっせんが八件、調停が二件の計二十件の申出があったと承知しております。このうち、大型小売店舗法、旧大店法が廃止された平成十二年より前の申出の実績は、調査が七件、あっせんが八件、調停が二件の計十七件。その後の平成十二年以降、これは調査案件のみでございます。平成十七年に二件、平成二十一年に一件、計三件と承知しております。
〇倉林明子君 私は、大型店出店の際の抑制という観点から、こうした商調法の積極的な活用ということで大いにされるべきだというふうに思います。
前回の改正のときに既に規模の小さな市町村が中心市街地活性化法の活用というのは大変しにくくなったというふうに思っているわけですけれども、実際にどうだったのか。人口十万人未満の市町村で、中心市街地活性化法が改正されました〇六年以降、基本計画の提出の件数が何件で改正後は何件になっているか。いかがでしょう。
〇政府参考人(田中博敏君) お答え申し上げます。
平成十八年の法の改正前に中心市街地活性化基本計画の届出のあった市区町村数は全体で六百六、そのうち平成十七年度国勢調査に基づいた人口十万人に満たない市区町村数は四百六でございます。一方、法改正後に中心市街地活性化基本計画が認定された市区町村数は全体で百十九、そのうち人口十万人に満たない市区町村数は三十九でございます。
〇倉林明子君 もう本当にぐっと絞り込まれちゃって、なかなか認定要件を満たすということは難しいという状況にあるんですね。
私の京都府の綾部市というところも、先ほど紹介した福知山のお隣なんですけれども、ここ人口三万四千人のところなんです。〇四年に実はこの中心市街地活性化基本計画を策定したんですね。ところが、法改正がありまして使えなくなったということになりました。しかし、その後も何とか活性化の取組をということで、事務局運営、中心市街地活性化のための事業推進にということで事務局をしっかり置いて、ここの支援をやったり、古民家の活用の産業振興ということで事業をやったり、空き店舗のチャレンジショップ支援事業というのも府の支援メニューも使いながらやっておられるんですね。
今回、認定の四要件が緩和をするんだということなんですけれども、大臣が説明されたとおり、既に合格しているということが認定を受けなくてもいいという条件になっているということで、やっぱり小さい市町村にとっては高いハードルはそのまんまということになっているんですね。私は、規模の小さいところで頑張っているこうした綾部市のような、中心市街地活性化の取組を引き続き頑張っている、こうしたところにこそやっぱり支援の手が届くべきだというふうに思います。要件緩和、そしてソフトメニューへの支援等、使えるような拡大、緩和の方向が必要だというふうに思います。
〇委員長(大久保勉君) 時間が過ぎておりますので、質疑をおまとめください。
〇倉林明子君 改善を求めて、質問は終わります。
- 日時
- 2024/11/22(金)
- 場所
- 内容