倉林明子

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朝鮮学校を高校授業料無償化の対象に(2025/5/12 行政監視委員会)


 日本共産党の倉林明子議員は12日の参院行政監視委員会で、朝鮮学校を高校授業料無償化の対象とするよう迫りました。
 高等学校等就学支援金制度は、外国人学校も対象となり、在席する生徒は国籍を問わず支援対象となります。しかし、2010年の制度創設以来、朝鮮学校は授業料無償化の対象外とされてきました。
 倉林氏は、朝鮮学校のみを除外することは、高校生の教育の機会均等の権利を侵害する、差別的扱いにほかならないと批判。人種差別撤廃委員会、子どもの権利委員など国連人権機関から、朝鮮学校を排除する差別であると度重なる勧告が出されていることを示し、子どもの権利を最優先に、高校授業料の無償化を朝鮮学校にも広げるよう求めました。
 阿部俊子文部科学相は「今後の高校無償化の検討課題とは認識していない」と見直しを拒否しました。
 現在、朝鮮学校に対し、10道府県、83市区町が、独自に補助金を交付しています。
 倉林氏は、2016年に国が通知を出したことにより、自治体が補助金交付を自粛し、大幅に減少したと指摘。通知を速やかに撤回するよう求めました。


議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 今日は、いわゆる高校授業料無償化について質問したいと思います。
 そもそも外国人学校やインターナショナルスクールに通う子供への支援、この在り方について文科大臣の認識を確認しておきたいと思います。

○国務大臣(あべ俊子君) 委員にお答えさせていただきます。
 現行の高等学校等就学支援金制度におきましては、高等学校等就学支援金の支給に関する法律に基づきまして、各種学校のうち高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省省令で定めるものについて制度の対象としているところでございます。
 現在、四十三校の外国人学校が対象となっておりまして、当該学校等に在籍する生徒又は学生で日本国内に住所を有する者につきましては、国籍を問わず支援の対象としています。なお、ということでございます。

○倉林明子君 これまでも国籍を問わず対象とする全ての意思ある生徒の学びを保障すると、こういう立場で中華学校あるいはブラジル人学校、こうした外国人学校も対象とされてきた経過があったかと思うんです。
 ところが、朝鮮人学校についてどうかと見ますと、二〇一〇年の制度創設以来、これ対象外となっております。適用としない理由は何なのか、御説明をお願いします。

○政府参考人(今井裕一君) お答え申し上げます。
 現行の高等学校等就学支援金制度につきましては、法令上、支給対象である学校に通う生徒が日本国内に在住していれば国籍を問わずに支援対象となりますが、朝鮮学校につきましては、法令に基づいて定められた審査基準に適合すると認めるに至らなかったため、高等学校等就学支援金制度の対象に指定されていないところでございます。

○倉林明子君 これ、裁判でも闘われた経過も含めて認識しているんですけれども、教育基本法十六条による不当な支配の疑いがあるということも根拠とされて原告敗訴となった経過があろうかと思います。
 そもそも教育基本法十六条、旧十条、これにおけます不当な支配というのは何だったかと。国による不当な教育への介入によって二度と戦争を起こしてはならないと、こういう憲法の趣旨に沿った、反映したものだったという歴史あるかと思うんです。朝鮮学校のみを除外するという行為は、高校生が受けられる教育の機会均等の権利を、私、侵害すると、差別的扱いにほかならないと指摘したいと思うんです。
 これ、日本政府に対しまして、国連人権機関である人種差別撤廃委員会、社会権規約委員会、そして人権理事会、次いで子どもの権利委員会が、朝鮮学校を排除することは差別であるということで、度重なる勧告が出されております。子どもの権利委員会は二〇一九年、二度目となる勧告を行いまして、他の外国人学校と同等に扱うべきだとしております。高校授業料無償化制度の適用を求め、大学、短大入試へのアクセスにおいても差別しないよう促しているんですね。子供に罪はないと思うんですよ。
 そして、子どもの権利条約、これ批准しているのが日本国政府です。子供は権利の主体であって、人種、国籍、性、意見など、どんな理由でも差別されず、権利は保障されなければならない。
 こども家庭庁の担当大臣としてですね、三原大臣にこの子どもの権利条約に基づいた勧告をどのように受け止められるか、お聞きしたい。

○国務大臣(三原じゅん子君) 倉林委員お尋ねのとおり、児童の権利委員会から二〇一九年に出された総括所見におきまして、高等学校等就学支援金制度を朝鮮学校にも適用しやすくするために基準を見直すこと、大学入学試験へのアクセスが差別的でないことを確保することとする勧告が盛り込まれているところ、これらの制度等に係る対応におきましては、制度を所管する文部科学省において法令に基づいて適切に対応されているものと承知をしております。
 これまでも、児童の権利委員会からの総括所見に対しましては、我が国の法令に基づく取組やその考えについて政府報告等で適切に説明をしてきておりまして、引き続き丁寧に説明していくことが重要であると考えております。

○倉林明子君 適切に対処していたら、勧告七回されているんですよ、この件について。この件を繰り返し勧告されているということが子供の権利侵害に値しているよという受け止めですよ、それ聞いたんですよ。文科省がどうかじゃないんですよ。子供の権利侵害に対してこども家庭庁としての受け止めはどうですかと。もう一回答弁していただけますか。

○国務大臣(三原じゅん子君) 繰り返しにはなるんですけれども、この朝鮮学校を始めとする外国人学校への公的支援につきましては、所管の文部科学省において法令に基づき適切に対応しているものと承知をしております。
 倉林委員の子供に罪はないというお気持ちに関しましては理解ができることでありますけれども、このことに関しましては法令に基づき適切に対応されているというふうに承知をしているところでございます。

○倉林明子君 日本の法律が適切に運用されている、その司法の判断も出たと。しかし、世界の人権機関から、子どもの権利委員会からこのような勧告が繰り返されているということを私は正面からやっぱり受け止めた検討が要るんだということを指摘しておきたいと思うんです。
 日本と北朝鮮との関係というのは、北朝鮮と朝鮮総連との関係、これ専らね、これ理由にして不当な支配というような疑いに掛けられているんだけれども、これは専ら政治外交問題なんですよ。子供、朝鮮学校の子供たち、教育受ける権利、これと関係、何ら関わりないということを指摘したいと思うんですね。
 政府全体として、重ねて申し上げます、勧告を真摯に受け止めて、子供の権利を最優先に解決に向かっていくべきだと申し上げたい。
 さらに、政府の措置とは異なって独自に朝鮮学校に対する補助金を継続している、こういう自治体も存在しております。その自治体数と総額は直近で幾らになっているでしょうか。

○政府参考人(大野彰子君) お答え申し上げます。
 令和四年度時点で十道府県、八十三市区町の計九十三自治体が朝鮮学校又はそこに通う子供の保護者に対して総額二・三億円の補助を行っていると承知しております。

○倉林明子君 二〇一六年には、これ百二十一自治体が実施しておって、総額四億円という支出があったということですから、大幅に縮小していると、これ指摘をしておきたいと思います。
 二〇一六年三月に、国は、朝鮮学校その他、その区域内に有する二十八都道府県知事宛てに朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点に当たってという通知を発出されております。この通知を受けて、京都府では、既に交付決定の通知を行っていたにもかかわらず交付が留保されると、こういう事態まで生んだんですね。事実上、通知が朝鮮学校に対する自治体の補助金交付を自粛する、こういう圧力になっていると言わざるを得ないと思うんですね。
 これ、今もこの通知が生きていると思うんですけれども、速やかに通知は撤回すべきではないでしょうか。

○国務大臣(あべ俊子君) 委員にお答えいたします。
 御指摘の通知でございますが、こちらは補助金の適正かつ透明性のある、この執行の確保等を依頼する趣旨でございまして、地方自治法等の観点から補助金を支出する自治体が当然に果たすべき役割について通知したものでございまして、撤回することは考えておりません。

○倉林明子君 いや、この通知が出されて以降、京都府の例も出しましたけれども、自治体では独自にやっていた朝鮮学校に対する補助金を縮小したり廃止したりという動きになっているということは、先ほど紹介した今の現状を見ても明らかだと思うんですよ。
 改めて、文科大臣、確認しますけれども、この通知、この通知が実際の地方自治体の独自の補助金を抑制する、圧縮するというようなことにつながっていると、この事実をお認めになった方がいいと思う。どうでしょう。

○国務大臣(あべ俊子君) この通知の内容でございますが、実はこの内容に関しましては、ついては、朝鮮学校の運営に関わる上記のような特性も考慮の上、朝鮮学校に通う子供に与える影響にも十分に配慮しつつ、朝鮮学校に関わる補助金の公益性、教育振興上の効果等に関する十分な御検討とともに、補助金の趣旨、目的に沿った適正かつ透明性のある執行の確保及び補助金の趣旨、目的に関する住民への情報提供の適切な実施をお願いしますという内容になってございます。

○倉林明子君 その内容、今聞いてもよう分かりませんわ。ほんまに、じゃ、続けてもいいと言っているのか、それともやめろというふうに言っているのか、それさえもよく分からないと。
 その上で、国は、やらないと、朝鮮学校への補助、無償化含めた補助金を出さないという方向で動いた、裁判でも国側勝利というふうな判決受けているわけですから、地方自治体がこれ積極的に進めるということに対してブレーキが掛かっていると受け止めるの当たり前だと思うんですよ。だから、そういう自治権を侵害するような通知みたいなのやめた方がええと、独自の判断で続けている自治体の判断、尊重すべきだと思うから言っているんですよ。通知の撤回いかがですか。

○国務大臣(あべ俊子君) 通知を踏まえた上で自治体が判断するものだと私ども理解しております。

○倉林明子君 通知が悪いから撤回した方がいいと申し上げておりますので、同じ答弁返ってこようかと思いますけれども、改めて、地方自治体が朝鮮学校の、出している補助金までブレーキ掛けるような通知になっていると、これはやっぱりやめるべきだということを申し上げたい。
 その上で、文科省は、高校教育の効果、これは広く社会に還元されるものだという考え方示してきていますよね。だからこそ、国籍問わず、朝鮮人学校除く学校、外国籍の子供がいる学校に対しても補助金打ってきているわけですよ。これ、社会全体で教育支出については負担するという考えに基づいているものだというふうに伺っております。朝鮮学校を無償化から排除し続けて十五年になるんですよ。ずうっと子供たちや卒業生、この無償化を私たちにもということで文科省前での抗議行動も続けておられる、全国でも声上げ続けておられるということをお聞きしております。差別を固定化させるようなことはあってはならないと思います。
 高校授業料の無償化を朝鮮学校にも広げるように強く求めたいと思う。

○国務大臣(あべ俊子君) 朝鮮学校が就学支援金制度の対象に指定されなかったことにつきましては、法令の趣旨にのっとって判断をしたものでございまして、文部科学省といたしましては今後の高校無償化の検討課題であるとは認識しておりません。
 文科省といたしましては、引き続き、各所管の制度につきまして、法令に基づき適切に運用してまいります。

○倉林明子君 検討課題という表明もされましたけれども、改めて、朝鮮学校に通う子供たちにも差別なく無償化の春を迎えられるよう、その実現のために力を尽くしていただきたい、要望して、終わります。