トランプ関税 中小企業支援と雇用確保措置を(2025年4月15日 厚生労働委員会)
日本共産党の倉林明子議員は15日の参院厚生労働委員会で、トランプ関税による影響への懸念が広がる中、中小企業支援と雇用確保措置を政府に求めました。
東京商工リサーチによれば、中小企業の社会保険料を含む税金滞納倒産が2024年度は172件と昨年比1・4倍に増加し、過去最高を記録しました。倉林氏は、トランプ米大統領による一方的な関税措置の影響で、今後も税金滞納を一因とした倒産が増加する可能性が指摘されていると紹介。コロナ禍でとられた社会保険料未納に伴う換価(財産などの現金化)の猶予措置の周知徹底と延長を求めました。
福岡資麿厚労相は「現在も、厚生年金保険料等を納付することによって事業継続が困難になる恐れがある場合には、厚生年金保険料等の納付や換価の猶予の特例措置が活用できる」と答弁。倉林氏は「一括返済が求められているような現状がある。制度の活用が現場まで周知徹底されるよう改善を」と強く求めました。
さらに倉林氏は、雇用調整助成金の拡充や休業支援などの雇用確保措置の検討を要求。「物価高の加速と賃上げの足踏みも想定される。社会保険料の負担減免による中小企業への直接支援で、先手を打って備えよ」と求めました。
この後提案されます法案については、子供の自殺増に対するために重要な改正となっていると受け止めております。
とりわけ、学校の責務が明記されるということになりますので、実効性を高めるという点では、大変過重な現場になっているということを含めまして、体制強化、この点は強調しておきたいと思います。
今日は、一般質疑ということで、とりわけ急いで確認しておきたいことについて質疑したいと思います。
一点目は、B型肝炎の訴訟で、除斥問題についてなんですが、これ、二〇二一年の最高裁での原告逆転勝訴から福岡高裁に差し戻されまして、最高裁の判決から四年たっているんですね。そこで、協議が大詰めを迎えているというふうに伺っております。
福岡高裁では、三度発症した再々発患者については、除斥期間の起算点をこれまでの再発時から更に広げて、再々発時、ここを起算点とするべきという見解を示していると。裁判所の見解を受け入れたいと原告は協議に臨んでいるということですけれども、これ、厚労省、速やかに協議に応ずるべきではないかと。いかがでしょうか、大臣。
○国務大臣(福岡資麿君) B型肝炎特別措置法に基づく給付金の支給につきましては、慢性肝炎の発症後、民法上の除斥期間であります二十年が経過し、国の損害賠償責任が消滅した方でありましても、減額した給付金を支給するといった政策的な対応を行っているところです。
この除斥期間の起算点につきましては、御指摘ありましたように、令和三年の最高裁におきまして慢性肝炎が再発した場合の考え方が示されたことを受けまして、最高裁判決で示されたものと同様の事例については既に昨年八月から救済を開始したところでございます。
御指摘がありましたこのいわゆる再々発型につきましても、これ現在、福岡高裁の仲介の下、国と弁護団及び原告団との間で協議を行っている最中でございまして、裁判所における今協議が継続中でありますため、御指摘の福岡高裁の所見について裁判所外でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
いずれにしましても、引き続きB型肝炎特別措置法に基づき被害者の早期救済に努めてまいりたいと思います。
○倉林明子君 いや、早期救済になっていないから早く決断した方がいいと申し上げています。
今回の和解勧告で救済されるということになります対象は、慢性肝炎の八パターンあるうちの再々発のパターンということになっているんです。限られたものなんですね。B型肝炎訴訟で提訴された原告のうち、これ全体です、給付金の支給件数で言いますと、約十一万件、そのうち、除斥期間を経過していたという件数が五万四千件に及んでおります。死亡、肝臓がん、こういう方でも除斥期間の適用をされるということで、泣く泣く和解しているというお話もお聞かせいただいております。除斥期間が適用されれば、給付金はそういう場合でも出るということなんだけれども、極めて減額の幅も大きいです。扱いに格差がある、除斥期間の取扱いにも格差があるということです。
そもそも、提訴前二十年以内に肝炎等を診断されている被害者、ここについては除斥期間というのは適用すべきではないんじゃないかと。全ての、除斥と指摘されている原告全員格差があります。公平な扱いをと、公平な救済をということが強く要望されております。応えるべきではないでしょうか。
○国務大臣(福岡資麿君) B型肝炎特別措置法に基づく給付金の額につきましては、B型肝炎の病態に応じて設定されてございまして、発症後、民法上の除斥期間であります二十年が経過して、国の損害賠償責任が消滅した方にも減額した給付金を支給するといった政策的な対応を行わせていただいてございます。
令和三年の最高裁判決におきましても、除斥期間自体につきましては、それを前提とした上で起算点についての新たな考え方が示されたものというふうに承知をしてございます。
引き続き、この特措法に基づいた早期救済に努めてまいります。
○倉林明子君 繰り返し言いますけど、四年たっていますから、最高裁から。
救済対象を狭めるような主張を繰り返して和解を遅らすと、協議を遅らすと、合意を遅らすと、こんなことあってはならないということを申し上げておきたいと思います。
二一年四月のこの最高裁判決ではどんな指摘があったかと。極めて長期にわたる感染患者の実情に鑑みると、上告人と同様の状況にある特定B型肝炎ウイルス感染者の問題も含め、迅速かつ全体的な解決を図ると、これが国に求められたんだという、求められたわけですよ。そもそも、国による予防接種の推進、こういう政策の下で注射器の使い回しが放置されてきたと、ここに原因あるわけです。四十万人のB型肝炎を発症させたと、私はこの原点絶対忘れたらあかんと思うんですね。
国の責任について改めて大臣の認識を確認しておきたい。いかがですか。
○国務大臣(福岡資麿君) 御指摘がございました国の責任につきましては、平成二十三年六月二十八日に、原告団及び弁護団と国との間で合意いたしました基本合意書におきまして、国は、集団予防接種等の際の注射器等の連続使用により、B型肝炎ウイルスに感染した被害者の方々に甚大な被害を生じさせ、その被害の拡大を防止しなかったことについての責任を認め、感染被害者及びその遺族の方々に心から謝罪するとされてございまして、私といたしましても、その認識に立ちまして、B型肝炎特別措置法に基づいた早期救済に努めてまいりたいと思います。
○倉林明子君 迅速かつ全体的な救済に速やかに取り組んでいただくよう、強く求めておきたいと思います。
そこで、トランプ関税が本当に世界中を震撼させるというような状況になっておりまして、政府も挙げて本部体制をつくるということになっていると伺っております。
そこで、今日は、社会保険料の滞納倒産が広がっているということで、それに関連して対策も求めておきたいと思うわけです。
日本でも、製造業にとどまらず、自動車だけにとどまらず、製造業にもとどまらず、広範囲な影響が懸念されているということで、これ、資料でお付けしましたのは、東京リサーチの四月八日に公開されました特別記事で現状の分析ということになっております。
これを見ますと、中小企業の社会保険料を含む税金滞納倒産、これが非常に増えておりまして、過去最多を記録しております。二四年度は百七十二件ということで、昨年に比べて何と一・四倍に増加しているんですね。これ、小規模ほど増加率が高いと。アメリカによる相互関税、この影響で、今後もですね、今後も税金滞納を一因とした、社会保障滞納含めて、倒産増加の可能性、これが指摘されているんです。
コロナ禍で取られました社会保険料の換価の猶予、これ答弁も繰り返しもらっているんです、確かに。ところが、この周知徹底、周知が十分されているのかということでいうと、非常に疑問も感じています。重ねて周知徹底を求めるとともに、これ現状見ますと延長が要るんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょう。
○国務大臣(福岡資麿君) 新型コロナウイルス感染症への対応におきましては、イベントの自粛要請であったり入国制限措置など、感染拡大防止のための措置に起因して多くの事業者の収入が急減した状況を踏まえまして、税制と同様に無担保かつ延滞金なしで一年間厚生年金保険料等の納付を猶予できる特例措置を設けていたものでございます。
その上で、現在も厚生年金保険料等を納付することによりまして事業の継続が困難になるおそれがある場合には、厚生年金保険料等の納付であったり換価を猶予するなど、事業主の皆様の状況に応じた納付をしていただくための仕組みがございます。
こうした仕組みをより御活用いただけますように、日本年金機構と連携図りながら、ホームページであったり事業主の皆様へのお知らせなどを活用して引き続き周知を行いますとともに、事業主の皆様からの社会保険料に関する御相談に丁寧に応じていきたいと思います。
○倉林明子君 いや、丁寧じゃないですよ。二択迫るような、一括で納めろというようなことが現場際ではまかり通っているし、たくさんの相談もいただいています。
今おっしゃったように、こういう制度活用できるということが現場際まで周知されてこその意味があると思うんですよ。その点では、強く今の答弁が現場際まで徹底されるように改善を求めておきたいと思います。
そこで、コロナ禍ではゼロゼロ融資、そして雇用調整助成金、納税猶予、特例措置含めて、コロナで休業要請をしたりということも含めてあったこともあります。しかし、各種資金繰り支援が行われた結果、社会保険料を含む税金滞納倒産というのは大幅に抑制されたんですよ。それは御提供した資料のところでも、がくんとこの税金滞納倒産が減っているというのは、コロナ禍なんですよ。こういう対応を取られたことで減少、今その反動のように倒産は増えているという状況が見て取れるかと思います。
こうした、今トランプ関税ということでどういうことになっていくのかということは分かりません。交渉も始まろうとしている段階です。しかし、政府を挙げて、こうしたコロナ禍で取られたような規模にとどまらない雇用調整助成金の拡充、休業支援など雇用確保措置というのを準備しておく必要あると思うんですけれども、検討状況、本部もつくられたということです。検討状況、どうでしょうか。
○国務大臣(福岡資麿君) 米国の関税措置に伴います雇用への影響につきましては、積極的に今情報収集を進めておりまして、関係省庁とも協力、連携の上、適切に対応したいと思います。
御指摘の雇用調整助成金につきましては、景気の変動などによりまして、事業所において急激に事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対し、従業員の雇用維持を図るため、休業手当などの一部を助成する制度でございますが、今般の一連の関税措置の影響により、事業活動が縮小し、休業等を余儀なくされた場合にも雇用調整助成金の対象となり得るというふうに考えてございます。
コロナ禍での雇用調整助成金の特例措置は、国から事業者や国民に対し感染防止対策を図るための強い休業要請を行うという特殊な状況の中で、特例的に助成率を引上げを行ったものでございます。このため、今回のような関税措置に対する対応とは状況が異なり、必ずしも同一に論じられるものではないというふうに考えてございますが、米国の関税措置に伴う労働市場への影響をしっかり注視しながら、今後雇用への影響が見られた場合には、事業主、労働者からの相談対応であったり、雇用維持への支援など、考えられる取組についてしっかり取り組んでまいりたいと思います。
○倉林明子君 雇用調整助成金の特例ということで、雇用を守れたんですよ。そこは本当に、完全にやらないということではありませんでしたので、特例も含めてしっかり考える必要あると。このコロナのときの特例使った社会保険料の支払が今困難になって、実は倒産も増えているという状況もあります。雇調金の拡充、これ併せた社会保険料の負担そのものを軽減するということを、これセットで私必要だと思っているんですね。
物価高の加速に加えて、今、賃上げの足踏みも想定されると。思い切った公費の投入によるケア労働者の賃上げ、これ直ちに行うと。最低賃金、時給千七百円目指した千五百円に引き上げるために、そのためにも社会保険料の負担軽減を中小企業の直接支援でやると、こういうこと踏み出すべきだと、どうでしょう。
○国務大臣(福岡資麿君) 医療、介護、障害福祉分野のサービスの提供に必要な人材確保する観点からも、賃上げは大変重要だというふうに認識をしております。
令和六年度報酬改定において賃上げに関する一定の措置を講じますとともに、令和六年度補正予算において更なる賃上げ等の支援を盛り込んだところでございまして、これから現場に行き届く補正予算の効果をしっかりと把握した上で、必要な対応を検討してまいります。
また、中小企業に対しまして社会保険料の事業主負担を軽減すべきであるという御提案に対しましては、社会保険料が医療や年金の給付に充てられ、労働者を支えるための事業主の責任でございまして、また、働く人の健康保持や労働生産性の増進を通じ事業主の利益にも資するものであることを踏まえますと慎重な検討が必要でございますが、中小企業に対しては従来から政策目的に応じた支援を行ってございまして、社会保険を適用するとともに、労働者の収入を増加させる取組を行った事業主に対しまして、年収の壁・支援強化パッケージによる支援や非正規雇用労働者の正社員転換であったり、処遇改善を実施する事業主に対するキャリアアップ助成金などを、こういったことを引き続きしっかり取り組んでまいりたいと思います。
○倉林明子君 病院も中小企業も潰したらあかんのですよ。雇用確保措置というのは、そのために本当に先手先手で取り組んでいただきたい。
終わります。