電気・ガス事業一体自由化狙う 電事法改定案が可決 原発依存批判(経済産業委員会 対総理質疑・政府質疑・反対討論)
2015/06/16
電気・都市ガス・熱供給事業の一体的全面自由化を狙う電気事業法等改定案が6月16日の参院経済産業委員会で、自民、公明、民主、維新などの賛成で可決されました。日本共産党は反対しました。採決に先立つ質疑で、日本共産党の倉林明子議員は原発、石炭火力発電に依存した政府のエネルギー政策を批判し、地域が主体となった再生可能エネルギーの導入をはかるよう求めました。
倉林議員は、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)が「事業者側が(原発にかかる)費用を確実に回収できる」制度を要求し、政府も2030年度の電源構成案で「原子力発電の事業環境整備」を明記したことを指摘。「電事連の要求に応じて、国はさらに税金をつぎ込むのか」とただしました。
安倍晋三首相は「必要に応じて具体的な政策措置を検討する」と当然のように述べ、宮沢洋一経産相は「多大な費用をつぎ込むものでない」と弁明しました。
さらに、倉林議員は、電力小売り自由化を前に石炭火力発電所が建設ラッシュとなっており、二酸化炭素(CO₂)削減目標と整合性がとれないと批判。山口県宇部市で建設が計画されている大型石炭火力発電所の環境配備書には、望月義夫環境相も「是認しがたい」と表明していることを示し、建設中止を求めました。宮沢経産相は「宇部の発電所は効率的なもの」だと強弁しました。
電気事業法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)
〇委員長(吉川沙織君) 電気事業法等の一部を改正する等の法律案を議題とし、これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
〇倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
先ほど来、石炭火力のことが話題に上がっていますけれども、私もまず石炭火力から質問したいと思います。
電力小売自由化を前にしまして、石炭火力発電所の建設ラッシュという状況になっております。既に、二〇一三年度の一般電気事業者の石炭火力発電量、これは二〇三〇年度の電源構成案において石炭火力で確保を見込む発電量を既に上回っているという状況にあります。さらに、環境省がつかんでいるアセス法対象の大型石炭火力発電所だけで設備容量は一千三百万キロワットとなると。二〇一三年度の一般電気事業者の石炭火力発電所の設備容量、この約三割にも相当する新たな計画があるんだということが明らかになりました。しかも、法対象外の小型発電所については、先ほどありましたように、全容が把握できる仕組みになっておりません。
このような石炭火力発電への依存、さきに行われましたG7サミットで合意された二〇五〇年までに温室効果ガスを一〇年比で四〇から七〇%の高い方で削減するとされたわけですけれども、この目標どころか、二〇三〇年度までの削減目標との整合性、これは私全く見えないというふうに思うんです。新たな石炭火力発電の建設はまず中止すると、こういう決断をすべきではないでしょうか、総理。
〇内閣総理大臣(安倍晋三君) エネルギーの特性を考えますと、安定供給、そしてコスト、また環境負荷、安全性といったあらゆる面で優れたエネルギー源は残念ながらないわけでありまして、このため、エネルギー資源に恵まれていない、そして海に囲まれている我が国としては、各エネルギー源の強みが生き、全体として弱みを補完する柔軟かつ多層的なエネルギー供給構造を構築をしていく必要があるわけでありまして、我が国において石炭火力は安定供給性や経済性に優れた重要なベースロード電源であり、今後、一般電気事業者以外の新規参入事業者を含めた競争によるコスト低減も期待されます。
一方で、温室効果ガスの排出量が多いという課題があるのも事実でございまして、このため、温暖化目標と整合する実効性のある電力業界の自主的枠組みの早期構築等を促すことにより、また、先ほど大臣から答弁をしたように、超効率化も含めて、なるべくCO2排出をしない新しい石炭火力発電設備にリプレースしていくということも含めまして、環境負荷を低減しつつ石炭火力を活用していく考えであります。
また、日本がサミットでもお示しをしたCO2の二六%の削減というのは欧米からも高い評価を得たところでございます。
〇倉林明子君 減らしていくという決意、転換をしていくべきだというふうに私は思うんですね。
日本は国内だけじゃなくて今海外でも石炭火力発電所の建設を進めていると、NGOからも問題だと指摘がされているところです。大量の温室効果ガスの排出国になっているし、その削減についても先進国としての責任を果たすどころか温暖化加速するようなことは、私、国際的にも許されないことだと、これは強く指摘をしておきたいと思います。
そこで、世界の流れは今、議論もしてまいりましたけれども、やっぱり多かったところも含めて、大量排出していたところも含めて、脱石炭へと、再生可能エネルギーの大量導入で二酸化炭素削減を進めていこうと。新たな産業、大きな雇用も生んでいるということになっているわけです。我が国でも、地球温暖化対策、農山漁村の活性化などを目的として地域で取組が始まっているということになっています。
ところが、昨年九月に起こりました一般電気事業者による再エネの接続保留、これによりまして、時間を掛けて地元の合意を苦労してつくった、そういう木質バイオマスや小水力発電、こうした事業の見通しが立たなくなっていると農水省から説明もありました。全国知事会からも、地域活性化に向けた再エネ導入の取組にブレーキ掛かっているという趣旨の報告がありました。
総理は、私の本会議の質問に対しまして、再エネ接続の対応措置は今後も受け入れていけるために講じたと、こう答弁されております。
しかし、一般電気事業者が再エネの接続を拒否できる、こんな規則改正をやっているわけで、政府自身が進めてきた農山漁村を始めとした地域活性化の取組の可能性、これ潰すことになっているんじゃないでしょうか。認識、いかがですか。
〇内閣総理大臣(安倍晋三君) 再生可能エネルギーの接続保留問題への対応措置は、今御紹介がございましたように、前回申し上げたとおり、電力会社が停電を起こすことなく、これからも再生可能エネルギーをしっかり受け入れていけるために講じたものであります。
すなわち、大規模太陽光の接続申込みが電力会社に殺到する中で、将来にわたって停電を起こさず電力を安定的に供給するには発電事業者に一定の出力制御をお願いする必要がありますが、まさにこれは、接続自体を拒否されないようにし、より多くの再生可能エネルギーを導入するためのものであります。
いずれにせよ、地域活性化等の観点からも重要な再生可能エネルギーについて、政府としては最大限の導入を進めてまいります。
〇倉林明子君 再エネの事業の予見性が極めて低くなる、事業予見性を奪うような固定価格買取り制度の見直しというのはやるべきではないと、これは申し上げておきたい。
ところが一方で、原発の事業の予見性、先ほども議論がありました。電事連の会長が参考人質疑で発言をして、これまでは総括原価方式等の諸制度があって原子力発電の予見性が得られてきたと、ところが今後の予見性は大きく低下すると説明がありました。事業者は電気料金に費用が上乗せできないと、自由化によって。こうなると多大な費用が回収できなくなる、こう吐露されたことだと理解しましたが、よろしいでしょうか。
〇内閣総理大臣(安倍晋三君) 電力システム改革によって、総括原価、地域独占が撤廃されることにより、事業者にとって事業の予見性、安定性が低下することは事実であります。
このため、昨年四月に閣議決定を行ったエネルギー基本計画においては、電力システム改革によって競争が進展した環境下においても、原子力事業者が円滑な廃炉や安全対策、安定供給などの課題に対応できるよう、事業環境の在り方について検討を行うこととしています。
政府としても、必要に応じて、事業環境整備について具体的な政策措置の検討を進めてまいりたいと思います。
〇倉林明子君 結局、先ほどもありましたように、多大な費用を、国策民営の在り方を示してくれということで私は露骨な要求があったなと思うんです。その上で、二〇三〇年度の電源構成案で原子力の事業環境を整備するということに明記されたわけで、これは電事連の要求に応ずるという意思表示になったんじゃないかというふうに思うんです。原発を維持するために更に国は税金をつぎ込むということなのか、これが一つ。
もう一点は、事業者は事業環境が整わなければ見通しが立たないということを言っているわけですけれども、宮沢大臣は衆議院で、二〇三〇年には三十基台半ばの稼働を見込んでいると答弁をされました。今後も非常に多大となる費用をつぎ込むことになるんじゃないですか。
〇国務大臣(宮沢洋一君) 高くなる費用とおっしゃいますけれども、エネルギーミックスの検討過程で、各電源ごとの費用をかつての民主党がやられた方式とほぼ同じような方式でやっておりまして、その結果といたしまして、当然、原子力につきましては十・一円、これは安全対策、また廃炉等々についても全て含まれた上で十・一円以上ということをお示ししたものでありまして、決して多大な費用をつぎ込むというものではございません。
〇倉林明子君 電事連の会長が来て、多大な費用が掛かって見通し立たへんさかい何とかしてくれと言っているわけですよ。これに応えるなんということは絶対あってはならぬ、申し上げて終わります
質疑のある方は順次御発言願います。
〇倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
午前中に続きまして、石炭火力発電、質問します。
山口宇部の大型石炭火力発電所建設計画ということで、午前中も議論がありました。これに係る計画段階環境配慮書に対しまして、環境大臣は、国の二酸化炭素排出削減の目標、計画と整合性を持っているとは判断できず、現段階において是認し難いという、極めて明確な意見でございました。経産大臣に対して意見を出されたということで、ところが、この同日に大臣は、会見で取材に応じて、個別事業の実施を否定されたものではないというふうに述べておいでです。
私、このまま建設計画を大臣は容認していくお考えなんでしょうか、確認したいと思います。
〇国務大臣(宮沢洋一君) 御指摘の環境大臣意見につきましては、電力業界全体の二酸化炭素排出削減に関する枠組みが構築されていない状態では国の削減目標等との整合性が判断できないため、現段階において是認し難い、このため、早急に枠組みが構築されることが必要不可欠であるという意見でありまして、個別事業についての実施を否定されたものではないと考えております。
そして、今後のプロセスといたしましては、まさに今は配慮書段階でありますけれども、この後、幾つかのプロセスがありまして、実際に事業者がアセスメントをやったその結果を受けて、もう一度環境大臣から意見を聞く機会があります。そのときに環境大臣に、まさに今申し上げたような枠組みが構築されているということをお認めいただけるかどうかということが、今後の我々の政策立案にとっては大事なことだと考えております。
〇倉林明子君 電力業界に温暖化対策の枠組みの構築を促すと、これについては、一昨年の四月の段階で、関係大臣会合、ここでもう既に決まっていたものだと承知をしております。その後、二年間以上たつわけですけれども、この間、業界任せにやっぱりしてきたと、これ本当は反省すべきだと思います。
これまで出された六件の石炭火力案件の計画段階配慮書に対する環境大臣意見でも、経産省に対する意見の中で、電力業界に対し枠組みの構築に向けた議論を促すこと、枠組み構築の検討の進捗を把握し、内容を確認し、実効性を確保すること、また、枠組み構築までの間は事業者に対し代替措置を講じることに関して確認することとしています。
経産省は、関係大臣会合から二年間、さらにこの六件で意見をいただいて以降、一体、電力業界に対してどんな具体的な働きかけを行って、そして業界自身はどんな環境保全措置を具体的にとってきたのか、御説明ください。
〇国務大臣(宮沢洋一君) 業界の側からいたしますと、エネルギーミックスそして国全体としての温暖化目標が固まっていないという状況で業界としての目標や取組についてなかなか検討しにくかったという点はあったんだろうと思います。全体の枠組みが見えてきていないと。今年の一月から審議会においてエネルギーミックスの検討を始めたわけでありますけれども、本年三月に電気事業連合会といわゆる新電力の有志企業に対しまして我が省からも働きかけしたこともありまして、温室効果ガスの抑制に向けた自主的な枠組みを検討する場を今年の三月から立ち上げております。
今後でございますけれども、経産省といたしましては、こうした場も活用しながら、自主的な枠組みとはいえ、カバレッジが小さいと実効性のある枠組みとはならないことから、国内における販売電力量の大部分をカバーできるよう主たる事業者の参加を促すとともに、来年の小売全面自由化を見据えて異業種連携も含めた新規参入の様々な動きがある中で、地球温暖化対策との整合性が図られるよう、電力業界の自主的な枠組みの構築を、これまでも促してまいりましたけれども、今回エネルギーミックスがほぼ固まったという状況の中で、作業を更に進展させようと考えております。
〇倉林明子君 促してきたと決して御報告できるような中身じゃなかったんじゃないかと私思うんですよ。実際的に動き出したのは三月になってからだということで、この間繰り返し指摘されているし、全面自由化というのが見えている中で、どんどん石炭火力の発電所が小型のものも含めて進んでいるという状況があるわけで、これは本当に一刻も早く対策が必要なことなんだと、それを改めて苦言を呈しておきたいというふうに思うんです。
原発の再稼働が進まない中でコスト優先ということで石炭火力発電所が増設、どんどん広がっているというところに、いち早くやっぱり止めていくんだという政治姿勢を私は経産省としても示すべきだというふうに思います。
そこで、石炭火力発電というのは、最新鋭技術を活用したものでも天然ガス発電の二倍の二酸化炭素を排出すると環境省も説明しておりました。二〇三〇年の電源構成案を上回る規模になっている、これ本当に深刻な受け止めが経産省自身に要るんだと思うんです。
まだ計画段階であると、これから枠組み作って、建設の手前になるまでには間に合うと言わんばかりの判断というのは、私はあかんと思うんですね。きっぱり、山口県宇部の建設計画は中止だと、これは示すべきだと思います。どうでしょうか。
〇国務大臣(宮沢洋一君) 宇部の石炭火力発電所は、もう委員御承知のとおり、超超臨界の効率的なものであります。先ほど東委員とも議論をさせていただきましたけれども、やはり国内の石炭火力の半分は古い形、超超臨界ではないという状況を考えますと、古い形のものを使わなくして新しく超超臨界を、まさに効率的なものを入れていくということは、私は大事なことだろうと思っております。
〇倉林明子君 やっぱり経産省のスタンスということで二酸化炭素排出減らしていくんだという方向にしっかり向いていかないと、業界の自主的な取組に枠組みはめるなんということできないと思いますので、きっぱりした、減らしていくんだという姿勢に立つことを強く求めたいと思います。
そこで、ベースロード電源に位置付けられた原発なんですけれども、午前中紹介したように、大臣は二〇三〇年には三十基台半ばの原発を動かすと。これ、福島でも驚きを持って受け止められております。
福島第一原発事故の被害というのはいまだ続いております。賠償の問題、私も繰り返し取り上げてまいりまして、第五次の与党の提言が出た際に、六月八日の行政監視委員会で、この問題打切りになってはいけないということで取り上げましたところ、岩井政務官から、これは賠償の打切りを提言しているものではないんだという答弁がございました。
ところが、東電からは既に、営業損害賠償、風評被害、一六年度分で打ち切るんだというような方針が福島県に伝わっているというような報道もあります。地元の受け止めは、本当にこのまま、みなし仮設住宅も精神損害賠償も営業損害賠償も打切りかという声なんですね。
私、被害の事実がある限り本当に実態に応じて適切に賠償を行っていく、これは政府の責任だと思います。いかがでしょうか。
〇国務大臣(宮沢洋一君) まず、三十基台半ばということについて御説明いたしますと、先日、馬淵議員と衆議院で議論をしておりまして、馬淵議員が稼働率七〇%台を前提とするような御議論をされておりまして、その場合には、安全を見ると三十基台半ばというような答弁をいたしました。一方で、稼働率を高めるということがあれば二十基台とか三十基前後といったようなことも可能であるということだけ申し上げます。
今の賠償の話でありますけれども、福島復興指針、先日、六月十二日、閣議決定をいたしましたけれども、打切りの時期が示されたものではなくて、二年間については集中的な自立支援施策に合わせた賠償を行う。その後は、まさにおっしゃったような相当因果関係のある損害に対して、実質的な損害に対して個別の事情を踏まえ賠償を行うこととなります。
本日、高木副大臣から東京電力の廣瀬社長に対しまして、個別具体的な損害に対応して引き続き丁寧に賠償の手続を行うよう求めたところでございます。
〇倉林明子君 実際に現場で起こっているのは、東電が一方的に一律に打ち切るというような状況が広がっているということが現実に起こっているので声が上がっているわけです。
今ありましたけれども、一律に賠償打切りというようなことはさせてはならない、東電しっかり指導していただきたいと、これは強く求めたいと思います。
同時に、福島でオール福島の声となっていますのが、福島第二原発も含めた福島県内原発十基全ての廃炉を願う声であります。福島第一原発の廃炉は決めたものの、第二原発についてはどうかといいますと、いまだ結論が示されておりません。他の再稼働をしていない原発とは違いがあるという説明を繰り返してこられましたけれども、第二原発も廃炉にすると政府が早急に決断して、東電にも、そして福島にもその姿勢示すべきではないかと思います。いかがでしょう。
〇委員長(吉川沙織君) 時間ですので、端的にお願いします。
〇国務大臣(宮沢洋一君) はい。
なかなか端的にお答えしにくい質問なんですが、まず、第一原発について安倍総理から廃炉を要請して東電が廃炉を決定したという経緯があるので、福島県において第二についてもというお声があることは承知をしております。ただ一方で、第一原発につきましては、原子力災害対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の下にありまして、総理から東電へ必要な指示が法律的にできるといったことを受けた中での廃炉でございます。
一方、福島第二原発についてはそのような事態ではなくて、まさに民間の株主がたくさんいる東京電力自身が判断をされるというのが法律上の位置付けでありまして、株主等々のことを考えますと、私どもが政府として東電に対して第二原発の廃炉を言うのは適当ではないと考えております。
〇倉林明子君 県民の声をしっかり受け止めていただきたい。原発はゼロの決断を重ねて求めて、終わります。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
〇倉林明子君 私は、日本共産党を代表して、電気事業法等の一部を改正する等の法律案に反対する討論を行います。
反対する第一の理由は、電気、都市ガス、熱供給事業の一体的な全面自由化により十兆円を超える総合的なエネルギー市場がつくり出され、新たな規制なき独占につながる危険があるからです。
総合エネルギー市場の担い手となるのは電力、石油元売、総合商社などであり、自由競争どころか、巨大資本による寡占化が進みかねません。持ち株会社等のグループ一体経営を認める発送電の法的分離や、一般担保付社債による資金調達を当面継続するなど、東電救済、電力優遇策だと言わざるを得ません。
第二は、まるで福島第一原発事故がなかったかのように、原発回帰を一体として進めるものだからです。
二〇三〇年度の電源構成案でも原子力の事業環境整備を行うと明記しており、本法案の附則第七十四条に盛り込まれました。これは、電事連が新たな国策民営の役割分担を政府に求めるなど、原子炉メーカー、ゼネコン、メガバンクなど原発利益共同体の強い要求に応えたものであり、容認できません。
第三は、都市ガス事業の導管分離や自由化を急ぐ理由がないからです。
多数の中小業者が担うガス市場の寡占化による料金値上げに対する懸念、長年培ってきた一体的な保安体制が後退する懸念など、消費者利益の侵害をもたらす危険があるからです。
第四は、公共料金である電気・ガス料金について、説明会や電源構成を含む原価情報の開示義務が明確にされないまま、従来の公聴会などの手続を廃止することになり、消費者にとって料金の中身がますます見えにくくなり、消費者の知る権利を奪うものだからです。
電力・ガス取引監視等委員会には、消費者が適正な価格かどうか監視できる仕組みを盛り込むべきです。消費者、国民にとって欠かせないインフラである電力、ガスの料金を監視し、その原価を査定する独立性の高い規制機関が必要です。
現在一基も動いていない原発が二〇三〇年には三十基台半ばを稼働することを見込んでおり、そのために再生可能エネルギー導入を抑制する様々な制度変更を進めています。同時に、石炭火力発電所の建設ラッシュが続いており、今後は石炭火力依存度が高まることは明らかです。
地球温暖化対策、農山漁村で既に始まっている取組を発展させ、地域活性化を進めるためには、地域が主体となった再生可能エネルギーの最大限の導入をエネルギー政策の土台に据え、市民、地域共同の小規模分散・地域経済循環型のエネルギーシステム改革とすべきである、このことを強く指摘しまして、反対討論といたします。
- 日時
- 2024/11/22(金)
- 場所
- 内容