官公需受注 中小企業の実情は(経済産業委員会 参考人質疑)
2015/04/21
官公需での中小企業者の受注確保に関する法律改正案についての参考人質疑が4月21日、参院経済産業委員会で開かれました。
全国中小企業団体中央会専務理事の高橋晴樹氏、長野県飯田市長(全国市長会経済委員長)の牧野光朗氏、四国タオル工業組合代表理事の近藤聖司氏が意見陳述しました。
倉林明子議員は、地域経済の活性化に向け経済自立度の向上を重視するという飯田市がカギと考えていることは何かと質問。牧野市長は「自立度70%を目指す。企業の誘致もするが、それで終わりではない。地域に足のついた産業の育成に力を入れていくことが大事」と述べました。
倉林議員は、中央省庁がネット上で時間内なら何度でも価格を下げ入札できる調達方式を試行している問題を指摘し、適正な利益の確保が必要になってくるのでは質問。高橋専務理事は「入札価格のせり下げには反対。中小企業は余裕がないのでますます苦境に陥る」と答えました。
第189回国会 経済産業委員会 第7号 2015年4月21日(火曜日)
官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
〇委員長(吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、全国中小企業団体中央会専務理事高橋晴樹君、長野県飯田市長・全国市長会経済委員長牧野光朗君及び四国タオル工業組合代表理事近藤聖司君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。
本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
参考人の皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、議事の進め方について申し上げます。
まず、高橋参考人、牧野参考人、近藤参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
御発言の際は、挙手していただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、参考人、質疑者ともに御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず高橋参考人にお願いいたします。高橋晴樹参考人。
〇参考人(高橋晴樹君) 座ったままで失礼申し上げます。
全国中小企業団体中央会専務理事の高橋でございます。参議院の経済産業委員会の先生方には、日頃、中小企業及び中小企業組合の振興発展に深い御理解をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。本日は、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして意見を申し述べる機会をいただきましたことに心から感謝申し上げます。
お手元に資料をお配りしてございますので、それを御覧をいただきながらお話をいたしたいと思います。
全国中央会でございますけれども、御案内のとおり、事業協同組合など中小企業団体から構成されております。そこに書いてあるとおりでございます。
それでは、法案について順次私どもの意見を申し述べたいと思います。
まず、官公需法でございますが、三点申し上げたいと存じます。
まず第一点は、新規中小企業者への配慮についてであります。
改正法案では、創業十年未満の中小企業者を新規中小企業者として定義し、官公需において国等の契約の相手方として活用されることを配慮することといたしております。
現在、人手不足が中小企業者の大きな隘路となっております。いかに人材を確保し、地域へ人材を供給していくかが大きな課題として挙がっているところでございます。人材不足は、今年より来年、来年より再来年と、年を追うごとに深化してまいるのではないかというふうに見ております。次の世代を担う新規中小企業者が官公需の仕事を通じて人材を確保し、技術力を磨くという観点から、私どもとしては改正内容を評価しているところでございます。
他方、私どもの中に入っております建設関連の業界の方からは、経験の乏しい人が新たに参入をして品質の確保が維持できるのかという心配をしている声も届いているところでございます。
法律の施行に際しましては、過度な実績を求めることなく官公需の入口はオープンにするという一方で、官公需制度は、業種特性や地域特性の実態を踏まえ、品質、性能、契約履行能力など、要件がクリアされた事業者であることによって受注につながる制度であるということを広く政府から丁寧に説明していただければと思います。それによって、新規の方、また既存の建設業者の方々も分かって仕事ができるのではないかと思っております。
第二点目は、国の契約方針の策定、契約実績の概要の公表等についてでございます。
改正法案によりますと、新規中小企業者を始めとする中小企業者の受注の機会の増大を図るため、新規中小企業者等からの契約目標の設定が国の基本方針に盛り込まれることが法律に明記されることとなっております。また、各省各庁等がそれぞれの実態に応じて、基本方針に即した新規中小企業者等との契約に関する契約の方針を策定し、公表することとなっております。
国等の契約の方針には、契約の実績のほか、中小企業者の受注機会の増大を図るための措置やその実施状況が公表されてきましたけれども、これに加えまして、基本方針の策定事項や新規中小企業者の実績の公表などについて新たに措置されるということでございますので、これを評価するものでございます。公表し、その上で多くの方々の意見に耳を傾けつつ施策の効果を検証し、見直しを図るということを更に実践していただくようにお願い申し上げます。
官公需は、国が八兆円、地方が十四・四兆円と、日本全体で二十二・三兆円というふうに市場があるわけでございますので、国と地方が一層連携を図ることによって地域の創業を促進し、地域経済の活性化を強力に支援していただきますよう、併せてお願いいたします。
第三点目は、組合、特に官公需適格組合の更なる活用についてでございます。
先ほど中小企業者をめぐる大きな隘路として人手不足問題があると申し上げましたけれども、今回の改正によって、意欲はあるものの実績に乏しく、資金、人的等の経営資源に乏しい創業者によるチャレンジが増えてまいるかと存じます。創業者の実態を考えますと、組合制度、特に官公需適格組合制度をいかにうまく活用していくかということが、今後、本改正法がうまく運用できるかの鍵を握るのではないかと我々は考えているところでございます。
恐縮ですが、補足資料を御覧をいただきたいと思います。二ページにございますように、協同組合の受注の事例を書いてございます。
二ページの①は、取引先の求める納入量を確保するために、小規模企業者が共同で一定量を確保して一括納品をしている生コンクリート製造業の組合の例でございます。二番目が、良質な石油を安全かつ安定的に供給し続けた実績により、行政と大規模災害に備え緊急資材等を提供する協定を締結した石油業の組合でございます。
次の三ページ目は、一社で対応が困難な大規模警備業務を共同受注で確保いたしまして、組合員及び組合の安定的かつ継続的な発展を目指す警備業の組合でございます。これは官公需適格組合でございます。
次の四ページ目でございますが、割れにくい高強度の陶磁器を学校、幼稚園、保育園などに販売いたしまして、教育現場から高い支持を受けている陶磁器卸の組合の例でございます。これも官公需適格組合でございます。
次の五ページに、共同で取り組むことによって、三百六十五日、二十四時間体制で水道管理を行っている官公需の組合、こういう例などがございまして、小規模な事業者が共に創意工夫を重ね、事業者の持続的発展を力強く支えている組合は全国各地にあるものと存じます。このように共同で取り組むことは、創業間もない事業者こそ必要な取組であるというふうに考えてございます。
官公需適格組合制度につきましては、事業協同組合などの中でも、特に官公需の受注に対して意欲的で、受注した契約に十分に責任を持って実施し得る経営基盤があるなどの共同受注体制が整備されている組合に対し、申請に基づいて各経済産業局などが証明し、国等の発注機関が積極的に活用しやすくしている制度でございます。この制度は、官公需法が制定されました翌年の昭和四十二年から発足いたしました。平成二十六年の十二月現在、八百二の官公需適格組合がございます。
六ページに書いてございますように、福島県会津地域の道路等維持補修業務を行っている組合がございます。こういったものが官公需適格組合の例でございます。
ただ、官公需受注の平成二十五年度の中小企業・小規模事業者向け契約実績は四兆二千七百七十九億円と、実績額比率五三・七%になっておりますけれども、官公需適格組合の契約実績は僅か二百四十一億円にとどまっているところでございます。このため、私ども中央会においても関係機関に働きかけを行っているところでございますけれども、地方自治体の発注担当者レベルまでまだまだ十分な理解が得られていないということを感じているところでございます。
国におきましても、地方自治体に対してこの機会に官公需適格組合制度の活用を強力に呼びかけていただき、組合、特に官公需適格組合に対する受注機会の増大に向けた支援を強化していただくようお願いを申し上げたいと存じます。これにつきましては私どもの一致した要望でございますので、是非、法案採決の際、附帯決議が付くようでございますればこれを取り上げていただければ大変幸いでございます。
続きまして、地域資源活用促進法の改正について意見を述べたいと存じます。
全国中小企業団体中央会では本法を活用して支援を行ってきたところでございますけれども、地域資源は一万四千も指定され、地域資源を活用した事業計画の認定が一千三百件以上に上るというふうに言われております。ただ、そのほとんどが個別の会社、個社による小さな事業にとどまり、地域ブランドの創出など地域を挙げた面的な取組まで広がらない状況にございます。
個々の中小企業・小規模事業者がゼロベースから自社ブランドを確立するのは通常相当困難でございます。後ほどお話があるかと思いますが、今治のタオルが好事例でございまして、産地組合等が中心になってベースとなる地域ブランドを確立し、その知名度や信頼性の上に各社がそれぞれ個性を生かして自社ブランドを乗せていくという戦略が有効ではないかというふうに考えております。
そのためには、例えば市区町村がふるさと名物応援宣言を行い、その下で、地域の中小企業・小規模事業者と販路を担う小売、インターネット業者、デザイナー、観光業者など地域の多様な関係者が力強く連携することによって、地域ぐるみで地域ブランドの立ち上げなどの取組を推進していく必要があるというふうに考えます。その際、地域ブランドを守っていくためにも、土台となります地域団体商標を組合等が取得しやすくすることも重要な課題だろうと思います。
この度の改正は、こうした課題一つ一つに対応するものであり、複数の中小企業者の共同した取組への支援の強化を図るなど、その内容を私どもは高く評価いたしてございます。
次に、中小企業基盤整備機構法の改正でございます。
国等が発注する官公需を受注するということは、中小企業・小規模事業者の仕事の確保になるほか、技術力、信用力の強化につながりまして、中小企業者の経営基盤の強化に大いに役に立っているという声をお聞きしております。新規中小企業者に官公需情報を分かりやすく使いやすいよう、情報を集約し提供していくことが重要となってまいります。
中小企業庁で運営されております官公需ポータルサイトが昨年八月一日にリニューアルいたしました。中小機構が持つ情報収集力と官公需ポータルサイトの活用がお互いに相乗効果を発揮して、新規中小企業者の受注機会の拡大が図られますようお願いを申し上げたいと存じます。
私ども全国中小企業団体中央会といたしましても、平成二十二年八月より全国四十七か所に設置しております官公需総合相談センターにおいて、新規中小企業事業者や官公需適格組合からの官公需における新規取引に関する参加の方法、発注情報、官公需適格組合証明の取得方法などの相談業務や施策情報の発信を行ってまいります。
また、市町村が地域資源の活用に積極的に関与することになることから、中小機構の高度化融資の対象に市町村が加わり、地域資源を活用する事業者に貸付けが行われるということは大変有り難いことと存じます。よろしくお願いを申し上げます。
最後になりますけれども、本法案はさきの臨時国会において提出されたもので、一日も早く成立を図られますようお願いを申し上げたいと存じます。本法案の成立によりまして、地域を支える官公需に携わる新規中小企業者の活躍、そして地域ぐるみの地域資源への取組という両輪で地域内再投資を推進していくことによって地域の需要が創生され、地域経済の好循環が全国各地に波及されますよう、先生方の御指導、御支援をお願い申し上げまして、意見陳述を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
〇委員長(吉川沙織君) ありがとうございました。
次に、牧野参考人にお願いいたします。牧野光朗参考人。
〇参考人(牧野光朗君) よろしくお願いいたします。
本日は、参議院の経済産業委員会にお呼びいただきまして、私どもの取組につきまして、そしてそれに係ります提案につきましてお聞きいただけることに対しまして、まずもって感謝申し上げます。本当にありがとうございます。
また、日頃から全国の市町村、基礎自治体に対しまして、先生方におかれまして格別なる御指導、御支援をいただいておりますことを併せて感謝申し上げます。
私の方からは、お手元にお配りしましたパワーポイントの資料を使いまして説明をさせていただければというふうに思っております。
最初に、私どもの地域の概要ということで飯田市の概要を下に書かせていただいておりますが、私どもの地域、長野県の南部に位置します人口十万五千人弱の市でございまして、全市域の八五%が森林、山地というような、そんな典型的な中山間地域を抱える中小都市でございます。
そうした中でありますが、地域の特性といたしまして、多様な地域づくり、物づくりが盛んに行われているというものがございます。町づくりにつきましては、町のシンボルになっておりますりんご並木や、あるいは人形劇の町としても知られておりますが、物づくりにつきましては、農業におきましては様々な果実、特に市田柿、今日も御紹介させていただきますが、こうした全国ブランドになっているようなそうした果実の栽培、あるいは水引や半生菓子といった伝統産業や精密部品、あるいは最近では環境産業といったものまで含めて様々な物づくりがされている地域でございます。
この産業振興の中心を担っておりますのが、次のページに出てまいります公益財団法人南信州・飯田産業センターでございます。これは、元々は当時の通産省の政策に基づいてつくられました地場産業振興センターが基になっておりますが、地場産品の紹介や販売といったような役割から徐々に様々な産業振興策を取り入れてまいりまして、今は私どもの飯田、下伊那、南信州地域の物づくりの拠点、産業振興の拠点として大きく機能をしているところであります。
最近は、御案内のとおり、地方創生と言われる中で、地域の産業振興、それも新しい、将来を担い得る産業をつくっていくための拠点としての機能を強めているところでありまして、特に食品農業、先ほどお話しいたしました市田柿やそのほかの食品農業関係の六次産業化等、こうした、クラスターと言っておりますけど、産業集積、あるいは最近とみに注目されております航空宇宙産業の集積、それから今日お話しさせていただきます環境産業等の集積、こういった将来性のある産業の集積をこの南信州・飯田産業センターを拠点として展開をしているという状況でございます。
さて、今回の官公需法に関する意見といたしまして、飯田市の事例を少しひもとかせていただきながら提案をさせていただければというふうに思います。
私どもの地域におきまして、この環境産業の一つの成功事例として挙げておりますのがLED防犯灯の開発でございます。これは元々、飯田市が環境モデル都市に指定され、環境省から補助金をいただく中でLEDの防犯灯の提案をさせていただいたわけでありますが、当時このLEDの防犯灯は、ベンチャー企業の参入が見られるのみでありまして、非常に単価が高い、そういった製品でありました。庁内におきまして議論をさせていただく中で、やはりできる限り地域の環境の取組を進めていくためには、より安くて良質な製品開発が必要ではないかという考えに至りまして、そうしたことをじゃどうやってこの地域の中でやっていくかということで、左の方にあります南信州・飯田産業センターのビジネスネットワーク支援センターの機能を使おうということに思いが至ったわけであります。
これは元々は、この飯田ビジネスネットワーク支援センターというのは、中小企業のマーケティング力や受注力といったようなものを補完するためにつくられたセンターでありまして、こうした例えば域外からの受注というものをまずネットワーク支援センターで受けて、そして、このネットワーク支援センターに登録している企業にその内容を投げまして、手挙げ方式でそうした受注をマッチングさせるという、そういった役割を担っているものでございます。ここに初めて飯田市として発注をしたというのが、このLEDの防犯灯であります。
これによりまして何が起こったかということでありますが、要は、LEDの防犯灯は当時非常に単価が高いものであってまだまだ開発途上という状況にあったわけでありますが、そういった中で、地域の物づくりの技術を生かして製品開発をしていこうということに機運が盛り上がり、結果的に十八社の皆さん方が二つのグループに分かれまして二機種の開発に成功するということになりました。これを飯田市といたしましては環境配慮型の製品「ぐりいいんだ」という形で認定をさせていただき、そして地域の防犯灯に採用するという過程を通ったわけであります。現在、これ約七年掛かりで整備を進めてまいりましたが、今年度で市内の防犯灯はLED化がこの二機種によりまして一〇〇%実現するという状況であります。市内六千灯は全てメードイン飯田のLEDの防犯灯になるという、そういう状況になります。
このように、やはり中小企業というのは、チャレンジしようと思ってもなかなかその需要が読めない中で、そうした製品開発ができないという脆弱性があるというふうに考えております。それを補完する意味でこの官公需が機能を発揮することができればということで、こうした事例を他の地域にも増やしていくことができればというように考えるわけでありますが、今回のこの官公需法がそういった役割を支援してくれるような、そんなふうになればということを思うところでございます。
下に、そうした官公需契約のスキーム案としてこんなのはどうかということで少し書かせていただいておりますが、言ってみれば、基礎自治体である市町村が地域のそうした産業振興を図っていく上でこうした官公需契約も生かしていければというものであります。そのためには、地域の中でこうした需給のマッチングを行うビジネスネットワーク支援センターのような役割を持つセンター機能というものを整備していくことも必要ではないかと考えるところでございます。
これが私どもの官公需法に関します意見とさせていただくところでございます。
次に、地域資源法に関する意見について述べさせていただきます。
おめくりいただきまして、市田柿のブランドと、それから右側には飯田水引のブランドの事例を載せさせていただいております。実は、市田柿の方が非常に当地域では成功した事例でございまして、水引ブランドはこれからという状況があります。
市田柿のブランドが一番成功いたしましたのは、当地域におきましては伝統食品として長い間、正月の歯固めとして食べられていた市田柿でありますが、当然単価も安く市場も限られていたという状態が長く続いておりました。そうしたものを打ち破って、自然食品として、そしてさらには高級ドライフルーツとして市場を開拓していったということがあります。
これをするためには、実は正月だけで食べられていたので余り保存技術というのがまだ発達していなかったわけでありますが、冷蔵技術をかなりしっかりと発達させることによりまして、通年で販売できるような体制に持っていったということがあります。それによりまして、冬の歯固めの伝統食品が夏にも冷たく冷やしておいしく食べられる高級ドライフルーツに変わっていくというものでございまして、数字で申し上げますと、生産量は、大体、平成十八年には二千四百五十トンぐらいだったのが六年後の平成二十四年には二千七百五十トンぐらい、約三百トンぐらい増えておりますし、栽培面積も、平成十九年には約二百ヘクタールだったのが平成二十五年には三百十二ヘクタール、三百ヘクタールを超すと、一・五倍にまで増えているという状況であります。
何よりも変化しましたのは市田柿の販売単価でありまして、昔はせいぜい一個五十円もすればいい値だったのが、現在では普通に二百円から三百五十円、高級品になりますと、最高級品では一個千円、約二十倍ぐらいの値段が付くというものでございます。実際に銀座で見ていただければ、そのぐらいの値段で売られているのも見ていただけるかと思います。そのぐらい、非常に高級ドライフルーツとしての市場の開拓に成功した。
これは、今回の法律にも出てまいります、例えば体験型の観光といったようなものにも通じる、ここに観光と書かせていただいていますが、こういったものにも通じますし、それから、様々な市田柿に携わります産業、例えば皮むき機のような機械工業、あるいは海外ブランド等、様々な展開が市田柿を通してできるようになってきている、裾野が広がっているという一つの好例でございます。
これに対して、水引の方は今非常に転換期を迎えているという状況であります。
元々、飯田の水引は三百年の伝統を持っていて、髪の元結いを主力にしていたのが明治の初めまででありました。断髪令によりましてその需要がなくなって非常に危機に瀕するわけでありますが、そのときに冠婚葬祭の市場を開拓して、そちらの方に展開していくということで生き残ってまいりました。最近の冠婚葬祭の略式化が進む中でこうしたマーケットが今どんどん縮小している、新たなこれから需要を開拓していく必要があるというのが今の水引の現状でございます。
そうした中で、これから、下に書いてありますように、専門的人材を確保して販路開拓をしていくということを地域を挙げて考えていければと思っておりますので、この法律もそういった御支援をしていただけるような形になればというふうに思っております。
どうかよろしくお願いを申し上げ、私からの意見陳述とさせていただきます。
〇委員長(吉川沙織君) ありがとうございました。
次に、近藤参考人にお願いいたします。近藤聖司参考人。
〇参考人(近藤聖司君) どうも皆さん、今日はありがとうございます。
今日、私どもは、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の例ということで、この十年間、四国タオル工業組合が行ってまいりました今治タオルプロジェクト、すなわち今治タオルをどのようにブランド化をしてきたかというお話を少しさせていただきます。
実は今年、タオルが今治で作られて百二十年になります。その中で本当に幾多の大変な危機がありました。特にやっぱり一九九一年のバブルの崩壊後、需要の減少と、あと海外からたくさんの安いタオルが入ってきた。本当にこれで産地自体が五分の一にシュリンクしてしまいました。
そういう中で、二〇〇一年に国の方に繊維セーフガードの発動を要請したわけですが、これは当時のグローバル化の情勢の中で当然通るような形のあれではなかったわけですね。そういうことで、二〇〇四年にそれが却下されまして、それから我々の自立化のスタートが始まったわけですが、当然ブランド化も進んでおりませんし、個社がやっぱりSPAという形で前に出ていったわけですが、これはもう十分な結果は得られることができませんでした。
そういう中で、二〇〇六年ですか、JAPANブランド育成支援事業、ここに当時の理事長が手を挙げて、これにちょっと最後懸けてみようということで手を挙げました。当時、私は青年部の方の会長をやっておったんですが、またどうせ単年度の事業で、適当なクリエーターか何かが来て知らない間に終わっていた、そういうものだろうというふうにたかをくくっていたんですけれども、今回は、佐藤可士和さんという本当にすばらしい、人間的にもすばらしい方なんですが、この方が来ていただいて、当時まだ百五十社ぐらいございましたけれども、同じ方向を向いていたのは十社でございました。インナーブランディングができていないうちにスタートしたわけです。
そういう中で、当時の理事長は大変御苦労があって三年で任期途中で辞めてしまったんですが、そういう経緯がありまして、当時セーフガードがもし発令されていたら今治ブランドって今多分なかったと思います。今考えると、本当に発動されなくてよかったなとつくづく思っております。
佐藤さんに教わったことなんですが、これは今治、それと、今治より優れた地域産品というのは本当に山ほど日本中にはある、ただ、それをきっちり消費者に伝え切っていないというところが問題だということですね。それで、佐藤さんは、まず継続的にそういうことをPRしていくためにブランドマークが必要だということで、手元に皆さんありますけれども、このマークを作ってくださいました。長い間見ても飽きない、そして継続的に行っていくためにはやっぱり飽きのこないブランドマークが必要だということで、今本当にこのマークのおかげで我々はもう生き返ったと言っても過言ではないと思います。
そういうことでブランドマークができた。そしてその後、やっぱりブランドというのはマニュアルをちゃんと作らなきゃいけないということで、これはもう二年に一度改正しますが、本当に一年に何回もみんなが寄り合って、そのときの時代に合ったマニュアルを作ってまいります。それをちゃんとみんなが遵守していくということが非常に大事だということを感じております。実は、このブランドマークの裏には全部通し番号が入っていて、これはどこの会社がどのタオルを作ったか全部分かるようになっているんです。我々組合が抜き打ち検査をして、やっぱり適合していないものには厳しく注意をしていく、そういった管理も組合の方で行っております。
我々が今までできなかった、考えもしなかったことをいろいろ教えてくださいました。やっぱり一番大きなのがメディアに対する対応ですね。これをいかに上手にして消費者に伝えていくか、この辺の対応の仕方も教わりました。そして、佐藤さんが一番やっぱり我々に対して評価してくださるのは、それらのブランドを使ってちゃんと組合が利益を出せる事業を行っていく、そしてそれで継続的にPR活動を行っていく。今、海外展示会とか人材育成、あとタオルソムリエという制度があります。これも全国からタオルソムリエを受けに来ます。今治にも受けに来ますけど、東京でも試験を行いますが、この辺を全部自分たちのそういった利益の中から賄っていくということでございます。
今、組合の収入といいますと、このブランドマーク、これが、一年目が二百万枚、まあ大したことなかったんですね、一千万、大体五円で売っていますから。今が七千万枚です。このブランドマークだけで数億円。それと、あと実質組合が運営しますウエブサイト、それとリアルショップで年間六億。そこに三億の仕入れが組合員から発生しますから、かなりやっぱり大きな力となっていることは間違いないと思います。
あと、この中で佐藤さんに教えていただいたのは、こういったブランド化の過程をちゃんと映像に残しておきなさい、そして、いざというとき、それをちゃんとメディアに配信してきちんと使っていくということが大事ですよ。そして、今回、本をこの一年間で二冊出しました。読まれた方いらっしゃるかと思いますが、この本と、今回、百二十周年の本を出させていただいた。こういう形で書物にも残しておくということは大事ですよということを非常に教わっております。
このブランディングの中で何が大きく変わったか。まあタオル自体はみんな昔から真面目に作っておりますから、そんなに劇的に変わったわけじゃないんです。何が変わったかというと、やっぱり価格を含めた交渉力が随分上がってきたということです。ブランドをバックボーンにその辺の力が随分上がってきた。そして、流通に対して物を言えるようになってきたわけですね。それによって各社の利益、これが随分向上して、今回の設備投資、またすばらしい人材の確保にも十分それが寄与しているということでございます。
本当に、このブランド力で一歩でも前に出ることによって、もしかしたら価格決定権まで我々が持つことができるようになる。実際、そういうふうにできている会社もございます。じゃ、今回の円安による原材料の高騰、これも十分これで、価格の交渉力が上がったことによって吸収できておる。そして、関連業界からの加工料の値上げについても皆さんにちゃんと還元できているという形で、本当にこのブランドがいい形で産地全体に寄与しているんだなというふうにつくづく感じております。
また、最近では、やっぱり事業はうまくいっていても後継者がいない、だからそういうところで続けていけないというところがあるんですが、企業価値が上がってまいりまして、有り難いことにMアンドAを掛けてくださる。町工場にちゃんと大きなところがMアンドAを掛けていただいて、雇用の継続とか、あと組合員を減らすわけにはいきませんから、その辺が組合員を減らさないでずっとやっていっている大きな要因になっております。
ただ、問題点も幾つかございまして、ちょっとやっぱりブランドが先走り過ぎていて、実際それぞれのメーカーが付いていけていないというところがございます。こういうところをこれからきっちり整備していく。
そして、極論を言えば、各社がそれぞれのブランドを構築する、そしてその上に今治ブランドが成り立つ、そういうふうになれば本当に足腰の強い地域ブランドになっていくということで、その辺、様々な手を打っていかなきゃいけないんですが、今まで今治タオルというのは組合という面に対して支援をいただいておった。これからそういうところを整備していくためには、やっぱりこれからは点での支援というのが、成熟したそういった、まあ成熟、ちょっと手前みそになってしまいますが、ある程度のところまで行けば、点での支援というのが非常に大切になってくるんではないかというふうに感じております。
このブランディングを通じて幾つか感じたことがございます。一番大きく感じたのが、やっぱり一社二社で頑張ってみても何の意味もない。その巻き起こす渦というのは、そんなにやっぱり大きくないんです。最初、このブランディングが始まったとき、私も自社のブランドをやっておりますので、これで生きていけると十分思っていたんですね。まあ無関心だったんです。ただ、組合の方にだんだんのめり込んでいくうちに、これはやっぱり組合でやることってすごい意義があるなというふうに感じました。
個性のある中小企業が集積して、そしてそこで様々な個性のある商品を作っていく、これがやっぱり今治の魅力であって、例えばアメリカのノースカロライナにも大きなタオル産地があったんです。それは、もう今治の産地より大きなタオルの産地があったわけですね。ただ、でもそれ一社だったんです。その下請が何百社もそこであったわけなんですが、もう本当に一年か二年で全部なくなってしまいました。でも、今治というのは本当に小さな会社がたくさん集積していて、五百軒で何とか百社残って、そして今復活してきているわけですね。極論を言えば、一千億の大企業が一個ある町より、十億の企業が百社ある、そういった町になるべきじゃないかというふうにつくづく感じております。
それと、今つくづく感じておるのが、タオル単体ではこれからは非常に難しくなってくるなということを感じております。さっきから、地域のいろんなコンテンツを結び付けてという話が出ておりましたが、これは本当に非常に大事になってくると思います。
まず、我々としては、今、しまなみ海道というすばらしい観光資源がございます。ここはやっぱり、去年、世界からサイクリストが集まってきた。そこで、知事がサイクリングタオルを作れと。サイクリングタオルなんて今ゼロなんですね、売上げが。それをこれから伸ばしていく、世界に対して。これは、もう全部それはプラスアルファになっていくわけです。今、今治には世界から、特に台湾から、台湾のジャイアントといって世界で一番大きな自転車の支店が今治にあります。もう本当に台湾人の方が自転車でぐるぐる回っています。そういう方たちにもタオルを向けて売っていくということを今やっておりまして、今台湾で非常に今治タオルは人気になっております。地道な活動がやっぱりそういった好結果を生むということでございます。
あと、今治といいますと、今、FC今治、サッカーのチームですね。これは、本当にJリーグのずっとずっと下なんですが、岡田全日本の監督がオーナーになっていただいて、そして岡田監督も、この間お話ししたんですが、地域創生というのが私の頭の中にあると、サッカーを通じてこの地方都市から元気になっていくんだということで、自らオーナーに手を挙げていただいて、今は年の半分ぐらい今治に住んでジュニアからの育成というのをやっております。
今治タオルもずっとトップチームのサポートをやってきたんですけど、岡田監督が入って大手のところが入ってきて、今、ここに付けるマークが僕らのときは百万ぐらいだったのに今は五千万円になっちゃったんで、トップチームはサポートできませんが、今はジュニアのチーム、アンダー16の女子のチームがありますが、そこには我々今治タオルとしてもサポートして、タオルもそこに提供したりして、いろんな形で絡み合いながら地域創生に貢献していきたいというふうに思っております。
また、あと今治には、タオル以外にやっぱり大きな八千億の規模を持った造船という産業がございます。実は来月、造船と一緒になってギネスに挑戦ということで、タオルを数万枚使って船のモザイクを作る、それでギネスに申請するという、そういった事業をやる予定になっております。造船は、進水式をやるたびに今治タオルを使っていただいて、世界のお客さんに今治タオルをどんどんどんどん使っていっていただく。そのお礼を込めて今度一緒にそういった事業を行う。やっぱり、地方でそういう産業が集まっていろんなことをやるのは非常に大事なことだというふうに感じております。
あと、全日空さんという大きな飛行機会社が我々の小さなところに目を向けていただいて、二週間前に全日空さんがアメリカのトーナメントを買い取ったんですね。そこで、最後に優勝者が池に飛び込む、そしてその後バスローブを着るというのを、これをフィーチャーしてくれたんです、今治タオルを使いましょうということで。そして、全米に向けてそのビデオを使っていただいて放映してくれました。日本でもWOWOWで放送されましたが、そういうことで、本当に大きい会社小さい会社関係なくして、世界に向けて日本をPRしていくって本当に大事なことだと思います。
それと、今一番感じておるのが、結果が出なくてもずっとやっぱり組合というのは活動を続けておくべきだと。どこかで歯車が必ず合ってくるんですね。今我々が成功している南青山の実際の店舗、これも昔、市が二億出してやってくれて、失敗失敗と言われたんですが、あの経験がないと今この成功はなかったと思います。
それとか、このPR活動を行っている中で、まあ不謹慎ですが、チャイナ・リスクが発生した。そのときに、やっぱり日本のものを買ってあげましょうという国民のそういう気持ちが、何にもやっていなかったら多分つながらなかったと思うんですが、やっぱりやり続けることということは意義があるなというふうにつくづく感じております。
海外展示会も一緒で、今すぐ結果が余り出ていないと言う人はいるんですが、様々な問題にぶち当たります。水の問題、硬水、軟水、それにタオルが対応していかなきゃいけない。これは今やっておかなきゃ駄目だと思います。
それとか、これだけ流通が変わる中で、自分たちのスタンスをメーカーがどこに置くべきか、前に出るのか、ここでいいのかということを今非常に勉強しておる段階です。必ず五年後には結果を出してこの後に伝えていきたいというふうに思っております。
それと、今治が伸びた伸びたといっても、産地としては二〇パー以上伸びたんですが、全体の中ではたった二%なんですね。九%が一一%になっただけです、シェアでいうと。ということは、ほかに同じように二%伸びたら元気になる産地っていっぱいあると思うんですよ。そういうことを教育を含めて子供たちに伝える。自分たちの国で作ったものを自分たちが二%余分に消費するだけで国って元気になるんだよということは非常に大事だと思います。今治では、工業高校の先生が授業の中でタオルのことを生徒に本当にきっちり説明してくれるんですよ。今治がこんなに元気になったことをみんなどう思う、うれしいと思わないかということをどんどん言ってくれるんです。僕らも授業に参加して生徒と対話していく、そういうことによっていい人材を我々に送り込んでくれる、本当にいい循環になっているというふうに感じております。
最後、一つ。これから世界の中で日本がどういう形で存在感を出していくか、これは、さっき言いましたように、一社二社じゃ駄目なんですね。やっぱり日本全体をブランド化して、そこからそういったメリットを下ろしていくということが大事だと思います。そういう意味では、これからは、さっき言いましたように、今治タオルだけでは駄目、いろんなものが光る、引き出しがいっぱいある国になって、その中で今治タオルが更に光るようになりたいというふうに努力をしてまいりたいと思いますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
〇委員長(吉川沙織君) ありがとうございました。
以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
今日は、お三方、御意見聞かせていただきましてありがとうございました。
牧野参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、地域を活性化していくということがこの法改正の目的にもなっているわけですが、御市においては経済自立度を見える化して、それをビジョンにして、自立度として目標を七〇%まで上げていくんだということを掲げておいでだということで、非常に明確なスタンスだなと思ったんですね。
これまでの経済政策ということ、地域活性化ということになりますと、企業誘致をしたり、また出ていかれてしまったりということでいろいろあったわけですけれども、これを自立度に注目して引き上げていくという考え方は非常に参考になるなと思うんですね。地域経済の自立を目指していくというところで鍵になるという考え方というのをお示しいただければなと思います。
〇参考人(牧野光朗君) 私どもの地域においては、経済自立度を分析いたしまして、そしてそれを上げていく、それを目標にしております。今お話がありましたように、最終的には、究極の目標は七〇%何とかこの地域で、ちゃんとある程度自分たちの産業で自分たちの地域の住民の皆さん方が食べていけるようなそういった産業基盤をつくっていきたいという、そういった思いを持っているところでありますが、実際には、リーマン・ショックやあるいは東日本大震災といった非常に大きな外的要因によりまして、自立度の向上を、上げるのはなかなか難しい、既存のやはり産業だけでは上げるのは難しいといったことに直面しており、したがって、これを上げていくためには新産業を育成していかなきゃいけないという考え方を取っております。
企業誘致の考え方を否定するものではないんですが、企業を単に誘致して、そしてそれで終わりと、言ってみれば捕まえた魚には餌をやらないみたいな感じで、後は税金を落としてくださいみたいなやり方というのは、もう私は通用しないと。そういったやり方でやっていたのでは、また新たな労働力がもっと安いところ、あるいはもっと立地条件がいいところにどんどん移ってしまうことにつながりかねない。むしろ、ちゃんと自分たちの地域で地に足が付いた産業をどれだけ育成できるかということにもっともっと力を入れていくべきではないかという考え方を取ってこれまでやってきたところであります。
〇倉林明子君 エネルギーの地産地消の取組でも飯田市に視察に行かせていただきまして非常に参考になったということで、大いに今後も注目したいなと思っております。
高橋参考人に質問したいと思います。
先ほど、なぜ官公需適格組合の受注確保が伸びないのかという御指摘ありましたけれども、本当にそこをどう伸ばしていくのかということも大事なことだなというふうに思っているわけです。その点では、割合を本当に増やしていこうと思えば適正な利益が確保できるというところがやっぱりポイントになるんだと思うんですね。
その上で、私は、御紹介はありませんでしたけれども、中央会が官公需法がありながらリバースオークション、中央省庁の調達方式で導入されて、今でも試行、試しているんだということなんですけれども、ネットを通じて時間内なら何度でも価格を下げられるという方式がいまだに試行されているということについて、やっぱり価格引下げの要素にしかならないというふうに思うんですけれども、高橋参考人の見解をお聞きしておきたいと思います。
〇参考人(高橋晴樹君) お手元に調査室でお作りになりましたこの参考人関係資料の十二ページを御覧をいただきたいと思います。
これは、私どもが昨年東京で大会を行いましたときの決議のものでございますが、十二ページの(3)、「競り下げ方式の導入反対」と書いておりまして、これは、数年前から採用するための試行、トライアルがありましたけれども、これについて我々は元から反対をいたしておりました。なぜかというと、どんどん下げていくということは、利益を削ってまで何か取りたいから、実績を残したいからということなんですが、中小企業の場合にはそれほど余裕がありませんので、一度そこに入ってしまうとアリ地獄に入ってしまうおそれがあります。大企業だったら、まあこの一遍はいいや、取りあえずやってみて、次取れるかもしれないという話はできるんですけれども、中小企業はできないということで、これは私どもは反対をいたしております。
それで、そういう反対運動が効いたかどうかは別でございますけれども、競り下げについては最近ではもう少なくなってきて、トライアルは年に一、二件しかやってないんじゃないかと思いますけれども、だんだん少なくなってきているように思っておりますし、まだ行いたいという省庁があれば、我々としては、是非行わないでくれと、ますます苦境に陥るだけですということで申し上げたいというふうに思っているところでございます。
〇倉林明子君 適正な価格が担保されて、そこで働く地域の方々の仕事と賃金が引き上がっていくということにつなげていくことが官公需法の、官公需適格組合も含めて、やっぱりそこが基本になってくるんだろうと思うんですね。
先ほど、資料の中に地域における協同組合の事例ということで福島県の宮下地区建設業協同組合の事例の御紹介がありました。冬場は除雪作業、もう積雪地帯にあっては欠かせない事業でもあるんですけれども、これができるのは、やっぱり雪が降っていないときの仕事もしっかり確保できているという裏表になって地域への貢献もできているということだと思うんですね。
そういう役割からいっても、絶対、地域貢献、地域から信頼を得て協同組合があるという、適格組合も含めて、こういう地域との関係があるということ、地域との関係を高めていくということも今後の事業確保にとっても大事なことになってくるんじゃないかと思う。京都宣言でそういう趣旨も含まれていたのではないかというふうに思うんです。
高橋参考人に最後お聞きしたいのは、官公需適格組合の受注機会の増大ということと地域経済活性化ということについて最後アピールをしていただいて、終わりたいと思います。
〇参考人(高橋晴樹君) ありがとうございます。
ちょっと一枚しか持ってきませんでしたが、京都宣言というので自分たちで作ったものでございますけれども、今お話にございましたように、その地域地域できちんと仕事をするということを経済産業局で認定を受けたところでございますので、そこが一年間で決まった仕事がきちんとあるということがあれば、真冬の雪が多いときに、こういうことを言うと変ですけれども、無理な仕事もちゃんとやりますということになるのではないだろうかと私ども思っておりますが、別に無理をさせる必要もないんですけれども、きちんとした費用を払っていただける、それからきちんとしたことをできるという組合がありますと、そういうことで地域地域を守っていくことができるんじゃないかと、私どもはそう思っておりますので、先生方の御協力、御支援を是非お願いいたしたいと存じます。
以上でございます。
〇倉林明子君 終わります。
ありがとうございました。
- 日時
- 2024/11/25(月)
- 場所
- 内容