倉林明子

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住まい保障支援強化を 自立支援法改定 (2024/4/9 厚生労働委員会)

 日本共産党の倉林明子議員は9日、参院厚生労働委員会での生活困窮者自立支援法等改定案についての質疑で、住まいの保障のため支援の強化と生活保護基準の引き上げを求めました。

 改定案は「居住支援の強化」を打ち出しましたが、居住の貧困を解消する施策はありません。倉林氏は、非正規雇用労働者や一人親家庭、シングル女性など、住まいの貧困はますます拡大していくと指摘。今後増加する単身高齢者は、持ち家以外の選択肢は極めて限られるとして、公営住宅の増設や恒常的な家賃補助制度の創設が必要と指摘しました。

 さらに、生活保護基準の引き下げで、利用者の生活は困窮を極めているとして基準の検証方法の見直しを求めました。

 生活保護基準は、厚労省の部会で5年に1度検証が行われています。しかし、比較対象とする最も低い所得階層(第一・十分位)には生活保護基準以下で暮らす人も含まれます。倉林氏は、絶対的貧困水準を下回る可能性が高く、基準引き下げが続けば、抜本的見直しが必要になると指摘。物価高騰に見合った生活保護基準の引き上げを前倒しで検討すべきだと求めました。


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○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 昨年末に示された社会保障審議会部会最終報告書を見ますと、生活困窮者の生活の安定に向けては生活の基盤そのものである住まいの確保が必要不可欠であるというふうにされておりました。
 先ほど来議論もありましたけれども、一体その住宅の必要数というのはどこになる、どれだけになるのかというところが、法案見ていてもよく分からないんですね。住宅の確保に向けて配慮を要する者ということでいうと、現在何世帯になるのか。不安定居住者、単身高齢者世帯など、内訳はどんなふうに現時点で見込んでいるのか。さらに、今後の支援ニーズというのはますます高まると想定されるわけですけれども、どの程度の増加が見込まれているのか。
 今回の法改正やるわけですけれども、具体的、リアルに必要な住まいが確保されるのか、ここがよく見えないんですけれども、いかがでしょう。

○政府参考人(朝川知昭君) 住宅の確保に配慮を要する世帯の数、その数自体は我々把握をしてございませんけれども、関連する指標を幾つか申し上げますと、令和四年度の実績として、生活困窮者の自立相談支援機関への新規相談件数は約三十二万四千件ございました。そのうち住まい不安定の課題に関する相談が含まれていたものは、全体の一三・六%の四万四千件でございました。
 また、令和二年度に約四万人を対象として行われた不安定居住の実態調査では、過去五年以内に知人宅やいわゆるネットカフェなど様々な場所を行き来する不安定居住を経験した割合は約一%でございました。
 また、今後の推移に関する数字としましては、単身高齢者世帯は二〇一五年の一一・七%から二〇四〇年には一七・七%に増加する見込みでございまして、また、年代別の持家率は、四十歳代では二〇〇八年の六二・二%から二〇一八年に五七・六%、五十歳代では同様に七四・三%から六七・六%と、経年的に見て四十代から五十代で持家率が低下しておりますので、今後賃貸住宅への入居が必要となり、住宅の確保に配慮を要する高齢者の増加が見込まれます。

○倉林明子君 いろいろ数字出てくるんだけれども、必要数というのは一体どのぐらいになるのかというところはよく見えないんですね。
 先ほど、午前中の議論で石橋議員の資料が出ておりましたけれども、これは国交省の資料で作られたようですが、低額所得者だけでも一千三百万世帯、万、一千三百万世帯、高齢者で一千八百八十九万世帯ということで、先ほど紹介あった数字からいうと桁違いの住宅確保の要配慮者というのが、もちろんかぶりありますけど相当数おられるということが想定されているわけですね。
 深刻化しているのが、改めて、その単身高齢者の住宅問題だというふうに思っております。
 日本の持家のことも先ほど少し答弁で触れられましたけれども、この持家比率は全体としては高いんですよね、六割ということで。これは、男性が主たる生計者になって家族を養うと、で、持家を取得し、老後はローンも終わっていて夫婦の年金だけで暮らしていけると、こういうライフスタイルがあったと思うんですよね。ところが、このライフスタイルが今大きく変容してきているという現実あると思うんです。
 持家所有の前提そのものはやっぱり家族を形成するということになっていたんだけれども、今、実態として確認しておきたいんですが、五十歳時の未婚率というのが、一九八〇年と直近で比較してどういう変化しているでしょうか。

○政府参考人(鹿沼均君) 先生今御指摘の五十歳時の未婚割合でございますが、国勢調査の方で数字を取っておりまして、一九八〇年では男性二・六%に対し女性は四・五%、直近の二〇二〇年ですと男性二八・三%に対して女性一七・八%になっているという状況でございます。

○倉林明子君 未婚率ということで見ますと、男性がこの間で十倍を超える勢いで伸びておりますし、女性の方も高く伸び率示しております。非正規、シングルという居住の貧困ということが拡大する、あるいは一人親、こういう居住の貧困、更に一層拡大するということにつながるという数字でもあると思うんですね。
 単身高齢者にとって、持家以外の選択肢というのは極めて限られております。孤独死、孤立死というようなことも背景にもあると、大家さんは貸したくないという状況あると。低所得者向けの公営住宅というのは全体の三・六%しかないわけですよね。都市部での入居倍率ということで見ますと三十倍というようなところもあるわけです。入れないんですよ。十五年応募し続けても入れないというような事態が当たり前にあるんですね。
 そもそも、不足している公営住宅の新増設、私必要だと思うんですよね。その検討というのは、こういう住宅を確保していかにゃというときに検討されたのかどうか、今回セットで法案も提出というところで。いかがでしょうか。

○政府参考人(宿本尚吾君) お答えをいたします。
 公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者の居住の安定を確保する住宅セーフティーネットの根幹を成すものであり、その供給、重要であると考えております。地方公共団体においては、人口減少など地域の今後の人口動向ですとか厳しい行財政事情を踏まえつつ、公営住宅のストックの状況なども勘案して、改修や建て替えということを含めて、適切に公営住宅の整備、管理を行っているものと考えております。
 国土交通省といたしましても、公営住宅の事業主体である地方公共団体が行う公営住宅の整備に対しまして、社会資本整備総合交付金などにより支援をしているところでございます。

○倉林明子君 いや、公営住宅の新増設ということでいうと、確かに改修等はされてきたんだけれども、増やしていないんですよ。逆に、京都なんかで見ていても減少という方向に向かっているんじゃないかと思うんです。私、生活困窮者の生活の基盤、先ほど国交省もおっしゃったけれども、低所得者に対する住宅のセーフティーネットの根幹だと、そのとおりだと思うんですよ。ここを、長年新増設を中止してきたと、やらなかったと、ここへの反省が私は求められると思います。
 その上で、とりわけ深刻な実態に置かれているのがシングルの女性なんです。わくわくシニアシングルということで団体が調査をされているんですが、四十代の女性にとって、シングルの方、家賃が払えるかどうかが将来の不安の中で一番大きな割合占めているとおっしゃっているわけです。民間住宅に居住している人は、その収入の四割を家賃が占めると、非常に生計費を圧迫するような重い負担になっているんですね。
 あくまでも期限を定めた住居確保金、今回拡充はされるんだけれども、期限が定まっているという支援では、私、やっぱり不十分だと思うんですね。こういう人たちの不安の解消につながらない。恒常的な家賃補助制度が必要じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょう。

○国務大臣(武見敬三君) 現行の住居確保給付金は、離職などにより一時的に住まいの確保が困難な方に対して、新たに就労して自立できるよう、一定期間家賃相当額を支給することで求職活動中における住まいの確保を支援する制度でございます。
 御指摘の恒常的な家賃補助制度ということになりますと、生活に困窮した方々に対して個別の事情に応じた住まいの支援を行うことで自立を促していくことが適切であること、そもそも、最低限度の生活を保障する制度として生活保護制度が存在する中でこれとは別に住宅費を保障する制度を創設することについては、最低限度の生活保障を超えた保障を行うこととなり、公平性の問題があることなどから慎重な検討が必要であると考えております。
 そこで、本法案では、生活に困窮した方々に対して個別の事情に応じた住まいの支援を行うために、生活困窮者支援の窓口等において住まいに関する相談を包括的に受け止めること、入居後の見守りなどの支援や社会参加の支援を強化すること、住居の確保給付金において低廉な家賃の住宅への転居費用の補助を新たに行うということといたしまして、家計における支出への配慮を行うことなど、この改正に盛り込んでおります。
 こうした取組に加えて……(発言する者あり)はい。ということでございますので、御理解ください。

○倉林明子君 大きくやっぱりライフスタイルが変わっているし、単身の人たちが増えているとい下で、持家が持てない人たちのこの住宅配慮、住宅が安心して確保できるという対策として、やっぱり低所得者への公営住宅の増設、そして恒常的な家賃補助ということが要るんだと、そういうふうに転換していく必要があるということを改めて申し上げたい。
 そこで、生活保護基準の大幅な引下げから十年余り、保護受給者の生活ということでいいますと、困窮を極めております。着るものを買うことは考えられないし、冷暖房費が一番つらいというわけですね。食費を節約しないと光熱費が捻出できないと、暑さは本当に厳しく、どう節約すればいいか分かりませんと、孫にも交通費が掛かるので会いに行けませんという実態あるんですね。名古屋の高裁判決では、三度の食事ができているというだけでは、生命が維持できているというだけで、到底健康で文化的な最低限度の生活であるとは言えないという判決が下されております。
 大臣、よろしいですか。聞きますよ、まだまだ。
 三度の食事さえ十分に食べられず、人に会うことさえ経済的な理由で我慢を強いられ、これが憲法が保障する健康で文化的な最低限度の生活と言えるのかどうか。いかがでしょう。

○国務大臣(武見敬三君) この生活扶助の基準について、この最低限度の生活を保障するために、一般国民生活における消費水準との比較で相対的なものとして水準を設定するという考え方です。
 国民の消費動向や社会経済情勢などを総合的に勘案して必要に応じて改定を行うこととしておりまして、これは五年に一度この定期的な検証を行っておりまして、令和四年にこの検証を行いました。現行の生活扶助基準、令和四年の生活保護基準部会の検証時点で把握されておりますので、したがって、そうしたその五年に一度の頻度での検証を、定期的な検証を通じてその設定をさせていただいているということで御理解をいただきたいと思います。

○倉林明子君 衣食住さえ満たされず三度の御飯が食べられないというようなことが最低限度の生活ですかと、正面から答えていないということですよ。
 その上で、もはや生活保護水準というのは、いろいろ検証してきたとおっしゃるけれども、結局、貧困を固定化させて、もはや人権を脅かすような水準になっていると私は言いたい。先ほど群馬県桐生市の実態も示されましたけれども、違法な分割支給にとどまらず、十年間で保護費半減と、人権侵害の水際作戦までやられていると、こんなことが判明しているわけですね。
 私、生活保護費の基準の検証方法の見直しが要ると思うんですよ。所得階層の最も低い階層である第一・十分位層の消費水準との比較を用いてやっているんですね。これらの層には生活保護基準以下の人たちが確実に含まれるんです。絶対的貧困水準を下回るという可能性が高いんですね。このままでは生活保護基準の引下げが続くことになりかねないわけです。
 現在の検証方法、これ見直しを一旦検討された経緯もあったけれども、抜本的に見直すべきだと思います。いかがです。

○国務大臣(武見敬三君) やはり、この社会保障審議会の生活保護基準部会における五年に一度の検証というのは、非常に重要な検証だという考え方を基本的には持っております。
 比較対象とする一般低所得世帯の所得階層については、同部会における平成二十九年の検証において消費支出を詳細に分析した結果、年間収入第一・十分位を比較対象とすることが適当であるというふうにされて、この令和四年の検証において、平成二十九年の検証時に参照した集団の消費支出や所得の状況に大きな変化がないことを確認した上で第一・十分位を比較対象として維持することとしたものでございます。
 これらの生活扶助基準の検証手法については、引き続き一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているかという視点から検証を行うことを基本としておりまして、生活保護基準部会において専門的な見地からのこうした御議論は是非継続させていただければと思っております。

○倉林明子君 私、十年前に大幅に保護基準の引下げが行われました。裁判になっておりますので、係争中についてのことについては答弁されないと思うんです。
 ただ、生活実態が今どんなことになっているのかと。答弁避けたけどね、三度の食事もまともに食べられないというような実態を本当にどうするのかと、最低生活とそれが言えるのかと、限界は明らかだと思うんですね。最低生活費積み上げるという手法への転換が要るんだということを重ねて申し上げたい。
 生活保護基準というのは、実際に保護を受けている人たちの生活の水準を決定するというだけにとどまらないんですね。就学援助の適用基準、国保料の減免、介護保険の自己負担、公営住宅の家賃減免、こういう国の制度だけでも四十七にも及ぶような施策に実際連動しているんですね。これが、生活保護基準がどうなるかということによって、引下げは低所得世帯の負担増に直結するんですよ。
 前倒しで、今、今本当にこの物価高の中で低所得世帯ほど甚大な被害を受けているわけです。この基準そのものの引上げの検討は検証部会で五年ごとにやっているというようなこととは別に、前倒しで基準の引上げということを検討するべきだと思います。いかがですか。

○国務大臣(武見敬三君) 引き続き、この生活保護基準部会のその消費実態の検証結果を基本として考えていきたいと思います。
 令和六年度までの臨時的、特例的な措置として、この一人当たり月額千円を検証結果に加算するとともに、加算を行ってもなお従前の基準額から減額となる世帯については、従前の基準額を保障する措置を講ずることによって、足下の物価上昇を含めて社会経済情勢等を総合的に勘案した対応を行ったところでございます。
 この結果として、令和五年九月までの基準額と比べて引上げか据置きのいずれかとなり、引下げとなる世帯が生じないようにしていることは御理解しておられると思います。

○倉林明子君 いや、そのまま当てはめたら引下げになっちゃうからということで、引下げにならないような手当ては打ったということ、それは間違いないと思うんですよ。ただ、物価高が、この異次元の物価高は二二年、二三年と続いているんですね。物価上昇率、二年合わせて四・七パーになっております。
 繰り返し、私、今国会で取り上げてきましたけれども、総理は明確なんですよ、物価高に負けない所得の引上げを今年実現すると。じゃ、生活保護世帯、低所得者世帯、どうするのかと、置き去りにしちゃならないんじゃないかと。どうでしょうか。

○国務大臣(武見敬三君) この令和七年度以降の生活扶助基準については、その今後の社会経済情勢等の動向を見極めて必要な対応を行うために、令和七年度予算の編成過程において改めて検討をするということになっておりますので、この一千円の加算の特例というのも今年度までになっておりますので、改めて次の予算の中で検討させていただきたいと思います。

○倉林明子君 今年の話していますので、そらさないように、正面から取り組んでいただきたい。
 終わります。