国会レポート

電事法改定 国民の期待反する 参院で可決・成立(本会議 反対討論)

2015年6月17日

 電気・ガス・熱供給事業の一体的全面自由化をねらう電気事業法改定案が6月17日、参院本会議で、自民、公明、民主、維新、次世代、社民などの賛成で可決、成立しました。日本共産党は反対しました。
 採決に先立つ討論で、日本共産党の倉林明子議員は「東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を経験した国民が期待する改革に背を向けるものだ」と批判しました。
 倉林議員は、政府が原発と石炭火力を「ベースロード電源」とする古い発想に固執し、改定案でも原子力の「事業環境整備」を明記しているとして「『原発利益共同体』の強い要求に応えたものだ」と批判。全面自由化によって作り出される総合エネルギー市場も「担い手となるのは、電力・石油元売り・総合商社などの巨大資本であり、寡占化によって料金の抑制どころか、値上げの危険が高まりかねない」と強調しました。
 さらに、消費者からは、重大事故につながるガス機器の安全の確保に不安も示されているとして、「長年培ってきた一体的な保安体制を後退させる恐れを残したままの全面自由化は、消費者利益を侵害する危険がある」と批判。原価情報の開示義務が明確にされないまま、従来の公聴会などの国民参加の手続きを廃止することについて、「料金の中身が見えにくくなり、選択肢と『知る権利』を奪う」と指摘しました。

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第189回国会 本会議 第27号 2015年6月17日(水曜日)

電気事業法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)

〇議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。

〇議長(山崎正昭君) 日程第七 電気事業法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長吉川沙織君。

〔吉川沙織君登壇、拍手〕

〇吉川沙織君 ただいま議題となりました電気事業法等の一部を改正する等の法律案につきまして、審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、公益事業たる電気事業、ガス事業及び熱供給事業に係る制度の抜本的な改革を行うため、送配電等業務の運営における中立性の一層の確保を図るための法的分離、一般の需要に応じ導管によりガスを供給する事業を営もうとする者に係る経済産業大臣の登録制度の創設、熱供給事業者に対する供給義務及び料金規制の廃止、独立した立場から電力等の取引の監視等を行う新たな行政組織の創設等の措置を講ずるなど、七法律について改正等を行おうとするものであります。
本法律案の審査に先立ち、東京都港区のガス供給指令センター等及び東京都千代田区の熱供給事業の実情調査を実施いたしました。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、安倍内閣総理大臣の出席を求め、質疑を行いました。
委員会における主な質疑の内容は、法的分離後の安定供給及び作業安全の確保に向けた取組、送配電部門等の中立性確保のための行為規制の在り方、小売全面自由化後の災害時の復旧等のガス保安体制の在り方、ガス導管の延伸整備及び天然ガスの利用拡大策、小売料金規制の経過措置を解除する条件、電力・ガス取引監視等委員会の役割及び独立性確保の在り方、検証規定の実効性確保の必要性、政省令委任事項への国会の関与の在り方、競争環境下での原子力事業の在り方などエネルギーのベストミックスの実現に向けた課題、再生可能エネルギーの導入促進策、総合エネルギー市場の創出に向けた課題等でありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して倉林明子理事、日本を元気にする会・無所属会を代表して松田公太委員よりそれぞれ反対する旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)

〇議長(山崎正昭君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。倉林明子君。

〔倉林明子君登壇、拍手〕

〇倉林明子君 私は、日本共産党を代表して、電気事業法等の一部を改正する等の法律案に反対する討論を行います。
本法案は、電力システム改革の契機となった東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を経験した国民が期待する改革に背を向けるものです。
反対する第一の理由は、政府がエネルギー基本計画で、原発と石炭火力をベースロード電源とする古い発想に固執し、まるで原発事故がなかったかのように原発回帰を一体として推し進めるものだからです。
二〇三〇年度の電源構成案では、再稼働のため国が前面に立つと明記しました。国民多数の原発依存からの脱却の願いを全く無視した、老朽原発も含めた再稼働宣言にほかなりません。
政府は、本法案の附則第七十四条で原子力の事業環境整備を行うとしていますが、これは、電事連が求めてきた新たな国策民営の役割分担など、原子炉メーカー、ゼネコン、メガバンクなど原発利益共同体の強い要求に応えたものであり、容認できません。
第二は、電気、都市ガス、熱供給事業の一体的な全面自由化によりつくり出される十兆円を超える総合的なエネルギー市場が新たな規制なき独占をもたらすからです。
総合エネルギー市場の担い手となるのは、電力、石油元売、総合商社などの巨大資本であり、寡占化により、料金の抑制どころか値上げの危険が高まりかねません。
さらに、法案は、持ち株会社等のグループ一体経営を認める発送電の法的分離が最終ゴールだとし、一般担保付社債による資金調達を当面継続するなど、自由競争とは名ばかりの、東電救済、電力優遇策だと言わざるを得ません。
第三は、都市ガス事業の導管分離や自由化を急ぐ理由が全くないからです。
消費者からは、多数の中小業者が担うガス市場の寡占化による料金値上げの懸念、ガスの漏えいなど重大事故につながるガス機器の安全が確保されるのかと不安が示され、消費者の知らない改革との痛烈な批判の声が上がっています。長年培ってきた一体的な保安体制を後退させるおそれを残したままの全面自由化は、消費者利益を侵害する危険があるものです。
第四は、公共料金である電気・ガス料金について、説明会や電源構成を含む原価情報の開示義務が明確にされないまま、従来の公聴会などの国民参加の手続を廃止する問題です。消費者には料金の中身が見えにくくなり、選択肢と知る権利を奪うものとなります。
新設される電力・ガス取引監視等委員会は、原価情報の公開、チェックを含む独立性の高い機関に位置付け直し、消費者を参画させるべきです。
現在、原発は一基も動いていません。しかし、政府は、二〇三〇年度には三十基台半ばが稼働することを見込み、そのために、原発の空押さえなど、再生可能エネルギーを抑制する様々な制度改悪を進めています。同時に、石炭火力発電所の建設ラッシュにより、石炭火力発電への依存度が高まることは明らかです。これらは地球温暖化対策に逆行し、国際公約をほごにするもので許されません。
欧州諸国から学び、地域が主体となった再生可能エネルギーの最大限の導入をエネルギー政策の土台に据え、発送電の完全分離と送電網の公的管理、市民、地域共同の小規模分散・地域経済循環型のエネルギーシステムへ向かう民主的な改革とすべきであることを強く指摘しまして、反対討論といたします。(拍手)

〇議長(山崎正昭君) これにて討論は終局いたしました。

〇議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。

〔投票開始〕

〇議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。

〔投票終了〕

〇議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数         二百三十一
賛成             二百八
反対             二十三
よって、本案は可決されました。(拍手)