国会レポート

特別小口全額保証継続を 中小業者融資 経産相「変更ない」(経済産業委員会)

2015年5月14日

(ページ下部に資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は5月14日の参院経済産業委員会で、中小・小規模事業者が融資を受ける際の特別小口全額保証を部分保証に縮小しようとする問題について質問し、全額保証の継続と拡充を求めました。
 全額保証を利用している企業の割合は7割・101万社を超えています(全国信用保証協会連合会の調査)。規模別では小規模ほど全額保証の比率が高くなっています。
 倉林議員は、全額保証は「小規模事業者にとってはなくてはならない制度」と強調。宮沢洋一経済産業相が質疑の中で「(NPO法人以外は)引き続き100%保証として運用する」と答弁したことにふれ、法律上も明記するべきだと求めました。宮沢経産相は「特別小口について(全額保証という方針に)変更はない」と答弁しました。
 倉林議員はまた、法改定の悪影響が地方自治体の制度融資にも広がるのではないかという懸念があがっていることを指摘し、「小規模事業者の命綱を絶つことになりかねない部分保証の導入はやめるべきだ」と主張しました。
 北川慎介中小企業庁長官は「政府の方針を説明し運用について注目していきたい」と答えました。

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第189回国会 経済産業委員会 第10号 2015年5月14日(木曜日)

株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

〇委員長(吉川沙織君) 株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。

〇倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
まず、中小企業信用保険法について質問いたします。
中小企業・小規模事業者にとって、信用補完制度が果たしている役割は極めて大きいというふうに認識しております。そこで、現状を確認したいと思います。中小企業が行った借入れのうち、保証を利用した企業の割合はどうなっているか、そのうち、全額保証した企業の割合はどうか、いかがですか。

〇政府参考人(北川慎介君) 統一的なデータはないんでございますが、私どもが今使える資料に基づいて御説明申し上げますと、日本政策金融公庫が信用保証協会の利用先に実施いたしましたアンケート調査の結果によりますと、平成二十六年度に借入れを実施した中小企業の方のうち、信用保証制度を利用した企業の割合は五一・八%となっております。これは、平成二十七年一月から三月までの実績ということでございます。
それから、一〇〇%保証制度につきましては、別の調査でございますけれども、全国信用保証協会連合会の調査によりますと、全国三百八十五万の中小企業・小規模事業者の方のうち、三六・六%に当たる約百四十一万者が信用保証制度を御利用いただいていますけれども、この利用された企業のうち、一〇〇%保証制度を利用した企業の割合は七一・七%程度、約百一万者と承知しているところでございます。これは、保証債務残高のベースでございます。

〇倉林明子君 大変大きな割合で利用されているというのが実態だと思うんですね。
これは、日本政策金融公庫の資料を付けさせていただきましたけれども、保証利用が一部、そして全額保証利用ということでグラフ、推移を取っております。全額保証の紺の部分、割合がリーマン・ショックのとき本当に高くなっています。確かに全体として下がってきているものの、全額保証の利用割合というのは、占める割合というのは本当に非常に高い状況も示していると思うんですね。
さらに、この同じ政策金融公庫の調査結果の資料を次に付けております。全額利用が企業の規模別で見るとどんな利用状況になっているかということで、業種別の下の規模別というところ、ゼロから二人、三人から五人というところで見ると、他の規模が大きいところから見ても全額利用の割合が非常に高いという特徴が見て取れるかというふうに思うんです。
改めまして、小規模事業者にとりましてこの全額保証という制度はなくてはならない制度だというふうに考えますが、大臣の認識はいかがでしょうか。

〇国務大臣(宮沢洋一君) この全額保証というのは、全額が保証の対象であって、一〇〇%保証ではなくて八〇%保証の分も含まれている分というふうに理解した上で御答弁させていただきますが。
先日、OECDの事務総長が私の部屋に来られました。ちょうど対日審査の報告書を持ってこられまして、その中で、幾つかの指摘の中の一つが、中小企業に対して国費を投入し過ぎていると、日本の政府は、というものでありました。そして、その中心がまさにこの信用保証でございまして、この信用保証が国費を多額に投入していることによって日本の経済の体質改善が遅れているという指摘をOECDからは実は受けたところでございますが、私の方からは、一方で、日本における中小企業の重要性といったものをお話をして、やはりこの制度は大変大事なんだということを申し上げたところでございます。
まさに信用保証というのは我が国の特に小規模事業者にとっては大変大事なものであるということは、共通の認識を持っております。ただ一方で、一〇〇%保証がどうかということにつきましては、いろんな危機時に一〇〇%保証といったものが必要であるということは私自身もそのとおりだと思う一方で、一方で、やはり金融機関のモラルハザードというのは大変招きやすい制度であることは間違いないと考えております。
やはり一〇〇%信用保証協会が保証してくれるということになりますと、金融機関の方からいいますと、必要な融資の審査というものは当然のことながらおざなりになり、そして企業経営に対する見方をしっかり企業経営者と相談するといったこともおざなりになり、一方で、企業経営者の方からしますと、事業者の方からしますと、本来であればしっかりとした業務計画とかしっかりとした返済計画を作らなければいけないものが、それが若干おざなりになってくるといった意味で、そういう問題点をやはり考えながらこの一〇〇%保証の問題は考えていかなければいけないと考えております。

〇倉林明子君 とりわけなぜこの問題で質問したかといいますと、今回の法改正で、信用保証の対象にNPO法人が、加えるということと併せて、責任共有、特別小口保険のところが条文上は部分保証となるという読み取りができると思うんですね。
そこで、この点、衆議院でも議論ありまして、この質疑の中でNPO法人以外は引き続き一〇〇%保証として運用していくと、その上で、自ら重い答弁だというふうにも述べておいでです。本当に重い答弁だと私も受け止めました。
そこで、この一〇〇%保証、NPO法人以外はどうやって担保していくのか。法文上は明記ないという下でどのように担保するのか、お願いいたします。

〇国務大臣(宮沢洋一君) 衆議院でも真島委員からたしかそのような御質問をいただきまして、従来からの特別小口保険の対象となっている小規模事業者について変更はないのかというお尋ねでございまして、私の方から引き続き一〇〇%保証を継続していくということを申し上げて、そして何で保証されるのか、法律的に担保がないではないかということに対しては、たしか、やはり法律の解釈、また法律を実施していく上で、全てではないわけでありますけれども、立法者の意思というものは尊重すべきものであって、まさに私が答弁していることは大変重いものであると、こういう答弁をさせていただいたところであります。

〇倉林明子君 答弁の中で続けて、担保するために何をするかということで宮沢大臣自身が答弁されたと思うんですけれども、信用保証協会と中小企業総合事業団とが締結する保険約款の中でこれ担保していくんだという答弁だったと思うんですけれども、具体的な中身に該当しますので、ここは確認をさせていただきたい。その上で、私はやっぱり条文上もきちんと明記されるべきであろうというふうに思うんです。
議論の中で、先ほどもOECDの紹介ありました。国際的に見たときに、日本の制度は一〇〇%かなり入ってきている、民間金融機関のモラルハザードといったものも考えると責任共有が基本だと、私、ここの認識を問題にしたいと思うんですね。国際的に見る場合、注目すべき点は、やっぱり中小企業の資金調達構造、資金調達の構造そのものが大きく違いがあるというところに注目すべきだと思うんですね。
株式の公開基準、公募債、コマーシャルペーパーの発行など、諸外国では中小企業でも直接資金調達ができる道が開かれている、資金調達が可能になっている。ところが、日本の場合どうかと。中小企業、とりわけ小規模事業者の場合、公開市場等で直接資金調達できる道というのは開かれているんだろうか、条件あるのかどうか、これは中小企業庁長官に確認したいと思います。

〇政府参考人(北川慎介君) 中小企業が市場から直接資金調達ができるかということでございますが、現状を見てみますと、やはり総資産に占める比率でいえば、金融機関からの借入れの割合が高いというのが現状であります。こういった情勢は改善しなければならないと長い間考えておりまして、そのために、例えばエンジェル税制という格好でベンチャー向けに、特に投資家から直接入ってくるような制度を導入してみたり、あるいはベンチャーキャピタルにおける投資人材を発掘してみたり、あるいはファンドという格好をつくってみたり、様々な手だてを取ってきておりますけれども、現状におきましては、まだ借入金比率が高いという現状にはございます。

〇倉林明子君 やっぱり直接調達が困難な実態というのは、日本固有の状況はあると思うんですね。いろいろやっているけれども借入実態はそうなっていないということだと思います。
そこで、直接調達困難な中小企業・小規模事業者が間接融資に頼らざるを得ないという状況の下で、私は、今回の法の提案の理由の中にも述べられていましたけれども、中小企業・小規模事業者の事業の継続、発展という観点から欠かせないのがこの信用補完制度であり、特別小口の果たしてきた役割というのは大きいと思うんですね。
その上で、まず正すべきは、信用保証協会の保証がなければ融資をしない、こういう民間金融機関の姿勢そのものじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょう。

〇国務大臣(宮沢洋一君) 私も諸外国の例をつまびらかにしているわけではありませんけれども、今お話を伺っておりまして、例えばCPを発行できるような中小企業というのは諸外国においてもかなり大きな中小企業であって、一〇〇%の信用保証が必要な小規模事業者といったような同じような企業、事業者ではとても恐らく間接金融の利用しか道がない、直接金融の道は恐らくないのではないのかなと思って今伺っておりました。
そして、民間金融機関の姿勢でありますけれども、私もまたおっしゃるとおりだと思っておりまして、最近、少し金融庁も政策の方向を変えてきておりますけれども、やはり余りにも、信用といいますか、担保であり保証人、また信用保証協会といったものに頼り過ぎていて、やはり自分の目でしっかりと相手の事業者の今後の経営状況等々、目利きのようなことをしっかりやって、将来のキャッシュフローをしっかりつかんで融資をするという姿勢に余りにも欠けていたということは間違いないんだろうというふうに思っております。
ただ一方、借りる側からしますと、しっかりとした事業計画がなくても、なくても逆に担保さえあればずっと借りられるという状況が、これはいいことなのか悪いことなのかというような問題も当然あるんだろうというふうに思っております。

〇倉林明子君 民間金融機関から融資が確保される見通しが、保証付きでない場合まだまだ貸してくれない、現状そうなんですよね。そういう状況が改善しない中で、責任共有、部分保証を拡大するということになりますと、中小企業に必要な融資というのが確保できないという危険が私は増大しかねないと思うんです。
そこで、法改正の影響について幅広く懸念の声が上がっている中の一つに、この責任共有、部分保証の拡大ということが地方自治体が独自に行っている制度融資にも広がるんじゃないかという心配があるわけです。一〇〇%保証を特別小口については継続するということを私が言ったんだから重いということなんだけれども、地方のこの制度融資についても広がらないということが担保される必要あるというふうに思うんですけれども、どのように担保していくお考えでしょうか。

〇政府参考人(北川慎介君) 地方自治体の制度融資についてでございますけれども、先ほど大臣から御答弁もございましたとおり、従来から特別小口保険の対象としている小規模事業につきましては、今回の法改正を踏まえての見直しを行う予定はないということで、引き続き一〇〇%保証を継続する考えでございます。
したがいまして、地方自治体におきまして、この信用保証制度を活用した小規模事業者向けの制度融資に関して、今回の法改正による悪影響のようなものは考えておりませんが、委員の御指摘もございますが、自治体におきましてどのような運営がされるか、私どももよく説明をしながら注目してまいりたいと思います。

〇倉林明子君 地方自治体の制度融資にまで部分保証の拡大なんということになりますと、たちまち中小企業、とりわけ小規模事業者のところの命綱を断つということになりかねないというふうに思います。部分保証の導入についてはきっぱりやめるべきだし、条文上もその点での明確化を図るべきだということを重ねて指摘をしておきたいと思います。
そこで、続いて商工中金法について伺います。
危機対応業務を商工中金に義務付けをするという固定化をする一方で、完全民営化の期限については期日を削除するということになったわけです。改革から十年、民間金融機関が危機対応業務に一件も参入しなかった、この理由について改めて確認をさせてください。

〇政府参考人(北川慎介君) 今回、法改正提案に至る検討におきまして、政府でいろいろ議論する中で、全国銀行協会あるいは全国地方銀行協会からは、幾つか民間が参入できなかった理由というのが挙げられております。具体的には、危機対応、これが通常のリスク、リターンの分析では測り切れない、あるいは全国一律の対応が必要とされる、あるいは必要なシステムを構築して常時稼働させなければならないと、こういったことでございました。このような理由があるわけでございますけれども、現時点ではなかなか困難と存じますが、中長期的にはできるだけ多くの民間金融機関が入っていただいて中小企業向けの危機対応の担い手が増えることは望ましいことだと思っております。
○倉林明子君 先ほど来、はっきりしないなというようなやり取りになっていたかと思うんですね。完全民営化を目指すのか、それともこの危機対応業務については公的部分残して商工中金でしっかりやっていただくのかと。
私は、はっきり言って十年間一件も手が挙がらなかったし、今後も、民間金融機関が手を挙げない理由として述べている中身を見れば、もう破綻していると思うんですね。看板だけ完全民営化を掲げるというようなことはもう諦めて、完全民営化の方針というのは撤回をすべきじゃないかと思います。
大臣、いかがでしょうか。

〇国務大臣(宮沢洋一君) 当初、平成十七年に方針を閣議決定したわけでありますけれども、その当時の、やはり民ができるものは民にということは私は大事なことだというふうに思っております。そうした意味で、将来的な完全民営化の方針は堅持するということにさせていただいております。
一方で、危機対応業務につきまして、これまで民間から業務を行ったということはないわけでありますけれども、一方で、一部でありますけれども、この制度について民間金融機関から問合せがあるということも事実でありまして、決して、今後我々の努力次第によってはそういうものが出てくることができると私は考えております。

〇倉林明子君 完全民営化の方針の後、リーマン・ショックが起こる、そして東日本大震災が起こる、もう本当に全国一斉に襲うような危機が起こり得るということを体験した後で、やっぱり危機対応業務というのは公的に支えながらやっていくしかないということがいよいよはっきりしたからこそ、今回の義務化という措置とられたと思うんですね。
私は、改めて、完全民営化という看板だけ掲げ続けるというようなことはもうやめるべきだということを重ねて申し上げまして、終わります。