国会レポート

高浜再稼働断念迫る 住民、周辺自治体避難計画納得せず(予算委員会)

2015年3月27日

(ページ下部に資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は3月27日、参院予算委員会で高浜原発(福井県、関西電力)の再稼働問題を取り上げ、「避難計画では住民の被ばくを避けられない。住民も周辺自治体も再稼働に納得していない」と述べ、再稼働中止、原発即時ゼロの決断を迫りました。

 高浜原発の避難計画では、立地県ではない京都府内の13万人が対象になり、舞鶴市(8万9000人)、宮津市(3万3000人)では全住民が対象になります。
 倉林議員は、5キロ圏内の避難完了まで最長8時間かかり、5~30キロ圏内の住民は20時間以上待機するという京都府のシミュレーションを紹介し、「過酷事故が起きれば被ばくは避けられない」と指摘しました。

 望月義夫環境相は「放射性物質の放出は福島事故の1000分の1になる。国際原子力機関(IAEA)の基準より住民の被ばくは抑えられる」と答弁。倉林議員は「関西電力の想定では、最悪の場合、電源喪失から炉心溶融まで19分。短時間で深刻な事態になる」と告発しました。

 宮津市の市議会は昨年12月、地元の範囲を30キロ圏内の自治体に拡大することを求める意見書を全会一致で可決し、舞鶴市では住民アンケートで85%が「再稼働には舞鶴市の同意が必要」と回答。関西広域連合は昨年12月、立地自治体なみの安全協定などが実現しなければ、再稼働を容認できる環境にはないと国に申し入れています。
 こうした事実を示した倉林議員は「周辺自治体も、立地自治体と同じく再稼働への拒否権を持つのは当然だ。自治体が再稼働にものを言える制度を作るのは政府の責任だ」と迫りました。

 これに対し安倍晋三首相は「国が一律に決めるわけにはいかない」と答弁。倉林議員は「自治体に避難計画の義務と被害のリスクだけ押し付け、自治体や住民の声を聞かない姿勢は断じて許されない」「不測の事態に対応できないのは明らかだ」と述べ、再稼働断念を迫りました。

議事録を読む
第189回国会 予算委員会 第13号 2015年3月27日(金曜日)
平成二十七年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
平成二十七年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
平成二十七年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)

〇委員長(岸宏一君) 平成二十七年度一般会計予算、平成二十七年度特別会計予算、平成二十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、経済・財政・国際問題に関する集中審議を行います。
これより質疑を行います。

〇委員長(岸宏一君) 次に、倉林明子さんの質疑を行います。倉林明子さん。

〇倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
今日は、高浜原発の再稼働について質問をいたします。
福島第一原発事故から四年、汚染水のトラブルは続き、収束の見通しは立っておりません。ふるさとに帰還できない人、帰還してもなりわいの見通しが立たない人、事故の被害は今も続いております。原子力発電への国民の不安は大きく、どの世論調査を見ても原発再稼働について反対が賛成を上回っております。そんな中で、高浜原発三、四号機が再稼働の前提となる新規制基準をクリアし、関西電力は早期の再稼働を目指すとしております。住民も周辺自治体も納得しておりません。
パネルを御覧いただきたいと思います。(資料提示)
京都府の舞鶴市、これ高浜原発を基点にしまして五キロ、三十キロ、五十キロと同心円で囲んでおります。京都府はピンクで染め抜いておるところでございまして、高浜原発に一番近いところにあるのが舞鶴市ということです。五キロ圏内にあります数少ない自治体が舞鶴市で、五キロ圏内の住民にヨウ素剤の配付が始まりまして、こういう薬が配られる時点で改めて原発事故の危険性を感じると不安の声が広がっております。
そこで、総理にお聞きしたいと思うんです。新規制基準を満たせば、福島のような過酷事故は起こらないと言えるんでしょうか。

〇内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、前提としてはっきりと申し上げておきたいと思いますが、東電福島第一原発事故の教訓として、我が国の原子力発電所では深刻な過酷事故は起こり得ないという安全神話と決別しなければならないということであります。
このため、新規制基準には、地震や津波への対策の強化に加えて、万が一過酷事故が発生した場合にも外部への影響を最小限に抑えるための対策を盛り込んでいます。独立した原子力規制委員会が世界で最も厳しい水準の新規制基準に適合すると科学的、技術的に判断した原発は、再稼働に求められる安全性が確認されたものであると思います。安全神話と決別をし、更なる安全性を原子力規制委員会及び原子力事業者が不断に追求をしてまいります。

〇倉林明子君 事故は起こり得るということを繰り返し規制委員長も明言されております。だからこそ、避難計画の策定が義務付けられたという経過だったと思うんです。
総理は、繰り返し世界で最も厳しい基準なんだということをおっしゃるんだけれども、避難計画は審査の対象にもなっておりません。アメリカでは、スリーマイル島の原発事故後、緊急時計画を全面的に見直しまして、避難計画の有効性がないと原発の稼働が認可されない。実際に避難計画を立てられず、運転停止、解体された例もあります。これ一つ取っても、私は世界最高水準とは言えないと思います。そこで、原発の再稼働をめぐって周辺自治体では避難計画の策定で大変な苦労を今されております。
そこで、確認をしたいと思います。高浜原発の周辺で避難計画を策定している自治体は幾つになるか、避難対象となる人数は何人になっているでしょうか、望月大臣。

〇国務大臣(望月義夫君) 高浜原発の重点区域三十キロ圏内でございますけれども、福井県高浜町、おおい町、小浜市、若狭町の四市町、それから京都府舞鶴市、福知山市、綾部市、宮津市、南丹市、京丹波町、伊根町の七市町、それから滋賀県の高浜市の十二市町となりますが、重点区域内に住民が居住していない滋賀県の高浜市を除く十一市町で避難計画が策定をされております。
そして、人数でございますけれども、原子力災害対策重点区域でありますけれども、三十キロ圏内の避難対象人数につきましては約十八万人と承知をしております。

〇倉林明子君 今御報告ありましたように、たくさんの市町村にまたがっているという特徴があります。
そして、もう一度これを見ていただきたいんですけれども、立地県である福井県よりも京都府の三十キロ圏内の人口というのがおよそ十三万人、今御紹介あったように、十八万人のうち十三万人が実は立地県自治体以外である京都府の住人になっているということなんですね。舞鶴市は八万九千人、宮津市二万三百人、全市民が避難対象となるということで計画を策定しております。
避難は、原発からの距離で開始時間を京都府が避難計画を細かく定めて策定をしております。
これ、御覧いただきたいと思います。京都府のシミュレーションによりますと、五キロ圏内のところは避難指示で直ちに避難を開始するということになっております。その上で、避難完了まで最長で見積もると八時間掛かるというんですね。過酷事故が起これば、私、この最長時間が掛かった場合、被曝は避けられないと思うんですけれども、望月大臣、いかがでしょうか。

〇国務大臣(望月義夫君) ちょっと申し訳ございません。先ほど町の名前で高浜市と言ったかもしれませんけど、高島市の間違いでございますので、大変、訂正させていただきたいと、申し訳ございません。
そして、ただいまの八時間という話でございますけれども、原子力規制委員会が新規制基準で求めた様々な対策により、万が一過酷事故が起きた場合でも、環境への放射性セシウムの放出量は東電福島第一原子力発電所と比べて約千分の一以下と、はるかに低いレベルに抑えられることが確認をされております。このため、原発敷地外への影響は限定的でありますが、さらに、避難又は屋内退避やヨウ素剤の服用によって、緊急時の住民の被曝についてIAEAの基準よりも十分に低いレベルに被曝を抑制できると考えております。

〇倉林明子君 規制基準満たしても千分の一じゃなかったんじゃないですか。百分の一ではなかったでしょうか。改めて確認をしていただきたいと思うんですが。これ、いずれにしましても、その程度に本当に放射能の飛散が収まるのかどうかというのはよく考える必要がある。改めて安全神話に陥る危険があると思うんですよ。
放射性物質、関西電力の想定によりますと、全電源喪失から炉心溶融までは僅か十九分と、最悪の場合、最悪のシナリオの場合ですね。原子炉容器破損まで九十分と、極めて短時間で深刻な事態になるということを示しております。
アメリカの緊急時計画の策定の基準というのが明確に定まっておりますけれども、三十分から一時間で原発から八キロのところへ、一時間から四時間で十八キロのところまで放射能が到達するということを前提にしているんですね。今の避難計画では被曝が私避けられないと言わざるを得ないと思うんです。
そこで、さらに、避難計画でその五キロ圏以外のところがどうなっているかということを先ほどの京都府のシミュレーションでまた見ていただきたいと思うんですね。この五キロ圏内は直ちに避難ということになります。二番目の五キロから十キロ圏はどういうシミュレーションになっているかといいますと、五キロ圏内の人たちの避難を円滑にするためということではありますが、一の開始、つまり、五キロ圏内の人たちが逃げ始めてから二十時間後まで原則的には待機しなさい、自宅待機しなさい、屋内待機しなさいということになっているんですね。じゃ、三番目はどうかと、これ、五キロから十キロの人が九〇%避難するまでは待機しなさいと。二十キロから三十キロの四番目はどうかと、これは三番目、十キロ─二十キロ圏内の避難者が九〇%離脱するまでは待機しなさいということなんですね。
住民が目の前で避難する人を見ながら、少なくとも二十時間以上待てという計画になっているわけですね。原発事故を経験して恐怖におびえながら、果たして住民はこれだけ待っていられるだろうか。望月大臣、どうお考えでしょう。

〇国務大臣(望月義夫君) 先ほど百分の一という話だったですが、千分の一で間違いございませんので、よろしくお願いしたいと思います。
それから、原子力規制委員会が策定いたしました原子力防災対策指針では、原子力発電所が事故が万々が一起きて、それから全面緊急事態になった場合には、先生お話のございましたように、原発からおおむね五キロ圏の住民にまず避難をしていただくと。それからまた、同時に、五キロから三十キロの方には屋内退避をさせていただくと、こういう形になっております。その後、一日以内に緊急時モニタリングを行って、毎時二十マイクロシーベルトを超える地域を特定して、一週間をめどに一時移転していただくと、そういう形になっております。
このように、五キロから三十キロ圏の方は原則屋内退避であるという防護措置の考え方、それを踏まえた防災計画あるいはまた避難計画の内容について、広報や毎年原子力防災の訓練を行います。何しろ、一気に全ての人が逃げ始めると、これはもう先生がおっしゃったようにパニックというようなことが起きますので、そういったことをしっかりと広報や防災訓練を通してそれを皆さんに知っていただく、これが一番安全な避難の仕方だということをしっかりと住民の方々の理解に努めてまいりたいと、このように思っております。

〇倉林明子君 過酷事故が進行すれば、福井県からの避難者も殺到するということになろうかと思うんですね。
三十キロ圏内の住民の避難完了、これ京都府のシミュレーションによりますと、二十九時間二十分掛かるという計算になっております。シミュレーションでは積雪の影響見ておりません。積雪では、国道二十七号、重要な避難道路ですけれども、停止すると、渋滞、滞るということになります。地震による道路の損壊、これは全く前提とされておりません。これ以上時間が掛からないという保証、全くない計画になっていると言わざるを得ないと思うんですね。やっぱり放射能過酷事故が、福島のような過酷事故が起こった場合、被曝は避けられないという計画だと私は言わざるを得ないと思うんですね。
さらに、困難を極めるのは介護が必要になる要配慮者という方々だと思うんです。介助が必要な人、これ数千人にも上るということで挙げておりますが、避難の手段、さらに避難、こういう要援護者を受け入れる先は確定しているということでしょうか。いかがでしょう。

〇国務大臣(望月義夫君) 要介護者とか支援者でございますけれども、福井県では五キロ圏内に医療機関及び社会福祉施設が五つ、それからまた、五キロから三十キロ圏内には三十三施設ございます。それから、今先生のお話のように、これは避難先を確保しております。
それから、五キロ圏内でありますけれども、避難により健康リスクが高まる方、福島のこれは反省でございますけれども、あのときも慌てて急に動かして、かえって容体が悪くなってしまって、動かさない方がよかったというような反省等様々ございますので、これについては放射線防護対策を講じた施設内、私もこの間、川内原発でそういった施設をいろいろ見てまいりましたが、シェルターですね、そういった施設内に屋内退避を実施すると、そういうことでございます。
避難手段につきましては、車両の確保に向けて、これはバス車両の協定等でございますけれども、関係自治体等と調整を進めております。
京都府でございますけれども、五キロ圏内には医療機関、社会福祉施設はございません。五キロから三十キロ圏内には七十九施設ございます。これらの施設に代わる避難先、避難手段については、関係自治体と調整を進めております。

〇倉林明子君 調整中なんですよ。受入先はできていないんです。それ聞いているんで、はっきり答えていただきたいと思うんですね。
福島では、屋内退避の指示を受けたこの人たちがどういうことになったかということで、どんどん爆発が起こる、放射線量が上がる、若い職員はやっぱり家族がいるということで、その職場から家族の元に避難していったんですね、一緒に。残る入所者の食料も退避期間中にもうめどがなくなってきた、誰も助けに来てくれない、このままでは餓死するということで、事業者自らが受入先を必死の思いで探して、避難する途中で命を落とした人がたくさんあったんですよ。これが福島事故で避難のときに本当に教訓にしなければならないことだと。これ、田中委員長も繰り返しおっしゃっていたと思うんです。
高浜原発から七キロにあります福祉施設の施設長、確かに避難計画は紙では書いたということなんだけれども、避難方法、全く決まっていないとおっしゃっております。原発に近い施設に助けに来てくれる人、車がどれだけあるのかと頭抱えておいでです。
総理にお聞きしたいんですけれども、こういう状況、こういう紹介してまいりました住民を放射能の被曝から守れるというふうに言い切れるんでしょうか。

〇内閣総理大臣(安倍晋三君) 原子力規制委員会が新規制基準で求めた様々な対策によって、万が一過酷事故が起きた場合にも、環境への放射性セシウムの放出量は東電福島第一原発事故と比べて千分の一以下と、はるかに低いレベルに抑えられることが確認をされています。このため、原発敷地外への影響は限定的でありますが、さらに、避難又は屋内退避やヨウ素剤の服用によって、緊急時の住民の被曝についてもIAEAの基準よりも十分低いレベルに被曝を抑制できると考えています。
高浜原発の周辺地域では、移動手段、避難先、避難ルートなど、具体的な対応を盛り込んだ避難計画を始めとする緊急時対応の作成を国の全面的な支援の下に進めているところであります。さらに、緊急時対応の実効性を高めるため、関係自治体とともに防災訓練を実施し、継続的な充実強化に努めていく方針であります。

〇倉林明子君 納得できませんよ。住民の不安は取り去ることできないと思うんです。
周辺自治体、どうなっているかということです。市内全域が避難対象となります宮津市、この市議会が昨年十二月、政府に対して高浜原発再稼働に関して全会一致で意見書を可決しております。避難計画を作成しているが調整中、検討中のものも多く、避難計画の実効性を確保する上で多くの課題がある、こう言いまして、再稼働の地元同意の範囲は最低三十キロ圏内の自治体に置くことと求めております。
地元の範囲は立地自治体にとどめず、三十キロ圏まで広げることは私当然だと考えますが、いかがでしょうか、宮沢大臣。

〇国務大臣(宮沢洋一君) これは、御承知のとおり、地元自治体の同意というのは、法令上原発の再稼働の要件ではございません。
再稼働に当たっては、地元の理解を得ることは大変大事でありますけれども、その方法とかその範囲につきましては、各立地によって事情が様々であることでありますので、国が一方的、一律に決めるのではなくて、各地とよく相談しながら対応することが重要だと思っております。
本件高浜につきましては、福井県など関係者とよくコミュニケーションを取りつつ適切に対応していきたいと思っております。

〇倉林明子君 京都は本当に不安になっているんですね。そういう、曖昧なんですね。はっきり決まっていないということが一層不安をかき立てているということあるんです。
避難の受入先の調整にも関わっている関西広域連合、ここも昨年十二月二十五日、国への申入れを行っています。高浜原発に関しては、避難対策に関しなお数多くの課題が残され、さらに一、二号機の運転延長という新たな課題も生じている。この際、再稼働判断等に伴う国の責任体制を明確にすることと求めております。川内方式の地元同意プロセスは取らないこと、周辺自治体と立地自治体並みの安全協定の締結などを掲げて、これらの対応が実行されないならば、高浜原発の再稼働を容認できる環境はないとはっきり申入れをされております。
三十キロ圏内の自治体も、それを越えた広域連合も共通して要望されておりますのは、周辺自治体に立地自治体並みの安全協定の締結を求めているということであります。
私、三十キロ圏内の自治体が再稼働の拒否権限を持つ、これは当然のことだと思うんです。今の段階、任意協定だと、こう踏みとどまっていていいんだろうかと、そう思うんですけど、いかがでしょうか。

〇国務大臣(宮沢洋一君) 安全協定は、国ではなくて電力会社が自治体との間で締結しているものでございまして、たしか京都府におかれましても関西電力との間で安全協定を結ばれたというふうに聞いておりまして、それぞれの自治体と電力会社とよく相談していただくことが一番だと思います。

〇倉林明子君 そういう返答があって、さらに三月十七日、京都府は新たな申入れを経産大臣にしているんじゃないですか。見ていないんですか。
同意を求める自治体の範囲を明確にするようにということを、そういう新たな安全協定を結びましたよ、任意の、関西電力と。高浜原発に、再稼働に対して拒否権発動できるものではありません、新しい協定も。
そこで、さらに三月十七日に京都府から経産省に対して、改めて地元の範囲ということでの確認の申入れがあったはずであります。川内原発でも三十キロ圏内の自治体、ここが全て同意しているわけではない、それでも再稼働の合意が得られたといって強引に進めようとしている。大変問題だと思うんですね。
三十キロ圏内の自治体に避難計画の策定を義務付けたのは、政府だということなんですね。再稼働に物が言える制度をつくるのは、私、政治の責任じゃないかと思います。総理、いかがですか。

〇内閣総理大臣(安倍晋三君) 原発の再稼働に当たっては、地元の理解を得ることは重要であると、こう考えています。その範囲や方法については、各地の事情が様々であることから、国が一方的、一律に決めるのではなく、各地とよく相談して対応することが重要であると考えています。
いずれにせよ、立地自治体など関係者とよくコミュニケーションを取りつつ適切に対応してまいりたいと思います。

〇倉林明子君 一律三十キロ圏内に避難計画を作れという義務を課したのは政府なんですよ。そのことを忘れたらあかんと思うんですね。
高浜原発の立地自治県以外で唯一、五キロ圏内の地域を含みます舞鶴市、ここでは市の職員労働組合が住民アンケートを行いました。これによりますと、原発再稼働に舞鶴市の同意は必要、こう答えた住民が八五%になりました。全国の原発三十キロ圏内の首長へのアンケート結果、これでも多くの自治体が再稼働に対する立地自治体並みの権限を求めています。
義務とリスクだけ押し付けて被害が及ぶ自治体の意見も住民の声も聞かない、こんな再稼働など絶対許されないと思います。
次、質問します。さらに、三十キロ圏外の対策はどうかという点です。
原子力規制庁は、先日、三十キロ圏外の防護対策に関する考え方を示しています。中身を見て驚きました。それまで何らかの防護措置が必要だとされてきました三十キロから五十キロ圏、ここに対する防護対策は事前に取る必要がないというふうに書かれておりました。私、この圏内に住む住民が安心できるものではないというふうに思うんですけれども、望月大臣、いかがでしょうか。

〇委員長(岸宏一君) 田中原子力規制委員会委員長。(発言する者あり)委員長から答えてもらってからまた。

〇政府特別補佐人(田中俊一君) この防災指針については私どもの責任で作らせていただいていますので、まず私の方からお答えさせていただきたいと思います。
再三、繰り返しになりますけれども、東電の福島第一原発事故の教訓等を踏まえて定めた新規制基準では、放射性物質の大規模な放出に至らせないための対策を幾重にも要求しているところであります。その上で、万が一にも、今般、なお予期されない事態によって大規模な放出に至る場合も意図的に仮定しまして、UPZ外の防護対策に係る具体的な実施方策を取りまとめております。
具体的には、まず広域のモニタリングです。気象とかそういったシミュレーションで放射能の飛ぶ量とか方向を決めるというのには曖昧さが残りますので、まずモニタリング体制をきちっと整備して、それを、直ちにその結果を見ながら、これは私が総理に御助言することになると思いますが、必要に応じては三十キロ圏外についても屋内退避あるいは避難の指示をさせていただくことにしております。つまり、放射能が環境に放出されるような事態では、当初数時間、これはキセノンとかクリプトンといったいわゆる希ガスと言われるガス、放射性のガスですが、こういったものによる被曝が大部分を占めます。したがいまして、その間は屋内に退避する方が被曝量を防ぐという上では有効でありますので、そういったことを含めてこういった判断をさせていただいております。
ただし、こういうことでございますので、こういった屋内退避の指示とか住民に対する伝達ということについては確実に伝わるように、今後体制を整備していく必要があるというふうに考えております。

〇倉林明子君 対策取らなくて住民は安心できるかということに対する答えには全くなっていなかったと思うんですよ。
私、これ見てほしいと思うんですね。不測の事態ということで今回新たに示された考え方というのは、いろいろ対応取って放射能は福島事故のときよりもぐっと少なくて済むんだと言った後に、さらに、なお、不測の事態を無理してでも想定して対応が必要になると言っている。つまり、福島事故の教訓なんですよ。福島事故でどうだったか、今どうかと。これ見ていただきたいと思うんですね。同心円になんか飛ばないんですよ、放射能は。三十キロ圏でとどまらないんですよ。四年たってもこんなに汚染状況、帰れない地域があるんですよ。
私、本当にそういう意味でいえば、この福島原発事故の不測事態、放射能は最大飛ばなかったと、四号機のプールも破損するようなことになったら一体どんな事態が予測されるかと予測したのが不測事態の予測ということで、原子力委員長が避難の範囲を提出したということが後に明らかになりましたけれど、二百五十キロ圏に及ぶという予測さえあったわけですよね。
実際に、滋賀県と兵庫県がそれぞれ独自に放射能物質拡散シミュレーションということで行っておりました。それを行ったところ、三十キロ圏を超える広範囲にその影響が及ぶということが想定されまして、その中に一体何があるかといいますと、琵琶湖があるんですね。この五十キロ圏内、三十キロ圏は少し掛かっているだけですが、五十キロ圏内には琵琶湖も掛かってくる。琵琶湖に放射能が飛散してくる可能性があるということで、関西の一千四百五十万人に飲料水を提供しているのがこの琵琶湖なんですね。先ほど元原子力委員長が想定した不測の事態ということを紹介いたしましたけれども、こんな事態になれば対処できないということは明らかだと思うんです。
私、再稼働はきっぱり断念すべきだと総理に改めて求めたいと思います。いかがですか。

〇国務大臣(宮沢洋一君) 原発につきましては、規制委員会におきまして、もちろん震災、大震災の対策とか火山の爆発対策も含めた世界最高水準の新規制基準に適合するかどうか審査していただいて、適合すると認められた場合にはその判断を尊重して再稼働を進めていくというのが政府の一貫した方針でございます。
この高浜三号機、四号機につきましては、二月十二日に規制委員会によって新規制基準に適合すると認められ、再稼働に求められる安全性が確保されることが確認されたと考えておりまして、したがって、政府といたしましては、高浜三号機、四号機については再稼働を進めていく考えでございます。もちろん、その際に地元の理解ということは大変大事な要素だと考えております。
○国務大臣(望月義夫君) 今、飯舘村の話が出まして、風向きとかそういったことでこういうこともあり得るのではないかなという、避難のことが出ましたので、これは、飯舘村のような事態に備えて、三十キロ圏外であっても空間放射線量率が毎時二十マイクロシーベルトを上回る地域については一時移転の指示を行います。ですから、一時移転には、おおむね一週間以内で実施していただくので、避難先や輸送手段、避難経路などは国、県が全面的に支援して対応できることが十分可能であると、こういうことでございます。

〇倉林明子君 今の説明を聞いていても、住民は本当に安心できるものじゃないと思うんですね。
高浜原発に隣接する大飯原発三、四号機の運転差止め訴訟の判決では、大飯原発から二百五十キロ圏内の住民は、直接的に人格権が侵害される具体的な危険があるとして差止めを認めております。人格権を超える価値をほかに見出せないとして、原発停止で多額の貿易赤字が出るとしても、豊かな国土に国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると断じた判決は大変重いと思います。
総理はこの大飯差止め判決をどう受け止めておいででしょうか。総理にお聞きしたい。

〇委員長(岸宏一君) じゃ、宮沢経済産業大臣からお答えください。

〇国務大臣(宮沢洋一君) いや、この判決、事前に質問が用意されたわけじゃないんですけれども、この判決は、まず一点は、これたしか関電との間の、関電に対する差止めだったと思いますので、直接の当事者じゃありませんのでコメントは差し控えますけれども、いずれにしても上告をしているはずでありまして、確定判決というわけではないと思っております。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この裁判については政府は当事者でないということでございますので、今、宮沢大臣が答弁したとおりでございますが、いずれにせよ、四年前の三月十一日の痛ましい原発事故によって福島の多くの方々がいまだに不自由な生活を強いられているということについては、我々も責任を感じているところでございます。
復旧復興もいまだ道半ばでありまして、こうした中におきまして原発への反対が強い、拒否反応が強いというのは当然のことだろうと、このように思います。そうした中におきまして、我々も住民の方々への御説明等もしっかりと行いながら再稼働を進めていきたいと、このように考えております。

〇倉林明子君 福島の事故のような過酷事故は起こり得るというわけですよ。再稼働の方針はきっぱりやっぱり撤回し、即時原発ゼロ、この決断こそ行うように強く求めまして、質問を終わります。

〇委員長(岸宏一君) 以上で倉林明子さんの質疑は終了いたしました。(拍手)