国会レポート

最低工賃遵守を要求 大臣所信に対する質疑(経済産業委員会)

2014年10月16日

(ページ下部に資料があります)

 京都の基幹産業の一つである西陣織、丹後ちりめんの家内労働者の最低工賃が、10月から13年ぶりに32%と大幅に引き上げられました。産地で歓迎の声があがる一方、本当に守られるのかと不安の声もで出ているのを受けて、倉林明子議員は10月16日の参院経済産業委員会で、最低工賃の徹底について政府に対策を迫りました。

 最低工賃が守られない事実が発覚し家内労働者からの申告があれば、労働基準監督署は委託事業者に立ち入り調査を行い、法令違反があれば是正勧告します。
 倉林議員は、申告がない場合でも必要があると認めれば調査を実施するよう要求しました。大西康之厚生労働省大臣官房審議官は「疑いのある営業所に対して監督・指導を行う」と答えました。

 倉林議員は、最低工賃が守られない背景として、商品の価格決定権が委託業者でないメーカーにある問題を指摘。最低工賃が守られるようメーカーも委託業者として対応すること、適正な下請け取引が行われるよう政治の責任を果たすべきだと指摘しました。
 岩井茂樹経済産業省大臣政務官は、「下請け代金法違反がある場合は厳正に対処する。最低工賃の遵守について、厚生労働省と連携して業界団体を通じ、周知徹底を検討していく」と答えました。

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第187回国会 経済産業委員会 第2号 2014年年10月16日(木曜日)

経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査

〇委員長(吉川沙織君) 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。

〇倉林明子君 日本共産党の倉林明子でございます。
冒頭、小渕大臣に一言申し上げたいと思います。
政治資金の支出をめぐる疑惑が浮上しております。違法な支出はあってはならないということは当然であります。調査中の件も含めて、国民への説明責任をしっかりと果たしていただくように申し上げておきたいと思います。
それでは、質問に入ります。
大臣は、所信的挨拶で、景気回復の効果は必ずしも中小企業・小規模事業者や地域の隅々にまで行き届いていませんと述べられています。効果が届くどころか、四月の消費税増税、円安、原材料高ということで、先ほども高知の例も紹介ありましたけれども、中小企業、とりわけ小規模企業に深刻な影響を広げているのが実態だというふうに思うわけです。
大臣の中小企業、小規模企業の実態に対する認識を改めてお伺いしたいのと、緊急の対策がやっぱり今必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

〇国務大臣(小渕優子君) お答えを申し上げます。
中小企業・小規模事業者の皆さんにとって、このアベノミクスの成果というものが、もちろんその恩恵を受けているところもあるということは承知をしていますが、なかなか全国隅々まで行っていないという状況にあるものと承知をしています。私も、地方にお伺いをしたり、また中小企業の皆様と様々なお話をさせていただいています。そうした中で、今やはり厳しいのは、四月に消費税が上がったということ、また円安の影響もありエネルギーコストを始めとする電気料金というものが上がっているということ、そうしたものがやはり中小企業や小規模事業者の皆さん方に直接的な大きな影響を及ぼしているものという実態を承知をしているところがあります。
このため、これまで政府系金融機関において、エネルギーコスト高などの影響を受けて資金繰りに苦しむ事業者に対して、九月末までの七か月余りで合計約十万一千件、二兆二千億円のセーフティーネット貸付けを行ったところであります。また、エネルギーコスト上昇の影響緩和のために、二十五年度補正予算以降、これまで千百件の先端省エネルギー設備の導入支援を実施しているところであります。
引き続きまして、中小企業・小規模事業者は日本の経済を支えていただいています、しっかり様々な影響というものも含めて注視してまいりたいと考えています。

〇倉林明子君 本当に厳しい状況というのは否定できないということだと思うんですね。
そこの今本当に厳しいという状況の中小企業・小規模事業者に大きな怒りを広げているというのが外形標準課税の適用拡大問題なんですね。中小企業・小規模事業者を担当するという大臣として、この中小企業への適用拡大の中止についてはしっかりと中止を求めるべきだと考えますが、いかがですか。

〇国務大臣(小渕優子君) 中小企業に対してこの外形標準課税を強化をさせていくということは、少しずつ地方経済良くなりつつある中、また賃上げも少しずつ進んできている中で、やはりそうした賃上げですとか雇用ですとかそうしたものに大きな影響をもたらすということ、また、アベノミクスはやはり好循環を生んでいくということが大事でありますので、中小企業・小規模事業者の皆さん方に外形標準課税、強化するということになりますとこれ大変な負担になるということ、こうした理由から、法人税の実効税率の引下げに当たり外形標準課税を中小・小規模事業者に強化をさせるということに対しては大変慎重に考えていくべきだと考えています。

〇倉林明子君 やっぱり、小規模企業振興法の参考人質疑の中に、中小企業、小規模企業を代表する団体の代表の方が意見を述べられまして、この外形標準課税についても断固反対という声が上がっております。安倍首相の言う賃上げに真っ向から反対することとなると商工会副会長が述べられましたし、中小企業家同友会全国協議会会長、断固反対、消費税増税に加えて第二弾が直撃すると廃業につながるという危惧を表明されました。全国商工団体連合会副会長からは、消費税は赤字でも納めなきゃならぬと、更に赤字でも課税と、大量の小規模事業者の市場からの退場、廃業を促すという指摘でした。まさにこれが小規模事業者、中小企業の声だと思うんですね。この声をしっかり正面から受け止めて、中小企業潰しの課税拡大、絶対やめるべきだと重ねて求めておきたいと思います。
そこで、三つ目の質問ですけれども、中小企業や小規模事業者の営業と暮らしに大打撃を与えることになるのが消費税の再増税だろうというふうに思うんです。この再増税が来年十月実施、判断は十二月ということで、時期が迫ってくるにつけて世論の反対の声というのが更に大きくなっているというふうに思うんです。九月の世論調査では来年十月の実施に対して七割が反対ということでした。十月十四日、NHKの世論調査見ておりますと、七三%が十月実施は遅らせるべきだ、取りやめるべきだということになっておりました。小規模事業者の団体である兵庫県の商工団体連合会が千件規模のアンケートを取っておりますが、ここではやっぱり反対八二%ということになっております。我が京都府会議員団も聞き取り調査を丁寧に行って事業者の声を集めておりますが、一〇%になれば廃業するという声も上がっています。消費税の再増税などとんでもないというものだと思います。再増税の十月実施中止ということで声を上げるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

〇副大臣(山際大志郎君) 大臣から答弁させていただきましたとおり、安倍政権の取組によって経済の好循環が生まれ始めているのは事実だと思います。ただし、その効果が必ずしも現時点では日本の隅々までは行き渡っていない、また燃料コストの上昇や為替の円安方向への動きなどによる景気への影響にも慎重に目配りをしていくことが必要だと考えてございます。
こうした中で、経済産業省としては、引き続き中小企業・小規模事業者の景気動向を含めて経済状況に関する情報をしっかり集め、様々な機会を捉えて政府部内での情報共有を図ってまいりたいと存じます。
いずれにせよ、来年の十月に予定されている消費税率の一〇%への引上げについては、政府として経済状況等を総合的に勘案しながら本年中に適切に判断することとなっております。

〇倉林明子君 景気は好循環入っているというのが間違っているんですわ。悪循環に入っているんとちゃうかと思うんですよ。実質賃金は上がっていないんですよ。消費は拡大していないんです。落ち込んでいるんですわ。こういうときに消費税の増税というような政治判断はすべきでないということですので、重ねてここは指摘をしておきたいと思います。
そこで、いかにやっぱり大企業だけじゃなくて中小企業でも小規模事業者でも本当に地域の隅々まで賃上げ、底上げが図れるかどうかと、ここが本当に大きな景気回復へのターニングポイントだと思っているんですね。
そこで、昨年も取り上げさせていただきました京都の織物、産地である丹後、ここでの最低工賃問題取り上げさせていただきましたところ、今年の十月一日から最低工賃の大幅な引上げ改定の答申をいただきまして、実施されることとなりました。地元では、本当に十三年ぶりの改定ということですので大きな期待が広がるとともに、本当にこれ守られるのだろうかという不安も広がっているんです。
そこで、改めて厚生労働省に確認をしたいんですけれども、家内労働法の目的、これは何だったか。

〇政府参考人(木下賢志君) ただいま御指摘の家内労働法の目的でございますけれども、第一条一項におきまして、家内労働法は、「工賃の最低額、安全及び衛生その他家内労働者に関する必要な事項を定めて、家内労働者の労働条件の向上を図り、もつて家内労働者の生活の安定に資することを目的とする。」と定められております。

〇倉林明子君 最低工賃が引き上げられたということで、これが守られるようにという期待が極めて大きいわけです。
改めて、最低工賃というのは最低賃金と同様に、法で守る義務があるというふうに定められているのが最低工賃であります。この最低工賃が実態は守られていないということが発覚し、家内労働者からの申告があった場合、対応はどうなりますか。

〇政府参考人(大西康之君) 今委員御指摘の、家内労働者からそういった申告があった場合でございますけれども、労働基準監督署におきましてこの委託者の営業所に立ち入るなどして帳簿等を検査いたしまして、家内労働者の労働条件について調査するということとしております。その結果、法令違反が確認された場合には、是正勧告等を行っているところでございます。

〇倉林明子君 強い権限を持っているということだと思うんですね。法違反に対して強い権限を発揮できるということなんですけれども、改めて、その労働基準監督官の権限の規定がどうなっているのか、御説明ください。

〇政府参考人(大西康之君) 労働基準監督官の権限の規定でございます。御承知のとおり、家内労働法の第三十条に規定がございまして、家内労働者の労働条件の確保を図るため、必要があると認めるときは、この委託者の営業所に立ち入り、帳簿等を検査し、関係者に質問することができるという具合に法律では規定されているところでございます。

〇倉林明子君 この家内労働法の法の定め、これを本当に遵守していただく必要があると思うんです。申告がない場合においても、法律の施行のため、必要があると認めれば調査、捜査、立入検査も含めてできるという規定があると理解していますが、それはそれでよろしいですか。

〇政府参考人(大西康之君) はい。委員御指摘のとおり、この家内労働者からの申告がなくても、様々な情報を基に、家内労働法違反の疑いのある営業所等に対して労働基準監督官は監督指導を行うこととしております。

〇倉林明子君 そこで、守る義務があるこの最低工賃なんですけれども、これ今日資料でお配りしましたのは、この最低工賃の改定を周知徹底するために京都労働局が作成したものそのものでございます。一枚目のところの真ん中辺を見ていただきますと明記してありますが、「今回の改正内容をよくご理解いただき、最低工賃額以上の支払いを行っていただきますようお願いします。」と、こういう文章なんですね。
最低工賃額以上を払うことは義務であり、守らないと法違反だと、こういう強いメッセージの発信と徹底が必要ではないかと思いますが、いかがですか。

〇政府参考人(木下賢志君) 先生御指摘の資料でございますけれども、京都の労働局におきまして最低工賃の改正に係る委託者等への説明会で配付をしているものでございますけれども、この趣旨は、委託者が最低工賃を遵守することは家内労働法上の義務であるという旨をその際に説明をしていると聞いております。
最低工賃につきましては委託者等に正しくやはり理解していただくことは極めて重要であると考えておりまして、委託者等に誤解を与えるようであれば、今後とも、説明会の開催などにより積極的に周知を図ってまいりたいと考えてございます。

〇倉林明子君 かつてない周知徹底の努力が現場ではされているということは私もよく聞いております。ところが、残念なことにこれがお願いベースになっているというところが、法の持っている権限の徹底というところで、しっかりその中身は伝えているんだということだけれども、これは残るものですので、こういうものにこそ明記されるべきだというふうに思いますので、引き続きの努力を求めたいと思います。
何でこんなしつこく言うかというと、実際に最低工賃というのは昔からある法律なんですけれども、実態として、京都の丹後産地ではこの最低工賃が守られてきていないという実態があるんですね。
そこで、改めて、この図を今日は間に挟んでお配りしております。何でそういうことになるかということでいいますと、取引形態が背景にありまして、メーカーという、一番左にある室町、西陣という、ここが発注元なんですね。代行店というのが家内労働法上は工賃を決めるんですけれども、実際はこの室町、西陣のメーカーが価格決定権を持っているんです。ところが、家内労働法で取り締まれる相手は代行店止まりということになりますので、現場でどんな話になっているかというと、最低工賃一越二十銭になったと、せやけどもメーカーから言うてくる分でいうたら十銭しか取れへんと、そうなったら機屋さんには八銭でしか出せへんのやと。代行店は何ぼ頑張ってもメーカーには勝てぬと、こういうことになっているわけです。だから、ここに手が入らないと実態的には賃金上がらないという構図になっているわけです。
そこで、厚生労働省に言いたいのは、メーカーも広く委託業者、つまり最低工賃を守る義務があるのはメーカーにもあるんだという広く取った対応をすべきではないかというのが一点。
もう一点は、中小企業庁に聞きたいわけですが、圧倒的に強い立場のメーカー、古い商取引ですから商慣行になって定着してしまっているわけです。こういう状況のときに、メーカーが最低工賃を守らないという状況で代行店と取引をすると。これは適正な下請取引と言えるのかと思うんですけれども、見解を伺いたい。

〇政府参考人(木下賢志君) 家内労働法におきましては、家内労働者に直接仕事を委託する方を委託者といたしまして、これらの方に対しまして最低工賃の遵守の義務を課しているところでございます。
御指摘のようにメーカーなど委託者以外の者につきましても一律に義務を課すことは、メーカーと委託者の関係はいろいろな形態がございますのでなかなか難しいと考えておりますけれども、ただ、委託者以外の関係者におきましても最低工賃制度についてしっかりと御理解いただくことは重要であると考えております。
京都労働局におきましても、委託者じゃないメーカーに対しても説明会を案内しているところでございまして、今後とも適切な周知を図ってまいりたいと考えてございます。

〇大臣政務官(岩井茂樹君) 倉林委員にお答えをいたします。
最低工賃につきましては、先ほどお話ありましたとおり、昨年の参議院の経済産業委員会において倉林委員からも地元の西陣織に触れて御説明をいただきました。そして、今年の十月一日より最低工賃十三年ぶりに改正ということであります。それを踏まえて、最低工賃の実効性についての御質問だと思います。
家内労働法、これは親族とともに洋服仕立てを行う等の家内労働者の労働条件を保護する法律ということで、これ、厚労省の所管ではありますけれども、最低工賃が守られていない取引においては更にメーカー等において人件費等への不当なしわ寄せが行われている可能性がありますので、これは十分注視してまいりたいと思っております。仮に減額、買いたたきなどの下請代金法上の違法行為が疑われる場合には、立入検査や改善指導の実施など、厳正に対処してまいりたいと思います。
そして、あわせて、家内労働法で規定された最低賃金の遵守に関して、厚生労働と連携をして、業界団体、例えばこれは繊維産業流通構造改革推進協議会というのが、メーカーさんでつくっているものがありますけれども、そのような業界団体を通じた周知徹底等の措置を検討してまいりたいと思っております。

〇倉林明子君 価格は相場が決定すると。需要が減ということで大変価格競争は厳しい環境にありまして、じゃ買いたたきに該当するかどうか、下請取引との関係で違法があるかどうかと、これはすごく難しいことになって、そこがまた法逃れといいますか、違法な、最低工賃守らないというような実態をつくり出している背景にもなっているわけです。法の限界はあるものの、今厚生労働省とも協調して取り組みたいという趣旨の御発言でもありました。
早速十一月には下請取引の適正化について月間が取り組まれると。これ毎年の実施されている取組かと思います。この周知の中で、守るべき法律についての周知徹底ということもされております。こういう親事業者やメーカー等に周知徹底する中身の一つとして、家内労働法についても明記をして周知徹底を図ることを是非御検討いただきたいと思いますし、メーカーに対してもしっかり責任を果たすという点で経産省の役割は大きいと。産地保全の第一歩に是非していただきたい。要望して、終わります。