国会レポート

「規制なき独占」の危険 改定電事法が成立 倉林議員が反対討論(本会議)

2014年6月11日

 電力小売事業の全面自由化を進める電気事業法改定案が6月11日の参院本会議で、自民、公明、民主、維新・結いなどの賛成多数で可決、成立しました。日本共産党、みんなは反対しました。

 反対討論に立った倉林明子議員は、国民が求める電力改革は「原発ゼロ、再生可能エネルギーを主役にした小規模分散・地域循環型の電力システムへの転換だ」と主張しました。
 実質破綻している東京電力の持ち株会社や子会社にも新たに一般担保付社債の発行を可能にしたことは「東電救済条項であり認められない」と批判。電気料金をめぐる公聴会が廃止され、原発付加金などの料金コストが見えなくなることで、消費者にとって原価情報のブラックボックス化が進むことは大きな後退と指摘しました。

 また、エネルギー自由化の促進により巨大独占企業間の再編が加速し「規制なき独占」が生まれる危険に警鐘を鳴らしました。
 倉林議員はさらに、再生可能エネルギーの爆発的普及は世界的な要請と強調。同エネルギーを最優先にした接続、給電を義務化し、政府から独立した規制組織を設立し徹底した情報開示と消費者・国民が監視できるシステムが必要だと述べました。

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第186回国会 本会議 第30号 2014年6月11日(水曜日)

〇議長(山崎正昭君) 日程第八 電気事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長大久保勉君。

〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕

〔大久保勉君登壇、拍手〕

〇大久保勉君 ただいま議題となりました法律案につきまして、審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、第百八十五回国会で成立した電気事業法の一部を改正する法律附則第十一条の規定に基づく電気事業に係る制度の抜本的な改革に係る措置として、電気の小売業への参入の全面自由化を実施するため、一般の需要に応じ電気を供給する事業を営もうとする者に係る経済産業大臣の登録制度を創設する等の措置を講ずるとともに、電力の先物取引に係る制度及び再生可能エネルギー電力の調達に係る制度を整備する等の措置を講じようとするものであります。
本法律案の審査に先立ち、神奈川県横浜市におきまして、火力発電設備等の実情調査を実施いたしました。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、電気の安定供給の確保に向けた取組、電力システム改革による電気料金の抑制効果、広域的運営推進機関における中立性の確保策、省エネルギーを推進する必要性、労働災害防止に向けた取組等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して倉林理事より反対する旨の意見が述べられました。
討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)

〇議長(山崎正昭君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。倉林明子君。

〔倉林明子君登壇、拍手〕

〇倉林明子君 私は、日本共産党を代表して、電気事業法等の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。
本法律案は、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえ、六十年ぶりに行う電力システム改革の第二段階とされています。
一番の教訓にすべきは、原発事故は憲法で保障している国民の人格権を侵害するということです。事故は起こり得るものであり、一旦事故が起これば取り返しの付かない被害をもたらすということです。今なお、家族、なりわい、ふるさとを奪われ、十三万人を超える人々が不自由な避難生活を強いられている原発事故の実態を直視するならば、被害者への完全賠償を行い、原発ゼロを電力改革の土台に据えるべきです。
ところが、政府は、原発を重要なベースロード電源と位置付けたエネルギー基本計画を定め、原子力規制委員会の人事まで変えて原発の再稼働に突き進もうとしており、決して許されるものではありません。
国民が求める電力改革は、原発ゼロ、再生可能エネルギーを主役にした小規模分散・地域循環型の電力システムへの転換です。電力独占のガリバー支配を支えてきた戦後の発送配電一貫体制を解消するとともに、東電の破綻処理、原発ゼロのエネルギー政策こそ必要です。
反対の第一の理由は、実質破綻している東電の持ち株会社や子会社にも新たに一般担保付社債の発行をできるようにしたことです。
政府は、柏崎刈羽原発の再稼働と、持ち株会社グループの分社、子会社の成長計画を前提にした東電の新・総合特別事業計画を電力システム改革の先取りと位置付けています。しかし、実質債務超過の東電を存続、延命させることを可能とする一般担保条項は、まさに東電救済条項というべきものであり、認めることはできません。
東電は破綻処理し、株主やメガバンクなど貸し手責任を問い、一時的に国有化する道こそ取るべきです。今や、原発などの大規模集中型の電源開発のために必要となる巨額の設備資金調達を保障する、言わば公益特権ともいうべき一般担保付電力債はその役割を終えています。
第二の理由は、巨大企業のエネルギー独占状態を新たにつくりかねないものだからです。
大手電力会社の地域独占を支えてきた発送配電一貫体制をそれぞれ分離することは当然です。しかし、原子力や火力など巨大な発電事業者が届出制になることで、原発付加金などの料金コストが今以上に消費者には見えなくなります。さらに、公聴会の廃止により、消費者、国民にとって託送料金などの原価情報のブラックボックス化が進むことは、この間進めてきた情報開示からの大きな後退であり、認められません。
また、システム改革を前に、東電始め大手電力会社や鉄鋼、ガス、石油、通信、総合商社、さらに外資企業などは、エネルギーをめぐって巨大な独占企業間で再編を進める動きを見せています。電力に加えて、エネルギー市場全体の新たな規制なき独占となる危険があります。
さらに、再生可能エネルギーの爆発的普及は世界的な要請であるにもかかわらず、原発の再稼働を前提に原発の優先給電を担保する仕組みは再エネ普及の足かせとなるものです。再エネを活用した地域循環型の取組が、原発事故後、福島始め全国で広がっております。地域のエネルギーは地域でつくり、仕事と雇用も生み出すことで地域再生につながる希望が膨らんでいます。再エネを最優先にした接続、給電を義務化し、経産省から独立した規制組織を設立し、徹底した情報開示と消費者、国民が監視できるシステムが必要です。
完全な発送電分離と送電網の公的管理、電力独占への民主的規制と再生可能エネルギー・地域循環型を柱とする電力民主化こそ国民が求める道であることを指摘し、反対討論といたします。(拍手)

〇議長(山崎正昭君) これにて討論は終局いたしました。

〇議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。

〔投票開始〕

〇議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。

〔投票終了〕

〇議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数         二百三十七
賛成            二百十一
反対             二十六
よって、本案は可決されました。(拍手)