倉林明子

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原子力損害賠償支援機構法改定案 際限ない国民負担増(経済産業委員会 政府質疑・反対討論)

 原子力損害賠償支援機構法改定案が5月13日の参院経済産業委員会で、自民、公明、民主、維新などの賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。(5月14日の参院本会議で可決・成立)
 日本共産党の倉林明子議員は同法案について、資金援助を続けることで実質破綻している東京電力を延命する枠組みを維持し、福島原発の廃炉費用まで電気料金に上乗せ出来ることにし、際限なく国民負担を増やすものだと批判しました。
 採決に先立つ質疑で倉林議員は、原子力損害賠償支援機構の意思決定機関である運営委員会の議事録がまったく公開されていない問題を取り上げました。
 これまで開かれた32回の運営委員会の議事録と資料のうち、ようやく提出された議事録の一部では「事故に伴う経費は利用者負担か納税者負担か」などと、結局、国民に負担を押し付けることが議論されています。倉林議員は、「巨額の国費を投入し、国民負担を伴う仕組みである同機構の意思決定過程の情報が知らされないのでは、国民の信頼回復は到底得られない」と指摘し、議事録と資料の全面公開を求めました。
 茂木敏充経産相は「必要な手続きを踏んでしっかり情報公開していく」と答えました。

議事録を読む(政府質疑)
 第186回国会 経済産業委員会 2014年5月13日

原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

〇委員長(大久保勉君) 原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。

〇倉林明子君 日本共産党の倉林明子でございます。
原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案について、特に機構の運営委員会に関わって質問を今日はしたいと思います。
福島原発事故を経験して、原子力行政に対する国民の信頼というのは大きくやっぱり損なわれたというふうに思っております。原子力事業者及び政府は、国民の信頼を得るための基本中の基本というのが徹底した情報公開、これが第一だと思うわけです。
先ほども紹介ありましたとおり、前回の参考人質疑で、この機構の意思決定機関である運営委員会の閉鎖性について指摘がありました。これまで、ホームページによりますと三十二回の運営委員会が開催されているわけですけれども、添付資料、議事録、一切公開されておりません。なぜ公開してこなかったのか、改めてお聞きをしたいと思います。

〇政府参考人(上田隆之君) 原子力損害賠償支援機構の運営委員会の議事録の件でございますが、先ほども少し申し上げましたけれども、この運営委員会そのものは特別事業計画等を議決する主体でございまして、これまで、この特別事業計画の策定過程におきましては、例えば、約一兆円になるこの東京電力の株式の引受けを行う等々、東京電力の財務あるいは経営に関する内容について検討してきたという事情もございまして、その市場への影響等も考えながら、途中段階における情報というものを逐一明らかにするということは必ずしも適切ではないということでございまして、限定的な開示にとどめていたと承知をしております。しかしながら、その節目節目におきまして記者会見その他で公開をしてきております。
今後はこの特別事業計画のフォローアップと、段階ということに入るわけでございまして、その情報開示の在り方につきましてはこれまで以上に機構において強化していくことが望ましいと私どもは考えておりまして、機構としてもそういった方向で取り組むことになると承知をしております。

〇倉林明子君 市場への影響もあるということで公開できなかったという御説明です。しかし、この機構の運営委員会で議論されていた中身ということでいえば、本法案を審議する上でも必要な情報だし、国民の負担がどうなるのかというところが極めて大事な中身だと思うんですね。
そこで、我々も請求をさせていただきました。そうしたら、全部を請求したんですけれども、議事録のごく一部がようやく提出をされまして、出されたものは第七回、十回、二十二回から二十五回の議事録で、それでも、七回から今挙げた運営委員会の議事録全部が出たわけではなくて、廃炉・汚染水対策に関する部分だけと。提出していますので御覧になっていただきたいんですが、委員名や企業名になるかと思われるようなところを含めて黒塗りということになっております。以前の総合特別事業計画、新しい総合特別事業計画の議論についても、これ全容が分からないというものになっておりますし、資料の紹介をされているんだけれども、その資料についても一切提出はされておりません。
巨額の国費を投入すると、国民負担を伴うという仕組みになるわけで、この機構の意思形成過程の情報について、今後は情報の開示について検討していきたいということなんだけれども、この法案の審議に当たっても全部すべからく提出されるべきものではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。大臣の認識を伺いたい。

〇国務大臣(茂木敏充君) 御提出をいただいた資料でありますが、マスキングの部分がございます。これは当然、所定の情報公開法等に定められた個人情報のマスキング等を行っているものでありまして、適切な手続を踏んでいると、このように考えております。
その上で、運営委員会の議事録につきましては、既に機構において公開に向けた作業を行っており、用意が整い次第、委員のお手元にも届けられるものと承知をいたしております。

〇倉林明子君 手続を取らないと出せないというような状況で、国民の負担を大きく求めていくような可能性あるこれ機構の仕組みの改定になるわけですよね。どういう議論がされたのかということについて、その意思形成過程について、今のままでいいということですか、大臣の認識は。

〇国務大臣(茂木敏充君) きちんと聞いてください。手続を踏んで公開するということを申し上げているじゃないですか。出さないなんてこと申し上げておりませんよ。

〇倉林明子君 手続に沿った今の出し方で情報公開は十分だという御認識ですか。

〇国務大臣(茂木敏充君) 手続に沿わない出し方はできません。個人情報を、それをマスキングしたり、こういう手続が必要です。それに時間も掛かりますけれど、できるだけ早くそういう公開ができるようにしたい。
委員は、じゃ、そういう情報公開法の手続そのものを無視してお出しになれと言うんでしたら、私の考えとは全く違います。

〇倉林明子君 誤解のないように確認したいと思うんですけれども、今の手続に沿った出し方だと、その議論の途中経過も含めて日々公開という情報にはなっていないわけですよ。明らかにそこには、規制委員会での議論がされるごとに公開されていると、議事録をもってきちっと公開されるという公開の在り方とは全く違うわけですよ。そういう公開の在り方そのものを問うているので、今の情報の公開の仕方についての手続を踏んで出すのが間違いだということを申しているわけではないんです。
原子力行政に対する大きく損なわれた国民の信頼を回復していくということを大臣も含めてお考えなんだと思うんですよ。それならば、この意思形成過程、プロセスが適宜情報公開されるようにすべきではないかということでの質問ですので、そこは分けて答弁いただきたいと思います。

〇国務大臣(茂木敏充君) 事業計画の策定途中における様々な要因を考慮しての判断、そして現段階においてフォローアップに入る、この段階でしっかりと情報公開をしていく、この判断については適切だと考えております。その上で、もう一度申し上げますが、必要な手続を踏めばしっかりと情報公開していきます。隠すつもりはございません。

〇倉林明子君 結局、要は国会も国民も知らないところで決めると、そして結論については諮ると、こういうことでいいのかということが、私は信頼を高めるという姿勢にはなっていないんじゃないかと思うんです。
そこで、運営委員会で廃炉・汚染水対策の費用問題も議論になっております。そもそも廃炉費用というのが一体今どのぐらいになっているのか、通常廃炉の場合と、今、福島第一原発で事故の廃炉費用ということで現時点での見積額というのがそれぞれ出ていると思いますので、額でお示しください。

〇政府参考人(高橋泰三君) お答え申し上げます。
まず、廃炉費用でございますけど、通常廃炉でございますが、これにつきましては、電気事業法に基づきまして廃炉費用を積み立てる解体引当金制度を設けてございまして、電気事業者に対しまして廃炉に必要な費用の積立てを義務付けているところでございます。これ、経済産業大臣の、積立額につきましては毎年度承認を得ることが義務付けられておりまして、平成二十五年度に承認した見積額でございますけれども、原子炉の大きさによって様々でございますけれども、最小のもので関西電力の美浜第一号機が三百十八億円、最大のものでは中部電力の浜岡原子力発電所五号機が八百三十四億円となってございます。これは、九電力会社及び日本原電含めます全体四十八基で約二・七兆になっておりまして、これを単純に平均いたしますと、おおむね一基当たり約五百五十五億円ということでございます。
それから、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉費用でございますけれども、福島第一の一号機から四号機に係る廃炉の費用でございますけれども、これは東京電力によりますと、平成二十五年度末時点で合理的な見積りが可能な金額として九千七百十二億円を計上済みでございます。これに加えまして、東京電力におきましては、今後の円滑な廃炉に万全を期し、仮に予期せぬトラブルに伴う費用増等が生じた場合にも着実に対応できるよう、この費用のほかに、コストダウン、投資抑制等によりまして、二〇一三年から十年間の総額として約一兆円を超える資金を確保していくことと承知してございます。

〇倉林明子君 現時点で分かっているだけでも、安全対策も進化していますから、一層廃炉に掛かってくる費用というのも膨らんでいくということになっていこうかと思うんですね。
この今回の法改正に先立って、廃炉費用に係る会計規則を改正しております。これ、十月一日の施行ということになっていたかと思うんですが、実はこの機構の運営委員会の議事録、いただいた分で見ておりますと、この費用負担についての議論がされておりまして、八月一日の運営委員会の議事録、ページでいいますと三十二ページを見ていただきたいんです。
廃炉会計の規則改正の実施二か月前ですね、八月一日に開催されておりますが、ここで既に廃炉についての今回の、要は廃炉会計規則を見越した議論されているんですよね。見通しが立ったということが議論の中で紹介されているわけです。この運営委員会が、要はこうした規則の見直しなんかも含めて主導しているんじゃないかというふうに受け止めて読ませていただいたんですけれど、いかがでしょうか。

〇政府参考人(高橋泰三君) お答え申し上げます。
御指摘の廃炉会計制度でございますけれども、昨年の十月一日に関係省令を改正して見直しを行っております。この検討自体は、昨年の六月から専門家の方々に集まっていただきました廃炉会計に関する制度検証ワーキンググループというものを開催してございます。六月から開催をしております。
それで、七月の二十三日のワーキンググループでは制度見直しの骨子案というのが提示されておりまして、おおむね委員の方々の御了解を得ているところでございまして、そのワーキンググループ自体も公開でやっておりますし、報道等もされておりますので、特に何か制度を先取りしてここで主導しているということではなくて、そういう検討が進んでいる状況の中で運営委員会で御議論がされたものということと受け止めております。

〇倉林明子君 さらに、この運営委員会の議事録を読ませていただきますと、事故が起こったことに伴う様々な経費というのは、利用者が負担すべきものなのか納税者が負担すべきものなのか、十分整理がされておらないと、政府次元で政治決断すべきだというような発言も出てきているんですね。私、重大だと思って読ませていただきました。
事故の経費は、いずれにしてもこれ国民負担で求めるという立ち位置ですよね。結局、東電の責任はどうなのか、国の責任のありようはどうなのか、要は利害関係者、メガバンク等も含めてどうなのかということは全く抜きに、国民負担の二者択一しかないと。止めどなく国民負担を増やしていくということにつながる議論ではないかと読ませていただきましたが、感想はいかがでしょうか、大臣。

〇政府参考人(高橋泰三君) お答え申し上げます。
この会計制度の見直しは、原子力の新しい規制が入りまして、事故炉も含めましてきちっと管理をするという、義務付けられております。こうした中で、今後廃炉が増えてくる一般炉も含めまして、きちっとした対応をしなければ廃炉がきちんと行われないという観点から、専門家の方々に鋭意見直しをしていただいたものでございます。
なお、電気料金にこれが反映されるかどうかということにつきましては、これ、別途料金審査の申請がない限り料金値上げには入りませんので、その認可に当たっては厳正な審査を行うこととしているものでございます。

〇倉林明子君 法の制定時、この現行機構法の制定時、掛かる費用が二兆円規模だったことから、六十八条は使う予定がないということだったんだという議論もされておりました、衆議院の方でも。しかし、結局費用負担、掛かる費用が膨大になったということで、当初は使わないとしていた六十八条も使って資金援助を拡大してきたと、こういう仕組みが機構法だ、機構だというふうに言わざるを得ないと思うんですね。
今回、廃炉、汚染水ということで、一層東電の事業継続を前提として資金援助を拡大していくということになる、電気料金も回収できるという仕組みを新たに盛り込んで使っていくということになる、こうした国民負担、電気料金での負担も併せて増やしていくということについては到底納得できないということを申し上げまして、終わります。

議事録を読む(反対討論)
〇委員長(大久保勉君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

〇倉林明子君 私は、日本共産党を代表し、原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案に反対討論を行います。
第一の理由は、原発事故を起こし実質破綻している東電をひたすら延命する機構法の枠組みを維持し、更に無原則な国費、税金投入につながるからです。
今回、事故炉の後始末の費用まで機構法の資金援助の対象に加えました。廃炉会計規則を変更したことで、福島原発の廃炉費用まで電気料金への上乗せを認め、中間貯蔵施設にも法第六十八条の返済義務のない税金投入を決めています。今後の廃炉等の費用がどれだけ掛かるか分からない下で、本法案は、支援機構を通じて国費と国民負担を際限なく増やす仕組みとなるものです。
さらに、機構の意思決定機関である運営委員会の議事録及び資料の全部は示されておらず、情報公開は全く不十分です。
まずは、実質債務超過の東電を破綻処理し、利害関係者の責任と負担を問うこと、原発を推進してきた国の責任と反省を明確にしエネルギー政策を転換することが必要であり、東電救済の本法案に国民の理解と合意は得られません。
第二は、賠償を目的の一つとした機構法に対し、東電を実施主体としたまま機構に廃炉・汚染水業務を追加するものだからです。
東電は、レベル七の原発事故に続き、レベル三の汚染水漏れ事故を起こしました。その後も、原子力を扱う事業者としてあってはならないミスや事故が相次ぎ、汚染水対策においても危機的状況が続いています。福島県民はもとより、国民からの信頼も大きく失ってきたのが東電です。こうした東電のチェック機能さえ果たせなかった機構に廃炉業務を担わせることはできません。
第三は、原子力損害賠償法、エネルギー政策、原子力政策の抜本的な見直しについては、機構法附則及び附帯決議で期限を切って政府に対応を求めています。政府は、本法案を提出する前に、国会に対して約束を果たす責任があります。十分な検証もせず、なし崩しに機構の業務を拡大していくことは認められません。
政府は、柏崎刈羽原発の再稼働を織り込んだ東電の新・総合特別事業計画を認め、新規制基準をクリアすれば再稼働は可能だとしています。原発を重要なベースロード電源とするエネルギー基本計画を閣議決定するなど、事故前の原発推進政策へ逆戻りしました。
原発事故はふるさとを丸ごと奪いました。家族や地域のきずなも奪い、避難している県民は十三万人を超え、震災関連死は福島で千六百六十人にまで増えています。福島県民、圧倒的な国民の願いは原発ゼロにあります。この声に正面から応えることを強く求めて、討論といたします。