倉林明子

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原賠支援機構法改定案 無原則の国費投入に(経済産業委員会 参考人質疑)

 参院経済産業委員会は4月24日、原子力損害賠償支援機構の業務に福島第1原発野廃炉や汚染水対策の支援などを追加する同機構法の改定案について、参考人質疑を行いました。
 立命館大の大島堅一教授は、賠償と廃炉・汚染水対策はまったく異なる事業であり、機構が廃炉支援まで行えば国費投入(国民負担)が無原則に広がる危険があると指摘。原子力規制委員会や経済産業省などとの役割分担が複雑化し、「『国が前面にたつ』対策になるか疑問だ」と批判し、規制委員会が責任を持つ廃炉のための専門組織構築を提言しました。
 倉林明子議員は、機構法改定が東京電力の存続を前提としており、大株主やメガバンクの責任が問われないのは重大だと指摘。大島氏は「電力債を保護し、商取引を妨げずに東電を破綻処理することは可能だ」と答えました。国際廃炉研究開発機構の山名元(はじむ)理事長は原子炉メーカーの責任について、「(原子力損害賠償法上の世きんはないものの)技術者としての責任はある」と述べました。
 大島氏は、政府が決定した原発存続の「エネルギー基本計画」についても「(福島)事故の反省に立って見直してもらいたい」と求めました。

議事録を読む(参考人意見)
第186回国会 経済産業委員会 2014年4月24日

原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

〇委員長(大久保勉君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、二名の参考人から御意見を伺います。
本日御出席いただいております参考人の方々を御紹介申し上げます。
まず、京都大学原子炉実験所教授山名元参考人でございます。
次に、立命館大学国際関係学部教授大島堅一参考人でございます。
この際、参考人の方々に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
参考人の皆様からの忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、お一人十五分程度で、山名参考人、大島参考人の順に御意見を述べていただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手していただき、その都度、委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
なお、参考人、質疑者とも御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず山名参考人にお願いいたします。山名参考人。

〇参考人(山名元君) 山名でございます。皆さん、おはようございます。
十五分程度お時間をいただきまして、この法改正案に対する私の意見を申し述べたいと思います。
まず、私は、京都大学の教授、特に原子力を専門とする技術者の立場として、また福島第一の廃止措置に必要となる技術研究開発を関係者が担当するという目的でつくった技術研究組合国際廃炉研究開発機構の理事長として、この福島第一の廃止措置に関して技術的な側面から深く関与してまいりました。その技術的な側面から私の意見を申し述べたいと思います。
まず、お手元のレジュメに書いておりますが、総論といたしまして、基本的に東京電力は、損害賠償それから電気を安定に供給する、社会的損失を生まないということに加えて、福島第一の廃止措置を確実に着実に遂行するという責任を有しております。この賠償、安定供給、廃炉、三拍子、これに対しては、政府の包括的な支援と監督を確実にするような体制、強くした体制が必要であるということをかねてから私は申し上げてまいりました。今回のこの法改正案はこの私の考えに沿っているものと考えておりまして、極めて重要なものであると思っております。
二のところに書いてございますが、この法改正案は、従来の賠償支援機構に廃止措置、廃炉支援の機能を新たに加えるという提案になっているわけですが、当初、率直に申し上げまして、私は技術者として、廃止措置という技術的な取組とそれから賠償という社会的、経営的な取組というのは別な次元にあるものだなということを印象としては考えておりました。ただ、今その考えは改めるに至っております。
といいますのは、こうして一、二年廃止措置というのを見てきますと、この廃止措置の失敗というのは、多くの被災者の方々が頑張っておられる努力をまた無にしてしまう、あるいは国際的な信頼を喪失してしまう、あるいは、この一Fの事故に直接関係していない国民の皆さんにも多大な不安とか風評被害とか、そういった損失を与えているということがあります。これは現実にあるわけでありまして、そういう意味で、東京電力が廃止措置をきちんとやるということは、この賠償や電気の安定供給、国民への不安を解消するという様々な意味で必要要件だろうというふうに思うに至っております。
そういう意味で、廃止措置というのは、東電がきちんと今後やっていく、賠償もやっていく、電気の供給も絶やさない、この三つどもえの一環にあるという思いに至っているわけであります。そういう意味で、この廃止措置というのは、非常に大きな国の重大なリスク要因で考えると、これに全力で取り組むという体制強化というのは必須のものであろうと、こう考えるに至っておるわけです。
では、その強化というのがどういうことかというと、このレジュメの三のところに書いておりますが、まず、廃止措置をきちんとやるにはここの三角形の絵が描いてありますこの三つが必要であると。つまり、廃止措置に関わる技術戦略や技術判断をきちんと行うということ、これは非常に大局的な判断であり、高度に専門的な技術判断になってきます。それから、現場できちんと廃炉を進めるという現場のオペレーションが大事でありますし、それには非常に革新的な技術を開発する必要がございます。これは世界的にも未曽有な状態にありますので、従来の技術だけでは乗り越えられないということで、技術開発が必要です。この三者が、この三本の矢が一体になって連携してきちんと進めないと、廃止措置がずるずると遅れたり、汚染水問題のように派生的なトラブルが発生して、それでまた多くの国家的損失を生むという可能性があるわけであります。
そういう意味でこの三者の連携が必要ですが、私はこの三者連携が現時点ではまだ完全な状態ではないと思っております。
まず、現場オペレーションというのは、これ東京電力が行うことであります。技術開発は、今私が担当しておりますような技術研究組合のようなところが担っていくものでありますし、また一般的な民間の事業者が入る可能性もあります。技術戦略、技術判断は東電の責任でもあるんですが、これぐらい非常に技術的に難しい問題になってくる、あるいはその影響が多岐にわたるということを考えると、政府が前面に出たような技術戦略あるいはロードマップの策定、技術判断が必要だということになってくるわけです。
現場オペレーションの東電の問題は、率直に申しまして現状の東電では弱いというふうに私は判断しております。その弱さは、やはりその技術の専門性が弱い、リソースの投入が十分ではない、技術的な判断のガバナンスが弱いというようなことがあるかと思います。そのために、東京電力は、社内分社化を行いまして廃炉推進カンパニーというのをつくって、これを強化していくということを特別事業計画で既に明確にしておるわけですが、さりとて自分たちの強化にもまだ時間が掛かるという段階であろうかというふうに思っております。
それから、この技術戦略、技術判断のところなんですが、これは廃止措置の閣僚等会議のリーダーシップの下で、今エネ庁の事務局的な立場の廃炉対策収束室が頑張ってやってきているわけですが、この戦略のところにはまだまだ重要なタスクが控えております。
例えば、先ほど言った国家レベルでの廃炉戦略をきちんとやる、そのリスクをどうやって下げるかということを国レベルできちんとやっていくということ、それから、東京電力だけでは決め切れないものが幾つかあります。その一つが、放射性廃棄物の最終的な処理処分をどうしていくかと。この福島第一で出てくる廃棄物というのはもう従来の原子力では考えられないようなものがたくさん出てきます。これ最後どうするんだという話で、我々これをエンドステートと、最終戦略といいますか出口戦略というか、そういう呼び方をしているんですが、実は、今、国でつくっているロードマップにはこのエンドステートについては明確なことが決まっておりません。最終戦略を決めないと実は事が進まないというのが幾つかあります。そこを決めていくということは東電ではできない。
それから、もう一つ重要なことが安全規制の問題です。この特定原子力施設の規制というのは通常の原子力プラントの規制とは全然違う次元にあります。これは規制委員会の独立案件でありますので、我々のような技術界にいる者としてはなかなかやりにくいんですが、いずれにせよ、そこで国民へのリスクを下げる、住民へのリスクを下げる、周辺影響を下げる、そういったきちんとした安全規制の在り方を、今後、規制当局や当事者である東電やあるいは監督官庁であるエネ庁、関係する技術者が集まって決めていく必要があるということであります。そういったことを戦略上は重要になってくる。
それから、技術開発に関しては、私の組合がここの部分を今請け負っておりますが、実はこの三角形の絵の中にあります矢印の部分ですね、つまり現場オペレーションと技術開発の関係、これをもっともっと緊密なものにしていかないと実効的な技術が開発できないという問題があるわけです。さらに、この開発というのは、当然、技術戦略、ロードマップ、それに沿ったものである必要がありまして、この矢印をもっと太いものにしていく必要があるということであります。
しかし、政府の今事務局になります事故対策の収束室は、超人的に頑張っておられるんですが、やはりそこに政府が専門的知見を集めてくるというその仕組みには多分限界があると思います。つまり、有識者を集めて事務局はいろいろ考えておられるんですが、そのやり方にはやはり限界があると思います。むしろ私は、専門家をもっと本格的に集めたCOE、センター・オブ・エクセレンス、専門性の高い技術者集団をどこかに、政府の近いところにつくって、そこが政府の事務局と連携しながら情報を提供して高い戦略性をつくると。当然それを東電に対して、しっかりとした技術的専門性の立場から助言、指導、監督すると。まあ監督と言うと言い過ぎになりますが、勧告を出すというような組織が必要であるというふうに思うわけであります。そのイメージがこの賠償支援機構に廃炉支援の機能を組み込むということであろうかと私は理解しております。
最後の四ポツのところになりますが、今まで申し上げましたことを実現するための一つの最も現実的で実効的な形として、この賠償支援機構の中に廃炉支援部門を組み入れると。賠償支援的な話、それから経営をきちんとさせるという話、廃炉をきちんと進めさせるという話、廃炉全体の国家的戦略や開発の在り方をもっと専門的に決めていくという話、そういったことを一括でこの機構で担っていくということは、実効性を強化するとか、迅速性を強化するとか、廃炉計画や研究計画の最適化を行うという意味で有効であろうというふうに考えるわけです。
最後に、今回提案されていますこの法改正の中に法定業務としては書かれておりませんが、情報提供とかその他附帯事項という形で理解しておるんですが、この新しい機能がこの機構の中にできれば、先ほど言いましたような廃炉に関わるような情報を集約できる。情報のセンターになれると。それから、人材育成というのが今後非常に重要になります。この廃止措置を四十年にわたって進めていくためには、しっかりとした技術者を集めていくということが重要になりますが、今の時点ではこの人材育成に当たっていく機能が日本国全体としてやっぱり弱いんです。文科省は文科省で施策を打っているし、経産省は経産省で何か考えている。私たちの技術研究組合もそれは考えているんですが、どうしてもばらばらであります。これを統合的に考えるような人材育成戦略もこういうところで考えることができるんではないかというような期待も持ちますし、この廃止措置や原子力の過酷事故の結果どうなったか、どう対応したかという技術の情報を集約して後世に残していく、技術アーカイブをする、そしてそれを国際的に技術情報として発信していくと。これはこの事故を起こした日本としての国際的な責務があると思っております。こういった情報を集めるという拠点としても、この機構に設置する新しい機能がしっかりと役に立つんではないかということを派生的な効果としてイメージしております。
以上申し上げましたようなことで、私は、この賠償支援機構を拡大していく、廃炉支援に向けて拡大していくというこの法案、法改正案については強く期待しているということを申し述べたいと思います。
以上でございます。

〇委員長(大久保勉君) ありがとうございました。
次に、大島参考人にお願いいたします。大島参考人。

〇参考人(大島堅一君) おはようございます。立命館大学の国際関係学部、大島と申します。
今日は、私、環境経済学が専門でして、その観点から幾つか御意見を申し述べさせていただきます。体調がちょっと悪いので声がなかなか出ませんが、お聞き苦しい点があるかと存じますが、申し訳ございませんけれども、よろしくお願いいたします。
まず、私の意見の概要は、お手元の「「原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案」に対する意見」というところでまとめさせていただいております。
私の意見の第一点目は、廃炉・汚染水対策にはやはり原子力規制委員会あるいは原子力規制庁が責任を持つべきではないかというふうに思っております。
まず、その理由は、一点目は、原子力損害賠償と廃炉、廃止に関する事業は全く異なる、性格が全く異なるということであります。先ほど山名参考人もおっしゃっていましたように、技術を集大成し、様々な人材育成もするということに関して、私は非常に重要な業務だというふうに思っておりますが、それと損害賠償を適切にまた丁寧に進めることとは全く別だというふうに思っています。
さらに、今回の福島原発事故においては、どのようなことが原因になったのかというのが、もちろん政府の事故調査委員会の報告書ないしは様々な事故調査委員会の報告書から出ておりますけれども、本当にどのように起こったかということは、まだサイトの中、原子炉の中心部についてアクセスできておりませんので分かっておりません。そういう意味では、調査及びその事故の原因の調査も含めた総合的な対策が必要なわけです。そのときに、今ある原子力損害賠償支援機構法に付随的にくっつけてやることが本当の意味で国が前面に立つ対策になるのかどうかということについて私は疑問に思っております。
そのように申し上げますのも、二点目ですが、原賠機構、今の原賠機構ですけれども、政策決定、意思決定ですね、意思決定プロセスが非常に閉鎖的で、情報が十分に公開されていないということが、私には懸念として持っております。
別の資料として、今回の原子力損害賠償支援機構のホームページの一部を持ってまいりました。これは最も最近の第三十一回の運営委員会の議事要旨というふうに公開されているものですが、ここに、御覧いただければ分かりますように、「議事内容」と称して、「「新・総合特別事業計画」に基づく経営評価について等」と書いてあるだけで、一体それがどのように、どういう資料を基に審議されたのかというのが、議事録もないんです、あとどういう資料が使われているのかということもないので、これではおよそ情報を国民に示しながら丁寧に議論しているということは分からないわけです。今度、これに今回非常に国民的な関心もある廃炉等の業務が付け加わることになると、何の情報も出ないまま結果だけ出てくると。それが、結果が非常に適切なものであるかどうかということは、そういうふうに信頼してくださいということだと思うんですけれども、本当にそうかどうかというのは、やはり国民的な英知を結集して事業を行っていくべきだと思いますので、少なくともこういった閉鎖的な意思決定プロセスは改める必要がありますし、今の原賠機構にこういった重要な機能を付け加えるということについては私は懸念を持っております。
三つ目は、廃炉に関わって、今、山名参考人もおっしゃいましたが、原子力規制委員会、これは特定施設になっておりますので原子力規制委員会が関わりますし、経産省、あとその政府の事故対策収束室、あと原賠機構、IRIDですね、等々が関連するようになって、一層役割分担が複雑化するというふうに私は懸念しておりまして、やはりここは国が前面に立つ統一的な体制を取ることが必要であり、例えばですが、福島第一原発廃炉公社とか原子力廃止措置機関、これはイギリスにあるようなNDAみたいな組織を国としてつくって、そこに廃炉の技術ないしは体制を一括して集中させてはどうかというふうに思います。これについては、お手元の冊子の方で、百八十九ページからもありますし、八十七ページからにこの技術的な取組についてはこうではないかというふうな提言をさせていただいております。これは原子力市民委員会、私も関わっておりますが、「原発ゼロ社会への道」というふうに書いてありまして、脱原発を政策提言しておるものなんですけれども、脱原発をしないという選択をしたとしても、重要なことについて政策提言しておりますので、是非御覧いただきたいというふうに思います。
意見の概要の二点目は、今回の提案で廃炉、事故処理への国費の投入が無原則に行われる可能性があるのではないかというふうなことを私は懸念しております。
なぜかというふうに申しますと、丸ポツの三番目ですけれども、四十一条三項に、先生方はもう既に御存じのように、廃炉・汚染水対策についての書類を提出するようということでなっておりますが、そこと資金援助の関係が明確ではありません。なぜこれが入っているのかということです。四十一条二項については損害賠償の要賠償額であるとか経営の状態に関する書類を提出しなさいというふうにあって四十一条一項との関連があるわけですけれども、四十一条三項との関連がはっきりしません。実際には、ここに、四ポツ目にありますように、第六十八条に基づく資金交付というのがありまして、実際ここから、後でも申し上げますけれども、中間貯蔵関連費用が発動されて一・一兆円出ることになっております。そこからすれば、今回のここに廃炉機能を持たせるということによって国費の投入ないしは国民負担が廃炉にまで入ってくるのではないかというふうに私は懸念しているところであります。実際、少額ではあるとはいえ、廃炉等技術委員会の人件費は負担金からの拠出であるということが審議の回答の中であったというふうに私も見ておりますので、実際、既に負担金から廃炉の費用が出てきているということでありますので、そこはやはり懸念しております。
少なくとも、ここの一番最後に書いてありますが、廃炉の資金を国が肩代わりしてよいのかどうかというのをはっきりとやはり決める必要がございますし、超長期にわたる、少なくとも三十年、四十年にわたる巨額の費用が発生する可能性があります。今は中間貯蔵や当面の汚染水対策に限定されていますけれども、最終的にはそこの原子炉を解体して、もし解体するとすれば、解体して様々な高レベル放射性廃棄物が、今までなかったような廃棄物が出てくるわけであります。それの最終処分どうするのかということになりますと、非常に多額の資金が必要になってくるわけですね。
そういう意味では、超長期に及ぶ巨額の費用負担が発生するわけで、これがこの原賠機構を通じて行うということになってしまうとすれば、事実上の国費の投入の在り方が、その一認可法人である原子力損害賠償支援機構が判断するということになってしまうわけです。やはりそれは国民の関与や国会の強い関与が必要だと思いますので、というのは、国民がお金を出すということですので、そういう意味ではいま一度慎重な審議が必要なのではないかというふうに思っておる次第です。
事故関連費用の負担状況につきましては次のページと次のページに書いておりますが、例えば被害者への損害賠償は、今のところ東電が直接的な支払者になっておりますが、一般負担金を通じて消費者が負担するような仕組みになっていますとか、あと、廃炉費用も、実際は効率化による捻出というのが一兆円なされておりますが、もしかすると、廃炉会計の変更が既になされておりますので電気料金への一部転嫁が可能になっているとか、あと、ちょっと飛ばしますが、中間貯蔵関連施設については第六十八条が発動されて財政措置がとられるようになっている。あと、除染費用は二・五兆円東電株が上がることをまず見込んだ上で考えているわけですが、これ達しない場合どうするのかということも非常に大きな問題として残っているわけで、ここを見ますと、やはり消費者負担、国民負担が増えてくる中で一体この費用をどうするのかということを、この際、損害賠償支援機構法の改正案の御審議の中で御検討いただきたいというふうに思っております。
意見の最後ですけれども、ページでいいますと六ページ以降になりますが、私は、じゃどういうふうにしたらいいのかと申しますと、やはり東電と国の責任関係を明確にした上で、その責任分担において費用負担なり事業を行うというふうにやはり整理し直した方がいいのではないかというふうに思っております。
私、東京電力は国の資金援助なしには損害賠償だけでもう一般の企業であれば存立し得ないような状況になっているというふうに思っております。もしそうでなければ、実際、東京電力が自ら損害賠償すればいいのであって、そうではなくなってきているというふうに私は思っています。
実際には、東京電力というのは、国会の事故調査報告書でも明らかなように、事業者側が規制者をとりこにしてきたということがあるんです。さらに、であるにもかかわらず、事故を起こして国が関与して絶対に破綻しない会社になってきていると。それは非常に倒錯したというか転倒した状況になってきているのではないかと。
損害賠償につきましても、大規模訴訟が幾つも提起されるような状況になっておりまして、もちろん賠償はされているわけですけれども、原子力損害賠償の紛争審査会が作る指針というのは、あれは基本的には東電も納得し得るような指針になっているがために、やはり中間的になっているわけですね。そういう意味では、被害者にとってはまだまだ十分な損害賠償がされていないというところで苦しんでいらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。そういう意味では、東電の損害賠償の在り方自体も非常に不十分で不誠実な状況に陥っているのではないかと。
更に懸念されますのは、事故を起こしても破綻をしないと。破綻といっても様々な形態あると思います。清算もあれば再生もあると思うんですけれども、それはどちらでもいいと思いますが、破綻処理もされずに実際国が大きく関与するということになれば、事業者に対するモラルハザードを引き起こすのではないかと。これは資本主義の社会においてはあり得ない。民間企業が事故や被害を及ぼしたときに、国がほとんど見てくれるというか支援してくれるというのはほかの企業ではあり得ないので、それはモラルハザードを引き起こして、かえって原子力事業が不健全な状況になるのではないかというふうに私は懸念しております。
最後に、簡単に申し上げますが、やはり国の責任において、原発事故を防ぎ得なかったという責任、あと原子力開発一辺倒であったということの責任を踏まえて、その事故を引き起こした責任が国にあるということを認識した上で、その反省に基づいて国家規模の統一的な事故収束、廃炉の体制、あと損害賠償の体制をつくり直すべきではないかというふうに考えております。
以上、簡単でございましたが、私の意見とさせていただきます。
ありがとうございます。

〇委員長(大久保勉君) ありがとうございました。
以上で参考人の皆様の意見陳述は終了いたしました。
これより参考人に対する質疑を行います。

議事録を読む(参考人質疑)
〇倉林明子君 日本共産党の倉林明子でございます。
今日は両参考人に御出席いただきまして、本当にありがとうございます。大島参考人におかれましては、体調が悪いところ、押して出席していただいたようで、本当にありがとうございます。
最初に山名参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、今日の意見の陳述の中でも、考え方改めたということで強調されていたところで、本来、この廃炉については公的な専門機関が管理をしていくべきだということを主張されていて、その部分かと思うんですけれども、本来、公的な管理をしていくべきだという考え方をしていたというところをもう少し説明いただきたいと思うのと、先ほどの質疑の中でも、当面は今の機構が提案しているやり方をしていくべきだと、維持してサポートと監視をしていくべきだという御発言だったかと思うんですけれども、じゃ、当面ではなくて本来機能に戻すというタイミング、どこでならそういう切替えをしていけるのか、していくべきだとお考えなのか、その辺お聞かせいただきたいと思うんですけれども。

〇参考人(山名元君) 私はかねて、英国が取っているようなニュークリア・デコミッショニング・オーソリティー、NDAのような仕組みというのは一つのアイデアだというふうに思っておりました。ただ、NDA、イギリスと日本の大きな違いは、英国のNDAは国営でやってきた原子力の廃炉を国営でやろうという考え方ですが、こちらは東電という民間ビジネスの失敗を国がどこまで関与するかという問題なんです。
これは、先ほどから国民負担という議論が出ていますけれども、非常に大きな問題でして、私は個人的には、結局この一Fの廃炉の失敗というのは国民全体の損失になるので、非常に公益性があるという思いは持っておりました。したがって、そういう意味でNDAと、NDAと完璧には言いませんが、それとやや民間性を持ったものの中間ぐらいのイメージを持って、むしろ技術の集約という点を強調してです、そういう組織をイメージしていたということであります。
ただ、今当面と言いましたが、この賠償支援機構を拡大するという仕組みが確実に動くということをまずはやるべきだというふうに思います。そこに技術者を集約すれば、今目指していたような、技術を集めるという半NDA的な組織というのはまず一度できるわけですから、それがまずきちんと動くということに全力を傾注すべきだというふうに思います。ですから、当面というのは、いつ何どきどうするというイメージでは決してないということです。

〇倉林明子君 国が今回前面に出るということで、国費投入の仕組みということが賠償にとどまらず廃炉、汚染対策等に広がっていくということになるわけです、この法が成立すれば。
ただし、国と東電、責任についての御発言もありましたけれども、負担の在り方ということではやっぱり大きく議論していく必要があると、国会としてもしていく必要があると思っているんですけれども、それぞれの参考人に負担の在り方についてお考えを表明していただきたいと思います。

〇参考人(大島堅一君) 国と東電の負担の在り方なんですけれども、私は環境経済学なので環境経済学の観点から申し上げますが、環境汚染が出た場合の基本的な費用負担の原則というのは汚染者負担原則です。ですので、基本は東電が負担しなければなりません。これはどのような環境問題でも貫いていて、国費が基本的に汚染問題に対して支払われるということはないわけです。というのは、これはモラルハザードを引き起こしますので。なぜなら、汚染者がもし汚染した場合に、国が出てきて全てお金を払ってくれるということであれば対策はしなくてもよいということになりますので、それはモラルハザードを引き起こすわけですね。
ですが、今回の場合は、非常に大きな事故であるということもあって、国が出ざるを得ないというのはもう国民もしっかり認識しているというふうに思いますし、私もそのように思います。そのような場合は、やはり汚染者がどこまできちっと負担したか、要するに、汚染者の負担の在り方というのは、一般の自由主義的な経済原則でいうと、やはり出すところが出して自らを整理するというところから始まるはずです。さらには、国もこの汚染問題に対して大きな責任があったということをきちっと公的に認めることですね。これはあの国会事故調査報告書の中でも繰り返し指摘されているところでありますので、やはり今回の福島原発事故に関しては、規制者が規制し切れなかったとか原発をむやみやたらと開発してきたという原則に立てば汚染者なんであるということを認識した上で、汚染者として賠償するということはあり得るだろうというふうに思っています。
ですので、この原則をきちっとした上で負担をきちっとしないと、お金が足りないから国が出すとか、それはいつまでも出すことになってしまうので、それは非常によろしくないわけです。モラルハザードを引き起こしてしまうわけです。ですので、モラルハザードを引き起こさないような原理原則を立てた上で、最終的には国民負担になるというのも必要かなというふうに思っています。
以上です。

〇参考人(山名元君) 御質問に対して、まず負担という意味では、東電がそのライアビリティーの下で負担すべきというのが全ての原則であるというふうに思います。
一方、国の方が担うものが幾つかありまして、それは、一つは、この事故に対して非常に難しい技術が要求されておりますので、技術開発が必要です。これも本来は東電の一義的責任になるんですが、東電がやっていたら多分相当時間が掛かったり技術を集約できないということから、国が一つの先端的技術の開発を担うという考え方があっていいと思います。
もう一つは、この福島の対応を世界がどう見ているかという問題です。世界はこの福島の問題は日本国全体の問題として見ているわけです。東電なんて出てこないんですね。であれば、これを国として世界にどう向かい合っていくかという国際連携の在り方、国際協力の在り方、そういったものについては国がそこを担っていくというのはあるべき姿かというふうに思います。
それから、この事故によって、東電の力がまだ不十分だということはさっき私申し上げましたが、その状態によって起こっている様々な広い派生的影響、国際的信頼の喪失、風評被害、この福島に直接関与していない国民の人たちもいろんな損失を受けているという国全体としての国家的損失を防止するには国がそれを負担して行うべきだというふうに思います。
それから、最後に、原子力安全規制の問題が議論されました。あるいは、放射性廃棄物の最終処分なり、そういった国としてあるポリシーを決めていかないと進まないものが必ずあります。この部分については国が責任を持って行っていくということが必要だと思います。
以上です。

〇倉林明子君 あれだけの原発事故を起こした企業がまだあるということの方が世界には不思議かもしれないなと率直に思っております。
この事故を起こした責任ということでもう一つ両参考人にお聞きしたいのは、プラントメーカー、この責任についても私はしっかりはっきりさせる必要があるというふうに思っているわけで、原賠法では免責ということになっているわけですが、事故原因の徹底解明を進めて、果たすべき責任がやっぱりプラントメーカーにもあるんじゃないかというふうに思っていますが、お考えはいかがでしょうか。

〇参考人(山名元君) 原賠法で定義するという意味での責任はメーカーにはないというのは明確であると思います。
ただし、先生御指摘のように、福島の発電所を造ってきたメーカーというのは技術的にそれを造ってきたという問題がありまして、オペレーションの失敗、つまり東電側が、発電事業者側で起こったトラブルであるからそれを製作、設計した者については責任はないといえばそのとおりなんですが、実際は電力事業者とメーカーが一緒にプラントを考えてそれを導入してきたという歴史は確かにあるわけです。
そういう意味では、技術的にメーカーがこの問題を解決するという技術者としてのある種の責任はあるだろうというふうに思っていまして、そのことはまさに私が担当しています技術研究組合にメーカーは参画して、自分のお金を払ってですよ、これは自分の補助金の負担分を払ってその解決に努力しているということをやっておりますから、そういう意味で技術的責任について彼らは取り組んでいるんだろうというふうに思います。
以上です。

〇参考人(大島堅一君) プラントメーカーは、今の原賠法の下では東京電力に賠償責任が集中しておりますので、賠償に関して支払責任はないというのは確定しておりますけれども、ただ、責任集中しているというのは損害賠償を容易に進めるためというのが基本だと思います。それを免罪するためではないと私は思っております。
ですので、例えば、今、山名参考人がおっしゃったような技術的な協力に加えて、例えばメーカーが、これは自主的なものになるのか法律的なものかは分かりませんけれども、メーカーがある種の基金を設けて、そこから一定程度技術なり損害賠償なりに資金を拠出する、そのような仕組みが考えられると思います。これは大気汚染なんかでもメーカー責任が問われたときにやられていることですので、こういった手法を使って改善の余地はあると。
あと、もう一つは、原賠法の中で、メーカー、ほかのメーカーも含めて、原子力事業者、事故を起こした原子力事業者がほかに求償できないという形になっていますが、原賠法を改正して求償できるという形にすれば、こういった問題は避け得るだろうなというふうに思います。

〇倉林明子君 東電を存続させるということが前提となったこの機構法のスキームなんですけれども、このことによって株主、メガバンクの責任は問われていないと、これは本当に重大だなというふうに思っているんです。ところが、破綻させれば電力債が優先されるという現行法の仕組みがありまして、これを盾に被害者への賠償ができなくなるということを盛んに政府も説明としてしているわけですが、この現在の仕組みについて大島参考人に御意見を伺っておきたいと思います。

〇参考人(大島堅一君) このことについては、例えば私がお配りいたしました冊子の百九十二ページを御覧いただきたいと思うんですけれども、電力債、今御指摘いただいた電力債については、当然ながらルールを変えるわけにはいきませんので保護した上で、あと一般の商取引の債権については国が保護した上で、そういう意味で、それをすればいわゆる経済的な混乱は避け得ますし、また電気事業を維持するという意味での商取引が妨げられることはないので、そこに関しては保護した上で破綻処理するというのは可能だというふうに思っております。

〇倉林明子君 今日、大島参考人から「原発ゼロ社会への道」ということで大きな冊子もいただいたので、ここも本当はもうちょっとお聞きできればよかったんですが、最後に、今回、エネルギー基本計画ができて、先ほども御紹介あったんですが、重要なベースロード電源と原発の位置付けが明確にされた。これについて最後、大島参考人の御意見を伺って、終わりたいと思います。

〇委員長(大久保勉君) 時間が迫っておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

〇参考人(大島堅一君) 先ほどどなたかの御発言というか御質問にお答えしたとおりなんですけれども、やはりこういった位置付け後、更にもう一度今回のエネルギー基本計画の中で位置付けられたというのは非常に私は残念に思っておりますので、もう一度福島原発事故の現状に立って、反省に立って、原子力という電源の位置付けをいま一つ見直していただきたいなというふうに考えております。

〇倉林明子君 ありがとうございました。