倉林明子

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貿易保険法の一部改正法案 海外利益環流せず(経済産業委員会 政府質疑・反対討論)

倉林議員が反対 参院委で可決

 戦争や内乱などによる企業貿易の損失を国がカバーする貿易保険法の改定案が4月3日、参院経済産業委員会で日本共産党を除く各党の賛成で可決されました。改定案は、保護対象を日系企業の海外子会社の貿易にまで広げるものです。
 質疑で、倉林明子議員は、資本金3億円以上の大企業30社が貿易保険の引き受け総額の8割超を占めることや、日経企業の海外子会社から第三国への輸出額が日本から海外への輸出額に匹敵する規模まで拡大し、海外現地法人の内部留保が28・7兆円(2012年)にも上っていると指摘。
 倉林議員は、「多国籍で事業を展開し、利益は海外現地法人の内部留保でためられて、国内に環流しいない。体力も十分にある企業のリスクを国が肩代わりすべきでない」と主張。
 茂木敏充経産相は、「国内で投資が進むようなこともやる」と支援を正当化しました。

議事録を読む(対政府質疑)
186回国会 経済産業委員会 2014年4月3日

貿易保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

〇倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
まず大臣に伺いたいんですけれども、本法案が国民生活にどう寄与し、どんな公共性があると認識されているのか、御説明をお願いしたい。〇国務大臣(茂木敏充君) 大変大きな視点から御質問いただいたところでありますけれども、今、安倍政権としては、企業の収益の改善、これを賃金の上昇、所得の向上につなげ、それが消費の拡大を生んで、投資が拡大をする、こういった経済の好循環をつくっていきたいと考えております。
それを行っていくためにも、民間投資を喚起する成長戦略、アベノミクス三本目の矢、これが極めて重要になってまいります。そして、成長戦略の中の一つの大きな柱が海外展開戦略ということになってくるわけであります。
そして、今企業が国際展開をする、貿易だけではなくて直接投資も行う、そこの中で、企業の取引形態も海外の子会社を使ったり、資金調達手段にしましても外貨建てのもの、そうした取引形態であったりとか資金調達手段も多様化をしております。そして、大企業だけではなくて、地域地域の中小企業、小規模企業も国際展開を図る、こういった一連の活動を支援をしていくために貿易保険の機能を拡充する必要があるということから今回法改正をお願いをしているわけでありますが、まさにこういった成長戦略の大きな一翼を担う国際展開戦略、これを進めることによりまして、成長が実現され、その果実が全国民、全国津々浦々に行き渡るような状況をつくってまいりたいと考えております。〇倉林明子君 なかなかアベノミクスの効果も実感しにくいという中で、今のお話聞いていますと、なかなか距離のある話やな、巡り巡ってくるまではという印象を持ちました。
そこで、この貿易保険ユーザーについてなんですけれども、資本金別に内訳を見ると一体どういう方々がユーザーになっているのかということで、それぞれ資本金別で何社になっているかというのを数で教えていただきたいんです。一兆円以上が何社か、一兆円から一千億円、一千億円から百億円、百億円から十億円、十億円から三億円、それぞれ何社でしょうか。

〇政府参考人(横尾英博君) 中小企業の全体の割合は五二%でございます。ただ、資本金の額で、今ユーザーの上位三十社で区分をしましたが、まず一兆円以上の資本金があるところが三社、それから一千億円以上一兆円未満の資本金のところが十三社、百億円以上一千億円未満が十一社、十億円以上百億円未満が二社、三億円以上十億円未満が一社と、これで上位ユーザー三十社の資本金別の内訳でございます。

〇倉林明子君 今中小企業が件数でいえば五二%になるということなんですけれども、この上位三十社が保険引受総額に占める割合で見るとどうなりますでしょうか。

〇政府参考人(横尾英博君) この上位三十社の保険金額の合計額でございますが、日本貿易保険が引き受ける保険金額全体に占める割合、これを過去五年間の推移を見ますと、二〇〇八年度が八三・六%、二〇〇九年度が八五・三%、二〇一〇年度が八二・二%、二〇一一年度が八二・二%、二〇一二年度八二・四%という推移になってございます。

〇倉林明子君 三十社でほとんど八割を超えて引受総額を占めているということで、大きいところ、特定のユーザーに利用されているというのがやっぱり実態だと思うんですね。
そこで、今回新たに海外の子会社に付保できるように改正するということですけれども、海外子会社の利益、これが本当に回り回って国内に還元されているのかというところでもよく検証する必要があると思っているんですが、そこで、数字でお伺いしたいんですけれども、日系企業の海外子会社から第三国へ輸出している額、もう一点は、日本から海外への輸出高、これが〇四年、二〇一二年、それぞれどうなっているでしょうか。

〇政府参考人(横尾英博君) まず、日本企業の海外現地法人から第三国向けの輸出額でございますが、経済産業省の海外事業活動基本調査によりますと、二〇〇四年度が四十三・一兆円に対して、二〇一二年度が五十九・八兆円となっております。
また、日本から海外への輸出額でございますが、貿易統計によりますと、二〇〇四年度が六十一・七兆円、二〇一二年度が六十三・九兆円ということになっております。

〇倉林明子君 今御報告ありましたとおり、日本企業の海外現地法人から第三国向けの輸出額というのが大きくこの間伸びておりまして、日本から海外への輸出額に相当してくるという勢いになっているということだと思うんですね。
そこで、この海外現地法人の内部留保残高が一体どうなっているのかというのを、同じく経産省の数字で資料を見てみますと、〇九年、十七兆円だった残高が二〇一二年では二十八・七兆円と、十兆円超えて拡大しているんですね。国内でも内部留保をため込んでなかなか回ってこうへんという話題になっておりますが、海外の現地法人でも利益がため込まれている傾向があるという数字だというふうに思うんですね。多国籍で展開して利益は内部留保で蓄える、体力もある、こういう企業のリスクを国に転嫁するということではないかと思うんです、今回の措置は。
更に質問します。民間損保会社にNEXIが再保険を可能とする改正、これについて欧米の損保会社での扱いはどうなっているか。いかがでしょう。

〇政府参考人(横尾英博君) 欧米の貿易保険機関、NEXIのカウンターパートに当たる機関にNEXIから調査をいたしたことがございますが、民間の損保会社が販売している対外取引向けの保険について再保険を引き受けているという回答をいただいたのが、アメリカ、イタリア、カナダの貿易保険機関からそのような再保険を引き受けているという回答を得てございます。

〇国務大臣(茂木敏充君) 内部留保の方を若干補足をさせていただきますと、確かに内部留保、御指摘のように額増えてきておりますけれど、これ、先ほどほかの委員からも御指摘のありました国内の税制上の課題、また相手国におけます様々な制度的な障害もありまして、この後者についてはしっかり日本として国際場裏、また二国間協議の中で改善をしていく必要があると思っておりますが、もう一つ大きな課題としては、内部留保を国内に戻しても投資するだけの機会が今までなかったと、こういった部分もあるんだと思います。過小投資の問題でありまして、やはり国内において投資が進むようなことを進めていかなければいけないと思っております。
更に申し上げると、海外子会社からの第三国輸出が増える、一方で日本からの貿易というのがそれほど増えないということでありますけれども、例えばRCEPであったりとかTPP、こういったことを進めることによりまして、タイからの輸出が日本からの輸出に変わる、メキシコからアメリカに出していたのが日本からアメリカに出る、こういった状況も生まれてくると考えております。

〇倉林明子君 先ほど、他の国でも民間損保会社への再保険あるんだということでしたけれども、極めてそれも例外的な扱いになっているということだと思うんですね。欧州委員会の原則認めないということを確認した中で、十分な保険市場がない国については認めるという措置もあろうかと思うんですね。
いずれにしても、日本の貿易保険、このNEXIが占める貿易保険の割合というのは、日本は一割と非常に高い。諸外国と比べてみても、最終リスクを国がカバーする割合というのは非常に高くなっているというところは特徴だと思います。
そこで、この民間保険の再保険、NEXIが引き受けなければならないという必要性が一体どこにあるのかと。原則として民間にということで再保険をさせている欧米と同じような商業ベースでの再保険、なぜできないのか。以上、いかがでしょう。

〇政府参考人(横尾英博君) まず、日本におきまして日系の民間の保険会社が対外取引に係る保険で商業ベースで再保険を提供しているというのはないというふうに認識をしております。
他方、今回の改正におきましては、地方の中小企業への貿易保険の普及という観点から、NEXIの引受能力と民間の損保会社の全国的な販売網という両者を組み合わせることが効率的、効果的だということで再保険を付する措置を盛り込んでいるところでございます。

〇倉林明子君 これまでも民間の損保会社から再保険についての要望が繰り返し出されていたと思うんですけれども、その際、民間会社の逆選択によって不良案件が集中し多大なリスクを抱え込むおそれがあると。モラルハザードという部分だと思うんですけれども、この懸念の払拭というのはされたんでしょうか。

〇国務大臣(茂木敏充君) 二〇一〇年頃の話でありますが、日本損害保険協会から、民間損保が引き受けた対外取引に関する保険について国が直接再保険を付けられるよう要望があったところでありますが、これにつきまして慎重な検討を行ってまいりました。
二つ大きな変化があると思っております。その一つというのは、中小企業にとっても海外進出の重要性が高まった。そういった中で、民間の損保業界からも自分たちの全国的なネットワーク、こういったものを利用して、また日本貿易保険の引受能力を組み合わせることによって、そういった分野に対する付保が進む。一方、日本貿易保険、これも二〇〇一年に創設をされまして十五年間ということで、十分な経験そして専門性が向上してまいりまして、民間の損保会社が持ち込む個別の案件についても十分なリスク審査を行える、こういう状況になってきた、このように考えております。

〇倉林明子君 そこで、会計検査院に確認をしたいと思うんですが、二〇一〇年度の決算検査報告を見ますと、貿易保険の保険金査定について是正改善を求めたという指摘があります。この事業の概要、取引の存在が確認できない保険契約があったということですが、契約件数及び金額はどうなっていますか。

〇説明員(藤崎健一君) お答えいたします。
十八年度から二十年度までの間に同一被保険者に保険金を支払いました保険契約計九件、支払保険金額計九千百二十六万余円につきまして、取引の相手方の業者や貨物を輸送した運送業者の存在が確認できなかったり、存在していても被保険者との取引を否定していたりしていて保険の対象である取引の存在が確認できない状況となっておりました。

〇倉林明子君 つい最近でもこういう不十分な査定能力が露呈しているというのがNEXIだと思うんですね。今後、こんな民間の保険会社でも考えられないような事案があってはならないと思うんです。
 改めて、公的保険制度を巨大な多国籍企業など、リスク軽減に使うというようなことには賛成できないと申し上げて、終わります。

議事録を読む(反対討論)
〇委員長(大久保勉君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

〇倉林明子君 私は、日本共産党を代表し、貿易保険法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。
我が国の貿易保険は、諸外国の制度に比べて国がリスクを負う範囲が広く、特定の巨大商社、大手メーカー、メガバンクなどの多国籍企業が専ら利用しているのが実態です。今回の改正は、多国籍企業のリスクを一層軽減し、民間損保会社のリスクまで国に負担させようとするものです。
反対理由の第一は、海外の子会社や販売拠点からの輸出やサービスにまで貿易保険の付保を拡大することは、多国籍企業のリスクを更に公的保険に転嫁するものだからです。日系企業の海外子会社等から日本以外の国への輸出額は、今や日本から海外への輸出額に匹敵する規模にまで拡大しています。その一方、多国籍企業が世界中で上げた利益は、国内経済や国民生活には還元されてきませんでした。事業の多国籍展開に伴うリスクは本来親企業が負担すべきであり、多国籍企業にはその体力も資金力も十分にあります。公的保険がそのリスクを肩代わりすべきではありません。
第二は、原発も含むインフラシステム輸出戦略を推進するものになるからです。この間、インフラシステムの海外展開が進められており、原発輸出も成長戦略の一環と位置付けています。しかし、原発輸出には国民的な合意は得られていません。福島第一原発事故原因の検証もないまま世界最高水準を標榜するなど、決して認められません。
第三は、国内損保会社もNEXIの再保険の対象とすることです。法案審議においても、損保会社にまで再保険を拡大する理由が明確に示されませんでした。民間損保会社のリスクまで国に付け回しするものであり、実施すべきではありません。
一昨日、政府は、防衛装備移転三原則を閣議決定いたしました。武器輸出禁止の原則を大きく転換し、海外への武器輸出を可能にするものとなります。
武器輸出禁止は、衆参両院で全会一致で決議されたいわゆる国是でもあります。国会での審議も抜きに国の基本方針を百八十度転換するなど、到底許されることではありません。なし崩しに防衛産業にも付保対象を拡大することにつながるものであり、これまで武器を輸出してこなかったことで果たしてきた日本の積極的な役割や国際的な信頼を自ら傷つけ、掘り崩すことにつながるものであることを最後に指摘し、討論といたします。

〇委員長(大久保勉君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
貿易保険法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。

〔賛成者挙手〕

〇委員長(大久保勉君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、加藤君から発言を求められておりますので、これを許します。加藤敏幸君。

〇加藤敏幸君 私は、ただいま可決されました貿易保険法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、みんなの党、日本維新の会及び結いの党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
貿易保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 インフラシステム輸出など対外取引の健全な発達の推進を図るに当たり、在留邦人や日系企業等の安全対策に万全を期すこと。また、「在留邦人及び在外日本企業の保護の在り方等に関する有識者懇談会」の提言及び犯罪被害者等施策推進会議決定を踏まえ、海外での犯罪被害者に対する経済的支援制度の創設及び労災保険制度の運用改善など、被害者及び被害企業に対する救済措置の拡充に努めること。
二 独立行政法人日本貿易保険が行う貿易保険事業については、「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」との考え方に基づき、民間保険会社が引受け困難な分野を対象とするよう、詳細な制度設計を行い、民間保険会社の参入を妨げないよう配慮すること。
三 民間保険会社が充実した対外取引向け保険を地域の中小企業・小規模企業者へ提供できるよう、日本貿易保険による再保険の引受業務に係る周知を図るとともに、手続の簡素化に努めること。
四 独立行政法人日本貿易保険のリスク管理及び保険金査定等の業務運営、内部統制、コンプライアンス等の強化を図るための体制整備、並びに人材育成に引き続き取り組むこと。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

〇委員長(大久保勉君) ただいま加藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。

〔賛成者挙手〕

〇委員長(大久保勉君) 多数と認めます。よって、加藤君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、茂木経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。茂木経済産業大臣。

〇国務大臣(茂木敏充君) ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

〇委員長(大久保勉君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんですか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇委員長(大久保勉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。