国会レポート

高齢者医療 窓口で受診抑制(予算委員会)

2014年3月6日

(ページ下部に資料があります)

参院予算委員会 撤回要求

 日本共産党の倉林明子議員は3月6日の参院予算委員会で、4月から予定される高齢者医療費の窓口負担引き上げ問題を取り上げ、受診抑制や医療費の増加につながるとして中止を求めました。

 70~74歳の医療費について、4月以降70歳になる人の窓口負担が現行の1割から2割に引き上げられようとしています。

 倉林議員は、負担増になる世代は、前の世代(65~69歳)に比べて医療にかかる受療率が高まる上に、収入が減って年収に占める医療費窓口負担の割合も大きくなることを示し、「医療費が2100億円も削減される一方で患者負担だけ1900億円増えることになる」と指摘しました。

 さらに倉林議員は、窓口負担が重いことで治療を控え、治療を中断し症状が重症化する具体例を提示。受診を控えた結果、症状が悪化する患者の割合が1割負担で3.4%、2割負担になれば倍の7.1%になる、受診抑制と健康阻害の関係を示した日本医師会の調査もあげ、「結果として医療費の増加をもたらし、必要な医療から高齢者を遠ざける窓口負担の引き上げは撤回すべきだ」と主張しました。

 田村憲久厚労相は「過度な受診抑制は起こらない」と述べ負担増を正当化しました。

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第186回国会 予算委員会 2014年3月6日

平成二十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
平成二十六年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
平成二十六年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)

〇委員長(山崎力君) 平成二十六年度一般会計予算、平成二十六年度特別会計予算、平成二十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
これより質疑を行います。

〇委員長(山崎力君) 次に、倉林明子君の質疑を行います。倉林明子君。

〇倉林明子君 日本共産党の倉林明子でございます。
今日は、まず七十から七十四歳の患者負担特例措置の見直しについて質問したいと思います。
医療費の窓口負担を現行の一割負担から、四月以降七十歳のお誕生日を迎える方から二割負担にするというものです。完全に七十四歳までの負担割合の引上げが終わる二〇一九年度、ここで一体、医療費、給付費、国費、患者負担、それぞれ影響額をお示しいただきたいと思います。

〇政府参考人(木倉敬之君) お答え申し上げます。
今御指摘いただきましたように、七十歳から七十四歳、これは、法律上は二割負担とされていましたところを予算措置で、前の予算措置で一割負担に抑えてきておりましたけれども、昨年の社会保障制度改革国民会議の報告書、あるいはそれを受けてのプログラム法の検討規定が盛り込まれたことを受けまして、予算の上で、この四月から新たに七十歳になった方から段階的に一年ごとに本来の二割負担、それまで六十九歳までは三割だった方について二割の御負担ということでお願いをしたい。それで、五年を掛けてそういう方々が七十四歳まで進んでいく、それで全体が二割負担と。これまで一割負担でおられた方については、そのままの状態で進んでいくということをお願いしたいというふうに思っております。
今御質問いただきました影響でございますけれども、七十四歳までの全ての方が二割負担となります二〇一九年度、平成三十一年度におきましての予算で一割を補填をしておりました国費、この所要額は約二千六百億円減少すると推計をしております。
それから、二割負担とすることに伴いまして、それまでの方々に比べてどう受診行動が変わるかと、これも見込んでおりまして、この受診行動の変化によりまして、平成三十一年度で見れば、医療費そのものが約二千百億円縮減されるというふうな見込みを置いております。その中で、医療の給付費、自己負担を除いた給付費というのは約千四百億円減るというふうに推計をしております。
患者さんの御負担というのは、二割になることに伴いまして、これらによりまして、平成三十一年度では今よりも約一千九百億円増えるというふうな推計をしておるところでございます。

〇倉林明子君 この世代、七十から七十四歳というところ、ここの世代で見れば、結局、御説明あったとおり、医療費も給付費も国費も減ると、増えるのは患者負担だけやということだと思うんです。
このそもそも七十から七十四歳というのはどんな世代なのかと、ここ注目する必要があるというふうに思っているんです。六十五歳から六十九歳の世代と比べてみて、平均年収、そして一人当たりの医療費、これは年額でどうなっているでしょうか。

〇政府参考人(木倉敬之君) お答え申し上げます。
国民生活基礎調査を見まして、平成二十二年でございますが、これの平均の年収を見てみますと、六十五歳から六十九歳の世代で二百三十六万円、それから七十歳から七十四歳の世代で百九十八万円ということで、徐々に落ちていく状況にあります。
一方で、二十二年度の一人当たりの年間医療費につきましては、六十五歳から六十九歳の平均を見ますと四十一・〇万円、それから七十歳から七十四歳は五十五・六万円でございますが、その前後の世代と比べて、先ほどの一割負担での負担の割合というのは、六十五歳世代あるいは七十五歳世代よりも、この七十―七十四歳が低くなっておるのが今の実情でございます。

〇倉林明子君 七十五歳以上の負担割合が高いということが、これ問題だと思うんですよ。実際にはここを下げるということを考えていくべき中身じゃないかなと思います。
そこで、六十五歳と六十九歳代、これ比べて数を出していただきましたけれども、収入で見れば、六十五歳―六十九歳の層よりも、七十から七十四歳代は年収で三十八万円も減ると。一方で、掛かる医療費は大きく増えているということがはっきり出ていると思うんです。七十歳代、七十から七十四歳の外来の受診状況を見ればこれはもうはっきりしていると思うんですが、資料としても準備をさせていただきました。
お配りしております一枚目の資料、一番左の上を見ていただきますと、外来受診率を年齢階層ごとに区切っております。七十から七十四歳というところがぐっと跳ね上がっていることが一目瞭然だと思います。見ていただきますように、加齢に伴う疾患、歯の補綴等でも特徴的に受診率が、受療率が上がっているという傾向が見て取れるかと思うんです。
こういう、医療が必要になる、特に必要になってくるという世代で窓口負担増を実施するということが、受診行動に対してどういう影響が出るとお考えでしょうか、大臣。

〇国務大臣(田村憲久君) まず一点、確かに七十未満の方々と比べると、これ拝見すると収入が減ると。一方で医療費は掛かる。五十五万六千円という数字と四十一万円という数字を見ればそうなるわけでありますが、だからこそ三割負担というものが二割負担になるわけでありまして、今まで一割負担であったわけでありますけれども、二割負担に上がるとはいえ、それは三割から二割へと負担が七十歳を機に下がるということになっておるわけであります。
どれぐらい医療費が、給付が減るかというような話でありましたけれども、予算の中で組んでおります。ただ、これは長瀬効果というもの、長瀬式というものを見込んで今までやってきておるわけでありまして、機械的に今までの慣例に従ってそういう数字を入れました。ただ、多分、三割から一割に負担が減っておったものを三割から二割に負担を減らすというようなことは初めての試みでございますので、実態、どれぐらいこれが給付行動といいますか受診行動に影響するかというのは実態を見なきゃ分からないと考えておりますが、ただ、過度な受診抑制は掛からないものと、このように認識いたしております。

〇倉林明子君 過度な受診抑制は起こらないのではないかという御答弁でしたけれども、やってみたことがないので分からないと言いつつも、これまでで見ると医療費ベースで二千百億円減るという見込みですから、受診行動の抑制をこれだけ見込んでいると、これはそういうことじゃないかと思うんですよ。
一方で、これ日本医師会の調査も昨年九月に行われておりまして、その中で見ますと、受診を控えた結果症状が悪化したと、こういう患者さんが負担割合が一割負担という場合で三・四%なんだけれども、二割負担というところになると七・一%になっていると、これは医師会の調査結果でございます。受診抑制ということが、一割、二割というところで比べると、二割のところでやっぱり調査でも出ているということは紹介をしておきたいと思うんです。
そこで、これ大臣も、この受診抑制がどう起こってくるかということでいうと、あっ、失礼しました。戻りまして、患者の負担の引上げが、私、個人のレベルで問題にしているんじゃなくて、世代、七十から七十四のところにどんな影響が出るかというところに注目して質問をさせていただいているんですね。それで先ほども七十から七十四歳のところの受療率や受診率の変化等も紹介した。
そこで紹介したいのは、これ二枚目に入れたのはちょっと衝撃的な写真なんですけれども、受診抑制で、経済的な理由で受診を抑制するというのが大変歯科に特徴的に出ているんです。この歯科のところでの例を見るまでもなく、受診抑制が慢性疾患などに治療中断などが起これば、深刻な合併症で医療費も結局増加すると、こういうことは広くもう知られてきていることだと思うんです。
窓口負担、これを引上げしていくということは、病気の早期発見や早期治療にも逆行することになるんじゃないかと思います。いかがでしょう。

〇国務大臣(田村憲久君) 二割になったらというお話が先ほどありました。まだ二割になっていないので、結果ではなくて多分何か予想か何かの資料を出されたということですかね、まだ二割にはなっていませんから。実態として二割になったらどのような受診行動になるのかというのはこれからの話でございます。
ちなみに、三割から二割になる方はこの新しい四月から七十歳になる方でございまして、今までもう七十を超えている方々はそのまま一割のままでございますから、こういう方々は負担が増えるというわけではございません。ですから、負担は下がると、七十歳になると負担は下がるという中において、いや、新しい方々ばかりですからね、これ、今まで既存の方々はあれなので。新しい方々は負担は下がるという中において、一割に下がるのが二割にしか下がらないという中において、今委員おっしゃられたように、受診抑制が掛かって、歯科も含めていろんな慢性の疾患等々が悪化するのではないかというお話でございましたが、一方で、高額療養費に関しましては、これは今までどおり据置きということでございます。
そういうことを考えましても、一般の高額療養費から比べれば低いわけでもございますし、全てが全て負担が倍になるというわけではないわけでございますので、そういう意味では、一定の金額、自己負担の中で医療を受けていただくという中においては過度な受診抑制は行われないのではないかという下で我々は今回の制度設計をさせていただいておるわけでございます。

〇倉林明子君 過度なという表現を繰り返し使われておりますけれども、実際に五年間で影響額ということでの推計、出ている分では二千百億円と。こういう医療費の削減が起こるということは、それだけの受診の量が減ると、これははっきりしていることだと思いますので、その点は押さえておきたいと思います。
私、高齢者にとって三割が二割になるんだから一人一人見れば増えないという御議論あるんだけれども、この間、連続した負担増が起こっているわけですよね、高齢者のところで。国民健康保険料は上がるし、介護保険料は三年ごとに改定されて上がっていますよ、多くのところで。年金は減るばっかりなのに天引きされる保険料は増えるばっかりだと、こうした怨嗟の声とも言えるような声を聞いてきました。本当に高齢者に、ここに更に消費税の増税が加わった中で、年代としてここに負担増を掛けていくということははっきりしているので、必要な医療からやっぱり患者を遠ざけることになると。これは引上げの撤回を求めておきたいと思います。
次に、医療、介護、高齢者の住まいということで質問を続けたいと思います。
私、看護師を十一年間やっておりまして、高齢者の看護にも関わってきましたが、二十年前の当時でも、せっかくリハビリして良くなった高齢者の方々が、家族受けられないということで転々と行き先探さざるを得ない、大変苦い、苦しい経験をしたということもございました。
そこで、NHKスペシャルで「老人漂流社会」ということで番組を見せていただきまして、本当に今大変なことになっているということを改めて実感をさせていただきました。
ここで紹介された例、たくさんあるんですけれども、とりわけ、半年前まで普通の暮らしをしていた八十代の方だったと思います、七十まで仕事していたというんですね。家族と普通に暮らしていたんだけれども、奥さん突然亡くなると。体調崩したら、今度は一緒に暮らしていた息子さんが病に倒れると。嫁ぎ先に行っている娘を当てにしていたんだけれども、がんで、向こうの親の介護まであると。結局この方、一気に体調も悪くなって、一人で住むことができないと。で、支え手もない。どこに行ったかというと、無料低額宿泊所だったんですね。御存じのとおり、ホームレスが一時的に宿泊する施設です。
私、高齢者のついの住みかが見付からないと、こうした事態が先進国である日本で起こっていると、こうした事態についてどうお思いになるでしょうか。

〇国務大臣(田村憲久君) 住まいという意味からいたしますと、今我々、地域包括ケアシステムというものを一つ大きな柱に据えながら、地域でそれこそやはり自分の人生を全うされたいという方々が六割ぐらいおられるという、そういうアンケートがございますので、そういう意味では、医療、介護、住まい、予防、さらには生活支援、こういうものをパッケージでというふうに考えておるわけでありますが、もちろん特養も必要でありますし、それから、昨今言われておりますサービス付き高齢者住宅、こういうものも整備していかなきゃならぬというふうに思っております。
ただ、一方で、在宅で対応という意味、これも大変大きいわけでありまして、二十四時間介護が受けられる、また看護もやってくる、さらには訪問診療でありますとか往診というような形で医療も提供できる、こういうようなことを整備していく中において、ある程度の状況までは御自宅で御生活をいただきながら介護や医療を受けていただく、こういうような方向性を今目指しておる。
もちろん、それではどうしても生活できないという方々に対しては施設という形になるわけでありますが、これ、両輪をしっかりと動かしていくという形の中で今般の新しい法律を出させていただいておるような状況でございます。

〇倉林明子君 ところが、高齢者の実態はどうなっているかというと、それぞれの、厚生労働省等の資料もお付けしましたけれど、高齢の単独、夫婦のみという高齢者世帯が本当に増えているし、家族もそれを支えられない低所得化、貧困化というのはかつてなく進んでいるというのが実態です。住み慣れた家で暮らしたい、最後までという願いは本当にあるんだけれども、現状は本当にできていないという実態がある。施設に入りたくても入れない、こういう状況がある。満杯だからですよ。
医療、介護の一体改革でパターン一という形で示されたものも資料に付けました。二〇二五年度、一体どんなところを目指すのかという資料です。厚生労働省が推計値として出しているものを入れました。これで見れば、医療のベッドも介護のベッドも本当に減っていくということになるんです。
私、一点、今ある施設の活用ということで求めたいのは、養護老人ホームなんです。この養護老人ホームが今定員割れの実態にある、これは御存じだと思います。これを本当についの住みかとして措置ができるような財源確保も必要だと思うし、ここに対するしっかり措置できるような、整備していけるような手だてを打つべきだと考えますが、いかがでしょう。

〇国務大臣(田村憲久君) 低所得の方々の住まいという意味からすれば、空き家などを活用するという方法も今我々考えておりますし、それから軽費老人ホーム、これを整備していくということも一つの方向だと思います。
 養護老人ホームに関しましては、これも御承知のとおり、一般財源化を平成十八年、三位一体でさせていただきました。そういう意味からいたしますと、これに関しては地方の責任になるわけでありますが、ただ、地方債の対象でございまして交付税措置をやるということでございますので、そういう意味からいたしますと、二分の一、これは地方債を発行していただきながら交付税措置の中において地方で整備していただければ有り難いというふうに思っております。

〇倉林明子君 ありがとうございました。

〇委員長(山崎力君) 以上で倉林明子君の質疑は終了いたしました。(拍手)