国会レポート

野中廣務参考人に対する質疑(国の統治機構に関する調査会 参考人質疑)

2014年2月19日

首相解釈改憲論は「誤り」

 野中廣務元官房長官は2月19日、参院・「国の統治機構に関する調査会」に参考人として出席し、安倍晋三首相が狙う解釈改憲による集団的自衛権の行使容認について、「憲法上から、いまの内閣の歩んでいる道は非常に誤りつつある」と批判しました。日本共産党の倉林明子議員が「国会も内閣も憲法の要請にどうこたえるかが重要だ」と指摘したのに対し、見解を述べたもの。

 野中氏は冒頭の意見陳述で、民主、自民、公明などが決めた4月からの消費税増税について「政党間で合意されたことはほとんど無視され、社会保障制度の充実どころか劣化し、消費税の増税だけが先行されるのではないか」と懸念を示しました。

 野中氏は解釈改憲に関し、「内閣は自分たちの行動に高揚し、それを自信としているような危険がある」と指摘。「せこいやり方であり、基本を間違ったやり方だ」と断じました。また、安倍首相の靖国神社参拝については「そのことがこの国の前途を誤ることになる」(自民党の有村治子議員への陳述)と主張しました。

 NHK会長らの暴言について「国家の危機として国会できちんと問題にすべき」だと厳しく批判しました。

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第186回国会 国の統治機構に関する調査会 2014年2月19日

国の統治機構等に関する調査
(「時代の変化に対応した国の統治機構の在り方」のうち、議院内閣制における内閣の在り方(内閣の総合調整機能及び国会との関係))

〇会長(武見敬三君) 国の統治機構等に関する調査を議題といたします。
「時代の変化に対応した国の統治機構の在り方」のうち、「議院内閣制における内閣の在り方」について調査を行うに当たって、本日は「内閣の総合調整機能及び国会との関係」について元内閣官房長官・社会福祉法人京都太陽の園理事長野中廣務参考人から意見を聴取いたします。
この際、参考人に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
議事の進め方でございますが、まず野中参考人から二十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、野中参考人にお願いをいたします。野中参考人、どうぞ。〇参考人(野中廣務君) 野中でございます。
今日は、少々声を痛めておりますのでお聞き苦しいところがあろうと思いますが、あしからず御了承をいただきたいと存じます。
議院内閣制について、大変重要な問題につき意見を求められたのでございますが、誠に光栄に存ずるとともに、皆さんの参議院としてのお立場に、こういう視点に目を付けられたことに深い敬意を表する次第であります。
さて、私、野中廣務は、二十五歳で町議会議員、三十三歳で町長、四十一歳で京都府の議会議員、五十三歳で京都府の副知事を経由いたしまして、昭和五十八年、衆議院議員に当選をさせていただき、与党・自由民主党の幹事長、内閣では自治大臣・国家公安委員長、内閣官房長官、沖縄開発庁長官に就任をさせていただきました。これら地方自治の三十三年間、国会議員としての二十年間に参画した経験を踏まえまして、今日的問題点を中心に私の率直な意見を申し上げたいと存じますので、何とぞ御了承いただきたいと存じます。
何分、浅学非才な私でありますし、また、既に政界を引退して十年を経過するわけでございますから、委員各位の御参考に供することは少ないと存じますし、むしろ不満や不愉快なこともあろうと存じますが、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。
御承知のように、日本国憲法は、立法権と行政権をそれぞれ国会と内閣が担当することを前提に、内閣は国会の信任に依拠して形成され、維持されることになっております。また同時に、内閣は、衆議院による内閣不信任案の可決又は信任案の否決には解散をもって応え、それ以外にも解散を行うことができるものとしております。それが我が国の議院内閣制の基本であると存ずるわけでございまして、今日では世界のモデルとも言われておると聞いております。
しかし、ここ数年間、政治の実態を眺めておりますと、憲法が規定し、期待するものと相当に異なったことが平然として行われているように申し上げざるを得ないと存ずるのであります。具体的な指摘をいたしますと「議院内閣制における内閣の在り方」というテーマについての意見となりますので、そのように御理解をいただきたいと存じます。
まず、民主党に政権交代したのが平成二十一年でございましたが、二人目の総理でありました菅直人さんは就任のときに、議会政治は時間を限定した独裁政治と同じという発言をなさいました。このとき、私は我が国の議院内閣制に危惧を持つことになりました。と申しますのは、議院内閣制というのは、内閣は議会の信任に根拠を置いて存在しております。一方に、内閣は、議会の解散権、日本では衆議院でありますが、これを持つことによって議会と内閣との間に連携と均衡の関係を保つことで政治が行われるわけでございます。議会政治は時間を限定した独裁政治と同じという思想ですと、議会で多数を得て信任された内閣は、任期中、国会を無視して政治を行えるという極論を得ることにもなろうと思います。
内閣が議会の信任を得た多数、すなわち与党の政策を実現することは当然のことですし、しかし、多数決で信任されたといって、与党だけの内閣ではありません。議会が信任した内閣であります。そこで、大切なことは、与党の政策を実現するにしても、少数派の、すなわち野党の意見を表明させる機会を与えることは議会制民主主義の鉄則であります。さらに、必要とあれば、野党の意見を取り入れることも議会政治には期待されるところであります。
私は、第一次小渕内閣時代に内閣官房長官を平成十年の七月から平成十一年の十月までやらせていただきましたが、この間、参議院が与野党逆転で大変な苦労をしたことを今思い起こしておる次第であります。時の今は亡き小渕恵三総理の政治信条は、自民党から選ばれた内閣という意識は全くなく、国会から信任された内閣だから、野党側の意見を徹底的に聞き、妥協できるところは妥協するという姿勢で臨んでこられました。もちろん、総理の信念の下に、私も独裁政治のようなことができるといった発想は持ったこともなく、反対されても議院内閣制は与野党の国政を運営することが基本だという思いで政治に関わってまいりました。
若干私が体験した例を申し上げますと、まず、あの深刻な金融不安のときに金融法案をめぐっていろいろと徹夜の議会が続きましたが、最後に、金融再生法につきましては、私が総理の了解を得て民主党の案を丸のみしたという経過がございます。また、平成十一年の自民党と自由党との連立の際に、議員立法でありましたが、自由党が要求した国会審議活性化法を成立させた。これは、党首討論、さらに、政府委員制度の廃止、副大臣、政務官制度の創設等を内容とするものでございまして、官僚側からは強い抵抗もありましたが、国会審議に官僚が関わる機会を少なくし、国会議員の審議の参加を多くする改革でありまして、議院内閣制を活性化する狙いであったと存ずるわけでございます。
ただ、今振り返ってみて、最近の各委員会、本会議等の答弁等を聞いておりますと、やはり政府委員制度の廃止というのはいささか議会の運営の上に私どもは反省をしなければならないところがあったんではなかろうかと、このように考えることがございます。
約三年三か月続いた民主党政権において、議院内閣制の運用を見ますと、実態の面でいろいろな変化がございました。それは、国会論議が、裁判所の論争のような特定の意図を持って政府側を攻撃することは、ルールの範囲で審議権の行使です。これに対応する内閣側は、私たちの時代と違って、野党の主張を一旦包み込んで野党を説得的に反論するという方法でなくなってまいりました。最初から野党の主張は誤りであるという対応で内閣が行うという場面が多く見かけられたと存じます。
この結果、予算委員会の質疑などは民事裁判の法廷闘争のような雰囲気になり、著しく国民に不信感を抱かせてしまったという感じを持っております。これでは、議院内閣制の持つ国会と内閣の連携と均衡の機能を失わしめるものでございます。
原因は、野党の質問が形骸化したこと、そして、内閣の答弁が理屈だけで野党に勝とうという、いわゆる論点をかみ合わせることがなく、意見の違いから共通なことを合意していくという議会政治の本旨が失われてきたと存ずるのであります。
その一方で、民主党政権は、総選挙で国民との公約を無視したという表現を、まあ失礼ですが、与えても仕方がない、社会保障の充実をさせるという名目で、自民党、公明党等を含めて消費税の増税を決定いたしました。その後、政権交代があったとはいえ、政党間で合意されたことはほとんど無視されて、現状は社会保障制度の充実どころか劣化させた、消費税の増税だけが先行させるという結果になるのではないかと今危惧をしておるところでございます。国民の政治不信の一因となっていくことを大変私は心配をいたしております。
平成二十四年の暮れに、自民・公明連立政権に交代をいたしてからの内閣の在り方について申し上げておきたいと存じます。
民主党政権の時代に比べて、両院で与党が圧倒的に多数となり、野党側が少数で、なおかつ結束がされずに、与党との協力関係を結ぼうとする野党が存在する状況で、我が国の議会、議院内閣制の微妙な変化が始まってきたというように感ずるのであります。それは、与党と内閣の関係希薄化と申せます。内閣、それも首相から突然に発信する重要政策などが与党で十分論議されていないという問題であります。これは、政党政治の在り方に問題となりますし、首相のブレーンが重要政策をまとめ、メディアを利用して正当性を国民にPRし、与党や国会での議論を形骸化するという傾向が現れてきておると思うのであります。
特に、外交・安全保障問題や経済政策などについて、偏った立場のブレーンを集め、公的あるいは私的諮問機関で首相の主導される政策の事実上の確定を行っておるのではないかと考えるときが多うございます。時には内閣の内部調整も不十分となる傾向が出てきておると感じます。
議院内閣制という統治形態であっても、政策の内容を実質的に決めるのは諮問機関であり、ブレーン諮問内閣制です。そして、与党での議論と国会での野党の議論が形骸化していけば、議会制民主政治は機能不全となります。野党の状況もあり、今日相当な危険な状態、事態になっておると言えるのではないかと心配をしております。
次に、内閣の総合調整と国会との関係について申し上げます。
内閣の役割については、憲法七十三条に一般行政事務のほか七つにわたる事務を規定しておりますが、そのトップに「法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」との規定がございます。法律を誠実に執行するということについては、国会が制定した法律が誠実に執行されているかどうかを国会が監視するので、それに応えなければなりません。国務を総理することとは分かりにくい言葉でありますが、私は、国政の在り方が適切な方向を向いているかどうか、総合的に常に調整していかなければならないという意味だと考えております。
国会との関係で申しますと、内閣として、現存している法律を誠実に執行していくだけでなく、いかなる法律が必要であるか、そのためのどのような目的、性格、内容の法律を国会で制定してもらうか、そのための方途について関係機関の総合的調整が必要となると存じます。
内閣の総合的機能の内容を難しく言えば、総合管理機能と総合企画機能の二つに分けられると思うのでございます。御承知のように、国政といえば一般日常的な行政事務だけではございません。戦争、紛争、災害、事故、事件、そして政治的、経済的混乱、その他もろもろの問題を処理し、国民の安全な生活を保障するというのが内閣、行政権の役割でありまして、その行使について国会に対して連帯して責任を持つというのが内閣であろうと存じております。
こういう憲法の要請に昨今の議院内閣制はどう応えているのか、これまで申し上げたことを繰り返しはしませんが、私は極めて不安に感じておるのが現状でございます。
次に、内閣の持つ衆議院解散権について若干述べておきたいと思います。
議院内閣制という国会の関係で最も重要な問題は、内閣が衆議院の解散権を持っておるということであります。この内閣の持つ解散権を内閣総理大臣の専権事項として政治家もマスコミも有識者も当然の憲法上の権利のように理解しておるのは、これはとんでもない私は誤りだと存じております。
憲法七条は、天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事について行為を行うとして、第三項に「衆議院を解散すること。」と規定しております。解散権が内閣総理大臣の専権とはどこにも規定しておりませんが、内閣の助言と承認というのが原則でございますので、内閣に権限があるということを改めて認識をしていただきたいと思うのであります。
なぜ内閣総理大臣の専権事項と言われるような状態になったのか。それは、内閣を構成する国務大臣の任命権と罷免権を総理大臣が持っておるということから解釈されていくと、今日まで定着したのではないかと思うのであります。内閣総理大臣の解散の意思に反対する国務大臣を罷免して賛成する国務大臣に入替えをして解散権を行使するか、罷免した大臣を内閣総理大臣が兼任するという方法も考えられて、それによって解散権を行使できるから専権事項だという理論もございます。しかし、これは解散をめぐる政治的利用という事実行為に影響されるもので、これをもって専権事項というのは言えないのではないかと思うのであります。
終戦直後の混乱期に作られた慣行を専権事項という言葉で内閣総理大臣の個人的な権限に解釈することは、正しい憲法運用とは言えないと思うのであります。憲法上の権限は、合議制である内閣に解散権があるということは明確であります。事実問題にして、内閣の閣議で議論して、多数の反対論者を罷免して内閣総理大臣で継続して、この内閣の権限として他のこういう内閣の反対する閣僚を罷免して新しい大臣を選んだり、また、総理大臣がこれを兼務してやるようなことが正しいとしたら、そのときには新しい政治的な動きが出てくると思うのでございます。
問題は、解散権は内閣総理大臣の絶対的専権事項だとほとんどの政治家が思い込み、信じ切っておることでございます。そのことが解散権を濫用させる原因となり、議院内閣制の適切な機能の障害になっておると思うのでございます。解散は内閣の閣議で議論し、内閣総理大臣の総合的判断ということ、事実行為の中で行使されることになっておると思うのであります。
最後に、議院内閣制の在り方について、先人の教えを参考のために申し上げておきます。
昭和五十三年の十二月に第一次大平内閣が成立いたしました。大平正芳首相は多くの有権者に、議院内閣制における統治能力とはいかなるものであるかという意見を求められたと聞いております。いろんな有識者の意見を大平首相はおまとめになって、議院内閣制での適切な統治能力とは戦略的自己抑止能力である、戦略的な自己抑止能力であると、このように位置付けられたということを聞いております。この意味をどのように考えるかは議員各位の御判断にお任せするといたしまして、粗雑でありましたが、私の考えを申し述べさせていただきました。
失礼をいたしました。〇会長(武見敬三君) ありがとうございました。
大変長い政治的な御経験に基づいての大変貴重な御意見であったと思います。
以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。

〇会長(武見敬三君) それでは次に、倉林君。

〇倉林明子君 今日は本当にありがとうございます。京都選挙区から参りました共産党の倉林でございます。
先ほどの陳述の中でも、強く、戦争に巻き込まれない、戦争を起こさない、戦争してはならないと、この教えをしっかり正面から受け止めて、政治家として成長していきたいと思いました。
さらに、今回の議院内閣制における内閣の在り方を考える場合でも、先ほど来繰り返し指摘されております、憲法の要請にどう応えるかと、大変大事な指摘と観点だろうというふうに思いました。本当にこの議院内閣制における内閣の在り方を考えるという場合、重要だと思うのは、国民主権の下で議院内閣制を採用している、ここは憲法の要請に応えるという点からも大事なところだろうと思います。
憲法は、民意を正確、公正に反映した国会の形成と、その国会から内閣総理大臣を指名し、民意を忠実に執行する内閣を組織すると、こう命じているということだと思うんですが、内閣を代表する安倍総理大臣が、これまでの憲法解釈を変えて、集団的自衛権の行使について、先ほど御指摘ありましたように、政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることで可能であり、憲法改正が必要との指摘は当たらないと、こういう答弁をされました。
私、安倍総理の発言というのは、従来の憲法解釈の全面的な否定であるというふうに思いますし、この安倍総理の国会答弁に対して、先ほど参考人はせこいという表現をお使いになりましたが、もう一歩踏み込んで、そういう憲法解釈の全面的な否定という点から見て御意見を伺っておきたいと思います。いかがでしょう。

〇参考人(野中廣務君) 憲法上から、今の内閣の歩んでおる道は非常に私は道を誤りつつあるというように心配をしておることを先ほども申し上げましたが、そのように思います。
先生がお出ましになりました京都は、長い間、蜷川虎三さんが七期二十八年間おやりになったところでございますが、あの頃、京都府下に掲げられた表現は、憲法を暮らしの中に生かすという垂れ幕があらゆるところにございました。しかし、私は、あれは憲法の都合のいいところだけ生かすという、そういうように反論をしておりましたが、そういうことと同じように、今行われておる問題は非常に私自身危惧を持つようなそういうやり方が今行われており、やや内閣は今、自分たちの行動に高揚し、またそれを自信としておるような危険があるのではないかということをあえてこの席で申し上げたのは、私にとって勇気ある発言であったと思いますが。
是非、諮問機関のブレーンの一人もお替えになりましたので、残念ですが、やはりそういう点を謙虚に考えて、日本のこの行く手を考えてくださらなければ国の形が変わっていき、特にまた先般のNHKの会長や経営委員の発言を考えてみたときに、ああいうことがそれほど大したことのない個人的発言じゃないかという、そういうことに片付けられて、国会もそれを唯々諾々とのんで強く辞任を求めないという状況は、あの私が逓信委員長のときに、大変多くのプレッシャーがありましたけれども、国会における虚偽の発言について徹底して追及して、ついに当時の島会長が辞任をされることがあったということを思い起こすと、もっと国会の先生方が、責任の在り方を内閣に任すんじゃなしに、自分たちがその場に呼び込んで、徹底してこの人たちの在り方を究明していただかなければ私はならないと思うのであります。
百田さんが、あの人権を無視したような、人間のくずとか、あるいは南京虐殺はなかったとか、そんなことを言われますけれども、非常に中国との関係が難しいときに、一度でもあの虐殺記念館に足を運んだことがあるのかと私は言いたいと思うのであります。百田さんのあのベストセラーになりました「永遠の0」という本を見て、二回も読み直して涙を流した自分が悔しゅうございますし、映画を見に行ってまた涙を流した自分が悔しい思いを今しておるわけでございまして、国会が国会としての機能を果たすためには、唯々諾々としてあのような形で収めるんじゃなしに、会長や経営委員がこういう形でNHKのこれからの経営に関わっていくということを非常に国家の危機として考えていただくような責任を持ってもらいたいと念願してやまない次第であります。

〇倉林明子君 ありがとうございます。NHKのことについてまで言及をいただき、ありがとうございました。
立憲主義の立場からいっても大変心配しているということを率直に言われたんだと思うんですが、集団的自衛権の行使というのは現行憲法の下ではできないものだというふうに思っていますし、そういう意図で発言をされたのだろうというふうに思います。
そこで、お書きになった著書の中で、「老兵は死なず」だったと思いますが、九九年の通常国会で成立した法律の紹介されているくだりがあったかと思います。その後に感想的に述べられているところがあって、無責任なようだが、官房長官という調整役で法案が次から次へと通っていくのを日々見ながら、小渕内閣が安泰となったことに満足する反面、実は私は怖さのようなものを感じていたというふうに述べておられるくだりがあります。
今の安倍内閣も次から次へと法案を通過させているという状況がありまして、臨時国会では特定秘密保護法の強行可決ということがありました。この特定秘密保護法そのものが我々は立憲主義を否定し憲法を壊すことにつながるものだという立場から反対もしたわけですが、改めて、臨時国会で強行可決されたこの特定秘密保護法をめぐって率直な御意見も伺えればと思います。

〇参考人(野中廣務君) 既に議席をもう持たない私でございますから、そういう点で意見を求められても、私がとやかく申し上げる立場にはございません。
ただ、私は、一人の国民として、ああいう法案が十分な審議とまた立案のときの詰めが行われないまま国会を通っていくという怖さを、一人として、古い時代に生きてきた人間として感じておる次第であります。

〇倉林明子君 最後に、最初の質問とも関連してなんですが、民意を正確、公正に反映した国会の形成、この国会が内閣総理大臣を指名するというところで、改めて今の国会が果たして民意を正確、公正に反映しているだろうか。
先ほど選挙制度についての御意見が述べられましたが、御懸念の方向性と一致するのかと思いますが、今の小選挙区制、とりわけ衆議院では、衆議院で四割の得票で七割から八割の議席を得てしまうと、こういう選挙制度で、こういう選挙制度には明らかに弊害があるというふうに思います。その上で、鏡のように民意を反映する選挙制度の再構築が改めて必要だというふうに考えます。
先ほど少しお触れになったところで見解をお示しいただければと思います。

〇参考人(野中廣務君) 先ほど答弁を申し上げましたように、現在の選挙制度が、総務省にある、所管される選挙調査会にどのように付与されて審議されておるのか、私は非常に心配をして、定数問題を含め、選挙制度の在り方を含めて、やはりもう一度選挙制度の根本についてお考えをいただく機会ができれば、日本の健全な民主主義の発展に大きく寄与するのではないかと。今のように人口だけで議員定数が決められていくのは、非常に私はこれから地方の声を反映することができなくなってくるのではないかということを、また、政策が今そのように進んでおるところに、やはりその声を代表する議員が出てこないところに多くの問題があると思いますので、先ほど申し上げたように、人口割り、さらには面積割り、さらに二、三回の投票率割りを加味して定数というのは考えていただくべきではなかろうかと、このように考えておる次第であります。

〇倉林明子君 先ほど、京都では憲法を暮らしに生かそうという垂れ幕が至る所に掛かっていた時代があったと御紹介がありました。七期二十八年、あれから四十年となります。新しい京都の地方政治に、本当に全面的に憲法が暮らしに生かされるような地方自治体づくりに私も貢献したいということを表明しまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。