倉林明子

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丹後織物業最低工賃問題について(経済産業委員会 大臣所信に対する質疑)

(ページ下部に資料があります)

 倉林明子議員は、11月5日の参院経済産業委員会で、国際的なブランドである京都・西陣織の7割を支えている丹後地方の織物業が深刻な危機に陥っていることを示し、政府が対策を講じるよう迫りました。
 倉林議員は、丹後地方で生産された西陣織の2種類の生地の現物を見せ、「丹後地方は日本の和装用白生地の60%を生産するわが国最大の絹織物産地」と紹介。1989年からの23年間で生産高と生産者数ともに85%も減っている事実を示し、産地を保全するため、最低工賃の引き上げを政府に求めました。
 家内労働法では「最低工賃は、最低賃金との均衡を考慮して定めなければならない」と規定されていますが、丹後の最低工賃は12年間据え置かれたままで、最高額でも時給換算で750円。その額を大きく割り込み、200円~300円にまで落ち込んでいます。倉林議員は、「織手は80代と高齢。このままでは職人が消滅してしまう」と訴えました。茂木敏充経産相は「最低工賃の問題については、検討させていただく」と答えました。倉林議員は、産地がとことん疲弊している中で「消費税の増税は日本の伝統を支える産地をつぶす」とし、来年4月の消費税増税中止を強く求めました。

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第185回国会 経済産業委員会  2013年11月5日
〇倉林明子君 日本共産党の倉林明子でございます。今日は地元京都の地場産業の問題について質問させていただきたいと思います。
  最初に、茂木大臣は所信で、日本経済を支える全国四百二十万の中小企業・小規模事業者が果たす役割が鍵だというふうに述べられております。中小企業・小規模事業者が元気になってこそ地域経済、地域雇用が改善されるというふうに考えますが、いかがでしょうか。

〇国務大臣(茂木敏充君) そのように考えております。

〇倉林明子君 そこで、十月二十五日、全国中小企業団体中央会など四団体に対して大臣自身が賃上げの要請も行われたというふうに伺っております。
そこで、中小企業や小規模事業者が賃上げを行えるような環境をつくっていく、これが経産省としても大変大事な仕事だと思いますが、いかがでしょう。

〇国務大臣(茂木敏充君) 十月二十五日に開催をいたしました中小企業関係四団体との懇談会でありますが、一つの目的は、安倍政権としてこれまで取ってきた経済対策、特に中小企業・小規模事業者対策について、さらには今回の経済政策パッケージについてしっかりと御理解をいただく、その説明であります。
同時に、我々としては、企業の収益、これを賃金や雇用、こういった形につなげ、さらにそれが消費につながり、消費の拡大が生産や投資の拡大を生む、こういう好循環をつくっていきたい。こういう好循環の実現に向け、経済界の皆さんにも、賃上げを含め前向きな行動をお願いしたい、こういう趣旨でお集まりをいただいたところであります。
同時に、経済界の皆さんに対しては、単にアベノミクスによって生まれた収益を賃金の引上げだけではなくて、関係企業、そして中小企業との取引条件の改善、こういうことにつなげてほしい、こういった要請も行っているところであります。
大企業と比べまして、中小企業、小規模企業、それは企業によりますけれども、なかなか賃上げが行える環境に至っていない会社もあるわけでありまして、そういった賃上げ等々が行えるような環境をつくってまいりたい、そのための様々な施策をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

〇倉林明子君 そこに踏み込んで、賃上げが中小企業でもできるような環境をどうやってつくっていくのか。是非、京都の産地の実態を御紹介いたしますので、御検討いただきたいなと思っております。
京都を代表します織物で、西陣織というものは国際的なブランドとなっております。この西陣織の生産の七割を支えているのが京都北部の丹後という地域になります。この丹後地方では、日本の和装用白生地、これの六割を生産しておりまして、我が国最大の絹織物産地と、現状でもそういうことになっております。
どういうものかといいますと、現物を持ってまいりましたので、是非紹介したい。(資料提示)これがいわゆる白生地でございます。そして、これが紋が抜いてある生地でございまして、いずれも丹後産地で生産されているものです。こうした丹後の絹織物は実は大変歴史が古くて、奈良時代のものが正倉院の御物として納められているというものでございます。歴史と伝統があるこの西陣織、丹後ちりめん、地域の雇用、そして地域の経済、さらには日本の文化も支えてきたと言っても決して私言い過ぎではないと思うんです。
ところが、現状はどうかということで、資料を今日は配付をさせていただいております。二枚物になっておりますが、二枚目が数値でございまして、組合員数というのは生産者数、職人数と置き換えて考えていただいてもほぼいいと思います。生産反数と二つのデータをグラフにしたのが一枚目のものでございます。これ一九八九年から二十数年の推移を取っておりますが、もう見事に右肩下がりのグラフになっておりまして、一九八九年当時、三百十五万反の生産高だったものが二〇一二年には四十五万反という状況で、それにほぼ匹敵する形で生産者も減っていると、織り手が本当に急激なテンポで減っているというのが産地の実態なんですね。私、この現状というのをグラフで紹介をさせていただきましたが、大変深刻な実態になっているというふうに思うんですが、大臣の認識は、見解はいかがでしょうか。

〇国務大臣(茂木敏充君) 丹後地域の絹織物、これは奈良時代に始まり、そして産業としても恐らく三百年近くの歴史を有するものでありまして、他の絹織物には出せないしなやかな肌触りを持って、白生地をお示しをいただきましたけれども、これの全国シェアの六割を占める日本第一の産地であります。ただ、事業所数であったりとか生産量、そしてまた織工の数、大きく減少しておりまして、業況大変厳しいものがある、このように認識をいたしております。

〇倉林明子君 この需要の低迷に加えて、デフレ経済の長期化で本当にコスト競争が大変激化しております。供給過剰という状況がしわ寄せとして職人、機を織る労働者のところに行っているというのが現地の状況でもあります。
そこで、丹後で機織りをする労働者の賃金、これが一体どんな状況になっているのか、厚生労働省に来ていただいておりますので、確認をさせていただきたいと思います。
家内労働法の定めによる最低工賃が規定されております。この地域における最低工賃、種類たくさんありますので、帯の最高額のところが幾らになっているのか、同時に、この地域で最低賃金が幾らになっているのか、併せて額でお答えください。

〇政府参考人(鈴木俊彦君) お答え申し上げます。
丹後織物の帯の最低工賃でございますが、織機の規格に応じまして一万越当たり定められております。最も高い最低工賃は千四百九十八円でございます。また、京都府最低賃金でございますが、七百七十三円でございます。

〇倉林明子君 確認を一点させていただきたいんですけれども、家内労働法で定めています最低工賃、これには守る義務があるということでいいと思いますが、確認。同時に、この最低工賃を定める場合、最低賃金との均衡を考慮して定めなければならないと、いずれも家内労働法での規定があると、これでよろしいでしょうか。

〇政府参考人(鈴木俊彦君) ただいま御指摘のありました二点とも先生の御指摘どおりでございます。

〇倉林明子君 ところが、この丹後の最低工賃、今お示ししていただいた額は一万越当たりの額、一万越のこの越という単位は、織物を一回がっちゃんとやる、これが一越でございまして、時給換算をいたしますと最高額でも七百五十円程度にしかなりません。この額が実は十二年間改定なしで据え置かれたままとなっております。この額がじゃ払われているのかといいますと、そうなっておりませんで、この最低工賃が常時割れるという状況で、実際のところ、手元の職人さんのところに行っている工賃は、何と時給二百円から三百円台という状況がこれ続いているわけです。
こういう状況が長期化している中で、実際に織り手が今どんな状況かといいますと、八十代の方がこの伝統を守って、技術を守って織り手の中心になっていると。年金があるから生活がやっと成り立っているというような状況になっているわけです。私、このままでは職人が消滅してしまうという産地の声は、本当にそのとおりだと思って受け止めております。
今、業界挙げてこの最低工賃の引上げに私は取り組むときだし、産地を保全するためには待ったなしの課題ではないかと考えますが、いかがでしょう。経産大臣に産地の問題として答弁をお願いしたい。

〇国務大臣(茂木敏充君) 私の地元も栃木県の足利市です。御案内のとおり、織物の産地として長く栄えてまいりました。ただ、昭和三十年代以降の状況を見ますと、大変厳しい状況の中で、それぞれがいかに自分の持っている技術の付加価値を上げるか、様々な取組をやってきたところであります。
当然、機屋の皆さんの工賃の問題あるわけでありますけれども、工賃そのもの、これを単純に引き上げますと、それはコストですから、それが最終的な価格の引上げにつながって需要そのものが落ちてしまう、こういう逆効果にもなりかねないということでありまして、例えばレースの生地、こういったものを様々な形のクロスに使ったり、今レースドールというのがはやっております、かなり。これも付加価値高いんですよ。こういったものも作っていかなければいけないと思っておりまして、経済産業省では、民主党政権以前の平成十八年から二十年にかけまして、JAPANブランド育成の支援事業で丹後シルクのブランド化を支援をしてきたところであります。
今後、地元より更に具体的な御要望がございましたら、例えばクール・ジャパンなどの取組を通じたブランディングによります新規事業の掘り起こし、さらには着物以外での絹織物の新規用途開拓と、こういったことも支援を検討してまいりたいと考えております。

〇倉林明子君 最低工賃の問題を本当に産地保全の問題として考えていかないと産地守れないと、そういう状況になっているということをしっかり受け止めていただきたいと思うんですね。
先ほどおっしゃったように、中小企業・小規模事業者のところでも賃上げが必要だと、これは本当にそのとおりだと思うんですね。その環境をどうやってつくるのか。私は、厚生労働省任せではこの問題は解決しない、産地が一体になってここを引き上げるという取組が絶対必要だということを申し上げておきたいと思うんです。
その上で、平成二十年、本会議でのやり取りがございまして、この家内労働法の最低工賃をめぐるやり取りです。当時の福田総理が答弁されています。家内労働者の最低工賃についても、最低賃金との均衡などを考慮しつつ適切に見直すとされているんです。ところが、あれから五年、一個も伸びていないんです。
私は、政府全体としても最低賃金と併せてこの最低工賃問題を考えて、引き上げるということで頑張っていただきたいと思うんです。いかがでしょう。

〇国務大臣(茂木敏充君) 最低工賃の問題、検討はさせていただきます。
ただ、申し上げたいのは、工賃だけで全てが解決しないと。いろんな産地において新しい取組をしてきているんです。単にこの工賃を上げれば問題が解決するんだったら簡単なんです。そうではなくて、どう職人の皆さんが持っている技術であったりとか、その産地が持っているいろんなノウハウ、こういうものを使っていくかということを考えなければ私はいけないと思っております。

〇倉林明子君 一緒に、本当に底辺で働いている、低賃金で働いている人たちの賃金引き上げようと、この点では違いないし、私、けんかしようと思ってこの問題取り上げているわけではございませんので、よろしくお願いしたいと思います。
そこで、産地が今とことん疲弊しているということで、この間、経済対策で進みました円安、これが丹後の産地に大変大きな打撃を与えております。一〇〇%原材料は輸入という現状になっております生糸の値段が、キロ五千円から八千円というところで高止まりをしております。さらに、こうした製品に仕上げるためには精練ということで大量の油を使って製品化をすると、大量の燃料を使って製品化するということになります。この燃料が価格高騰をしているところに、この間の電気代の大幅な値上げがこたえております。ここに今消費税の増税かという怨嗟の声が産地には広がっております。私、今の現状に消費税の増税ということになれば、このまま来年四月の実施ということになればとんでもない打撃を与えることになると思いますが、いかがでしょうか。

〇国務大臣(茂木敏充君) 為替につきましては、どのレートが適正であるか、これは難しい問題であると考えております。その上で、過剰な円高の是正は必要である、こういう認識の下で、元々我々としては、為替をどうするということではなくて、デフレからの脱却ということを中心にしながら政策を進めてまいりました。
その上で、最近の為替の状況から、原材料、燃料価格が高騰する、一方、三・一一以降の新たなエネルギー制約の下で電気料金が上昇する等々によりまして一時的に利益が圧迫されている中小企業、そして小規模事業者に対しては政府系金融機関におけるセーフティーネット貸付けによりしっかりと支援をしていきたいと思っております。
そして、消費税、最終的には転嫁がきちんと行われ、そして価格に反映をされ、消費者の皆さんにお支払いいただき、それが社会保障の充実に充てられるということでありまして、適正な転嫁が行われるよう万全の対策を取ってまいりたいと考えております。

〇倉林明子君 どんな影響を産地に与えるかということについての御意見を伺いたかったんですけれども、御意見が聞けたとは思えませんでした。
この着物にかかわって、京都は一大産地であると同時に、全国に消費、販売するという呉服販売の機能も持っております。
京都の呉服屋さんが消費税の影響がどれだけあったかということで御紹介をいただいた例がございます。九七年増税ということでしたが、悉皆屋さんを営業されています方の売上げで見ますと、九六年の売上げ、ところがこれ、九七年には八割に九六年と比べてなりました。九八年には四割に落ち込みました。本当に、この消費税の増税という影響が、進む着物離れに加えて、一層それに拍車を掛けると。着物が売れなくなれば職人に仕事も出せなくなると。だから、先ほどおっしゃったように、需要を拡大するという観点からも、この消費税の増税が和装産地に与える影響、京都に与える影響というのは本当に大きいというのが声なんですね。
本当に、消費税の増税が、京都の産地に与える影響だけじゃなく、着物文化に与える影響も甚大だということをしっかり見ていただきたいし、やっぱりその点からも、消費税の増税については、四月実施についてはきっぱり中止するように求めて、質問は終わりたいと思います。