国会レポート

「働き方」法案 提案者の資格なし 倉林氏「実態把握せず」(厚生労働委員会)

2018年4月5日

(議事録は後日更新いたします)

 日本共産党の倉林明子議員は5日の参院厚生労働委員会で、勝田智明東京労働局長のメディアどう喝発言や、裁量労働制の適用事業所・労働者数の公表遅延についてただしました。

 勝田局長が野村不動産への特別指導の経緯について記者から質問を受けている最中、「何なら、みなさんの会社に行って、是正勧告してもいいんだけど」と述べたことに対して、倉林氏は「労働基準監督官には、労基法に関する警察の役割がある。その組織のトップが、権限を振りかざしたどう喝にほかならない」と批判しました。

 倉林氏は、野村不動産の過労死の事実を伏せながら行った特別指導が、裁量労働制拡大のための恣意(しい)的なものではないかという疑惑が残っていると指摘。加藤厚労相は、「過労死は、遺族や代理人弁護士が公表した場合に、その範囲内で追認するだけにしている」と述べ、過労死をいつ知ったかも答えませんでした。

 倉林氏は、「前例のない特別指導、企業名公表まで東京労働局だけの判断でできるとは考えられない」として、勝田局長を参考人として委員会に出席させるよう求めました。

 厚労省は、裁量労働制のデータ捏造(ねつぞう)問題で「働き方改革」一括法案から裁量労働制拡大の削除をした後の3月5日、初めて企画業務型裁量労働制の適用事業所・労働者の数を公表しました。

 倉林氏は、「昨年6月に公表を求められ、なぜここまで遅れたのか」と追及。加藤厚労相は労働行政の電子化の遅れなどで集計に時間がかかったと言い訳しました。

 倉林氏は、「データ捏造だけでなく、実態さえ把握しないまま裁量労働制を拡大しようとしていた。法案提案の資格が問われる。高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)をはじめ一括法案は撤回すべきだ」と強調しました。


議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 午前中の石橋理事の質問に対して、山越局長、私確認したいと思うんですけれども、この記録ですね、テープを起こしたというメモで、十二月の二十六日の時点での東京労働局長の発言に対して問題ないかのような御発言がありました。大臣の答弁も受けたと。御飯も食べたと。今も変わりありませんか、その認識に。

○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
 このような記者会見におきまして、やはり威圧的なとも受け取られるような発言をするとか、あるいは要請の対象を恣意的にやっているというようなことを疑われるような発言をするのは適当ではないというふうに考えておりまして、こういった発言については不適切ではないかというふうにも感じているところでございます。

○倉林明子君 そのとおりだというふうに思いますね。
 そこで、改めて大臣に確認したいと思うんですね。
 山越さんが答弁揺らぐようなことになっているということもあるので、改めて私は押さえておきたいと思うんだけれども、あの東京労働局長の、何なら、皆さんのところ行って是正勧告してもいいんだけどというこの発言は、どこがどんな理由で不適切なのか、大臣の答弁をお願いします。

○国務大臣(加藤勝信君) 三月三十日の定例記者会見における東京労働局長の今の御指摘のあった発言を含めて、公平かつ公正な立場で監督指導を実施すべき、ある意味では指導していくべき東京労働局長が、自分の権限、権力をいたずらに行使するというような形で発言をしたということ、このことは甚だ不適切であるというふうに認識をしております。

○倉林明子君 この発言の後、謝罪ということで勝田東京労働局長は取材に応じているんだけれども、いろんなところに是正勧告が行われていることについて、分かりやすく言おうとして口が滑ったと、こんな釈明しているんですね。私、思わず本音が出たものじゃないかと思うんですよ。
 そこで、そもそもこの労働局の一組織でもある労働基準監督署には、監督指導にとどまらない強力な権限があるということです。そこで、司法警察チームの権限の中身というのはどういうものになりますか。

○政府参考人(山越敬一君) 労働基準監督官でございますけれども、労働基準法、労働安全衛生法等の違反の罪につきまして、刑事訴訟法の規定によります司法警察官として取調べ、刑訴法第百九十七条に基づくもの、これは任意捜査でございます。それから、捜索差押え、そういった強制権限を行い、検察庁へ送検を行う権限を有しているところでございます。

○倉林明子君 つまり、労基法に関してもう警察の役割と、分かりやすく言えばそういう権限を持っているんだということだと思うんです。極めて強い権限ですよ。
 こうした権限を持つ組織のトップである勝田氏の発言というのは、権限を振りかざした私は恫喝と、本当、ほかならないと思うわけです。国家公務員としての中立性、公平性、これ著しく損なうというものであって、労働行政に対する国民の信頼を大きく失墜した、こういう受け止めが必要じゃないかと思います。大臣、いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 今の御指摘、私どももこうした不適切な発言を通じて、本来、公平そして公正に行われるべき監督指導、またそれによって働く方の立場を守っていくという監督行政、それに対する国民の皆さん方の信頼、これを毀損することになっているということをしっかりと認識をしていきたいと思っております。
 その上で、東京労働局長本人への処分については、過去の事例も踏まえながら、今御指摘があった点、そうしたことも踏まえて厳正な対処していきたいと、このように考えておりますと。同時に、厚生労働省としても、今回の事案、これを独り反省の糧として、今後こういうことがないようにしっかり取り組ませていただきたいと思います。

○倉林明子君 この二日の釈明会見の中で、勝田氏自身は辞職を否定しているんですね。私は、今処分についての検討ということでお話伺ったんだけれど、辞職に値すると思うんですよね。監督責任は極めて重大だということを指摘しておきたいと思います。
 さらに、これ処分で済む話じゃないというふうに思っているんです。裁量労働制拡大のために、野村不動産での過労死を伏せたまま、特別指導で企業名の公表までやった。これは恣意的にやられたのではないかと、こういう疑惑が起こっているわけです。これについて疑惑を解消するというのは、これ、厚労省の責任だというふうに思うんですよ。大臣、いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 今委員言ったように、二つあると思うんです。過労死を伏せたままということと特別指導を実施したということと二つ。私は別だと思っております。
 過労死については、これまでも従前から申し上げておりますように、基本的に過労死については私どもの方からは説明や回答をしない。もちろん、遺族あるいは遺族を代理する例えば弁護士さん等々が公の場でそれを公表した、そうした場合には、その公にした範囲内においてはそれは私どもも追認をいたしますけれども、こちらからはやらない、これはもう一貫した姿勢でありますから、これは別に本件、本件というか、これを一貫的な姿勢でやらせていただいているということであります。
 その上で、特別指導が恣意的かという御指摘はありました。特別指導は、これまでも御説明するように、こういう形でやったのは本件が初めてだということでもございます。
 これは、理由についてはここでしゃべる前に東京労働局の紙にも載せておりますから、理由ははしょらせていただきますけれども、しかし、こうした特別指導をどうしたことで行ったのか、こういったことはしっかり私どもとしては説明をしていく必要があると思いますし、もちろんこれから今後もこうした事案があればこうした対応ということも当然考えていく必要があるわけでありますから、そういった意味では、今委員から恣意的という御指摘、こういったことが受けないように、我々ともしっかりその点を踏まえながら対応させていただきたいと思っております。

○倉林明子君 それは、一般論として原則どういう対応を取ってこられたのかというのは重々承知しております。この特別指導が初めての行政権限の執行でもあったと、大変社会的な影響も強いと、またそれを狙った指導でもあったことは明らかだと思うんですね。そこに過労死事案ということが同時、二十六日に分かるということ、報道で分かるということになったわけなんです。
 そこで、改めて、昨年十一月十七日時点で、野村不動産に対する特別指導については大臣は知っていたということで確認ができているかと思うんです。その上で、同社の過労死事案について、報告はどこからということは問いません、大臣が知られたのはいつでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 先ほどから申し上げておりますように、過労死事案については、その有無について私どもから積極的な御説明はさせていただいておりません。それから、特別指導云々というお話がありましたが、例えば送検事案においても、こちらから直接、私どもの方からそれに触れることはないということで、一貫した対応をさせていただいているところでございます。
 いずれにしても、本案、個別ということでございますので、コメントは控えさせていただきたいと思います。

○倉林明子君 いや、一般的に報道で私たちも過労死事案については知るという立場にあるんですよ。そういう一般的な情報として、この野村不動産で過労死という事案があったということはお知りになったんじゃないかということで確認しているんですけど。

○国務大臣(加藤勝信君) 御趣旨が報道を見たかという意味においては、報道は見させていただいております。
 ただ、私どもがマスコミにと申し上げたのは、遺族あるいは遺族の代理人が公表したということでございますので、本件はそれに該当していないというふうに考えております。

○倉林明子君 要は、大臣は報道でと、報道で知ったかどうかということについては言えるけれども、(発言する者あり)報道を知っているということについての今御説明だったということですけれども、特別指導に入る時点で東京労働局は過労死が申請されている状況というのは把握できるという立場にあったんじゃないかと思うんですよ。裁量労働制拡大、いや、大臣は知らなくてもですよ、裁量労働制拡大と政府の方針、裁量労働制を更に進めようという政府の方針、それに対して東京労働局がそんたくしたと、こういう可能性は私否定できないんじゃないかと思うんです。大臣は知らなかったとしても、過労死の申請と特別指導との関係、これあったのかなかったのか、ここは明らかにすべきじゃないかと思うんです。どうでしょう。

○国務大臣(加藤勝信君) 先ほどから申し上げておりますように、過労死については、先ほど申し上げたような状況でない限りはこちらから個別について触れることができない、もうこれは先ほど申し上げた送検事案であろうと何であろうと、これは終始一貫した対応をさせていただいているところでございますので、それを前提に個別のことを御質問されても、それに対して答えることはなかなかできないということを御理解いただきたいと思いますし、また、特別指導を行った理由についてはもう既に何度も、同じことになりますから繰り返しませんけれども、東京労働局のペーパー等にも書かれているそういったことを踏まえて特別指導、最終的には東京労働局長が判断して実施をしたと、こういうことでございます。

○倉林明子君 やっぱり、ちょっと東京労働局長に、その過労死の申請も含めて知り得る立場にあった人として、私は事実関係をきちんと確認する必要があるというふうに思います。今日は残念ながら参考人として合意に至らなかったということですけれども、引き続きこの点では疑惑は晴れていないというふうに申し上げて、参考人の要求は引き続き求めていきたいというふうに思います。
 大体、企業名公表という初めての特別指導がやられたということなんですよ。これは東京労働局の判断だけでできるというふうには到底考えられない。できるとは到底考えられないということを重ねて申し上げておきたいと思います。
 そこで、厚労省が三月五日に企画業務型の裁量労働制の適用事業所数と労働者数を、これ導入以来初めて公表されました。昨年六月の時点で既に我が党の小池議員が公表を求めていた経過があったものです。大体何でここまで公表が遅れたのか、その理由を説明してください。

○国務大臣(加藤勝信君) 今委員から御指摘ありましたように、御党の小池議員から、たしか六月、去年のですね、六月一日の参議院の厚労委員会で当時の塩崎大臣に対して調査すべきではないかという御指摘があり、前大臣から対象労働者数等について調査する旨答弁をさせていただいたところでございます。
 いずれにしても、この資料、本省に全部あるわけではなくて、各労働基準監督署にあるわけでございますから、各署に対してそうしたことを集めますよという通知をし、また、各署においてもそれぞれその資料を、多分コピーしたんだろうと思いますけれども、そういうことにして集約をしていったと。そして、それを集計し、分析をし、もう一度間違いがないかということを精査をし、ということで今年の三月にこうした形ができましたということを御報告をさせていただいたと、こういう経緯でございます。しかも三年分ということでございましたので、三年分のことをやらせていただいたということでございます。

○倉林明子君 そもそも、労働署にあるから集計にも時間が掛かったというお話なんだけれども、既にデータとしてはあるわけですよ。年に二回報告を受けているというベースのものはあるわけですよね。それがここまで時間掛かったということ自身が私は極めて問題だと思うんですね。これ、データ、ベースになるものですよ、裁量労働制を評価するという点でもね。データの問題では様々な議論もあったわけですよ、裁量労働制については。
 つまり、これまで企画業務型の事業所数や労働者数さえも一度も明らかにすることなく、集計結果が出たの三月五日なわけですから、その拡大を進めようと、そういうデータさえも集約することなしにこういう拡大を進めようと、そういうことだったのかと改めて確認したいと思うんです。どうでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) まず一つは、一枚一枚ばらばらで紙で管理しているのかという御指摘、そうしたことに対しては、やはりこの労働行政全般が電子化が遅れているというふうに私も受け止めておりますので、それはしっかり電子化をすることによって、それは結果的に監督指導の能力アップにもこれつながっていきますから、こういったことにもつなげていかなければいけないと思っております。
 それから、数値の関係でありますけれども、裁量労働制の採用企業や適用労働者数については、厚生労働省の就労条件総合調査というのをやっておりまして、これ毎年把握をしております。国会等で御質問があったときには、当該割合に基づいて、裁量労働制の適用を受ける労働者数の推計値、これはお示しをさせていただいたところでございます。
 ただ、いずれにしても、今回、裁量労働制について我々が提示したデータにも大変不適切なところがあったといったことから全面削除し、そして裁量労働制の実態について厚労省においてしっかり把握をし直し、その上で議論をということになっております。こういったことも含めてしっかりと対応していきたいと考えております。

○倉林明子君 今の答弁で、推計値は持っていたんだと言うんだけど、推計値と実際にデータ集計してみたら随分違いがあったんじゃないですか。そこ、数字で確認できますか。

○政府参考人(山越敬一君) この推計値でございますと、適用労働者数、専門業務型裁量労働制八十万人、企画業務型裁量労働制十七万人と推計されますので、この間にはかなりの差があったというふうに思います。

○倉林明子君 じゃ、数字は後できちっと確認してもらいたいと思います。今の数字、ちょっと違うんじゃないかと。大体、企画業務型というのは十一万人ぐらいの推計、十七だったかな、の上で、実数が七万数千ということだったと思うんですね。この間の実際のデータを見ても、増加傾向も明らかだし、それ以外でも野村不動産のような裁量労働制に該当しないのに裁量労働制を違法に適用しているという、そういう問題点は随分指摘されていたんですよね。
 何が言いたいかといいますと、このデータの捏造だけじゃなかったと、その実態さえ把握十分にできていないまま裁量労働制を拡大すると。私、これ労働法制を提案する資格が問われる問題だということを強く指摘したいと思うんです。
 今回の東京労働局長の暴言ありましたけれども、私、高プロの問題はもちろんなんですけれども、働き方改革関連法案、この提案というのは丸ごと撤回して出直すように強く求めたい。
 終わります。